あらすじ
武士とは、何だったのか?
千年に亘る戦いの系譜を一冊に刻みつけた、驚愕の傑作歴史小説。
〈螺旋プロジェクト〉中世・近世篇。
負け戦の果てに山中の洞窟にたどり着いた一人の武士。死を目前にした男の耳に不思議な声が響く。「そなたの『役割』はじきに終わる」。そして声は語り始める。かつてこの国を支配した誇り高きもののふたちの真実を。源平、南北朝、戦国、幕末。すべての戦は、起こるべくして起こったものだった――。〈巻末付録〉特別書き下ろし短篇
【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みができます】
※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画
〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
感情タグBEST3
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面白かった!
螺旋プロジェクトともののふ(武士)たちの歴史、生き様が見事に融合され、歴史的に有名な合戦では、テンポの良い戦の描写と武将たちの想いに胸が熱くなりました。
平将門から西郷隆盛までの戦いを、海と山の対立に当て嵌め、謎の多い人物とされる歴史上の人物が「超越的な人物」として配される。
歴史に造詣が深いわけではないですが、歴史史実を大きく歪めることはなく、歴史の空白をうまく描いているなと感じました。
時代を逆行して読んでいるせいで、次の作品「蒼色の大地」にも共通して出てくるキャラの末路を知っているだけに、何とも言えない想いが。
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螺旋プロジェクトによる歴史物語
人はなぜ戦いをやめられないのか?
歴史上の英雄たちの遣る瀬無い思いに、人の生きる意味は所詮儚いものだと思わされる。
ましてや名もなき人の人生に意味を見出す必要があるのか?
生まれた時代にただ生きているだけなのかもしれない。
生きる意味を考えることが意味のないことなのかもしれない…
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螺旋プロジェクト3冊目。
超ネタバレなので空白入れとこ。
源平の戦いで平将門と源頼朝、平教経。
南北朝で足利高氏、楠木正成、足利義満と世阿弥
戦国で明智光秀と織田信長、徳川家康と豊臣秀吉、天海。
幕末維新で大塩平八郎、坂本龍馬と土方歳三、そして西郷隆盛。
それぞれが山と海の一族、そしてその間の存在に割り振られ、でも歴史通りに動いていく。日本の歴史なので知ってる話が多いが、それに山と海のスパイスが効いてより美味しく頂ける。確かに自分みたいなにわか日本史知識持ちでもライバル的存在が結構いることに気づく。そうか、山と海の一族だったのか…秀吉は耳大きそうだしな。
ただ、結局もとの歴史は変えられないので、山と海の一族の思惑どおりに進んだという設定になってしまっていて、そこは仕方ないけどifが読みたかったようなそうでもないような。
ともかく、一つの壮大な物語として非常に面白く読めた。
3冊目になると螺旋の仕組みがわかってきて、最初から裏の世界観を理解した状態で読めるから更に楽しいな。
次はコイコワレを読む。
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平将門から西郷隆盛までの、もののふの歴史を通して日本という国の在り方を振り返る。
それぞれのパートはさほど長くはないので、特に目新しい事実というのはなかったけれど、目新しい解釈というのはあった。
どちらかというと幕府と親しかった島津斉彬に仕えていた西郷隆盛が、いつ、どこで、あそこまでかたくなな倒幕派になってしまったのかが、ずっと不思議だったけど、斉彬が幕府によって毒殺された、と西郷どんが思っていたのなら、さもありなんというところ。
この話の肝は、”長老”と言われる存在が海の者と山の者の争いをただ見ているだけではなく、時に干渉するということ。
しかし、干渉した結果世の中が良くなるというわけでもなく、”長老”の目的もわからない。
