松嶋智左のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ表題作は、警察小説アンソロジーに掲載されていた作品。
すごく面白かったので、こうして本として出版されるのを待ってた!
嬉しい作品です。
しかも、短編集の他作品は全て書き下ろしという、胸アツ過ぎる一冊!
所轄の刑事だった弓木巡査部長は、警部補昇任試験の日に急性膵炎で救急搬送され、入院。半年後にようやく復帰したことから物語がスタートする。
相棒は新人刑事の隼太。
一話目ではあまり隼太に強く当たっていなかったし、病弱で走ったら息切れするし、すぐ休憩を取りたがるし、そもそも刑事の仕事がそんなに好きなわけでは無いという弓木さんって、おっとりキャラなのかと思っていた。
でも、実は人より見えすぎてしまう敏腕刑事で、優秀過ぎて異動願を(おそらく何度も)握り潰されているという弓木がおっとりキャラのわけもなく…。
うっかり者過ぎる隼太に、
「小僧のころに厳しく教育すればよく覚えて、後々役に立つようになる。かもしれない」
と言って、とにかくビシバシ指導していくスタイルだった笑
もう本当に面白いんだけど、3話目の『カッコウの巣』では、弓木さんの言葉にジーンときてしまったり…
最後の作品も、まさかの隼太の頑張りと弓木さんとの絆(?)に感動。
シリーズ続編、お待ちしてます!
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Posted by ブクログ
S県警捜査1課の刑事から県内有数の法律事務所の調査員に転職した三星京香。当初は事務所内で浮いた存在だったが、警察官時代のスキルと人脈で真価を発揮したことで、所員たちからも認められつつあった。
そんなある日、事務所の代表と副代表を巻き込む事件が発生。副代表は調査に乗り出したが、代表はなぜか沈黙を守り続けていた。
緊張を孕む事務所内。別件を調査していた京香は……。シリーズ2作目。
◇
午後11時20分。葛貴久也は空腹を我慢して帰宅しようと車を走らせていた。
ようやく高架橋にさしかかり、貴久也は運転するBMW−530eのアクセルを踏み込む。ここを越えれば自宅は目の前だ。そのときだった。
いきなりライトの前に飛び出してきた白い人影。貴久也は反射的に急ブレーキをかけハンドルを目一杯切る。タイヤが耳障りな音を立て、車は横滑りしながら幅3メートルほどの道路で斜めになって止まった。
ホッとしたもののハンドルを切ったときの何かに接触した感じが気になった貴久也は、すぐにドアを開け車から飛び出た。
道の脇に男が座り込んでいる。貴久也が声をかけると男はうめくような声を上げた。
スマホを取り出し救急車を呼ぼうとする貴久也に、必要ないと男は言う。なら病院に行こうと貴久也が言うと、男は「自分が悪いのだから気にせんでくれ」と固辞し、そのまま歩き去ろうとした。
それでも重ねて、手当てをさせて欲しいと頼む貴久也に、男は笑って「なら、絆創膏でもしてもらおうか」と言うので、貴久也は男を自宅に連れ帰ることにしたのだったが……。(「1」) ※全33話。
* * * * *
サスペンス度が前作よりかなりアップしています。
まず、事務所の副代表である貴久也が、自家用車運転中に巻き込まれた対人接触事故。
いきなりの飛び出しという、相手の過失割合の方が高い事故とは言え、法律事務所の副代表にとっては大きなトラブルに違いありません。
おまけに、相手の男はなぜか通報も治療も固辞。何やら不穏な空気を漂わせています。
そして後日、この男が死体で見つかり、貴久也は重要参考人として警察に任意同行を求められる事態に発展します。
さらに、あることからこの男は、貴久也の父親で事務所代表の道比古と大学同期生であることが発覚。なのに何も語ろうとしない道比古。その真意も気になるところ。
自身が抱える案件を所員たちに振り分けた貴久也は、死んだ男の実娘である女性と一緒に事件の真相を調べ始めるのですが……。
