唯川恵のレビュー一覧
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登山にはあまり関心はないが田部井淳子さんという登山家はテレビで知っていてなんとなく読み始めた一冊。「女性初」「エベレスト登頂」などニュースで聞くことはあるがその裏側について全く知らなかった。女性は早く結婚し子供を産みご飯を作って亭主の帰りを待つ、というのが当たり前とされていた時代に生きた主人公。それでも、「山に登りたい」という自分の意思を強く持ち続け、誰もが無理だと思っていた女性のエベレスト登頂を成し遂げた。そこには、資金調達や長期滞在の物資準備など山登り以外の多くの課題がある。目標達成のためにどんな困難にも立ち向かう淳子の生きざまを描いた感動の物語。
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Posted by ブクログ
正月早々、素敵な小説に出会えた。
金沢には、金沢城を真ん中に南に犀川、北に浅野川がながれていて、犀川はおとこ川、浅野川はをんな川と呼ばれている。二つの川は一度も相容れぬまま海に流れ着く。まさに男と女そのもの。これが、この小説のテーマのようだ。
「朱鷺」と「トンボ」という芸妓を中心に花柳界で色々な事が起こる。それが皆、悲しくもやるせない事ばかりである。
様々な生い立ちで、芸妓になった者ばかりだが、逞しく美しく生き抜いていく。
私は、「水揚げ」という言葉の正確な意味を今まで知らなくて、自分の無知ぶりに恥ずかしくなった。
金沢の食べ物、言葉、しきたり、お祭りなどの描写が素晴らしく、金沢に行 -
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女だてらに。そう思いました(時代錯誤、情けない)。ところが、読み進むうちにこの女性たちを本当に応援する気持ちに変わりました。いろんな苦難も自分自身の道理、信念で乗り切っていく。素晴らしすぎるドラマです。
目的のためには犠牲にしなくてはならないこともある。厳しい選択に迫られてもぶれない強靭な精神力。それが無ければ大いなる自然は門戸を開いてはくれなかったのでしょう。
淳子を大いなる心で支えてあげた旦那さんの理解力もあってこそだし、勤務先の社長や多くの人の理解によって世の中の大事は達成されてゆくのでしょう。
唯川さんの筆力も見事でした。あっという間に読み進むことができました。この本の題名でも -
Posted by ブクログ
先日いつも行く書店へ行ったら令和元年に出版されていたこの本が目立つところに出されていた。
なぜ今なのかわからないが、書店へ行かなければ
巡り合わなかったこの本を買った。
やはり書店は宝さがしのようなところで、ぐるぐるまわるのが好きです。
田部井淳子さんを題材にした本、田部井さんが好きだったので630ページもの長編を一気に読み上げた。
心にのこる言葉がいっぱいあった。
この本を読んでいる時、いつも頭にあったのは、
何故あんなに苦しいのに山に登るのか?
それは、そこに行かなければ見えない世界を見たいという、シンプルな好奇心。風の音とか、空の色とか、空氣の匂いなんかも感じたい。
関係ないかもしれない