和田秀樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は、灘高から現役で東大医学部に進学するが、その過程を中学入試から綴ったドラマのような私小説。さぞや順風満帆な歩みかと思いきや、灘中合格後に深く落ち込んでいき諦念に近い心境までたどりつくが、受験テクニックに目覚めてから這い上がり合格を勝ち取る。主人公の心は揺れ続け、小説家から政治家、弁護士、映画監督と次々と志望が変わり、最後に医師を目指す。その動機の可笑しさに、生徒会役員、アメリカ留学の挫折が、主人公の人物像に色を添える。受験勉強の方法論に触れているが、記憶という脳力に恵まれた著者ならではの到達点。主人公の家族や灘の友達の人物描写も楽しめる。