唯川恵のレビュー一覧
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『もし、あの時ああしてたらって、自分のもうひとつの人生を勝手に想像して、それに嫉妬してしまうのね。何だか、いつも生きてない方の人生に負けたような気になっていたの。そんなもの、どこにもないのに、人生はひとつしか生きられないのに』
隣の芝生は青く見える。
どちらかに転んだとしても、幸せで不幸せかは一概に言えないし、自分の人生なんだからましてや他人にとやかく言われる筋合いはない。
傷つくこともまた自分を成長させてくれてる。
今日はどんなに最悪で嫌で逃げたいそんな日だったとしても、もしかしたら明日は楽しいことが待ってるかもしれない。
背中からポンと後押ししてくれるような心がじんわりと温かくなる一冊 -
Posted by ブクログ
「おもしろかった!!!」
と思うと同時に
「終わっちゃったー...。」
と少し寂しくなるほどおもしろかったです。
小難しい言葉もなくて、
友達夫婦の生活を覗き見てるみたいな
感覚で読めてしまいました。
結婚生活、マイホーム、子供...。
世間一般、“幸せ”と言われることを
何もかも手に入れたように見えても
実際はうまくいかないことばっかり。
SNSで他人のいいところばかり見て
羨ましくなるようなこの時代に読むと、
ちょっと安心する自分もいました。
私自身は“女”で、
永遠子の気持ちがわかる部分が多かったです。
特に出産後の気持ち。
でも、それをもし産前に産んでいたら
理解できなかっ -
Posted by ブクログ
作者はどの視点から文字を選んで綴っているのだろうか?
山を一人で登る者にしか見えない光景が綴られていく。
読む読者を登攀の世界に連れていく。谷川岳、インド、
ネパール、エベレスト山。モデル本人にインタビューをして想像で人物を追加したのだろうか?
全共闘時代、1970年の僕が子供だった頃、アポロ計画に夢中になっていた頃の実話として山行きが語られている。
淳子の主人は怪我をして、行動範囲が狭くなった。まるで、不慮の病気で、社会活動が中断され、徐々に前の自分と現在の自分を調整している私のことのようだ。家内に福祉作業所を任せて私が家事の料理の現場を助けるようだ。無論、子供たちは我々の場合独立していって -
Posted by ブクログ
会社の同期だった2人が、1人は寿退社、もう1人は独身バリキャリという道を進んでいく。そんな2人の約40年の軌跡を描いた小説。
少し時代が古く、極端な描写に感じるところもあるものの、女子同士の嫉妬や同情、戸惑い、優越感など心に渦巻くものをリアルに描写しているなぁと女の1人として面白く読んだ。
共感したのはこの言葉。
「どうして誰しも、人を、どちら側の人間かとやたらに決め付けようとするのだろう」
特に女はこれを感じているんじゃないのかな。
結婚している、していない。
子供がいるか、いないか。
仕事をしているか、していないか。
幼稚園か、保育園か。
パートか、正社員か。
親は近くに住んでいるか -
Posted by ブクログ
欠かさず読んでいる唯川 恵さん。
唯川さんと言えば恋愛小説のイメージが強いですが、本作は登山家の田部井淳子さんをモデルにした限りなくノンフィクションに近い作品となっています。
ページ数にして435ページ。
フォントサイズも小さ目で、聞きなれない地名や登山用語などがあり、読むのにかなり時間を要しましたが、綿密な取材をされた様子が丁寧な文章から伝わって来て、とても良い作品でした。
2016年朝刊の記事で田部井淳子さんがお亡くなりになられた事を知りましたが、田部井さんの事を全くと言っていい程、存じ上げておらず、今回この本を手に取って初めてこの方の功績や人としての素晴らしさを知る事が出来、それだ -
Posted by ブクログ
過去、単行本でも読んだ本。
文庫になっていて再読。
乃梨子と薫。
同期で広告代理店に就職した2人の、同じ歳のお互いの様子を交互に描いてある。
比較対象になりやすい、専業主婦とバリキャリ。
どっちががうまくいっている時は、もう1人はうまくいっていなくて、…という繰り返し。
どっちの人生の出来事も、誰にでも起こってもおかしくないようなことが多く(起業はそんなに多くはないかもしれない)わたしは数々のエピソードに共感した。
あの時こっちを選んでいたら、そう思うことは、もちろん何度も何度もあった。
でも、選ばなかった方は、その時は青い芝でも、次のシーズンでは、また次の何かが起こってる。
人生の分岐点