正体などはわからなくてもよいが、目的がわからないまま終わってしまったのは残念。
存在意義がわからん。
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歴史上の有名な対決を海族と山族の争いになぞらえるという、螺旋プロジェクトのコンセプトをうまく活かした作品。
源平から始まり、鎌倉、室町、三英傑と王道を辿り、江戸時代後期は少し変化球の大塩平八郎を経て新選組と五稜郭、西南戦争。まさに武士の時代のダイジェスト版です。
ある程度歴史の知識があれば「これを海族・山族に絡めてくるのか」とニヤリとする場面が幾つもあり、非常に質の高い遊び心を感じました。
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螺旋プロジェクトのうちの1冊。
歴史小説のような舞台設定の小説は普段あまり読まないのだけれど、誰もが知っている歴史上の人物が主人公やライバルになっていることで、すごく読みやすくなっていた。そのうえで、オムニバス形式であることも、飽きずに読めた要因だったように思う。
小学校中学校での授業では、とにかく日本史の授業が嫌いだった。理由はごく単純で、暗記が苦手だったのだ。覚えられないからテストの点数が悪い。テストの点数が悪いから日本史そのものにも興味が持てない。興味が持てないからますます暗記ができないの悪循環だった。
そのうえ、出来事の年号を覚えなきゃいけない、というのがすごく腹立たしかった。だって、その年号って本当にあっているかもわからない、ただの推測のはず。それなのに、その年号をテストで覚えて書いて、○×をつけられるって、テストのありかたとしてどうなの、と。
1192で覚えた鎌倉幕府、今では1185が正しいっていうじゃない。1192の時代に、1185って書いて✕もらって、成績落として人生変わった子がいたかもしれない。ただの推測を、義務教育として暗記させ、人の人生を左右させる。そんな日本史への否定的な感情が今でも捨てきれないでいる。
でも、小説に罪はない。歴史小説をもっと楽しむために、日本史を知っておきたい、という気持ちが大人になって芽生えているのもまた事実である。
この本は、そんな私でも楽しめた。ぜひ、歴史小説に興味がない人ほど、読んでみてほしい一冊。
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螺旋プロジェクト、中世・近代編
海の一族と山の一族、1,000年にわたる戦国時代の交錯の物語。
平将門の乱から始まり、貴族と公家の時代から武士の時代に移り行く。
平氏はイソベリ、源氏はヤマノべ。
源平合戦を超え、鎌倉幕府、室町、戦国時代、家康と秀吉、そして幕末。
まさに戦国・幕末オールスター
そして本作で重要な役割は「長老」と呼ばれる存在。
シリーズ全書に出てくる両目の色が違う人の存在。
ネタバレになるので書かないが、「こういう考察ね。これは時代小説でよく見る説だな」という印象。
また、真田丸や幕末物の大河ドラマを観ているとすっとイメージが入ってくる。
最後の外伝もまたこれよし。
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螺旋プロジェクトの私にとっての7作品目!
今回の時代はプロジェクト中最長の900年超!!!
平将門〜西郷隆盛まで・・・
入れ替わり立ち替わり登場する海と山の一族の両方の特徴を持つ長老達は、歴史を刻む者たちを促す・・・
歴史を刻む者たちは不遇と戦い、光明を掴み、栄え滅びていく。
祇園精舎で始まる平家物語のように歴史の長い目で見れば勝者の一族はいずれ敗者の一族となってしまう・・・
螺旋プロジェクトだからこそ、900年の歴史に一本の串を通して読むことができる、武士の生きた時代の物語ダイジェスト!
→楠木正成や平将門について、もう少し掘り下げて読みたいと思った!
政治のあり方や、統治者がどのような階級の人達がと言うことは、その時代を生きる人達にとってはどうする事も出来ない、受け入れなければならない事!
今の時代は平和と民主主義が私達に豊かさをもたらしてくれてはいるが、未来の人たちから見たら私達の良い時代なのでしょうか?
