森鴎外のレビュー一覧

  • 雁(新潮文庫)

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    もう20年以上前、読書の楽しさを教えてくれた本。
    文体が、鴎外の他の作品と比べて読みやすかった。

    親を助けるために成金の愛人となった『お玉』と、スポーツも勉強も優秀で、将来を約束された男子学生『岡田』。対照的な二人の登場人物の繊細な心の通い合いを描いています。

    鴎外のすごさって、女性の心理描写にあると思っています。
    当時20歳そこそこの私が、「お玉の気持ち、めちゃくちゃわかる!」「そうそう、こんな時はこう思っちゃうよね~」と、共感しまくりながら読み進めました。
    医者としても文化人としても超一流の鴎外。普通に考えると、女性の細やかな心の動きなんて想像もつかないんじゃない?と思ってしまいますが

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    2025年08月30日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    高瀬舟の感想を。

    凄く良い。
    安楽死や尊厳死について深く考えられる。
    現在の日本では、安楽死という制度は認められていないが、スイスなどでは、シロップのようなものを飲むことで安楽死ができると聞いた。
    日に日に身近な存在になっていると思う。
    現代の人たちは医療技術の発展が進むにつれて人は死を忘れていっている。どこか遠いものだと思い込んでいる。
    でも身近な所に死は存在し、死に苦しんでいる人もたくさんいる。
    そんなことを感じさせた。

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    2025年08月19日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    「舞姫」
    1890(明治23)年1月に「国民之友」に発表された森鷗外の最初の小説。短編小説で雅文体(擬古文)で書かれている。ベルリンに留学した青年官吏太田豊太郎の回想という形で書かれている。豊太郎は国家から派遣されてベルリンの大学の自由な空気に触れ、封建的な官僚機構と「家」に縛られた自分の生き方に疑問を持つ。やがて、純粋無垢な踊り子エリスと愛し合うようになると免職される。親身な友人相沢の尽力で日本での社会復帰の機会を得て、出世か愛情かで苦悩するが、豊太郎は帰国を選んだ。それを知ってエリスは発狂する。エリスは妊娠していた。国家や社会・家族など、周囲から期待される役割と近代知識人の自我の目覚めと挫

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    2025年08月06日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    「山椒大夫」や「高瀬舟」など有名な小説群のなかにあって、「二人の友」だけがエッセイ。九州の小倉で知己になった二人について書いている。37歳から39歳、小倉「左遷」時代、単身で生活する鷗外の日常も見える。
    二人の友とは、安国寺さんという僧侶とF君。安国寺さんは鷗外に唯識論を講じ、鷗外は彼にドイツ語を教えた。彼は、松本清張の「或る「小倉日記」伝」にも登場する。
    F君はいわば押しかけ弟子。本名は福間博。ドイツ語がよくできた。鷗外は、余暇に一緒に出かけるだけでなく、彼の就職の世話もした。(蛇足。福間はその後上京して、旧制一高のドイツ語教員になった。芥川龍之介や久米正雄が教わったが、彼らが大学2年生の時

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    2025年05月08日
  • 青年(新潮文庫)

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    純一の成長、というよりは、なんでもない日常 のように見えた
    上京して、新しい人に出会って、経験が増えたからといって文才が育つわけではないし、
    純一はきっと、大きく成長したりはしない これからも不条理な感情を持って、やらなければならないことを後回しにする ただ、流れるように、時が過ぎて行くだけ

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    2025年02月01日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    高校で誰しも学ぶであろう「舞姫」
    好きすぎて物理の授業中でも読んでた。今でも一番好きな古典派文学かも。これが学習指導要領からなくなった?なんて信じたくない、、、

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    2024年11月24日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    何十年も前に、この『鶏』を読んだ時に、とてもイラっとしたのを思い出す。今もそうだが、この”別当”のタイプの人がものすごく嫌いなのである。足元をみて、じわじわとグレーゾーンで悪いことというか、セコいことをするヤカラ。人のものを自分のもののように使い、勘違いする。この別当の延長線に最近大きな問題になった某球団をクビになった犯罪者のような人に繋がるのかと思う。
    石田は吝(けち)ではあるが、美学のある人物として描かれる。美学、というか良えカッコしいというか、めんどくさいというか、、そこらへんもわからんでもない。腹が立っても言わない人っちゅうかねぇ。ほんま、わからんでもないが、モヤるのである。

