松嶋智左のレビュー一覧
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女副署長シリーズは3作で完結するらしい、ということで前作の記憶のあるうちにまとめて読むことにした。署内トラブルのあった前作の責任から責任をとって田舎に飛ばされた2作目。
今作も元警察官らしい、署長代行の姿や交番勤務の様子、そして緊急配備という刑事ドラマでよく見るイベントを裏方から見た様子、警備課の様子など、色々と見られて楽しい。
また、前作を解決して評価を受けた花野さん(主人公が飛ばされたのと対照的)が出てくるのも嬉しい。
ストーリーも、新たな登場人物紹介パートが退屈なのは前作譲り。もっとも、推理ものではないとはいえ、多少の犯人探し動機探しもあり、殺人と警官傷害の2事件を軸に進んでいくようになると、こちらのテンションもあがる。
読んでいて楽しい警察小説でした。 -
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大好きな警察小説のアンソロジー。
新たな作家さん発掘も兼ねて。
①佐々木譲さん『弁解すれば』
初めましての作家さん。
これはシリーズ作品の1つ。
他者の心に協調し過ぎてしまう警察官の話。
続きが気になるので今後読む予定
②乃南アサさん『青い背広で』
こちらも初めましての作家さん。
人気シリーズ主人公の若かりし頃の話のよう。
シリーズのファンで無いとあまりピンと来ないかも。
③松嶋智左さん『刑事ヤギノメ』
こちらも初めましての作家さん。
面白かった。けど、短編ではもったいないかも。長編で読みたい。
今のところシリーズは無さそう。
④大山誠一郎さん『三十年目の自首』
こちらも初めましての作家さん。
『赤い博物館』というシリーズの1つの話のよう。2時間ドラマみたいなシリーズ名。主人公の飛ばされた原因の事件の詳細が知りたいので、他作品も読みたい
⑤長岡弘樹さん『噛み付いた沼』
カミツキガメを愛してしまった(?)警察官の話(ではない)
人気シリーズのスピンオフのよう。
シリーズは未読だが、この作品が面白かったので、シリーズを読みたい
⑥櫛木理宇さん『ルームシェア警視の事件簿』
推し作家、櫛木理宇さんの作品。
櫛木さんにしては珍しくライトでポップな話。お料理上手の櫛木さんらしく、ご馳走描写も多くてほのぼの系。
とはいえ、事件のディテールは櫛木理宇さん作品らしいもの。
シリーズ化して欲しいですね。
⑦今野敏さん『ケースオフィサー』
個人的に、外事とか公安とか、あまり好みのタイプの話ではないんだけれど、さすが今野敏さん、すらすら読めた。
とはいえ、事件とも言えず長編で言えば触りくらいの話で終わってしまったのでもったいない。
全体的に面白くて、読んだことのない作家さんの雰囲気も掴めて、とても良かった
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美人で頭脳明晰な刑事だけど性格は大阪のおばちゃん?大阪が舞台の倒叙ミステリ #遠楓ハルカの捜査日報
■あらすじ
大阪府警の刑事である遠楓ハルカ、捜査一課の班長であり階級は警部。小柄だが美人で頭脳明晰、部下への指導力も求心力もある優れた刑事である。しかし彼女は見た目からは想像できない図太さがあった、その姿はまさに大阪のおばちゃん。そんな遠楓ハルカが大阪で起きた様々な殺人事件の謎に挑んでゆく。
■きっと読みたくなるレビュー
おもろいすね、安心して読める倒叙ミステリー、全四作で構成される連作短編集です。
・倒叙ミステリーとは
最初に犯人と事件の過程やトリックが明かされ、探偵や警察がどうやって真相にたどり着くのかを楽しむ形式のミステリーです。探偵役がいかに犯行を見抜き、犯人を追い詰めていくか。そして犯人との心理戦が読みどころ。
・倒叙ミステリーの代表作
刑事コロンボ、古畑任三郎あたりが有名ですかね。福家警部補、城塚翡翠invert、碓氷優佳シリーズなんかも倒叙ものです、最近は女性が探偵役の作品が多いかしら。もちろんどの作品も面白いので、時間がある方はぜひ。
さて、まず本作で推したいのは登場人物ですね。捜査一課のバリバリの刑事たちが活躍して事件を解決していきます。
主人公のハルカを筆頭に、若手でいじられキャラの佐藤、教育係の鶴見、ベテラン刑事の久喜と玄といった魅力的かつ重厚な面々たち。ハルカの頭脳を信じてキビキビ動く彼らがカッコイイんだよなー、チームワークも素晴らしいんです。
また本作は大阪が舞台なんですが、情景描写がお上手なんすよ。JRがよく遅れるとか、官公庁街は六時を過ぎると寂しくって不思議とか、街で生活しないとわからない空気感を良く描いているんすよね。大阪都心や堺市の古墳群など旅情風味な書きっぷりも嬉しい、景色が目に浮かんでくるんすよね。
そして重要な謎解きミステリーとしても、ちゃんと面白いです。犯行のほころびや嘘を見抜いていくハルカが切れ味鋭く、膝を打つことも多かったな~
一番好きなのは第三話『呉越同舟』ですね。大学生の仲間たちが五人がキャンプに行くのですが、ちょっとした口論から物理的な行動に発展、ひとりが亡くなってしまう。彼らは事故に見せかける隠蔽工作をするのだが… といったお話。
倒叙ミステリーとしての謎の出し具合が絶妙で、ハルカが嘘を見抜いていく過程や尋問シーン、犯人の行動原理などの情報がバランスよく構成されている。謎解きも深く読み応えがありました。
久しぶりに倒叙ミステリー楽しませていただきました、面白かった!
