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人買いによって母と引き離されてしまった安寿と厨子王の姉弟。由良の山椒大夫に売られた二人は奴隷として辛い日々を送っていたが、姉は弟を逃がして自らは死を選ぶ。姉の犠牲によって脱走した弟は、父母を捜すべく都に向かい、出世をしていき……。犠牲の意味を問う「山椒太夫」、安楽死の問題を扱った「高瀬舟」、殉死制度のもたらした悲劇を描く「阿部一族」など、鴎外晩年の歴史物の名作9篇。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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Posted by ブクログ
高瀬舟を読んで読書が大好きになりました。 ハッピーエンドの物語しか知らなかった頃に読んだ衝撃的な内容と世の中のままならさを教わったような気がします。
渋い。 渋すぎます。 表紙の装丁が素敵な角川文庫版。(手ぬぐい屋「かまわぬ」とのコラボシリーズは、大好きです) この1冊、面白かった。 レベル高い。さすが、森鴎外さん。有名なだけのことは、アルんですねえ。 「山椒大夫」 「じいさんばあさん」 「最後の一句」 「高瀬舟」 「魚玄機」 「寒山拾得」...続きを読む 「興津弥五右エ門の遺書」 「阿部一族」 「佐橋甚五郎」 というのが収録作品。 好みで言うと、「魚玄機」「興津弥五右エ門の遺書」あたりはそんなにでもなかったです。 「高瀬舟」も、安楽死の問題など有名ですが、改めて再読してみて、他ほど小説としての衝撃はなかったような。 ●「山椒大夫」 安寿と厨子王、という別称?で知られる物語。平安時代かくらい。 簡単に言うと、中級貴族の子女が人買いに拉致監禁されて、長男だけが脱走して救われ出世する、というお話。 コレ、森鴎外さん、すごい。 日本語使いとして、わざとこの短編は平易で判りやすい文章。誰でも判ります。児童文学のような語り口。 それでいて、センチメンタルにならずに、悲劇をあおらずに、過酷な物語をザックザクと大根を切ってごろんごろん投げ出すように語ります。 それがまあ、なんともどっきり、なんともズキッと読み手の心を抉る効果になっています。 全体の、ややもするとおとぎ話になるところが、そのキワドイ語り口で、すごく味わいのレベルが高い読み物になっています。 ※ちなみに、戦国時代や江戸時代まで、僕らの日本という国では平気で人身売買、拉致労働が行われていたんですね。 その辺りは全く学校の授業で教えませんが、とっても大切なことだと思います。善だ悪だという次元とはまた別に、「数百年まえまで、それが普通に行われていた」という認識。 ※で、なんでこの話の題名が「山椒大夫」であるのか?それだけが不思議。「安寿と厨子王」でええやんか...。 「スター・ウォーズ」のタイトルが「ジャバザハット」だったと考えると、不可思議な思いを共感していただけるか...。 ●「じいさんばあさん」 これ、渋すぎます。年老いても仲が良いじいさんばあさんの過ごした過酷な歳月、という話なんですけど。 とにかく、語り口が確信犯的に淡い。渋い。 「えっ」っていう呆気なさの向こうに、じわじわと味わい。 なんていうか…「大自然の素晴らしさ」というタイトルの絵画を見に行ったら、墨で淡く一本の曲線が書いてあって、それが山の稜線なのだった。そんな感じ。 すごい。 こういう地平線を見せられると、現代の挑戦的なブンガクなぞ、泣いて吹っ飛んでしまうような気がします。 ●「寒山拾得」 これは更にその俳画的、水墨画的世界を推し進めたもの。ほとんど実験小説と言っても過言ではないというか。 禅問答が小説になったような...。 まあでも、謎なんて無いと言えば、無い。 中国を舞台に、俗物の高級官僚が、高名な禅僧の寒山と拾得を訪問したら...というだけのオハナシ。 これはほんとに、口あんぐりな終わり方(笑)。 ●「最後の一句」は、さほどでもない罪で死罪になりそうな男がいて、その娘が「身代わりになりますから父を許して」と奉行所に行く話。 ●「阿部一族」は、なんだかちょっとした不幸と偶然が重なって、一族で反逆者となってしまい、死を前提に戦って、やっぱり死んじゃった阿部一族。と、その周辺の武士たち。 乱暴に言うとどっちも、江戸時代の武家社会が官僚化していく中の悲劇をえぐっています。 そしてどちらも、大真面目に悲劇をえがきながら、奥の奥で喜劇だったりします。 官僚化して、実際的ではなくなった人間の組織の馬鹿馬鹿しさ。でもそれが実際に個人を支配していく怖さ。 そんなことでいうと、これは実はものすごく奥が深い。 きっと森鴎外さんも、言うに言えない明治大正の世の中の世知辛さ、あほらしさを反映させていると思います。 ●「佐橋甚五郎」 徳川家康がまだ生きている、江戸時代初期。 朝鮮から外交使節が来た。家康が会った。その施設の中に、「かつて徳川家に仕えてた佐橋甚五郎がいた」と、家康。 佐橋甚五郎の履歴。 どうやら、つまり、現代風に言えば。 会社組織、好き嫌い、評価、人事、付き合い、不条理、理不尽、宮使え。 そんなことに嫌気が差して、徳川家を出奔。 国という枠組みまで超えて、自分なりの安息を掴みました。よかったね、という話が、これまた、渋く語られて。 