森鴎外のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの本を読んで、自分の人生を重ね合わせてしまった。
森鴎外の舞姫。なんとなく前から読んでみたいと思っていてようやく読むことができた。
原文が文語体で、かつ場所は異国の事について書かれており、
あまり理解することができなかったのだが、
ウェブに出ている現代語訳を読んでみると、なるほど、すばらしいと感じた。
主人公はいわゆる天才であり、幼いころから学問には非凡な才能を持っていた。
でもそれが本当に彼を幸福にしていたかというと、そうではなかったようだ。
運よく、洋行という機会を手に入れて彼は自分の人生を変える出来事に出合った。
愛を取るか、地位・名誉を取るか、これは昔からの難題だ。
どんなに人 -
Posted by ブクログ
ヰタ・セクスアリス=Vita Sexualis。ラテン語で「性欲的生活」の意味。
大学の哲学講師・金井が自己の半生を振り返って書く、「性欲」に関する記述に特化した回顧録という体裁をとっている。大筋では鷗外の体験に基づき、事実と虚構が混淆となって描かれた作品である。
あえて一言で言えば“童貞日記”。が、金井の手にかかれば、童貞にありがちな、妄想に耽る悶々とした日々……というのはどこ吹く風である。金井(=鷗外)は、ただ淡々と、自らの性欲的生活を客観的かつ科学的に記述していくのみである。そこにこの小説特有の諧謔があって笑える。当時の書生の習俗も垣間見られて興味深い。
鷗外の精神構造が金井の -
Posted by ブクログ
ネタバレ国語の授業で舞姫を初めて読んだときには、豊太郎は何てひどい男なのだろうくらいにしか思いませんでした。
それから数年経って読みかえしてみたら、豊太郎の苦悩や弱さが他人事とは思えなくて、はたしてどれだけの人が彼を責められるだろうかと考えてしまいました。
120年以上前のベルリンが舞台の小説ですが、彼の「エリスとの愛」と「栄達を求める心」との間の葛藤は、現代にも通じる部分が多くあると思います。
うたかたの記・文づかひ・ふた夜といった他の収録作品も、舞姫同様に浪漫味あふれる素敵な作品です。文体のせいで敷居が高く感じるかもしれませんが、ぜひ手にとって読んでみてください。 -
Posted by ブクログ
明治の文豪の小説を読むことは伝統の価値観と新たな価値観(当時は西洋文化)の狭間の中での葛藤や考察や思想に接すること。
それは現在社会、特に3.11以降、現代人も同じ立場に置かれていると思う。
武士の美学を学ぶのならば「堺事件」、「阿部一族」が必読。
明らかに乃木希典の自害に影響を受けた作品で、日本人のアイデンティティでもあった「死」の意味を提起している。
上述の新旧価値観のぶつかりから、鴎外が求めたものは日本の歴史であり、歴史小説であった。これを現代人も学ばざるを得ない。
一番、心に残った小説は「かのように」。
日本人とは、合理的に説明できるものではなく、文化、歴史に根着く「かのように」を