    「鶏な

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    2024年04月13日
  • 渋江抽斎

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    森鷗外は、人生の最後に「史伝」作品群を残し、その中でも最も知られている作品が「渋江抽斎」だ。
    ”史実を淡々と述べていて無味乾燥である”、という評もあるようだが、自分は、鷗外の作品の中でも多いに関心を抱く作品のひとつだ。

    鷗外は、「舞姫」から始まり、その作風の変遷が特徴的だが、日本の近代化という大きな変革の中に体制側に身を置き、最後、「史伝」に辿り着いたことは、説明がつくような気がする。

    ひとつのキーワードが考証学。
    渋江抽斎も考証家であり、鷗外が自らを渋江抽斎に見立てていたのであれば、合理的な欧米的知識をバックボーンとしていた鷗外にとって、考証学は拠り所になっていたのではないかと思われる。

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    2023年11月12日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    どれも教科書に載ってもおかしくないような筋書き (実際、どこかの国語の教科書に載っているかも)。その意味では、やはり『高瀬舟』が深い。TikTokばかり眺めていないでその時間で一冊でも本読んでほしい。

    文芸としてため息がでたのは『最後の一句』。長女の最後の一句の鋭さにもひやっとしたが、それ以上に本当に子供を殺して親を放免した奉行のやりかたにもっとヒヤッとした。これで親子共々釈放していたら、胸はすっきりするが、正直それでは何ものこらない。覚悟と覚悟が正面からぶつかった感じにため息がでた。色んな意味で。

    『魚玄機』『寒山拾得』は中国が舞台、というか中国の文献を元にした半フィクション。『魚玄機』

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    2023年10月08日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    高瀬舟にフォーカスします。

    人間にとって充足ってなんだろ?と深く考えさせられました。

    「足るを知る」と「安楽死(もしくは本人の委託による自殺幇助)の正当性」がこの本の2大テーマだと思いますが、これらのベクトルの方向は正反対なのか、もしくは同一方向なのか?
    足るを知る、は老子の言葉そのものですが、安楽死については無為自然や八正道には反しているようにも思う。そう考えると、東洋思想へのアンチテーゼのようにも感じます。
    ただ、自利的安心(足るを知る)と利他的慈悲(今回の場合の死)と考えれば、大乗仏教としては唯一不二になって正当化されてしまうかも。

    鷗外に聞きたいところですが、自分で考えろと言われ

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    2023年05月05日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    12篇からなる短篇集。
    『妄想』を始め幾つかの作品から、鷗外の考え方や人付き合いがよく分かり興味深い。ベルリン留学は彼にとって非常に有意義な経験であり、頭脳明晰で医学だけでなく文学も書かずにはいられなかったと推察する。
    『山椒大夫』は所謂「安寿と厨子王」で、姉弟の思いやる気持ちに心震える。タイトルが何故に山椒大夫なのかは理解できなかった。
    『高瀬舟』は17頁の短い作品中に、生き方や命に対する問いかけがギュッと詰まった名作である。

    鷗外がすっかり好きになったので、更に他作品を読みたい。

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    2022年11月07日
  • 雁(新潮文庫)

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    まだ子供の頃に「よろめきドラマ」なる言葉があって大人が使っていた記憶がある。
    今ならば「不倫物」というような意味だろう。
    森鴎外という文豪の作品に果たして「よろめき物」というジャンルを当てはめて良いものかと
    思いながらもその思いは拭えず読み進んだ。
    男親の暮らしのために大学の寄宿舎の小使い上がりの高利貸し末造の囲い者になったお玉が大学生の岡田に想いを寄せ、なんとかその想いを伝えたいと焦る。
    これだけを取り出せば「よろめきドラマ」としても成り立ちそうな気配。

    その気配を打ち消すのはやはり岡田の放った石で命を奪われた一羽の雁の出現だろう。
    あれは何を意味するのか。

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    2022年06月23日
  • 阿部一族 他二篇

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    他の家来、皆殉死が許されてるのに自分だけ許されない。理由はホントにしょーもない。なぜかいけ好かないから。殉死できない。自分だけ生き延びることで周りから命惜しい奴と思われる。そして、自害。残された子供たちも、父の無念を晴らそうとするけど、、、どうしてこうなった。

    死ぬ事も美学。そんな印象だった。
    明日死ぬと言われる妻や子供の気持ちを想像してしまうのは、私が女だからだろうか。
    何が殉死だろう。狂ってる。
    その死生観が、つい100年前の日本で蔓延っていたのだからやるせない。
    淡々と人が死ぬ。鷹も死ぬ。犬も殺される。
    死ぬこと自体意味は無い。死までの期間に意味があるのだと思った。どう、自分で意味をつ

