【感想・ネタバレ】山椒大夫 高瀬舟 他四篇のレビュー

あらすじ

「安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しや、ほうやれほ」の『山椒大夫』、弟殺しの罪に処せられた男の心情を綴り安楽死の問題に触れる『高瀬舟』のほか、「お上の事にはまちがいはございますまいから」という少女の一言『最後の一句』など、烈しい感情を秘めつつ淡々とした文体で描いた鴎外晩年の名品6篇。(解説=斎藤茂吉)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

どれも教科書に載ってもおかしくないような筋書き (実際、どこかの国語の教科書に載っているかも)。その意味では、やはり『高瀬舟』が深い。TikTokばかり眺めていないでその時間で一冊でも本読んでほしい。

文芸としてため息がでたのは『最後の一句』。長女の最後の一句の鋭さにもひやっとしたが、それ以上に本当に子供を殺して親を放免した奉行のやりかたにもっとヒヤッとした。これで親子共々釈放していたら、胸はすっきりするが、正直それでは何ものこらない。覚悟と覚悟が正面からぶつかった感じにため息がでた。色んな意味で。

『魚玄機』『寒山拾得』は中国が舞台、というか中国の文献を元にした半フィクション。『魚玄機』はすこし難しかった。なにより時代背景とか知らないことが多すぎて……
魚玄機は「易求無價寶,難得有情郎」という一句が有名らしく、それだけ覚えていたが、『甄嬛傳』38話にでてきたので思わず反応してしまった。

0
2023年10月08日

Posted by ブクログ

山椒大夫を読みたくて手に取ってみたものの他にも衝撃的な作品が多くものすごく考えさせられます。
「最後の一句」
これは、まさにいちの最後の一言につきる作品。心に突き刺さります。今現在の多くの政治家に読んでほしい一編。人が人を信じるということはこれほどにも重く心に響くことであろう。
「高瀬舟」
こちらも今時な・・・
安楽死は罪か?個人的には罪には問いたくない犯罪であると思っています。安楽死への原動力は優しさであることが多々あると感じる。一概に全てとは言わないけれど、医療用が全てを救えない今の段階では一考の余地があるのではないかとかんがえます。
そして、貧困。これも今の特殊な社会状況下においてはこの物語に匹敵するような経済状況に置かれているだろう人がいるだろうということ。喜助のような清貧な心を持つひとならばよいが、それだけではすまないはず。
色々併せ考えると、喜助の出来た人格か浮かび上がる。

0
2020年10月07日

Posted by ブクログ

表題2作が読みたくて。どちらも短い作品ながら深く考えさせられるテーマを背負っています。多くを語っていないぶん読み手によって様々な捉え方や考え方ができるので、読後に他の方の意見を聞いてみたくなりました。
数年後に再読したらその時々で異なる登場人物に心を寄せている気がします。
好きとは違う、心の奥に根付くような名作。

『山椒大夫』
私の父は「『山椒大夫』=『安寿と厨子王』じゃないか!」と読後に膝を打っていたので、世代によっては後者のタイトルの方が童話などで馴染み深いのかもしれません。
人買いによって悲運を辿る幼い子供たち――現代の日本では考えにくい描写が多々あります。しかし姉と弟、早々に離れ離れになった母親、三者どの立場を想像しても心苦しく、それぞれの胸の内が痛いほど伝わってきます。一つ一つの行動が自分より家族を想ったものばかり。さまざまな覚悟のかたちを見出だせます。

『高瀬舟』
罪人を舟に乗せ護送する役を務める者たちのなかでも、特に嫌われていた高瀬舟の担当。その役に就いている庄兵衛はある日、まるで「遊山船にでも乗つたやうな顔」で高瀬舟に乗り込んだ罪人の喜助を護送することになる。
大きなテーマは「知足」と「安楽死」。
特に後者については喜助と同じ状況になった場合、頭ではこうだと思っていても実際の状況ではもっと感情的になるだろうと思うと他人事とは思えません。「君はどう思う」という問いが反芻しました。

