あらすじ
現代社会を描きたいという希望をもって東京へ出た文学青年小泉純一が,初志に反して伝説に取材した小説を書こうと決意するまでの体験と知的成長を描く.作中に夏目漱石,木下杢太郎,正宗白鳥,森鴎外自身などをモデルとした作家が登場する.漱石の『三四郎』と並称される鴎外初の現代長篇小説.(改版)(解説=須田喜代次)
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Posted by ブクログ
鴎外初の長編とのこと。
小説家を目指し山口県から上京した純一が未亡人である坂井夫人に性欲によって惹かれ翻弄される話。小説も書かず、坂井夫人の逗留してる箱根にまで行き、他の男といる姿を見て嫉妬する。お雪やおちゃらといった純一を魅力的に思うその他の女性も登場。こんな単純な読み方しかできず、坂井夫人≒美禰子のような見方で三四郎と似たテーマと思って読んだが、色んな人の解説を見ているともっと深読みできるテーマ性を持った本なのかと情けなくもなる。
フランス語がやたらと混じって読みにくい、また個人主義云々哲学的な部分が入ってきづらく、表紙に書いてある純一が「伝説を書く」に至る部分が読み取れなかった。
Posted by ブクログ
古い言葉と今は使わない漢字、フランス語とドイツ語がいやというほどアルファベットにフリガナをつけて出てくる。巻末の注釈を引きながら読み切るには時間がかかった。よく読み切ったと思う。
教育学部に進んだ友がこの本はエミールとともに教育学の教材ロしていい本だと言われたので半世紀余り後読んだが、青年純一の明治の上り坂の時代の青春と年上の女性への恋慕が心のうつろいが書かれているが、教育学とは関係ないんじゃないかろ思う。
ただ鴎外の49歳の時の作品を思うと20代の青年の心情がよく著されていると思う。