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    2022年04月29日
  • 青年(新潮文庫)

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    初めての森鴎外作品。まずは著者の文学、哲学・思想についての知識に驚愕。元々東大医学部卒のバリバリの軍医という経歴もさらに驚き、博識すぎ笑
    文章自体はそこそこ難解なところが多いけど、思想・心情について的確に描写しているという印象を受けた。田舎の裕福な家に生まれた青年が、普通じゃ嫌だといって小説家になるために東京に出てくる。文学の知識はあるから、作中の登場人物の行動や思想を批評したりして頭でっかち感がある一方、大村の言葉に素直に聞き入るといった受容性の高さもある。自らの哲学がまだ不安定なところで様々な女性との出会いを重ねていき、ありていに言えば「大人としての経験を積んでいく」。

    主人公は最後まで

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    2022年01月30日
  • 渋江抽斎

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    学問と仕事、宮仕えの心構え。芯のある夫人。時代を生きる人々。家族のヒストリーを語りながら、文武両道とユーモアと暖かみにあふれ、誠実にして緻密な史料調査を厭わない森鴎外の視線、筆致に触れられ、憧れるような文化水準の高みを気持ちよく感じさせてくれます。

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    2021年05月05日
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

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    たけくらべ読み終えたところ。樋口一葉を読んでいなかった(日本文学をなんとなく敬遠していた)自分の愚かさを呪う。なんだこの瑞々しさ。おっとりした、それでいて景色のわかる気持ちの持っていかれる文運びと表現(これは現代語訳の賜物かもしれないが)。あー、、、、とにかく今日読めてよかった。

    三四郎読み終えた。NHKの100分de名著の漱石特集を観てうっすら冒頭は知っていたけども、そこからの印象とは違くなっていって。とても良かった。これも繰り返し読みたい。三谷幸喜さん演出の漱石を題材にした演劇、ベッジ・パードン(野村萬斎さん主演)を思い出しつつ、漱石自身の思想はどこかと想いつつ。

    青年、終えた。森鷗外

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    2021年02月14日
  • 雁(新潮文庫)

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    ネタバレ

    個人的に非常に好みだった。末蔵の妻と妾に対する二面性やお玉の自我の芽生などが印象的であった。自我の芽生によってお玉は末蔵に対してのあしらい方を覚え、学生岡田に対する思慕を募らせる。岡田も満更ではないようであるが、何も起こることはなく2人は他人のまま終わるのである。この結末から鴎外が小説をロマンティックな展開を乗せつつあくまで現実に寄せていく、平凡に終わるように仕向けていると考えることができる。小説とはフィクションとノンフィクションを混ぜることで面白さが見えるからだろうか。

    視点が岡田やお玉、末蔵ではなく岡田の友人の視点で語られることも非常に面白い。物語をただ当事者に語らせるのではなくなんらか

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    2020年12月12日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    高校生のときに舞姫に出会い、その時受けた講義のおかげで主人公の状況、時代背景、そして顛末が意図するところなどの読み方を学びました。

    本を購入し、一番に感銘を受けたのは「染めちがへ」でした。お話の情感豊かな表現と最後の落としどころとなる文章が素晴らしく、ふとした折に音読しては良さを味わっています。

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    2020年11月23日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    山椒大夫を読みたくて手に取ってみたものの他にも衝撃的な作品が多くものすごく考えさせられます。
    「最後の一句」
    これは、まさにいちの最後の一言につきる作品。心に突き刺さります。今現在の多くの政治家に読んでほしい一編。人が人を信じるということはこれほどにも重く心に響くことであろう。
    「高瀬舟」
    こちらも今時な・・・
    安楽死は罪か?個人的には罪には問いたくない犯罪であると思っています。安楽死への原動力は優しさであることが多々あると感じる。一概に全てとは言わないけれど、医療用が全てを救えない今の段階では一考の余地があるのではないかとかんがえます。
    そして、貧困。これも今の特殊な社会状況下においてはこの

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    2020年10月07日
  • 牛鍋

    購入済み

    良い

    短い話でありながら、グッと心にくるものがありました。情景は牛鍋を囲んでいる3人と牛鍋という狭い世界だからこそ想像を豊かにして読むことができた。

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    2020年03月10日