0
2018年02月11日

Posted by ブクログ

表題、山椒大夫も高瀬舟も、とても有名な話。
高瀬舟は、確か学生の頃に教科書か何かで読んだ気がする。
けれど、どちらも、こんなに短い話だったろうか。
記憶にある限りでは、もっと長かったような気がしたのだけれど。
読み終えた時にはそう思ったのだけれど、少し間があいて、また読み直してみたら、同じ印象を抱く
こんなに、短い話だったろうか。
言葉を尽くして説明されているわけではなく、むしろ読者に判断をゆだねるかのように完結に記された部分も多いのに、なぜか、心には長く残る。
いつか、どこかで、「本当にそれで伝わるなら、言葉など一言で事足りる」というような話を聞いた記憶があるが(夏目先生だったろうか?)、森鴎外の小説は、それなのかもしれない。

0
2017年11月29日

Posted by ブクログ

高瀬舟が読みたかった。
昔読んだときにはかなり強烈に思えたが、意外にあっさりしていた。
遠島になった喜助の晴れやかな顔の方が、今回の私には印象深い。
弟殺しの罪よりも、貧しさから抜けられる喜びを感じる喜助。
そこには弟を殺した後悔はない。
むしろ殺したおかげで褒美をもらったかのようだ。
鴎外は安楽死肯定派だったのかもしれない。

0
2012年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『山椒大夫』

『魚玄機』

『じいさんばあさん』

『最後の一句』

『高瀬舟』

『寒山拾得』

0
2012年05月26日

Posted by ブクログ

言わずと知れた大文豪・森鴎外の短編集。わたしのような素人にぴったりの文庫だと思いました。鴎外がどんなひとだったのか、気軽に親しむことができます。

好きだったのはやはり『高瀬舟』、『最後の一句』『山椒大夫』かな。見事。

0
2011年08月22日

Posted by ブクログ

中学生の時、誰かからの貰い物。
難しそうな上、地味な装丁。
読む気はなかったのに、何とはなしに眺めていると、
のめりこんでいました。
姉弟、家族、大事な人に対する一途な思いと行動に心打たれました。
最後の一句が大好きです。
いちはわたしの姉に似ています。

0
2011年07月20日

Posted by ブクログ

♪めいさく さんしょうだゆう〜〜♪は、本当に名作だった…!!
泣ける。兄弟いる人は特にやばいんじゃなかろうか。全部重ねて読んじゃったぜぃ。教科書に載ってるような作家って避けてきたけど、いいものですね。

0
2010年06月14日

Posted by ブクログ

Audibleにて拝聴

山椒大夫、高瀬舟ともに切ない。
世間の理不尽に振り回される人間の、なんとも澄んだ心持ちと、諦めを含んだ凪いだ心情が丁寧に描かれていて…くるしい。

0
2025年06月01日

Posted by ブクログ

6作品収録 
それぞれの物語にメッセージ性を感じる。
森鴎外の訴えたいこと、もう少し深堀りするために再読したい。

0
2024年05月14日

Posted by ブクログ

一つ一つ読み応えがある。全てに感想を書くと長くなる。大人になってわかった、「最後の一句」の鋭さ。今の世にもなお、いや今の世だからこそ改めて読み直されてほしい。

0
2024年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山椒太夫:安寿がけなげで胸を打たれる
高瀬舟:今の時代の話なんじゃないかと思うような話。どれだけお金を持っていても足りないという気持ちに対しての人間に対する問い、安楽死は是が非かという話。時代は変わっても哲学的な問題は変わらずにあるのだなぁ。
寒山拾得:よく分からなかった。

0
2023年08月31日

Posted by ブクログ

とても有名な話ではあるが、読んだ記憶も曖昧なので岩波のキャンペーンに釣られて購入。
安寿と厨子王の童話との差は諸解説を読んで学んだが、改変の仕方も含めて興味深い。
高瀬舟はストレートな話だが、短いながら読み解くのに苦労する作品もあり、短編集になっているからこそ出会えた作品もあってなにより。
寒山拾得は著名な絵にもなっているようであり、どこかで見るまでこの話を記憶できるだろうか、、、

0
2023年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山椒大夫は、展開がすごく大きくて、姉の弟を送った気持ちとか、最後の再会のシーンはとても感動した。高瀬舟も、貧しい男が刑を受けることで普段の生活よりも食事に困らない豊かな生活が送れることを喜ぶ話で、今にも通じていて面白かった。

