磯野真穂のレビュー一覧
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哲学者と文化人類学者の往復書簡。
死ぬという生き物として根源的で最終地点にリアルに向かっていくなかで感じられたこと、思考、を互いにわたしあう。引用の哲学は一目ではわからないものもあったけど、自分と向き合うというのは、時間がかかるし、その時点でわからないことも多い、とてもゆっくりとした営みなのだなと思った。いまここに心を向けることが、さまざまなものが溢れる現代でどれだけ難しいのか、困難の当事者関係者になったときにどれほど難しいのか。とても伝わる文章だった。自分ならあっという間に構造のなかに取り込まれてしまいそう。この本を読んで、自分の心が少しでも立体的に、隙間を産み出すことができていたら嬉しい -
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がんに冒された哲学者と文化人類学者の往復書簡。6月に公開される濱口竜介監督の映画原作。
全10回のやりとりのうちとくに前半の5回までを興味深く読んだ。終わり近くになるとちょっと俺には難しい内容になったので流し読み。
なぜ他ならぬ自分が病気にならねばならないのか、という偶然性について。
玉石混淆な治療法を勧めてくる身近な人たちの善意というノイズについて(山崎元さんも同じことを書いていた)。
不運の原因として妖術を用いるアゼンデ人の知恵について。
不運を受け入れることで始まる不幸について。
自分のためというより残された人に迷惑をかけないために行われる終活について。
このへんの話が印象深い。
自 -
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その人が大切な存在になればなるほど、その人に「さようなら」をいう日の手触りがより確かになっていく
がんに罹り、医者から「急に具合が悪くなるかもしれない」と言われた哲学者と、「偶然」にも彼女と意気投合した人類学者の往復書簡。哲学者が人生の終わりに何を語るのか、みたいな大それたものではなくて「どんな感じ?」みたいな問いかけから、理知とユーモアを交えた対話が始まる。
二人の関係性が徐々に変わっていく面もあって、なんや胸がきゅっとなる。このタイミング、この関係性の二人だからこそ交えることができた言葉の数々。
興味深い言説は色々あったんだけど、一番は関係性のラインの話。例えば病気の人に相対するシチュ -
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余命わずかな哲学者と人類学者の手紙のやり取り。哲学の難しい議論もありつつ、なぜ(how でもwhy でもなくなぜこの人、この私が)この状況にいるのかが問われる。また病人という役割になってしまい、その他の自分が失われる危険について語られる。
この人の場合、哲学者という立場でのアウトプットを続けることに救われているようだ。でも何も語る手段を持たない一般人はこういう時どうしたらいいの、とも思ったが、人それぞれ病人以外の自分を保ち続けることを模索すべきなのかも。
冷静で論理的なやり取りの影に、友人としてのLINEや妄想に近い思い入れ、切迫した最期の様子が垣間見られ、感傷を許さない中で友情の深さが心を打 -
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自らがガンを患う哲学者宮野真生子さんとと文化人類学者磯野真穂さんの、病気になった人(当事者)とその周辺についての往復書簡。
死というものがあまりにもリアルなとき、当事者とその周りにいる人々に何が起こるのか、それはなぜ起こるのか、違う関係性の作り方はあるのか、みたいなことが書かれている。
対話の内容として気づきみたいなものももちろんあるけれども、後半になるにつれて宮野さんの具合が本当に悪くなっていって、その時に近づいていくリアルさがある中で、ご本人から綴られる言葉、磯野さんから贈られる言葉の凄みのようなものが印象に残った。
宮野さんが本当に最後の最後まで本書の校正やチェックなどをしていた様子も描 -
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私はシンデレラ体重とは程遠く、何ならちょっと肥満寄りの体型になりかけている今日この頃だが、なぜだか今まであまり痩せたいと思ったことがなく、真剣に痩せる努力をしたこともなかったので、終始ピンとこないことも多かった。世の若い女性たちはそれほどまでに痩せたいと思っている、いや思わされているのか…
医療文化人類学者の磯野真穂さんのご著書(共著も含む)は3冊目になる。ちくまプラマー新書ということもあり、健康を害するほどに痩せたがる若い女の子たちに向けて諭すように書かれている。
他者から承認され「選ばれる」ために未成熟な「かわいい」にとどまろうとせず、早くから大人になることを怖がらないでほしいと語る著 -
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面白かった。
思考法の転換がいかに大事であるか最近実感している。
インターネットが普及したことによって、点としての他者と自分という側面が顕著になっている節があると感じる。広い社会では点として人を認識しないと色々と手間であり、多様な他者を理解するのは時間がかかる。数字や客観的な肩書きで個人を「タグ付け」した方が楽である。
しかし、私たちはそのような社会の中で家族や友人に限らず、リアルで具体的な関わりの関係を築く。この中では「ラインを描く」ことを意識しやすいのではないか。そして、そのような関係が私たちの日々をつくる。
食べ物にまつわる摂食障害にまつわる、根本的な問題ついて、深く知ることが出来た。 -
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テーマが深く、集中して読まないと筆者の言いたいことがなかなか頭に入ってこない。が、それは単に読者の私の集中力のせいであり、すぐに頭に仕掛かり中や納期に迫られる仕事に神経がついてしまう様な私には合わなかった。だが、本書のテーマは冒頭申し上げた様に深く考えさせられるものだ。
もし私が何らかの病気を患い、明日死の宣告を受けたらこれまでの自分の人生を振り返り、良かった、充実した人生だったと納得がいくだろうか。まだやり足りないことが沢山あり、ここで死ぬのは嫌だと最後まで治療法を探し生に執着するだろうか。読み終わった瞬間に頭を過ったのはこの思いだった。私が生きている上で、仕事でもプライベートでも様々な人( -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