森鴎外のレビュー一覧

  • 山椒大夫・高瀬舟
    何十年も前に、この『鶏』を読んだ時に、とてもイラっとしたのを思い出す。今もそうだが、この”別当”のタイプの人がものすごく嫌いなのである。足元をみて、じわじわとグレーゾーンで悪いことというか、セコいことをするヤカラ。人のものを自分のもののように使い、勘違いする。この別当の延長線に最近大きな問題になった...続きを読む
  • 渋江抽斎
    森鷗外は、人生の最後に「史伝」作品群を残し、その中でも最も知られている作品が「渋江抽斎」だ。
    ”史実を淡々と述べていて無味乾燥である”、という評もあるようだが、自分は、鷗外の作品の中でも多いに関心を抱く作品のひとつだ。

    鷗外は、「舞姫」から始まり、その作風の変遷が特徴的だが、日本の近代化という大き...続きを読む
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇
    どれも教科書に載ってもおかしくないような筋書き (実際、どこかの国語の教科書に載っているかも)。その意味では、やはり『高瀬舟』が深い。TikTokばかり眺めていないでその時間で一冊でも本読んでほしい。

    文芸としてため息がでたのは『最後の一句』。長女の最後の一句の鋭さにもひやっとしたが、それ以上に本...続きを読む
  • 山椒大夫・高瀬舟
    高瀬舟にフォーカスします。

    人間にとって充足ってなんだろ?と深く考えさせられました。

    「足るを知る」と「安楽死(もしくは本人の委託による自殺幇助)の正当性」がこの本の2大テーマだと思いますが、これらのベクトルの方向は正反対なのか、もしくは同一方向なのか?
    足るを知る、は老子の言葉そのものですが、...続きを読む
  • 山椒大夫・高瀬舟
    12篇からなる短篇集。
    『妄想』を始め幾つかの作品から、鷗外の考え方や人付き合いがよく分かり興味深い。ベルリン留学は彼にとって非常に有意義な経験であり、頭脳明晰で医学だけでなく文学も書かずにはいられなかったと推察する。
    『山椒大夫』は所謂「安寿と厨子王」で、姉弟の思いやる気持ちに心震える。タイトルが...続きを読む
  • 阿部一族 他二篇
    他の家来、皆殉死が許されてるのに自分だけ許されない。理由はホントにしょーもない。なぜかいけ好かないから。殉死できない。自分だけ生き延びることで周りから命惜しい奴と思われる。そして、自害。残された子供たちも、父の無念を晴らそうとするけど、、、どうしてこうなった。

    死ぬ事も美学。そんな印象だった。
    ...続きを読む
  • 渋江抽斎
    学問と仕事、宮仕えの心構え。芯のある夫人。時代を生きる人々。家族のヒストリーを語りながら、文武両道とユーモアと暖かみにあふれ、誠実にして緻密な史料調査を厭わない森鴎外の視線、筆致に触れられ、憧れるような文化水準の高みを気持ちよく感じさせてくれます。
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外
    たけくらべ読み終えたところ。樋口一葉を読んでいなかった(日本文学をなんとなく敬遠していた)自分の愚かさを呪う。なんだこの瑞々しさ。おっとりした、それでいて景色のわかる気持ちの持っていかれる文運びと表現(これは現代語訳の賜物かもしれないが)。あー、、、、とにかく今日読めてよかった。

    三四郎読み終えた...続きを読む
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇
    高校生のときに舞姫に出会い、その時受けた講義のおかげで主人公の状況、時代背景、そして顛末が意図するところなどの読み方を学びました。

    本を購入し、一番に感銘を受けたのは「染めちがへ」でした。お話の情感豊かな表現と最後の落としどころとなる文章が素晴らしく、ふとした折に音読しては良さを味わっています。
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇
    山椒大夫を読みたくて手に取ってみたものの他にも衝撃的な作品が多くものすごく考えさせられます。
    「最後の一句」
    これは、まさにいちの最後の一言につきる作品。心に突き刺さります。今現在の多くの政治家に読んでほしい一編。人が人を信じるということはこれほどにも重く心に響くことであろう。
    「高瀬舟」
    こちらも...続きを読む
  • 牛鍋

    良い

    短い話でありながら、グッと心にくるものがありました。情景は牛鍋を囲んでいる3人と牛鍋という狭い世界だからこそ想像を豊かにして読むことができた。
  • 高瀬舟(新仮名)

    考えさせられる

    現代の司法制度に対して問題提起しているかのような意味合いを受けとることができた。罪に対する罰の多寡を決定するときに、その人の境遇なり心情なりを考慮することの大切さを再確認した。文章量が多くないから、短時間で読み終えられる。
  • 高瀬舟(旧仮名)

    面白い

    旧仮名版だけでなく新仮名版があるので読みにくいという方はそちらをオススメします。ですが、旧仮名で読むと現代とは違った言葉使いを知ることができて面白いですよ。
  • 渋江抽斎
    歴史小説の原点とも言うべき作品だと思います。文章はピカイチ!!!まさに教科書のような作品。その成功の一つに一人称で書かれているということがあると私は思っています。
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇
    教科書にも載っている有名作品とその他による短篇小説集です。
    まず擬古文が手強い。現代口語訳みたいなのが欲しいところです。
    それにしても、心情の描写や嵐の描写など目を見張るものがあります。
    解説者は舞姫を犠牲者としていますが、本当にそうなのかな?男を手玉に取った女優という見方もありだと思うな。
    イタリ...続きを読む
  • 山椒大夫・高瀬舟
    (高瀬舟)情景描写が丁寧に描かれていて物語の中に引き込まれるような感覚に陥った。自らの貧しい境遇と罪人と呼ばれる高瀬舟の乗員の境遇を照らし合わせる場面に心打たれた。
  • 山椒大夫・高瀬舟
    中高生の頃、漱石はほぼ全てを途中挫折していたが、短編中心の鴎外はよく読んでいた。数十年ぶりに読み返しても、格調の高い文体、冷静で客観的な表現は切れ味見事で、日本語の素晴らしさを十二分に味わうことができた。ただ、小説としてはどうなのだろう?創作というよりも分析のような物語が多く、冷徹な視線で一段高いと...続きを読む
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外
    いやはや、これは。
    はぁぁあ。
    なんとも。

    いいっ!

    カーソン・マッカラーズの「結婚式のメンバー」のあとがきで、「たけくらべ」を思い出した。だなんて村上さんが書いてたもんだから、気になって気になって文庫をペラペラとめくってみたんですが、原文はもとより、口語訳でさえなんだかちんぷんかんぷんと思って...続きを読む
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇
    表題2作が読みたくて。どちらも短い作品ながら深く考えさせられるテーマを背負っています。多くを語っていないぶん読み手によって様々な捉え方や考え方ができるので、読後に他の方の意見を聞いてみたくなりました。
    数年後に再読したらその時々で異なる登場人物に心を寄せている気がします。
    好きとは違う、心の奥に根付...続きを読む
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇
    表題、山椒大夫も高瀬舟も、とても有名な話。
    高瀬舟は、確か学生の頃に教科書か何かで読んだ気がする。
    けれど、どちらも、こんなに短い話だったろうか。
    記憶にある限りでは、もっと長かったような気がしたのだけれど。
    読み終えた時にはそう思ったのだけれど、少し間があいて、また読み直してみたら、同じ印象を抱く...続きを読む