森鴎外のレビュー一覧
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哲学講師である金井湛による、己の性欲史。六歳のときに目にした絵草紙の記憶から、ドイツへの洋行が決まり筆を置く二十一歳まで、性とどのように接触してきたかが綴られていて、ずいぶん奥深い一冊だった(なんと注釈だけで50ページに及ぶ)。
本書が文芸誌『昴』に掲載された当時は、ポルノグラフィーとして読まれたがために発禁になったというのだから驚きである。
けれど、子どもの性への芽生えや、思春期の性への好奇心って、昔も今もそんなに変わらないものなのかもしれない、などと思った。
〈世間の人は性欲の虎を放し飼にして、どうかすると、その背に騎って、滅亡の谷に墜ちる。自分は性欲の虎を馴らして抑えている。〉
〈只馴 -
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ネタバレ【総評】
殉死について書かれた物語が2つ収録されており、日本における殉死文化の変遷を調べるきっかけになった本(時代ごとに意味が変わってることや意外と15世紀に禁止令が出てることを知れた)
また、森鴎外が年齢設定のミスを複数していることを斎藤茂吉が解説で述べており、森鷗外のような人でミスるなら、自分が色々とミスしても当然だよな、と自己肯定感が上がった
【興津弥五右衛門 】
命より誇りを大事する傾向が強い武士文化の時代に生まれなくてよかったなと思う。からかい一つが命取りになるなんて、俺は命がいくつあっても足りない
【阿部一族】
阿部一族よりも彼らに仕える部下がなぜ、討ち死にがほぼ確定する中 -
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ネタバレ難しすぎてよくわからんかった。
自分の性欲の歴史?についての小説らしいけど所々英語が入ったり難しい表現が使われたりとほんっと何も見えてこなかった。めっちゃ悔しい。
だけど性欲を客観的にというか少し離れた位置にあるものみたいな見方をしているのは少し共感できる。自分も性欲を感じる時、自分ではない別の何かに無理矢理動かされる不快感みたいなのをたまに感じる。に主人公の場合は早くに知りすぎたから自分には制欲の成長がないみたいな表現があったけど、それはまわりも影響してるんじゃないか?と思った。
性欲に突き動かされ破滅もしくはうまくいかない人の未来を度々挟み込んでたのも何かよくわからないし、もしかしたらそこ -
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【2025年8冊目】
僕が語る一人の妾と友人の話。金貸しの末造の妾になったお玉は、たった一人の肉親である父親を鑑みながら、慎ましく暮らしていた。だが彼女は、僕の友人である岡田に恋をしてしまう。行動を起こすことを決心したお玉だったが、一羽の雁が運命を狂わせるのだった。
初の森鷗外でした。序盤の話の流れと途中の流れが結びつかなくて、最初は物語がどう転ぶか全然わかなかったのですが、思わぬところで物語が交差し、そしてあっという間に離れていく建付けがなかなかに愉快でした。交差してからの終わりまでが超スピード。じっくりと語られた前置きがあったからこそ、どこか切なさが残りました。
味噌煮に悩まされたけど -
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ネタバレ上京した純朴な美青年小泉純一が、医学生の大村や法学者の未亡人坂井夫人との交流を通して世間を知っていく話、のように思えた。特に前半では、キラキラした目のきゅるんとした純な少年、といった感じの描写をされている純一が、坂井夫人に出会ってまんまと(?)「男の貞操」を捧げてしまったあたりから、人間はいかに生きるべきか、自分は真の自由を持っているのか、そんなことを当事者性を持って考えている気がする。大村は純一の精神面の成長に、坂井夫人は身体を持った一個の人間としての成長に寄与している。純一は自分の精神の自由、選択の自由をあえて意識しながらその実、自分の欲望の前に自分は自由ではなくて、あれこれ言い訳をしなが
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高利貸しの妾であるお玉に横恋慕した書生・岡田を「僕」が回想する形で描写する
結末としてはハッピーエンドでは無いが、高利貸し・書生・妾といった異なる社会階層に属する人々のことか詳細に描かれており、当時の今とは違ったリアリティを感じることが出来た
この点ではゾラやバルザックなどの小説に見られる「当時の社会を全て描く」といった思想の影響を少なからず受けていると思われた
屋台をやってる父親に庇護されてたお玉が末造に見初められて妾となっていくうちに身体的にも精神的にも成長を遂げ、末造すらも欺き自らが得心した恋愛に突き進んでいく、というのが臨場感と疾走感感じる筆致で描かれていて面白く読めた
中編で場面の -
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ネタバレ森鴎外が登場する本を読み、作品が読みたくなって本書を手に取りました。
短編集です。お目当てはタイトルの舞姫と阿部一族。ちょうどタイトルのものでした。
舞姫は文語体だったのでかなり読みにくく、味わう、という心境には至りませんでした・・・未熟(涙)。
主人公の豊太郎は終始ダメな奴だったけど、帰国の手助けをしてくれた友人に感謝しつつも恨む、という、最後まで人のせいにする根性が気に入らなかったです。
きっと彼女の切実な思いにも最後まで理解が至らなかったことでしょう。
こういう人は親や上司の言いなりになって、それにひっそりと不満を抱えながらも順風に生きていくのでしょうね。
阿部一族は、恥ずかしながら -
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ネタバレ[山椒大夫感想]
この物語は私が文学に求めている人間の本質の姿には深く迫らず、家族愛がメインで書かれていたので、あまり私にはしっくり来なかった。
人買いに買われ、その生活は非常に私の同情の念を引き起こした。弟や姉もいつかこの生活を脱したいと言う共通認識があったと見え、脱走に至ったのだと思う。姉が犠牲になるために、入水自殺したのは、一緒に脱走する仲間としてやってきた弟にとっては耐え難いものであったと思う。その犠牲を無駄にしまいと、弟が出世を果たし、最終的には生き別れた母に会った。だが、その感動の再会も母が老いぼれており、再会の中にも一抹の寂寞な感じがあった。
私も私のために身を粉にしてくれた -
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寒山拾得の言い伝え
寒山拾得の言い伝えを森鴎外が手短にまとめて書いている。同じ題名の芥川龍之介の短文にも登場する世捨て人 瘋狂の僧 寒山と拾得。この作品 鴎外の短文でも、どこが面白いのか 偉大なのか 真価はわからない。ただもったいぶった高官との対比が際立っている。