森鴎外のレビュー一覧

  • 山椒大夫・高瀬舟

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    風俗・人間心理・倫理観をテーマにした短編小説群。簡潔な文体ながらも、明治〜大正の人々の生き方や価値観がとても深く描かれている。
    この一冊を読むだけで、あらゆる小説形式に対応できる森鴎外のすごさが堪能できる。気取ったように外国語を多用するのは御愛嬌。

    切腹を命じられた父親をこどもたちが助ける「最後の一句」、父の仇を討つために日本全国を駆け回る「護持院原の敵討」など、歴史小説がとても面白かった。

    それでもやはり、表題作の2つがぶっちぎりでよかった。
    「山椒大夫」は、人買いに攫われて家族がバラバラになる様子を描くことで、弱者への慈悲や家族愛を謳いあげる。
    「高瀬舟」は、弟を殺した人物の感情吐露か

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    2026年01月19日
  • 渋江抽斎

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    ネタバレ

    鷗外史伝ものの第一作。

    弘前の医官で考証学者の渋江抽斎(1805-58)。古書蒐集の中で抽斎を知った鷗外は、抽斎の子孫からの聞取りや文献渉猟を経て、抽斎の素性だけでなく、その妻五百(いお)を始めとした周辺人物や抽斎没後の子孫の行く末までを克明に描き出す。

    漢語交じりの淡々としたその筆致は、感傷に溺れることなく、抽斎への敬愛を静かに立ち昇らせます。豪胆な妻五百や、放蕩な次男優善(やすよし)、観劇狂の友人・森枳園(きえん)ら強烈な群像が活写されることで、抽斎の恬淡とした生真面目さが際立ってくるのが逆説的で面白い。

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    2026年01月03日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    「舞姫」や「うたかたの記」など、9篇を収める。
    美濃部伊織とその妻るんの物語、「じいさんばあさん」がいい。「文化六年の春が暮れて行く頃であった。麻布竜土町の、今歩兵第三連隊の兵営になっている地所の南隣で、……」で始まる、簡にして要を得た、しかもリズムのきいた文章。これが堪らない。
    その麻布竜土町での37年ぶりの再会とその後の暮らしぶり。なにやら小松左京のSF長篇『果しなき流れの果に』のエンディングを思わせる。

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    2025年10月10日
  • 青年(新潮文庫)

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    100年以上前に世に産み出された作品なだけあって、まず言葉遣いに苦戦する。そして昔の日本の有様に実感がわかない。それでもストーリーはとてもシンプルで、知らない語彙は推測しながら読み進めていっても楽しめる作品である。登場人物たちも魅力的で万人にお勧めできる森鴎外の作品だと思う。

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    2025年09月15日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    『舞姫』感想

     近代の「私」とは。
     自由な個人としての「私」を見出し、エリスと恋に落ちるも、それを裏切って日本国家の一員としての「私」を優先するドラマ、と思っていた。
     だが、実際再読してみて感じたのは、二項対立的な「私」の葛藤ではなく、「私」という存在の純粋な不安定さであった。
     森鴎外は『舞姫』を書くことで、「私」という存在が壊滅的に信用できないものであることを描いた。
     男のナルシジズムを感じる部分があるので、星4。

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    2025年08月20日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    面白い、というよりは精神修行だな。個人的には。山椒大夫とか自分にはキツ過ぎて無理。でも、こういう本を一度は読んでおかないとダメなんだと思う。

    二人の友は好きですね。妄想とかも。

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    2025年07月27日
  • 舞姫・うたかたの記

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    日本語むずすぎ!!
    うたかたの記と文づかいはよかった
    舞姫はよくわかんなかった
    でもところどころ刺さる情景描写あった
    普請中で急に現代語になって、この文体で書けんなら他も簡単な日本語で書いてよと思った
    でも普請中だけ舞台が日本だから、わざとなのかもしれない、わざとやってるとしたら、ずるいぜ

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    2025年07月16日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    正直難しいから読みづらい
    だけど読んでると
    不思議な深い味わいがある
    噛めば噛むほど味があるような
    文章も無駄がなくキレッキレなのに
    心情が湧いてくるような
    どれも感じ入る9つの作品

    その中で「#鶏」という作品
    庶民の強かさを
    責めるでも無く皮肉るでも無く
    自戒の念と諦め?が混在しつつも
    コミカルな感じもして
    個人的には1番お気に入り

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    2025年06月09日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    Audibleにて拝聴

    山椒大夫、高瀬舟ともに切ない。
    世間の理不尽に振り回される人間の、なんとも澄んだ心持ちと、諦めを含んだ凪いだ心情が丁寧に描かれていて…くるしい。

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    2025年06月01日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    まさに表題作の山椒大夫と高瀬舟の二篇が良かった。二篇共に昔話のような馴染みやすさがあったからだ。他の話は私には、たまに難解なモノもある。
    山椒大夫は、安寿と厨子王と言った方が馴染み深い。世間知らずとは言え、人買いに攫われ、不幸に見舞われる母と姉弟。離ればなれになり、自分よりも弟の生を重んじる姉の自己犠牲。安寿の最後を暗示させる文章が心に焼き付いて離れない。
    また、高瀬舟は弟を苦しみから楽にさせてやりたいと思う究極の兄の行動。それだけではなく、罪人と護送する同心の生活観、価値観の対比も深い。
    家族を思う気持ちは今も昔も変わらない。大事なモノのために私には何ができるのだろう、と問い直しをしている。

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    2025年05月24日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「舞姫」は、こんなひどい話だったのか。文章が難解で強引に読み通した結果、泣けた。なんとなく雰囲気は掴めたんでしょうね。(笑)
    豊太郎との暮らしを夢みながら、エリスがお腹の子の為に、産着やオムツを縫っている幸せそうな姿。そこからの最後が辛いし酷いし苦しい。
    豊太郎は有能なのだろうが、芯が無く、頼りない。異国に馴染めず、唯一、心を許したのは、年端もいかないエリス。
    対照的にエリスは、心が真っ直ぐで美しい。
    出世と恋愛。国への大義と異国の少女への一時的な感情。
    どちらを選ぶ?
    そうなるわな。それほどの思いがあるわけでなく…。熱意も無し。妊娠させておいて。
    さいごの一文も秀逸。自分の意思と違うんかい!