良い時代であれば良いなぁと思います。
因みに、螺旋プロジェクトも残すところ一作
ここまで長かった・・・
Posted by ブクログ
螺旋プロジェクト3作目。源平の戦いから明治維新までの約千年に渡る争いの物語。
色んな経緯を背に憎み合い、争い、覇権を目指す二者がいて、その背景にはかならず2つの“族”の因縁がある。古の言い伝えのように語り継がれるようになっている“二つの族”の物語が本当に背景にありそうなことをお互いが気付き出し、訝りながらも抗えずその螺旋に飲み込まれていく。
史実をこうして描かれて読むのも面白い。ここまでのシリーズで一番良かった。
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螺旋プロジェクトという連作の、戦国時代、武士たちの物語。それぞれの作家が時代別に作品を作っている。次の時代を書くことになった作家は、前の時代の作品を読んでから作成するとしたら、8人の作家が参加したプロジェクトなので、相当な時間がかかったことが想像できる。
本作品含めて力作揃い。
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螺旋プロジェクトの1冊。
平安ー中世のあれやこれやは、「海」と「山」の対立が原因だったのだ!は面白いけど…。駆け足過ぎて、もったいないと思いました。
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螺旋シリーズ7作目
螺旋シリーズで1番好きな作品かも(まだ1冊残ってますが)。
これだけの長尺の歴史を任されて大変だったと思いますが、史実にかなり忠実で歴史好きを唸らせる脇役たちも登場させるあたり、随分勉強されて書かれているなあ、と感心しました。
戦国時代や幕末など、たくさんの本がでていますが平将門からつなげて読むと圧巻。まさにもののふの始まりから終わりまでの壮大なお話でした。
でも短くキレイにまとめてあるので、それもまたよかったです。
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螺旋プロジェクトの第3弾。
この作品は期間がメチャ長くて、それでも結構盛り沢山やったので、駆け足で進んだ感がまあまあ強い印象でした。
鎌倉時代のちょっと前から明治維新西南の役までの、時代の転換点?みたいなところを巧く描いていたと思います。が、平将門のところなんか、もうちょっとじっくりと読みたかった。将門と桔梗の関係とか。
新しい時代(というか国全体の組織)を作っていったのは、その時その時の世の乱れを国や民のために理想を掲げたもののふ。ただ、理想を求めて戦って理想をつくっても、それがいつか権力を維持することが目的になってしまった場合も多かったんかな。これが完全に史実と一致する訳ではないとは思いますがリアリティのある描き方だったので、昔も今とあんまり変わらなかったんかな?と思いました。新しい時代の流れを作った人物が、その瞬間から新しい時代の流れに取り残された、みたいな感じ。
平将門、源頼朝、足利義満、徳川家康、西郷隆盛、上杉謙信と権力を持った者の最期が穏やか。戦に勝つことや国を治めるプレッシャーから解放されたからかな?
期間の長い物語だったので長老と呼ばれる「超越した存在」が複数登場していましたが、少し離れたところから見守る存在ではなく、積極的に歴史に関与して流れをスムーズにする存在のように思いました。桔梗、文覚、導誉、天海、世阿弥、美吉屋五郎兵衛、坂本竜馬、道鬼。どの長老も個性的でした。
この「もののふの国」では、個人的には山族が優勢な感じがしました。ま、どっちが勝ち、とかないですが(笑)。「ウナノハテノガタ」「月人荘士」と時代が進んで、単純な山族と海族との争いだった時代から、海と山が入り乱れ入り混じって複雑な感じでした。一読だけでは、理解ができていないところもいっぱいありましたが、おおむね楽しめました。
作中で「イソベリ」「ヤマノベ」という単語が出てきて軽く興奮しました(笑)。他の螺旋プロジェクトの作品とつながっているって改めて感じました。
面白かった。
螺旋プロジェクト、引き続き読みます。
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平将門から西郷隆盛まで。
もののふの時代にうまく設定が落とし込まれている。
そもそもこれだけ長大な時代をひとつの作品で描くなんてどんなに大変だったか…
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歴史が紡がれる。平将門、源頼朝、足利高氏、楠正成、足利義満、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康、大塩平八郎、土方歳三、西郷隆盛。山の者、海の者の対立。そして少しずつ歴史がちがう。安徳帝は平家残党に守られて暮らしているし、義満は子を帝にしようと企み、土方歳三は西南の役まで生きている。海と山の対立の必要性はあまりよくわからなかった。
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大分長い歴史の時間を一冊にまとめた本。
武士という戦にかけた人々の戦い、思いをそれぞれ受け継がれていく形で続いていったのが面白かった。
いつか先生が言っていた、歴史は時代ごとで切れているものでも暗記でもなく物語であるという言葉が思い出された。
海族、山族という二項対立の螺旋プロジェクトはここでも面白さと同時に歴史の理解のしやすさにもアクセントを与えている。
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武士の世の起こりから最後を勉強した気分。
一つのコンセプトで色々な作家さんが書いた中の一冊みたい。史実にフィクションを交えて進んでいく。
歴史好きの子供が読んだら虜になりそう。
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螺旋プロで小生初、天野純希さん。歴史小説デビュー2冊目。長い時代を跨いだ海族と山族の戦いで、史実とあわせて勉強になりました。歴史小説を読むには、私には山川の日本史用語集と年表が必要と感じました。
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もののふ=武士の始まりと終わりの話なんだね。
自分ではどうにもならない時代の流れに、乗ったり、抗ったり。そういう切り口で歴史を考えたことはなかったから新鮮だった。
日本史に詳しかったら、もっと楽しめたかな?
