天野純希のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「螺旋」プロジェクトの7冊目。今回もまた初読みの作者さん。
描くは平将門の乱から西南戦争まで、武士たちの千年に亘る戦いの物語。
歴史をなぞりながら進む話は日本史をおさらいしているようで楽しく、海族と山族の対立という趣向が取り入れられたことも含めて通説とは異なる人物像や脚色も施されていて面白く読める。
勝ち負けや生死が分かっている話の中で、とりわけ虚実入り混じった書き振り(鬼仙島が出て来た)がなされ、“長老”の言葉に間違ったほうに後押しされた、大塩平八郎の乱の件りが出色。幕末維新の章のまず最初にこの事件が置かれたところも興味深い。
対峙する相手の大きな耳や蒼い目を見て心がざわつく展開が重ねら -
-
Posted by ブクログ
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にて強烈な印象を残した源義仲の太く短い生涯。
どうしても大河ドラマと比べてしまうのだが、この作品がドラマと違う一番の点は女軍師がいたこと。
村山義直の娘・葵は書物好きで、歴史書で培った知識で数に劣る義仲軍を勝利に導いていく。
だが彼女は『今の今まで、自分の頭の中だけで戦をしていた』ことを般若野の戦いで知る。
もう一人、義仲といえば忘れてはいけないのが巴。イメージ通り強いこと強いこと。
義仲との関係は、ドラマのようなプラトニックどころか恋愛関係はない。そもそも巴には生き別れた夫がいて、その夫が何と敵方にいるという設定になっている。そのことが義仲の最期のシーンにも絡