0
2021年07月19日

Posted by ブクログ

「題名がなぜ『山椒大夫』なのか。安寿と厨子王の物語なのに」
作家の平野啓一郎さんの言葉(読売新聞11面2019年6月30日)が気になって読んでみた。哀しく感動的な物語。奴婢解放後も栄えた「山椒大夫」。勧善懲悪ではない。読み終えて、なぜかしら今日板門店で金正恩委員長と再会したトランプ大統領と「山椒大夫」に共通点があるように思えた。トランプ氏は「悪」でなく「not bad」かもしれないが。

0
2019年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集で昭和初期にもかかわらず、とても読みやすい。
山椒大夫は、父親を追って、旅に出た母子たちが、途中で人会にさらわれてしまう話。
最後にお姉さんが弟のために行動をする。家族想いの人達。
じいさんばあさん。は旦那が若い頃、牢に入って、奥さんは奉公し続ける。数年後出てお互いが違う時間を過ごし、老人になってから、再開し一緒に暮らす。
一緒に暮らしている姿は、とても仲がよく理想の夫婦である。

0
2015年09月09日

Posted by ブクログ

2013/11/12

森鴎外の高瀬舟。
時代に普遍なふたつのテーマを含む話です。

「足るを知る」ということと「尊厳死」の問題。
やり切れない気持ちを載せて罪人と同心とを運んで月夜の川を辷っていく、その静けさをも伝わってくるようでした。

0
2013年11月12日

Posted by ブクログ

森鷗外の文章は堅苦しい印象があり敬遠していたが、やはり読みづらかった。時折知らない言葉が出てきて、本の後ろに付属している注釈を使いながら読んだ。

ただ、山椒大夫と高瀬舟は内容を大体知っていることもあり、すんなりと読むことができた。この2作で特に印象に残ったのは、物語や題材よりも森鷗外の美しい日本語であった。多彩で的確な言葉遣いとテンポの良い文章は、ときに場面の情景を、ときに人物の寂しさや切なさを、頭の中にくっきりと浮かび上がらせた。同じ話を現代の作家が書いても出せないであろう味が、この2作品にはにじみ出ている気がした。

どちらの話も僕は涙なしでは読めない。
短いのであらゆる人に読んでほしいと思う。

0
2013年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『山椒大夫』の最後は、なぜか大きく心が揺れた。ラストとしてはありがちといえばありがちなのに、何故こんなに動揺させられたのか、まるでわからない。淡々と語られていたから? これは、ずっと評価される話しだと思った。
『最後の一句』も良かった。読んだ後は心の中が、すごいざわつかされているけど。映像にされるとさらに良さを増しそうだと思った。
『高瀬舟』は懐かしかった。

それにしても、『山椒大夫』が素晴らしい。

0
2011年07月17日

Posted by ブクログ

4篇は読んだ。個人的には高瀬舟よりも山椒大夫のほうが好みだが、示唆することは高瀬舟の方が多い気がする。

山椒大夫は、子どもの奴隷の話で、最後は盲(めしい)になった母親と感動の再会を果たす。この場面は感動的で、泣ける。

高瀬舟は教科書等でもお馴染み。弟を苦しみから解放した喜助は罪人なのか。罪には違いないが、安楽死という考え方はどうだろう、と鴎外が提案した小説。現代にまで通ずる示唆深い作品。

0
2010年02月26日

Posted by ブクログ

「山椒大夫」は先が気になる面白さでした。
安寿の優しさに感動しました。
「最後の一句」にしろ、なんでこの本の少女は
優しくって強くて芯があるんでしょうか…
なんかかっこよさすら感じます。

「高瀬舟」では、幸せとは何か考えてしまいました。
弟を殺し、島流しになって全てを失おうとも恵まれていると考える喜助、
それとは逆に家庭も仕事もあるが満足してはいない庄兵衛。
結局幸せなんて人の気の持ちよう??

私にはちょっと難しい話もあったかもしれませんが、
お勧めです。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

中高生時代に読んでおきたかった。
「舞姫」に限らず、「高瀬舟」や「山椒大夫」も教科書に載せるべき。
「高瀬舟」は、安楽死の是非、兄弟愛の深さ、知足の精神などまるで現代の社会課題を題材にしたような物語であり、人間の心の機微や道徳的なジレンマを感じた。