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史実と史実の間の歴史上不明な所にうまいこと山と海の物語が織り込まれていて面白かった。
でも、年代や登場人物が飛び飛びなんで、歴史の基本を知らなかったら読みにくいかも。
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源平の戦い、南北朝の争い、戦国の世から、幕末の争乱まで千年にわたる日本の武士たちの物語に、“海族山族”の要素をうまく絡めている。各エピソードは短いけど、“長老”の存在で一つの大きな流れに…
でも、さすがに千年はちょっと盛り込みすぎだなぁ
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海族と山族という二極構造で平安時代から明治維新まで日本史の重要局面(源平合戦、南北朝、戦国、幕末維新)を描いた物語。
8作家が共通のルールに従って物語を書く螺旋プロジェクトの一作品。少しくくど過ぎると感じた。
Posted by ブクログ
螺旋プロジェクト5作目。間が空いて読み直したり、長くてかなり時間かかったが、戦いのシーンなど引き込まれて面白かった。ただ歴史物はやはり知識がないと誰が誰か分からなくなってきてもっと勉強が必要だなと思った。
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文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他
螺旋プロジェクト3冊目。
「鎌倉殿の13人」じゃん!
と興奮しながら前半読む。
世界史選択だったので、どこを読んでも新鮮。
どんな作品を読んでも、幕末とか御維新あたりがついていけなくて、泣く。
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「螺旋」プロジェクトの7冊目。今回もまた初読みの作者さん。
描くは平将門の乱から西南戦争まで、武士たちの千年に亘る戦いの物語。
歴史をなぞりながら進む話は日本史をおさらいしているようで楽しく、海族と山族の対立という趣向が取り入れられたことも含めて通説とは異なる人物像や脚色も施されていて面白く読める。
勝ち負けや生死が分かっている話の中で、とりわけ虚実入り混じった書き振り(鬼仙島が出て来た)がなされ、“長老”の言葉に間違ったほうに後押しされた、大塩平八郎の乱の件りが出色。幕末維新の章のまず最初にこの事件が置かれたところも興味深い。
対峙する相手の大きな耳や蒼い目を見て心がざわつく展開が重ねられた物語は、終盤での『この世に人がある限り対立がなくなることはない』という“声”の言う通りであったが、一方、だからこそ「対立」や「分断」について考え行動し続けようという、このシリーズで一貫して語られてきたことが思い起こされたのだった。
Posted by ブクログ
もののふの国
螺旋プロジェクト6作品目
天野純希さんの作品も初。
この螺旋プロジェクトを全部読んでみようと思わなかったら、天野さんの作品を手に取ることがなかったかも。
さて、武士の対立を海山に分けて様々な戦をなぞっている感じ。普段時代物?的なものを読まないので、歴史の勉強のような感じがしてました。
次はコイコワレへ
Posted by ブクログ
螺旋プロジェクト(私の中で)5冊目。
私がこれまで読んできた螺旋プロジェクトの中では一番海族山族の対立に真っ向から立ち向かった小説、という印象。
これだけの長い時代をほぼ全て網羅して書けるのがすごい。「もののふ」の時代として鎌倉時代から西南戦争辺りまで、まさに「螺旋」を感じることができた本だった。
ただ、時代が長すぎるせいか、事実をひたすら追ってる駆け足感みたいなものが否めず、ちょっと「漫画日本の歴史」を読んでるような感覚に陥った。それも自分の歴史の知識が乏しい故かもしれない。