序盤からこの展開。うーん気になる。
ところで、そのころ京香はどうしたか? 実は、まったくの別件 ( 浮気調査 ) で夢良と動いていました。
主人公なのに影が薄いなあと心配して読んでいると、途中からこの浮気調査が貴久也の調べる ( 殺人 ) 事件とリンクしていることがわかります。
こうして事件の真相が少しずつ明らかになっていくのですが、その過程で京香の愛娘つみきが誘拐されたり、暴力団や半グレ相手の京香の大立ち回りがあったり、夢良や貴久也の生命の危機があったりと、緊迫のアクションシーンもたっぷり盛り込まれます。
前作同様に、イッキ読みせずにはいられない展開。意外な事件の真相。パワーアップした2作目で、読後の満足度の高さは前作以上でした。
また、エピローグとしての最終話。ほのぼのとした笑いの入るハッピーエンド風のラストシーンもよかったです。
それにしても、県内大手の法律事務所で、それまでは堅実に法律相談や弁護士活動をこなしていたはずなのに、京香が来てからやたら身近で殺人事件に巻き込まれるなあと、少し所員たちが気の毒になったりして……。
箱根駅伝以外のテレビ番組に見るべきものがない寝正月のよいお供になりました。 -
Posted by ブクログ
本作には、名探偵もヒーローも登場しない。
描かれるのは、どこまでも「人間くさい」
公務員としての警察官たち。
中には、署長の妻と娘という「一般人」も出てくるが、
警察署の「関係者」であることは間違いない。
基本的にまじめで、正義感が強く、
自分たちの仕事に誇りを持っている警察官たち。
中には、小ずるい奴とか、反抗的な奴とかもいるが、
それも含めてリアルな「人間としての」警官の群像劇。
タイトルになっている女副署長も、一応主人公だが、
いわゆる「ヒーロー像」とはほど遠い姿に描かれている。
むしろ「普通のオバサン」のような(^ ^
奉職して三十数年のキャリアを誇ってはいるが、
管理畑が多く、捜査の第一線の経験は無い。
そのため、現場のたたき上げ刑事達からは、
何と言うかちょっと下に見られてたりして(^ ^;
それでも、指揮系統としては上下関係があり、
時には横車を押し通すような手も打つ。
それがまた「現場」の反感を買って...
でもみんな、目指しているのは実は同じで...
という、結構ややこしくこんぐらかった舞台背景(^ ^;
台風が直撃してくる、という切羽詰まった中、
あろうことか警察署の敷地内で、
現役警官が何者かに殺害される、という
ショッキングな事件が起こり...
ただでさえ台風対策に人手を取られている中、
封鎖された警察署内にいる全員が容疑者となり...
息詰まる緊張感の中、少しずつ事件の糸がほぐれてくる。
終盤に明らかになる「事件の真相」には、ちょっとびっくり(^ ^;
登場人物が多いので、気を抜いて読んでいると、
誰が誰やら分からなくなるので、要注意(^ ^; -
Posted by ブクログ
5人の作家による警察小説アンソロジー
以下、収録作品と簡単なレビュー
「お見通し」米澤穗信
飲み屋で推理を働かせて完結する物語。
短編だから出来るこの構成は、ロジックな謎解きが多い米澤穂信さんらしい感じがした。
「メゾン・イニシェの怪」方丈貴恵
オカルトっぽくて独特だった。科学捜査官と対比したい感じだったが、個人的には少し纏まりが悪い感じがした。犯行動機も釈然としない。
「プライドの隙間」荒木あかね
警察署内でも拳銃自殺という難しい場面設定なのに、人物描写が丁寧で、多角的な視点も分かりやすくて、完成度が高いと思った。
「家につく猫」松嶋智左
ゾクゾクする感じで、一番読ませる力があって面白かった。特にタイトルセンスが粋だ。
私にとっては初めましての作家さんだったが、他作品も読んでみようと思った。
「コールバック」芦沢央
唯一、警察ではなく探偵ものだったが、ラストに相応しい内容。中学生の苛め問題が予期せぬ方向へ進んでいく。家族を失った犯人の境遇は胸に迫るものがあった。