小川一水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
たった270ページに、紀元前10万年から西暦26世紀の時間と、2000億人の死を詰め込むなんて、小川一水以外にできるでしょうかあ!
人類殲滅に襲いくる異星機械群と、究極知性…UIだな…を中心とした軍人ベースの知性体サブユニットたちが、時間を遡行して当時の人類の資源と科学を駆使しつつ闘い続ける。そのギリギリの砦、邪馬台国での舞台作りもお見事。ロマンスも詰め込んで…これ『天冥の標』くらい長くすることもできたろうなー。それを1冊に、しかも書き下ろすってすっごいなー。
主人公オーヴィルは、ジャンプラでやってる『Heart Gear』のアンドロイド戦士と重ねて読みました -
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ネタバレ西暦248年、不気味な物の怪に襲われた邪馬台国の女王・卑弥呼(彌与)とその従者の幹であったが、突如現れた「使いの王」オーヴィルと人語を発する剣カッティに命を救われる。
彼らは2600年後の未来から来た人工知性体で、太陽系奪回軍の参謀総長である知性体サンドロコットスのサブユニットとして創られた有体知性であるメッセンジャー・O(オリジナル、個体名はオーヴィルを選択)と、遡行軍統括の時間戦略知性体カッティ・サーク(女性の声で本体は別の場所にある)であり、彌与が襲われた物の怪は「ET」と呼ばれていた。
オーヴィルは西暦2598年に、人類の第一拠点である太陽系中枢府で生まれた。彼は人類が知識化したほ -
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ネタバレ凄く面白く読んだが、結末はあまり好みではなかった。
もう少し長くあって欲しかった、と思うのは、欲張りだろうか。きちんと許可を受けて、(たとえそれがストーリーを進行させる上で要請されるシーンでなくとも)漁をするシーンはもっと見たかったし、二人の結末が描き切られていたか、というとちょっと落ち着くには足りない感じがした。今後の展開は示してあるから想像はつくけど、一番盛り上がるところで終わってるような気がする。
ダイオードが過去の記録を漁っていたのは、合法的に結婚するためではないかと思いながら読んでいたのだが、結局「想いが通じ合っていれば」とか「世界なんて関係ない」みたいな、百合だとありがちな結 -
Posted by ブクログ
ネタバレ僕たちには
物語、しか
ない。
ひとことで云えば、気持ちの良いSF。
元々が百合アンソロジーの短編なので、それはもちろんそうで、
長編とするにあたって、それがそうであるから出てくる問題、というか社会的な部分に、触れるか触れないか。
それは見て見ぬふりをするかしないか、ということなのかも知れないけれど…
むしろそれ自体を推進剤としているようにさえ感じて、素直にぐっときました。
風穴を開けるドリルのコアチップというか。
物語の要石というか。
こういう書き方もある、なんて偉そうだけれど。
開けっぴろげで、
わざとらしくなくて。
そう。
ここには感じるべき物語しか -
Posted by ブクログ
ネタバレ意思、であるとか
意志、であるとか。
ひとが作り出したものに、それが宿るのかというのは、ひとつの大きなテーマだろう。
そこには、宿って欲しいと、思う場合と、宿られてはたまらない、と思う場合があるような。
宿って欲しい、と思うのはどこか、
愛着、や信頼感みたいなものを、作られたもの、と共有したいと云うか、
それぐらい出来てもいいんじゃない? と云うか、どうせやるならここまでやってやろう、みたいな思いがそうさせていて、
宿られてはたまらない、というのは、
そういう感情の機微、みたいなものを大事にしたいから、
或いはそれすらひとの手で造られてしまったらと思うとゾッとするから、本能的に反