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    2025年04月23日
  • 雁(新潮文庫)

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    100年くらい前に書かれたお話
    上野辺りが舞台なので現在と当時とでは
    ずいぶん面変わりしてるだろうな
    と思いつつ読む

    前半の話と後半の話
    合わせてひとつの話となるのが
    からくり細工のようで
    深みも出て面白かった

    呆気ない終わりのようだけど
    ちょうど良いキレ感と
    微妙な余韻が残る感じが
    さすが森鷗外だなと思った

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    2025年02月13日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    個人的に、「かのように」が最も印象に残った。
    神話と歴史の違い、必要性は認めながらもそれらとどう向き合うのか悩む。
    自分の思考を父にどう思われるか悩み、どうするか思索する主人公の思慮深さは尊敬できる。

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    2025年02月16日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    高校の頃、授業で高瀬舟を習い、幸せの価値観について考えさせてくれるきっかけをもらいました。
    ただ、どうしてもこの時代の頃に書かれた文学作品は個人的にどうしても読みづらい感が否めず、星4にさせていただきました。

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    2024年12月31日
  • 青年(新潮文庫)

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    読むのとても時間がかかりました。

    私は女であり、歳もそれなりにいってるからか
    純一の思考や行動の素直じゃないところにモヤモヤした。

    けれどそんな純一の思考や行動を上手く描いてあるなとは感じた。
    国府津で宿屋を探していた時に、身なりで何件も「どこも開いておりません」と断られた自分を棚に上げて、やっと泊めてもらえたボロ宿や、そこの女中の見定めとか、夫人を追って箱根に行ったのに、そうじゃないフリするところとか
    かわいくない奴だなと思ってしまった。

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    2024年11月22日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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    鴎外の若い頃の経験が、如実に認められた一作に思います。聞き馴染みのないドイツ語などが多用されており、注釈と行ったり来たりしながら読んだので少し疲れました。

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    2024年11月10日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    当時としては斬新だったのかな。哲学者が息子の性教育に使うため、自分の性欲への目覚めや性体験について振り返って本を書くという話。本の内容を追想する形?で話は進む。見合いを急かす母に対して「俺はあんまりカッコよくないし女側にも男を選ぶ権利はあるだろう」と母に談判するシーンが面白かった。また、流れで遊女と寝ちゃって「案外セックスって大したことないな……」と気づくシーンも良かった。「別に、やろうと思って行ったわけじゃないし……喧嘩しようと思って出かけたわけじゃないけど流れで喧嘩しちゃうことあるじゃん?あれと同じだし……」ってなんかめちゃ言い訳してるのも、お母さんに「ずいぶん遅かったわね」ってしっかり遊

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    2024年10月28日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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    そういえば読みたい登録していたなと思いだし、自分のヰタ・セクスアリス書いているなと思って参考がてら読んだ。面白かったし長くないのでするする読めました。大胆な性欲描写が問題となり…とウィキペディアに書いてあるものの、その後に「もっとも、実際に性行為が直接描写されていることは無く、この処分は当時軍医総監という立場にあった森鷗外に対する非難を受けての対応であったともいわれる」という方がまだ理解できる笑。全然これで発禁処分になってたら驚きもいいところだよ…アニーエルノーとか、ミランクンデラとか失神ものだなって思いました。笑
    この時代の男女の距離感がこういうところがあったんだろうなと思うと、風俗史をみて

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    2024年10月23日
  • 青年

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    鴎外初の長編とのこと。
    小説家を目指し山口県から上京した純一が未亡人である坂井夫人に性欲によって惹かれ翻弄される話。小説も書かず、坂井夫人の逗留してる箱根にまで行き、他の男といる姿を見て嫉妬する。お雪やおちゃらといった純一を魅力的に思うその他の女性も登場。こんな単純な読み方しかできず、坂井夫人≒美禰子のような見方で三四郎と似たテーマと思って読んだが、色んな人の解説を見ているともっと深読みできるテーマ性を持った本なのかと情けなくもなる。
    フランス語がやたらと混じって読みにくい、また個人主義云々哲学的な部分が入ってきづらく、表紙に書いてある純一が「伝説を書く」に至る部分が読み取れなかった。

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    2024年10月17日
  • 阿部一族 他二篇

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    正直、題材になった歴史を知らないので、どこまでが創作でどこまでが歴史事実なのかわからない。一応、どの作品にも中心人物がいて、その人はおそらく森鴎外の好みの人なんだと思うが、時代が違えば価値基準も異なり、また森鴎外の生まれたのが1862年で、明治天皇の即位が1867年だから、森鴎外自身ももとは江戸末期に生まれた士族なので、正直いまの時代の人間の一人としては、理解できない話もあった。

    『興津彌五右衛門の遺書』
    解説によれば、日露戦争でロシア軍を陸戦に破った乃木希典の殉死に着想を得た作品らしい。そういってしまえば美談。ただ、ここで腹を切った人がどうしてそもそも主君にとりたてられたかという経緯が個人

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    2024年10月20日