ところがこれはこれで、微かな文のゆらぎの中に、後味としては、 「日本と言うナショナリズムまで含めた、こうあるべきだ、という国家や上層部が押し付ける人生モデルなんて、くそくらえ」 みたいなロック魂が香り立つんですよね。 うーん。ただそれがあまりにも渋く渋く包まれている。その微かさが、もう、快感。 ###################### 森鴎外さんは、明治の軍人官僚エリートの家に生まれたんですね。 (生まれたときは江戸時代でしたけど) スーパーエリートでドイツに留学、そこでは、まあ今風に言えばストリッパーの少女とずぶずぶの恋愛になって、故国とエリートコースと血縁家族を捨てる寸前まで行った。 でもそこから挫折して戻ってきた。 それから、諦めたように黙々と、軍医として陸軍の官僚組織を生きて、見合い結婚して一家の家長として全うしました。 ただ、ずーっと兼業で小説家をやっていたんですね。 ドイツ語に堪能で、最先端のヨーロッパの文学を理解して。その上で様々な小説を書いた。 その語り口は、この本に納められているような、戦略的に素朴だったり、戦略的に江戸時代のような文語体だったり。 そして、表層から割れて微かに光芒がこぼれるようにほの見える、世間、俗、官僚、「お上」、「政府」、「国家」、へのロックな反骨精神。 この人は、この人なりに奥が深い。 また別の森鴎外さんを読むのが愉しみです。 まあただ...渋すぎますよ...鴎外さん...ほんと...。なんていうか...口当たりは悪いし、味は苦みとえぐみ。着色料も調味料もゼロ。味が薄い…。 お酒でもファッションでも音楽でも、仕事上の技術でも...ここまで渋いとねえ...判りにくいというか、ほとんど魅力が分かんないだろうなあ...というくらいに渋い...。 根っこかじってるような、なんじゃこりゃ的な味が、どこかで ふわあぁっ! とほのかに深い味わいが広がるような... これも、40過ぎて再読して良かったなあ、という。 多分、いくつかの短編は昔も読んだんだと思うんですが、記憶がほぼ消失していましたね。多分、当時の自分は、サッパリ面白くなかったんでしょう(笑)
右の手には守本尊を捧げ持って、俯伏した時に、それを額に押し当てていた。 (山椒大夫/じいさんばあさん/最後の一句/高瀬舟/魚玄機/寒山拾得/興津弥五右衛門の遺書/阿部一族/佐橋甚五郎)
歴史小説ということで、そのような人物がいたのだ。実在したのかと。思う。武士の殉死などは、私には理解できない部分もあった。
青空文庫にて、高瀬舟を読んだのだが、読み終わってもぞくぞくとしたままである。森鴎外はやはり綺麗な文を書く。丁寧な言葉を使う登場人物が魅力的に感じた。喜助の弟の死への描写が、生々しく考えただけで身体がゾッとした。思わずゾッとする作品なんてそうない。ここが鴎外の凄いところか。
大正元年から大正五年の間に発表された歴史小説9編を収めた本。 「山椒大夫」「じいさんばあさん」「高瀬舟」など、もはや説明不足と言うべきくらいに無駄がなく、重要な登場人物の心理描写が少ない。だがむしろその表現が観察者にとって畏敬すべき何かを強く感じさせる。
『山椒太夫』 安寿と厨子王の名前や、ラストの盲目の老婆(母)との再会はどこかで見聞きしてたのか、なんとなく知ってた。 『高瀬舟』 安楽死といえば、安楽死の話しなのかしら? 『阿部一族』 とにかく武士はみんな死にたがりで、殉死、切腹、に対する熱量が凄く、圧倒されつつ疑問も多く興味深い内容だった。こ...続きを読むの時代の切腹について、もっと知りたいと思った。 人物の紹介文は難しくて飛ばし飛ばしして、やっと読みきった。
後半漢字が多すぎるストーリーは、病気の身体を休めるのには、まったく向いてなかった。健康だったら読めたかと言ったら、それも疑問だけど。 「高瀬舟」の話は良かった。足るを知る、という言葉は知ってはいても忘れてしまうことが多いが、このストーリーを読んだことで、今後は、頭の片隅に、夜の舟の上のシーンが蘇って...続きを読むくるだろう。
山椒大夫に売られた安寿と厨子王の姉弟の話。母に再会する涙の話のように覚えていたが、姉の安寿の機転で逃げ延びた厨子王が出世して政道を正しくし、人身売買をやめさせ、そして偶然母に再会という淡々とした話だった.高瀬舟は安楽死を取り上げていて、苦しんで自殺しかけた弟に頼まれ、楽に死なせてあげる喜助の話だが、...続きを読む殺人幇助だが現代でも十分考えさせられる話だ。阿部一族は殉死の矛盾をついた話。同じく主人の跡を追って自害したのに、周りの冷たさ、薄情さは悲劇としか言えない。最後の一句や 寒山捨徳など短い話だけど ふっと笑える話。森鴎外の作品は、現代文に慣れた僕には最初読みづらかったが、脚注を見ながら読み進めると面白いと思った。でも、正直短編だから読めたのだとおもう。
難しい。歴史小説に傾倒していたらしいが、流石に読みにくい。注釈がわからないことも多いくらいである。 辛うじて読めたものからは、どの時代の人間の描写にも通ずるところはあるということを感じる程度。 作品名と作者の名前だけを見聞きしていてやっとその文章を読んだ高瀬舟はこういうことかと少し驚いたが、高瀬...続きを読む舟でも阿部一族でも山椒大夫でも、どこでも、なんて今より決意の硬い人間たちであり、価値というか、事象の貴重さみたいなものについての理解のない、「昔の情報の人」という感覚。ただし普遍性はあって、考えることはある。
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