■ぜっさん推しポイント
第四話『be happy』犯人役の女性。彼女の仕事に対する姿勢、そして犯行の動機にめっちゃ共感できるんすよねー。
ずっと道を歩いてきた人だからこそ持てる価値観、胸を張って言えるセリフ。プライドって奴ですよ。長年、ひとつのことに真剣に向き合ってきた人だからこそ持てるんです。
だからと言って犯罪を犯しちゃいけないけどね。でも本気で取り組めてきたってのは、その人にとっては幸せなんだとは思いましたね。 -
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月村了衛、深町秋生、鳴神響一、吉村英梨、葉真中顕、伊兼源太郎、松嶋智左『警官の標 警察小説アンソロジー』朝日文庫。
7人の作家による7編全てが書籍初収録となる贅沢な警察小説アンソロジー。
自分は、7人の作家全て最低1作は読んでいる。月村了衛と深町秋生、葉真中顕は文庫化作品は全て読破している。吉村英梨と松嶋智左も文庫化作品はほぼ読んでいるが、最近は取捨選択しながらという感じだ。鳴神響一と伊兼源太郎は文庫化作品を1作読んで肌に合わないと感じてからは読んでいない。
月村了衛の『ありふれた災厄』と深町秋生の『破談屋』が取り分け面白かった。
月村了衛『ありふれた災厄』。★★★★★
本短編の冒頭を読んで驚いた。ついにシネコンの映画もネット予約の時代となったのか。この短編に登場する警察も酷いと思ったのだが、落選した元国会議員で元国家公安委員長の梶田義昭も余程酷い。政治家や元政治家と警察ほど横柄な人間は居ない。コミカルでアイロニーの効いた面白い短編だった。
ネット予約した映画の上映時間に遅れそうになった元国家公安委員長の梶田義昭は、若い警官に職務質問を受ける。
深町秋生『破談屋』。★★★★★
主人公の山形訛りが良い味を出している。警察官が結婚する際の身辺調査は徹底していると耳にする。ゴリゴリの警察小説ではないが、ミスリードを誘う捻りも効いた面白いプロットになっている。
『破談屋』と呼ばれる警務部巡査部長の葛尾静佳は、結婚前のエリート警部補の身辺調査を命じられる。静佳が部下と共に結婚相手となる看護師のアパートを張り込むとあり得ない人物が現れる。
鳴神響一『鬼火』。★★★
冒頭に描かれたスロバキアで起きた日本人のトラブルと日本で起きた事件とがつながる瞬間には、なるほどと思った。しかし、タイトルの『鬼火』は取って付けたような感があり、事件の真相も余りに短絡的なようにも思う。
階段の踊り場で見つかった男性の遺体を巡り、互いを犯人だと告発し合う2人の男性が現れる。
吉川英梨『罪は光に手を伸ばす』。★★★★
警察学校シリーズを手掛ける吉川英梨による警察学校物の短編。警察学校の実務修習生の宮武エミが実習先で名推理を展開するところが面白い。恐らく続きがあるのだろうと匂わせる辺りも巧い。
警察学校の実務修習中の宮武エミは、実習先の八王子署でソロキャンプを楽しむ女性を狙った殺人事件の捜査に関わることになる。
葉真中顕『不適切な行い』。★★★★
葉真中顕らしい、物事の二面性を巧く描いた短編。そういう結末になるのかと驚いた。
無惨な遺体となって見付かった女性は警察に被害届を提出していたことが明らかになる。刑事課係長の佐原は、部下の無責任な判断が殺人事件を引き起こしたと推測する。
伊兼源太郎『いつかの山下公園』。★★★
警察小説にも色々あるが、同僚との出世争いにフォーカスした短編は珍しい。
刑事課の三枝は、同僚でライバルの谷澤が若い女とホテルで密会しているところを目撃する。
松嶋智左『同期の紅葉』。★★★
警察署内部で起きた窃盗事件の顛末を描いた短編。純粋な警察小説ではない。
同期の有子と唯美が所属する白堂警察署の金庫から、特殊詐欺事件で押収された一千万円でが盗まれる。
本体価格900円
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流警の2冊目。1冊目の時点でシリーズ化を意識してこのタイトルを付けたのかわかりませんが、主人公である榎木はキャリア警視なので、各地を所轄を転々とすることになります。
というわけで1冊目とは違う警察署です。本作では警備部長として赴任しています。タイトル通り新しくできて美術館が占拠され、偶然が重なって榎木と副知事が館内に取り残されるという緊迫した展開になります。そこに著名な陶芸家の盗作疑惑、県政の闇などが絡んでいく展開です。
1つ目とは全くちがった展開で、シリーズのこの先がなんだか楽しみになります。次はどこにどんな立場で流転するんでしょうか。