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「やせたい」、そう願う人はたくさんいる。でも、どうしてやせたいんだろう? 健康のため? 「かわいい」あるいは「かっこいい」と思われたい? おしゃれがしたい? 理由はいろいろあるけれど、それに人生、振り回されていませんか? 食べること、他者と生きることをあらためて見つめなおす一冊。
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Posted by ブクログ
タイトルはダイエットだけれど、文化人類学の視点で「痩せ願望」について書かれている一冊。痩せたいの根本にある「愛されたい」という誰しもが抱く感情に触れながら進んでいく。 他人との関係性、社会的立場、可愛いの定義など、生きていく上で他者との関わりが必要だということが学べます。 「食=生きる=他人」と関わ...続きを読むるという「タグ付けされた世界」を我々は生きてるのだな。 自己肯定感=社会的自尊心にばかり目が向けられて、他人ファーストの人が増えている現代にうってつけ。自己肯定感は基本的自尊心が土台にあるから成り立ってるんだよ!と伝えたい。主語が常に「あの子」の人は、比較対象が私ではなく他人にいってしまいます。(そんな人を沢山見てきたから)他人主義が原因で自分を卑下してしまう方に是非読んでいただきたい。
全国の思春期の女の子に配りたい。 やせたい気持ちを否定するのではなく、 「どう付き合っていくか」という切り口なのが好き。
他者の視線がわたしの身体に入り込む タグ付けする関係性を越えるには タグ付けする関係性に飛び込み、そこから共にラインを引く関係性を構築して行くこと わたしらしさにも、他者の承認が必要ということにもたしかにと思う。 奇しくも同時に読んでいた「ナチスのキッチン」とも共通点を見いだす。
ダイエットがテーマではあるが、文化人類学の見地から、他者との関わり方、自分とは何か、幅広い思考の手助けとなる良書。昨今のコロナ専門家との距離感の参考にもなる。
摂食障害に造詣の深い筆者の作だったので購入しました。 しかし、読んでみると摂食障害の方はもちろん、現代社会に生きる全ての人々に向けられた本でした。 個性的であれ、と言いながら、自由に振る舞うと、わがままだ、うざい、と疎まれる。 周りからの評価に晒され、苦しんでいる全ての人々について書かれた本です。 ...続きを読む体重を気にしている方々にも「食事を数字で考え始めたら要注意」など重要な助言がたくさんあります。 ぜひお手にとって、読んでみて下さい。
・痩せている方が絶対的に良い ・痩せ型の人は自己管理が出来ており、肥満の人は出来ていない そんな考えは自分の中から生まれたと思っていたが、社会からそう思わされていたという視点に気持ちが楽になった。勿論健康を害するほどの肥満は問題ではあるが。 また、社会が「自分らしさ」を推奨する一方で 承認欲求が...続きを読む低い(ように見える)人を賞賛する傾向にあり、それらが相反する事柄である旨を適切に言語化していたのも興味深かった。 最も衝撃を受けたのは予防医学に関する記述である。予防医学は病気になっていない人の身体に積極的に干渉し、病気の原因が自己管理不足にあるという考え方を促進する恐れがあるという点だ。予防医学を志し従事する自分にとって、それは絶対的な正義だと考えていたので、このような視点を知ることができ非常に勉強になった。
夢中で読んだ。読みたいことがすべて書かれている、まさにjust for meな本。ダイエットというタイトルではあるけど、自分と他者との関係性、社会的まなざし、選び選ばれの構造、かわいいの定義、それでも人生には他者が必要ということが文化人類学的視点で丁寧に語られている名著。 今、まさに摂食障害に悩ん...続きを読むでいる10代20代の人たちにもいいと思うし、日々のSNS演出に疲れた大人たちにもいいと思う。他者から「よびかけられる」ことで自分を認識する、タグ付けの関係、点としての人間関係からラインとしての人間関係の構築へ。食べることは生きること、生きることは人と関わること。
私はシンデレラ体重とは程遠く、何ならちょっと肥満寄りの体型になりかけている今日この頃だが、なぜだか今まであまり痩せたいと思ったことがなく、真剣に痩せる努力をしたこともなかったので、終始ピンとこないことも多かった。世の若い女性たちはそれほどまでに痩せたいと思っている、いや思わされているのか… 医療文...続きを読む化人類学者の磯野真穂さんのご著書(共著も含む)は3冊目になる。ちくまプラマー新書ということもあり、健康を害するほどに痩せたがる若い女の子たちに向けて諭すように書かれている。 他者から承認され「選ばれる」ために未成熟な「かわいい」にとどまろうとせず、早くから大人になることを怖がらないでほしいと語る著者。女性が客体化され「他者」として扱われることはフェミニズムの領域でもよく指摘されることで、本著でも女性用AVでの視点の取り方を例に、女性が男性から「見られる」視点を内面化していることを指摘するが、その要因を本能に帰することは思考停止だと喝破し、世界には女性の胸に性的に全く関心を示さない部族がいる例を出しているところは、さすが文化人類学者といったところで痛快だ。 危険なダイエット法として、①強烈な「タブー」を作ること、②大胆な変身の物語をもつこと、③カリスマのいるダイエットの三要素を挙げているが、これはダイエットに限ったことではないと思った。 食べることが、カロリーや栄養素といった数字に支配されるようになると、ふつつに食べることの喜びや、おいしいという感覚すら失われる。著者は、数字に支配された「人工知能的な」生き方は、日々変化し続ける「無限定空間」で生きる力を奪うと警鐘を鳴らしている。 さらに、数字は客観的なようでいて、そこには「管理」という明確な役割があり、管理者の価値観が大きく反映されるという指摘をしており、これは非常に重要なことだと思った。前に読んだコロナの本でも指摘されていたことだが、私たちが感じたり思ったりすることは、誰かに思わされている可能性がとても高いのだと思う。誰かというのは個人に限らず、国家とか文化とか社会とか、今回で言うとカリスマ的な指導者とか… 最後は、文化人類学をツールとして使い、「タグ付けし合う関係」から、一緒にラインを描く「踏み跡を刻む関係」を目指すことを提言してしめくくる。これは宮野真生子さんとの共著「急に具合が悪くなる」でも語られていたことだ。 中高生向けに書かれた過度のダイエットは危ない的な本だと思って何気なく手に取った本だが、生き方全般のことが書かれたなかなかに骨太な本で、たいへん読み応えがあった。
面白かった。 思考法の転換がいかに大事であるか最近実感している。 インターネットが普及したことによって、点としての他者と自分という側面が顕著になっている節があると感じる。広い社会では点として人を認識しないと色々と手間であり、多様な他者を理解するのは時間がかかる。数字や客観的な肩書きで個人を「タグ付け...続きを読む」した方が楽である。 しかし、私たちはそのような社会の中で家族や友人に限らず、リアルで具体的な関わりの関係を築く。この中では「ラインを描く」ことを意識しやすいのではないか。そして、そのような関係が私たちの日々をつくる。 食べ物にまつわる摂食障害にまつわる、根本的な問題ついて、深く知ることが出来た。
教授にお薦めされて。 少なからず、自分には「痩せて承認欲求を満たしたい」と思う心があるから読んでみた。 「選ばれる側の女同士の競い合い」からくるダイエットや、そのキリの無い競争から抜けるためには「大人になる」必要がある、という話が印象に残った。
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