0
2025年04月16日

Posted by ブクログ

鷗外の後期作品、「山椒大夫」から「寒山拾得」までの5篇が収録されています。

・山椒大夫 …
原作は古浄瑠璃の「さんせう大夫」、絵本で「安寿と厨子王丸」というタイトルでおなじみの説話です。
元の話から鷗外が改変を施した内容となっており、安寿が拷問の末殺された描写や山椒大夫へ厨子王丸がその復讐をする話など改変されており、より一般向けの話になっています。
森鷗外も後期の作品というだけあって、舞姫等と比べるとかなり文章がこなれていて、読みやすく面白かったです。
歴史小説というよりも、日本昔ばなしを読んでいるような気軽さが感じられました。

・魚玄機 …
魚玄機という実在した唐の末期の女流詩人の生涯を綴った話。
容姿に優れ、幼少期から詩文の才に優れ、女道士となった魚玄機が、なぜ女を殺し獄に下ったのか、その経緯が述べられています。
魚玄機の逸話に興味を持ったのであろう鷗外が著した歴史物で、文末に鷗外が本作を書くに参考にした文献が記載されています。それも含め非常に興味深い作品です。

文章がやや難しく、中国が舞台のため登場人物名は当然漢字です。
また、場面の形容などで見慣れない表現が多いために人物名と場面表現の漢字がごっちゃになり、中盤よくわからなくなって読み返すことがありました。
ただ、内容が紐解けないほど難解というわけではなく、難しい言葉が多いですが読みやすいと思います。
ラストについて、明言はなかったですが結局は勘違いだったということでしょうか、であれば、悲しい物語だと思います。

・じいさんばあさん …
全2作に比較すると比較的読みづらい作品だと思います。
主人公は「美濃部伊織」というじいさんと、「伊藤るん」というばあさんで、二人が隠居所で一緒に住むまでの経緯、紆余曲折を描いた内容となります。
他の鷗外歴史ものもそうなのですが、情景描写あるいは起きていることを淡々と述べている描写が文章の殆どを締めており、本作はそこが顕著故に物語を追うのが少し難解に感じるのかと思いました。
12ページほどの短い作品ですが、読むのに体力が必要でした。

ラストはいい話で終わります。
描写は淡々としていて短いので、あまり終盤にかけての盛り上がりというのも感じられる展開ではないですが、短いのに時間の流れを感じさせてくれるストーリーです。

・最後の一句 …
鷗外の作品としてそれほど有名ではない作品ですが、"最後の一句"の意味については現在まで議論が続いています。
原作は太田蜀山人の随筆で、大阪の船乗り業の「太郎兵衛」という男が、知人と共に犯してしまった罪を被る形で死罪を言い渡されるが、父の無罪を信じる長女「いち」が奉行所に嘆願書を認め、父の命と引換えに子供ら兄弟を死罪にするよう申立をするというストーリー。
役人の詰問に対し、いちは思いついたように「お上の事には間違はございますまいから」という言葉を述べ、それが役人の顔に驚愕の表情を浮かべさえ、見事、太郎兵衛は死罪を逃れるのですが、この「お上の~」の一句の意味するところというのが、長年議論の的となっています。
なお、この言葉は原作にはない鷗外の創作で、当時の鷗外の状況から痛切な役人批判だとか言われています。
物語としては、正直、凡作かなと。

・高瀬舟 …
鷗外の代表作として著名な作品。本作を目的に本書を購入しました。
原作は江戸時代の随筆集「翁草」の中の一節「高瀬舟縁起」で、それを読んだ鷗外が興味を持ち、著したものとなります。
本文庫にはそういった経緯が書かれた"附高瀬舟縁起"が、高瀬舟の後に続きます。

本作は教科書などで有名で、いわゆるユータナジーを題材としたものとなり、当時も、現代においても非常に考えさせられる内容です。
ただ、それを疑問に感じたのは高瀬舟の船頭であり、手を下した本人は晴れやかな顔で罪を受け入れている様子なので、後味の悪い内容となっておらず、中高生向けの内容と感じました。
流刑ではなく打首で、死の直前まで自分の行いの正当性を叫び続ける高瀬舟だったら、全然違う印象になったでしょう。
鷗外作品で中高生向けというのも珍しい。

