森鴎外のレビュー一覧
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まさに表題作の山椒大夫と高瀬舟の二篇が良かった。二篇共に昔話のような馴染みやすさがあったからだ。他の話は私には、たまに難解なモノもある。
山椒大夫は、安寿と厨子王と言った方が馴染み深い。世間知らずとは言え、人買いに攫われ、不幸に見舞われる母と姉弟。離ればなれになり、自分よりも弟の生を重んじる姉の自己犠牲。安寿の最後を暗示させる文章が心に焼き付いて離れない。
また、高瀬舟は弟を苦しみから楽にさせてやりたいと思う究極の兄の行動。それだけではなく、罪人と護送する同心の生活観、価値観の対比も深い。
家族を思う気持ちは今も昔も変わらない。大事なモノのために私には何ができるのだろう、と問い直しをしている。 -
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ネタバレ「舞姫」は、こんなひどい話だったのか。文章が難解で強引に読み通した結果、泣けた。なんとなく雰囲気は掴めたんでしょうね。(笑)
豊太郎との暮らしを夢みながら、エリスがお腹の子の為に、産着やオムツを縫っている幸せそうな姿。そこからの最後が辛いし酷いし苦しい。
豊太郎は有能なのだろうが、芯が無く、頼りない。異国に馴染めず、唯一、心を許したのは、年端もいかないエリス。
対照的にエリスは、心が真っ直ぐで美しい。
出世と恋愛。国への大義と異国の少女への一時的な感情。
どちらを選ぶ?
そうなるわな。それほどの思いがあるわけでなく…。熱意も無し。妊娠させておいて。
さいごの一文も秀逸。自分の意思と違うんかい! -
Posted by ブクログ
ネタバレ当時としては斬新だったのかな。哲学者が息子の性教育に使うため、自分の性欲への目覚めや性体験について振り返って本を書くという話。本の内容を追想する形?で話は進む。見合いを急かす母に対して「俺はあんまりカッコよくないし女側にも男を選ぶ権利はあるだろう」と母に談判するシーンが面白かった。また、流れで遊女と寝ちゃって「案外セックスって大したことないな……」と気づくシーンも良かった。「別に、やろうと思って行ったわけじゃないし……喧嘩しようと思って出かけたわけじゃないけど流れで喧嘩しちゃうことあるじゃん?あれと同じだし……」ってなんかめちゃ言い訳してるのも、お母さんに「ずいぶん遅かったわね」ってしっかり遊
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そういえば読みたい登録していたなと思いだし、自分のヰタ・セクスアリス書いているなと思って参考がてら読んだ。面白かったし長くないのでするする読めました。大胆な性欲描写が問題となり…とウィキペディアに書いてあるものの、その後に「もっとも、実際に性行為が直接描写されていることは無く、この処分は当時軍医総監という立場にあった森鷗外に対する非難を受けての対応であったともいわれる」という方がまだ理解できる笑。全然これで発禁処分になってたら驚きもいいところだよ…アニーエルノーとか、ミランクンデラとか失神ものだなって思いました。笑
この時代の男女の距離感がこういうところがあったんだろうなと思うと、風俗史をみて -
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鴎外初の長編とのこと。
小説家を目指し山口県から上京した純一が未亡人である坂井夫人に性欲によって惹かれ翻弄される話。小説も書かず、坂井夫人の逗留してる箱根にまで行き、他の男といる姿を見て嫉妬する。お雪やおちゃらといった純一を魅力的に思うその他の女性も登場。こんな単純な読み方しかできず、坂井夫人≒美禰子のような見方で三四郎と似たテーマと思って読んだが、色んな人の解説を見ているともっと深読みできるテーマ性を持った本なのかと情けなくもなる。
フランス語がやたらと混じって読みにくい、また個人主義云々哲学的な部分が入ってきづらく、表紙に書いてある純一が「伝説を書く」に至る部分が読み取れなかった。 -
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正直、題材になった歴史を知らないので、どこまでが創作でどこまでが歴史事実なのかわからない。一応、どの作品にも中心人物がいて、その人はおそらく森鴎外の好みの人なんだと思うが、時代が違えば価値基準も異なり、また森鴎外の生まれたのが1862年で、明治天皇の即位が1867年だから、森鴎外自身ももとは江戸末期に生まれた士族なので、正直いまの時代の人間の一人としては、理解できない話もあった。
『興津彌五右衛門の遺書』
解説によれば、日露戦争でロシア軍を陸戦に破った乃木希典の殉死に着想を得た作品らしい。そういってしまえば美談。ただ、ここで腹を切った人がどうしてそもそも主君にとりたてられたかという経緯が個人 -
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『高瀬船』
ざっくりと「安楽死」がテーマの話、くらいの認識しかなかった。改めて読み返すと「こんな話だったっけ?」という発見があった。
まず、喜助が悲しんでいない。むしろ喜んでいる。自分の記憶の中では、弟を「殺し」てしまった喜助は罪の意識に苛まれ船上では悲壮感を携えながら揺られている、というイメージがあった。しかしそのような喜助の姿はそこにはなく、むしろ穏やかな雰囲気で居るのである。
「弟を殺してしまったことで罪の意識が生じ、罪人としての自分が罰せられることに喜びを感じているのかな?」と喜助の感情を解釈してみたりしたが、どうもそのような様子は読み取れない。場合によっては、そのような感情を持っ -
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ネタバレ舞姫
確か初めて読んだのは中学生のとき。
そのときは、豊太郎はなんてクズなんだろうと思った。同じ女性として、捨てられたエリスがかわいそうだと思った。(読書感想文にも豊太郎の悪口を書きまくったように記憶している。)
しかし、今、大人になって再読してみると、豊太郎が「ただのクズ」から「理解できるクズ」に変化していた。
位階をとるか、愛する女性をとるか。このチャンスを逃したら、もう二度と故郷での栄達は望めないかもしれない。そんなときに「当然、エリスを捨てて故郷での出世を選ぶんだよね?(意訳)」とまるで確定事項のようにお偉いさんや友人に言われてしまったら(しかもエリスのいない場所で!)、本心はどうあれ -
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鷗外の作品は、読者の洞察が必要、とドナルド・キーン氏が述べている。
ただ、短編だと、その洞察がいい具合に効いてくるのだが、長編だと散漫になるきらいがあるだろうか。
ところどころに当時の反自然主義文学の匂いがするし、性に対する抑制的な表現も、その表れなのだろう。
鷗外らしく、ところどころに哲学的、思想的なエッセンスが埋め込まれており、それを噛みしめながら読むのがいい。
以下抜粋~
・(日記について)「人間はいろいろなものに縛られているから、自分をまで縛らなくても好いじゃないか」
・「利己主義の側はニイチェの悪い一面が代表している。例の権威を求める意志だ。人を倒して自分が大きくなるという思