唯川恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
失恋小説としてかなり完成された作品だった。
どれだけ気丈であろうとしても、心は乱され、時には犯罪的行為にまで及んでしまうことも、その思想にたどり着くこともある。
主人公山村の場合は妙齢で5年間付き合いながら結婚間近に自分が理由じゃないと言われて別れを告げられたパターン。1番本人が腑に落ちない、ずるいパターン。でも実際、よくある恋愛のパターン。
そこからみっともなく喚き散らしながら色んな人に助けられ、関わり、時には見捨てられ、社会と時間の波に流されることで、感情も水にながされていく。まさに燃え尽きるまでの流れを描き、最後にたどり着いた時は中々清々しかった。
この先の人生も少しだけ覗いてみたいと、そう思えた作品だった。 -
Posted by ブクログ
山岳事故をきっかけに、生きたかった人生を互いに生きられなかった4人の物語。一瞬でいいから立ち止まれたら、一瞬でいいから分かり合えたらという取り戻せない過去への後悔と、それでも現実を受け入れ前に踏み出すしかない切なさを軽井沢の美しく時に荒ぶる自然を通して描いた感動作です。
過去はいつも鮮明な輪郭に縁取られている。そして時に、残酷な色合いを持っている。こんなふうに生きると知らなかった過去は、こんなふうに生きている現在を容赦なく責める。恋愛と進路選択、人生を前に進めるための思惑が仲間の命を奪い、時を停めることになった3人。
自然と人間、過去と現在、理想と現実、幾重にも折り重なる対比で進む展開から、生きること、愛することは何なのかを考えさせられた一冊でした。20代最後に出会えてよかったです。 -
Posted by ブクログ
素敵な作品だった。父親が亡くなった時に読んでいたため、勝手に主人公たちに感情に移入してしまう場面があった。
創介と緒沢が創介の父について話す場面印象に残った。私も葬式で父の友人から父の知らない一面を聞いた時、同じ感情になったからだ。
登場人物が3人が綺麗ではないが、もがきながら生きており、かつ幾つになっても人は悩みながらも少しずつ進んでいるところが良かった。
創介の「答えなんかないってわかったよ。もっと言えば、答えなんか求めるから不安になるんだ。ただ、生きていればいい。生きられるうちは、それだけでいい。」は心にささった。しかし、まだ実行に移せるほど自分は大人ではないとも感じた。
これからももがきかながら今自分が正しいと思った道を進みたい。