森鴎外のレビュー一覧

  • 青年(新潮文庫)

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    田舎から上京してきた小説家志望の青年の、性愛を巡った内面の変化がじっくりと描かれていた。性愛といっても誰に恋をするというわけではなく、東京で出会う様々な女性や、気の合う男性とのやりとりに何かしらの性愛の欠片を感じ取っているだけなのだけど、そこがリアル。
    あとは上野、大宮、箱根などの身近な土地がたくさん出てきて、それぞれの街の大正〜昭和前期あたりの雰囲気が分かって面白かった。

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    2021年09月18日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    ネタバレ

    山椒大夫は、展開がすごく大きくて、姉の弟を送った気持ちとか、最後の再会のシーンはとても感動した。高瀬舟も、貧しい男が刑を受けることで普段の生活よりも食事に困らない豊かな生活が送れることを喜ぶ話で、今にも通じていて面白かった。

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    2021年07月19日
  • 山椒大夫

    購入済み

    辛い。。

    親と離れ離れになり、
    懸命に生き抜く姉弟の話。
    短いながらも、
    人生の切なく無常さと、
    再開の喜びを描いており、
    心を揺さぶられる。

    #泣ける #ダーク #切ない

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    2021年05月23日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    ・庄兵衛は只漫然と、人の一生というような事を思って見た。人は身に病があると、この病がなかったらと思う。その日その日の食がないと、食って行かれたらと思う。万一の時に備える蓄がないと、少しでも蓄があったらと思う。蓄があっても、又その蓄がもっと多かったらと思う。かくの如くに先から先へと考えて見れば、人はどこまで往って踏み止まることが出来るものやら分からない。それを今目の前で踏み止まって見せてくれるのがこの喜助だと、庄兵衛は気が附いた。

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    2021年02月22日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    小さい頃に感じた春画や周りの大人子供たちに関する違和感が成長するにつれ確信に変わっていくことが、私自身も似たような経験があるのでとても共感できました。個人的には、寄宿舎の生活で硬派の逸見が金井を狙うところのシーンの描写に緊迫感があってハラハラさせられました。森鴎外の著書は、高校の時に「舞姫」を少しかじった程度だったので、その時にも感じてはいたのですが、やや読みにくいと感じてしまいました。

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    2021年02月02日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    私自身が十代の終わりを迎えようとして、自分の性のあり方について考えている時に偶然この本を読み始めました。

    この中で書かれている価値観のうちのひとつ、「恋愛と性が結びついていない」というものは私が自身に対して思っていたことと同じでした。
    なので、男女の差や時代の差はありながらも、共感して読むことができました。

    自分と近い価値観を持ちながら年齢的に私よりも大人になっていった金井の姿は、私の中にちいさな不安を残していきました。
    私が将来、恋愛と性を結び付けられないまま大人になり、そしてどちらかを経験してしまったらどうなってしまうのだろうか、という将来への不安が出来てしまいましたが、将来のことを考

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    2021年01月21日
  • 雁(新潮文庫)

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    ネタバレ

    最後まで冷や冷やして読みました。
    女は強い。強くなるから美しくもなるのだなと思った。
    初めての恋は失敗だったかもしれないけど、あの後もきっといい出会いがあって、お玉は自分らしい人生を過ごしたと信じたい。

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    2020年12月07日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    「舞姫」
    作者のドイツ留学体験をベースにした作品
    主人公は自らの意志によって人生を切り開こうとするのだが
    結局は、故郷のしがらみを捨てきれず
    愛した女を裏切り、ついに発狂させてしまう
    そのことで自分を責める彼は
    例えばそれを「新生」などと言って居直ることもできぬまま
    助けてくれた親友のことを密かに恨みつつ
    帰国の途につくのだった
    良くも悪くもサムライというかな

