森鴎外のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『高瀬舟』を読みたくて買ったが、他の短編も面白かった。
特に、『妄想』が良かった。
「自分が何かを成さないといけない気がするが、それが何かは分からない」というモヤモヤを「或物」と表現していた。
「或物」は、多くの人が特に思春期に通過する感覚ではないかと思う。
少なくとも私はあった。そして今もある。
ただ、ネガティブな印象ではない。
「自分が何者かであって、世の中に何かを残していきたい」という気持ちは大切なものだ。
私はその気持ちをもとに、新事業を提案し、日々あくせくしている。
森鷗外はこの本の短編を通して、「足るを知るという言葉があるが、そんな風に満足なんてできないだろ?人の欲は際限無く、 -
Posted by ブクログ
風俗・人間心理・倫理観をテーマにした短編小説群。簡潔な文体ながらも、明治〜大正の人々の生き方や価値観がとても深く描かれている。
この一冊を読むだけで、あらゆる小説形式に対応できる森鴎外のすごさが堪能できる。気取ったように外国語を多用するのは御愛嬌。
切腹を命じられた父親をこどもたちが助ける「最後の一句」、父の仇を討つために日本全国を駆け回る「護持院原の敵討」など、歴史小説がとても面白かった。
それでもやはり、表題作の2つがぶっちぎりでよかった。
「山椒大夫」は、人買いに攫われて家族がバラバラになる様子を描くことで、弱者への慈悲や家族愛を謳いあげる。
「高瀬舟」は、弟を殺した人物の感情吐露か -
Posted by ブクログ
まさに表題作の山椒大夫と高瀬舟の二篇が良かった。二篇共に昔話のような馴染みやすさがあったからだ。他の話は私には、たまに難解なモノもある。
山椒大夫は、安寿と厨子王と言った方が馴染み深い。世間知らずとは言え、人買いに攫われ、不幸に見舞われる母と姉弟。離ればなれになり、自分よりも弟の生を重んじる姉の自己犠牲。安寿の最後を暗示させる文章が心に焼き付いて離れない。
また、高瀬舟は弟を苦しみから楽にさせてやりたいと思う究極の兄の行動。それだけではなく、罪人と護送する同心の生活観、価値観の対比も深い。
家族を思う気持ちは今も昔も変わらない。大事なモノのために私には何ができるのだろう、と問い直しをしている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「舞姫」は、こんなひどい話だったのか。文章が難解で強引に読み通した結果、泣けた。なんとなく雰囲気は掴めたんでしょうね。(笑)
豊太郎との暮らしを夢みながら、エリスがお腹の子の為に、産着やオムツを縫っている幸せそうな姿。そこからの最後が辛いし酷いし苦しい。
豊太郎は有能なのだろうが、芯が無く、頼りない。異国に馴染めず、唯一、心を許したのは、年端もいかないエリス。
対照的にエリスは、心が真っ直ぐで美しい。
出世と恋愛。国への大義と異国の少女への一時的な感情。
どちらを選ぶ?
そうなるわな。それほどの思いがあるわけでなく…。熱意も無し。妊娠させておいて。
さいごの一文も秀逸。自分の意思と違うんかい! -
Posted by ブクログ
ネタバレ当時としては斬新だったのかな。哲学者が息子の性教育に使うため、自分の性欲への目覚めや性体験について振り返って本を書くという話。本の内容を追想する形?で話は進む。見合いを急かす母に対して「俺はあんまりカッコよくないし女側にも男を選ぶ権利はあるだろう」と母に談判するシーンが面白かった。また、流れで遊女と寝ちゃって「案外セックスって大したことないな……」と気づくシーンも良かった。「別に、やろうと思って行ったわけじゃないし……喧嘩しようと思って出かけたわけじゃないけど流れで喧嘩しちゃうことあるじゃん?あれと同じだし……」ってなんかめちゃ言い訳してるのも、お母さんに「ずいぶん遅かったわね」ってしっかり遊
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そういえば読みたい登録していたなと思いだし、自分のヰタ・セクスアリス書いているなと思って参考がてら読んだ。面白かったし長くないのでするする読めました。大胆な性欲描写が問題となり…とウィキペディアに書いてあるものの、その後に「もっとも、実際に性行為が直接描写されていることは無く、この処分は当時軍医総監という立場にあった森鷗外に対する非難を受けての対応であったともいわれる」という方がまだ理解できる笑。全然これで発禁処分になってたら驚きもいいところだよ…アニーエルノーとか、ミランクンデラとか失神ものだなって思いました。笑
この時代の男女の距離感がこういうところがあったんだろうなと思うと、風俗史をみて -
Posted by ブクログ
鴎外初の長編とのこと。
小説家を目指し山口県から上京した純一が未亡人である坂井夫人に性欲によって惹かれ翻弄される話。小説も書かず、坂井夫人の逗留してる箱根にまで行き、他の男といる姿を見て嫉妬する。お雪やおちゃらといった純一を魅力的に思うその他の女性も登場。こんな単純な読み方しかできず、坂井夫人≒美禰子のような見方で三四郎と似たテーマと思って読んだが、色んな人の解説を見ているともっと深読みできるテーマ性を持った本なのかと情けなくもなる。
フランス語がやたらと混じって読みにくい、また個人主義云々哲学的な部分が入ってきづらく、表紙に書いてある純一が「伝説を書く」に至る部分が読み取れなかった。