・寒山拾得 …
寒山と拾得の伝承を書いた作品。
その風貌や乞食同然の生活ぶりなど、伝承通りで、豊干も登場します。
ただ、正直内容は非常によくわからない内容で、納得ができかねる内容となっています。
閭という官司 (これもいるのやらいないのやらわからないと記載があります) が豊干に頭痛を癒やしてもらい、その後、豊干が所属していたという寒山寺に訪れ、寒山と拾得に出会うところまでは、まぁわかるのですが、それ以降はもう何がなんだか。
寒山拾得というと禅林美術の水墨画などで描かれる奇妙なコンビですが、そのイメージには則しているものの、支離滅裂な展開についていけなかったです。
付属の"附寒山拾得縁起"を読むと、わからない人が無闇矢鱈に興味を持たないよう、わざとそうしている感じがあり、「どうせわからないだろうなぁ」みたいな追記があるので、思惑通りということでこれで良かったのだろうか。

0
2019年11月23日

Posted by ブクログ

高瀬舟が読みたくて購入。
中学の国語の教科書に載っていたなぁ。

かなり強烈な印象を受けていたのだけれど(喉から息が漏れる所とか)
改めて読んでみると別の箇所に目がいく。

上へ上へと人間の欲って際限ないですものね。


『じいさんばあさん』もお気に入り。

0
2012年12月27日

Posted by ブクログ

いまのいままで「山椒大夫」が安寿と厨子王の話だと知らなかった。山椒大夫って言ってるんだからそうに決まってるのにどうして気づかなかったんだろう。鴎外は、親子の愛、姉弟の愛に焦点あてる一方で、仏の庇護や後の復讐はほとんど描かない。説経節らしくないといえばらしくないが、これはこれでいかにも近代の知識人といった仕上がりでいい。もともと簡潔な鴎外の文体もとても相性がいい。書き手によって全然違う物語が生まれるのが説経節の面白いところだな。説経節なら近藤ようこが描いているだろうと探してみたらやっぱりあった。

0
2012年09月01日

Posted by ブクログ

「本好きと言う割には読んでないなんてちょっと恥ずかしいんじゃない?的本をこの際だからまとめて読んでしまおうキャンペーン」第二弾。

最近「ずっしりぐったり系」の本が続いたので、淡々とした語り口が心地よい。

・山椒大夫
・魚玄機
・じいさんばあさん
・最後の一句
・高瀬舟
・寒山拾得
全6篇
解説:斉藤茂吉 豪華。

実は「安寿恋しや~」の場面が見たかっただけで手に取った本だったり。
でも面白かった。
簡潔な文章なのに、どのお話も人間の普遍的なテーマ。

他4篇の中では「寒山拾得」が気になってたりする。
斎藤氏の解説の中に「小説に説明を与えるのは邪道のごとくに」みなされるってありましたが、その説明を読んでもよく分かんない私はお馬鹿さん。
でもこの置いてきぼり感がスキ。

0
2010年10月18日

Posted by ブクログ

実は森鴎外の文章はあまり好きではない。

ただ、この一冊には歌舞伎でなじみのある「じいさんばあさん」が収録されていたので読んでみた。

「山椒太夫」は文章も読みやすく、ストーリーも追いやすい。淡々と書かれているがゆえに、心を揺さぶる。

「高瀬舟」も「高瀬舟縁起」にあるとおり、色々と考えさせられる要素(『知足』と『安楽死』)のある話。

0
2010年08月12日

Posted by ブクログ

山椒大夫…山岡大夫のせいで母、姥竹と安寿、厨子王が離れ離れに。最後には弟と盲の母が再会する。

高瀬舟…財産というものについての観念、人の欲には限りがないが、喜助は二百文を喜んだ。安楽死、苦しんでいるものを死なせてやるのは殺すことか。一番考えさせられた。

魚玄機…美しい女が詩を読んだり嫉妬で人を殺したり
じいさんばあさん…仲の良いじいさんばあさん。爺さん伊織は肝癪持ちだったが、美人ではないが器量のいい嫁るんを迎えて良くなった所に感動。
最後の一句…死刑になる父親を助けるために子どもらが色々する。
寒山拾得…盲目の尊敬について  閭の頭痛を坊さんが水で治す。

0
2010年08月03日

Posted by ブクログ

「山椒大夫」は女性に守られている男の子が大人の男へと踏み出す健気さを、「高瀬舟」は幸福とは何かを問いながら積極的安楽死について、それぞれ描いている。文体・内容ともに余計なものがなく素朴なところが、静かでもの悲しい雰囲気を醸し出している。まさに“文豪”による名文・名作。

0
2023年10月13日

「小説」ランキング