    「うたかたの記」
    過去の出会いが運命的な恋となって
    まさにいま成就しようとした、そのとき
    さらに過去から不幸の使者が甦り
    すべてを水の泡に帰す

    なお、日本における言文一致運動はすでに進んでいたのだが
    ここまでのロマン主義的なアイロニ

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    2020年10月15日
  • 渋江抽斎

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    岩波文庫の表紙によれば「鴎外史伝ものの代表作」なのだそうだが、まず史伝とは何であるのかが今ひとつわからない。歴史小説というのとも少し違う、強いて言えば伝記であろうか。題名のとおり渋江抽斎が主人公というか中心人物であるが、その親族や師弟、交友関係のそのまた親族まで、まさに虱潰しと言うべき執念で記録してある。これを読んでWikipediaみたいだと思うのはマヌケな感想だろうか。

    固有名詞の大群に飲み込まれそうになるのだが、じっと耐えながら読んでいると、まさに江戸から明治にかけての大変革期に生きた人々の有様を覗き込んでいる気持ちになくる。

    ルネサンス人的ともいえる医者が儒者を兼ねるのが当たり前な

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    2020年09月26日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    日本語がうまい。無駄口がない。単純なものへの蔑視と憧れがないまぜになっている。歴史物のクールさも良いが、「かのように」や「余興」のようなエッセイに近いものも面白い。

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    2020年08月30日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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     実際は新潮文庫版でなく学研から出版されている全集もので読んだ。
     森鷗外といえば『舞姫』のような堅牢な文章を操るイメージがあったが、『ウィタセクスアリス』においてはかなり平易な文体で書かれている。内容は草食系男子の性にまつわる体験に関するものだ。性にまつわる体験といいつつ、露骨なものに関しては匂わせつつもほぼ描かれないので安心して読める。
     作中で「硬派」と「軟派」の2派が登場するが、読んでいるとどうも「硬派」というのがホモセックス野郎のことを意味しているようでド肝を抜かれた。寄宿舎生活の中で年少者は硬派の先輩の餌食になる。主人公が短刀を持って硬派の先輩から逃げ回り、アヌスの貞操を死守する場

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    2019年11月22日
  • 阿部一族 他二篇

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    森鷗外の歴史小説三作品「興津弥五右衛門の遺書」、「阿部一族」、「佐橋甚五郎」が収録されています。
    目的は「阿部一族」でしたが、この三作は鷗外の初期の歴史小説として代表的な作品で、三作まとめて単行本『意地』に収録されていたものとなります。
    いわゆる「鷗外歴史もの」として書かれた三作であり、セットで語られることも多いため、鷗外を知るには丁度いい文庫だと思います。

    ・興津弥五右衛門の遺書 …
    興津弥五右衛門という老人が細川三斎公の十三回忌にて、切腹をします。
    その切腹は殉死であり、本作は殉死した興津弥五右衛門の遺書という体となっています。
    文章は口語ではなく当時の文体で書かれているため、不慣れで

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    2019年11月04日
  • ヰタ・セクスアリス(新潮文庫)

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    大学で哲学を教える男の、性欲的側面から見た自伝的小説。解説を読むと分かるが、この男は鷗外自身に重ねられており、実質的に鷗外の自伝のようになっている。
    性欲的側面といっても、生々しいところはまったくなく、ほとんど受け身的に見聞きし体験したことばかりである。鷗外も同じように奥手だったのだろうか。
    本書そのものが自伝なのではなく、本書の中で主人公が自伝を書くというメタ的な構造になっている。しかも、主人公は最後にこの自伝をお蔵入りさせる。主人公はお蔵入りさせたが、鷗外は出版しているというところがなんとなく面白い。

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    2019年10月02日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    「題名がなぜ『山椒大夫』なのか。安寿と厨子王の物語なのに」
    作家の平野啓一郎さんの言葉(読売新聞11面2019年6月30日)が気になって読んでみた。哀しく感動的な物語。奴婢解放後も栄えた「山椒大夫」。勧善懲悪ではない。読み終えて、なぜかしら今日板門店で金正恩委員長と再会したトランプ大統領と「山椒大夫」に共通点があるように思えた。トランプ氏は「悪」でなく「not bad」かもしれないが。

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    2019年08月27日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    20年ぶりくらいに読んでみた。若かった当時よりは文語体への抵抗も少なくなり、味わって読めた。

    それにしても、岩波版では「舞姫」はほんの28ページのみ。その凝縮された文量で、100年先まで名を轟かすことの凄まじさよなぁ…。すでにストーリーが分かっているとはいえ、ドイツの凍える冬の色彩が目に見えるかのよう。豊太郎が選んだ結論だけを見れば「酷い」で終わってしまうかも知れないが、明治の日本の世情や、現代とは全く違う立身出世にかける想いなどを踏まえて感情移入して読むと、エリスと豊太郎、それぞれの苦悩が胸に迫る。

    舞姫以外の話も圧倒的な悲恋ストーリー。現代語訳でも何でもよいので、若い人には多感な時期の

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    2019年05月05日
  • 雁(新潮文庫)

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    無縁坂とは不忍池を脇に入り旧岩崎邸庭園と東京大学医学部に挟まれた小さな坂である。文教と花街が混淆する地であった。その地を舞台とし学士と妾の邂逅をテーマに選ぶことで、森鴎外は前近代から近代へ移り変わる時代の変化を巧みに捉えたように思う。純粋無垢だったお玉が艶ある女性へ変遷することは即ち妾という前近代に染まることであり、洋行を決意する岡田は即ち近代化を示すのであり、交叉することなき異界の二人が交叉する過渡期を描くことで時代風景を描写しているのが本作品の主題かと思う。前近代と近代の決別が「雁」という象徴を投石にて死させる部分に込められている。岡田の本心を省略し、愛する人が外洋するお玉の哀切を描かぬこ

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    2018年04月23日
  • 渋江抽斎

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    須賀敦子の愛読書と知って読んだ。一読してその面白さにはまり、直ぐに再読した。幕末江戸の直参医師を中心に、今はなき江戸の心情と文化を淡々と描きながら、その美学を蘇らせ、愛惜する。主人公は狂言回しで、その周りの人々が生き生きと描かれる。中でも、後妻の五百が、秀逸。龍馬のお龍さんに匹敵する。鴎外の史伝の筆法を現代に蘇らせたのが須賀敦子だと言える。

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    2017年11月12日
  • 雁(新潮文庫)

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    高利貸の妾の純愛ものか?はたまたどす黒い愛憎ものか?
    風貌と似あわぬ優しいタッチの鴎外。
    「不しあわせな雁もあるものだ」 私の心はこの件に痛く反応した

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    2017年05月31日
  • 青年(新潮文庫)

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    美しく若い青年純一の精神を描く1冊。
    心のうちを丹念に言葉にし、哲学的な観点からも自己を見つめていくが、まだまだ青く未熟な内面が揺れ動く。思想や考えは大人びているようで、生きることそのものについてはウブなあどけない少年のようでいる。

    またしばらく経ったら再読したい。

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    2016年11月27日
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

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    お目当と言えばおきゃんな未映子がおきゃんな美登利をどう描くか興味津々だった「たけくらべ」、しかしながらやはり原作が原作だけに大きく崩すわけにもいかず無難にまとめたかなの印象。
    などと偉そうに言うものの実は私自身ガラスの仮面版たけくらべしか読んでおらずマヤの演技が「こんな美登利見たことない!」と絶賛されても「どんな美登利?」程度のものでしかなかったのだ。
    水仙の造花が切ないしっとりした悲恋の物語を堪能した上での初くらべ、しっくりくるのは亜弓さんではなくやはりマヤだと思うのですが…そうですよね、月影センセw

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    2016年02月10日