コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート

コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート

1,980円 (税込)

9pt

3.9

最後のお別れすら許さない病院、火葬すら立ち会わせない予防策、子どもたちへの黙食指導、至る所に設けられたアクリル板、炎天下でも外せないマスク、連呼された「気の緩み」――あの光景はなんだったのか?

人類学者が「不要不急」のフィールドワークから考えた、「和をもって極端となす」日本社会の思考の癖、感じ方の癖!

【本書の内容】
コロナ禍で連呼された「大切な命」というフレーズ。それは恐らく、一面的には「正しい」フレーズであった。しかし、このフレーズのもとに積み重ねられた多様で大量の感染対策が、もとから脆弱であった人々の命を砕いたのも事実である。そしてその余波は、いまだに続いている。

もちろん必要な対策もあっただろう。しかし、「批判を避けたい」「みんながそうしている」「補助金が欲しい」といった理由に基づく名ばかりの「感染対策」はなかったか。そのような対策が、別の命をないがしろにしていた可能性はなかったか。忘却する前に、思い出す必要があるはずだ。未来の命を大切にするために。

“出会いとは、自分が予想し得なかった人や出来事との遭遇のことを指す。だからこそ、出会いの瞬間、私たちは驚き、戸惑い、右往左往する。2020年冬にやってきたコロナも私たちにとっては出会いであった。驚いた私たちは困惑し、社会は恐れと怒りに包まれた。あれからすでに4年が経過する。人でごった返す繁華街から人影が消えたあの時の風景に私たちはどのように出会い直せるだろう。”

「出会い直し」とは、過去に出会った人や出来事の異なる側面を発見することを通じ、それらとの関係を新たに編み直すことを指す。本書では、コロナ禍のフィールドワークで集めた具体例とともに、「コロナ禍と出会い直す」ためのいくつかの視点を人類学の観点から提供する。現地に赴くフィールドワークを、研究者自らの手でエッセンシャルから「不要不急」に追いやっていいのだろうか。感染予防のためなら、暮らしのほとんどは「不要不急」になるのだろうか。

人間の生とは何か。人類学者が問いかける。

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コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    すっかり日常を取り戻し、コロナ禍のことは既に遠い記憶となりつつある今日この頃。あらためて思い出してみると、色々と奇妙なことが起こっていたように思う。この本は、文化人類学というツールを使いながら、あのとき何が起きていたかを丁寧に検証し、同じ過ちを繰り返さないようにと警鐘を鳴らす大変有意義な本だ。ただ正

    0
    2025年10月26日

    Posted by ブクログ

    ・パーティション
    2021/4 飲食店に向けての第三者認証制度のなかで必須項目の1つとなる
    2021/8/19ニューヨーク・タイムズ記事、パーティションのエアロゾル滞留が感染リスクを高めるという内容
    2022/7/14 感染拡大防止のための効果的な換気について、パーティションは空気の流れを阻害しない

    0
    2025年07月26日

    Posted by ブクログ

    この本を通じて、私はコロナ禍での日本社会の対応が、どれだけ多くの混乱や不確実性を生んだかを再確認しました。県外リスクの指摘やアクリル板の設置、さらには国民の気の緩みが感染拡大を招いたという論調など。様々な対策や指導が行われましたが、それらが果たしてどれほど有効だったのか。
    日本人がそのような状況下で

    0
    2024年08月24日

    Posted by ブクログ

    「「責任を取る」とは、なぜ自分がそれをやったかを説明できることだと思う」
    介護施設いろ葉の施設長の言葉からは、責任者としての覚悟がひしひしと伝わってくるが、果たして当時、日本の国としてのリーダーにその“覚悟”は有ったのだろうか。そもそも地域の事情を汲まない一斉休校や非常事態宣言を出す意味はどこにあっ

    0
    2024年07月12日

    Posted by ブクログ

    こういう視点もあるのか…という意味で興味深く読みました。データの客観性に対して懐疑的(人類学というのがそういうものなのかもしれません)な立場であればそういう風に考えるのだな…ということは分かりましたが、個人的にはちょっと同意できませんでした。あと、「同調圧力」に関する考察に関してはなるほど、と思いま

    0
    2025年01月01日

    Posted by ブクログ

    コロナ禍はコロナ対策としての正義が闊歩した。それに対する検証としてアフターコロナの今として書かれた書。あの時は仕方なかったではなく、繰り返さないためにはどうしたら良いかとのことだが、著者は医療が力を持ちすぎたとの評価だが、持ちすぎたのではなく、政府が医療に全て責任を押し付けようとしたのが現状であり、

    0
    2024年10月19日

    Posted by ブクログ

    基本的に医学の論理が人の思考行動規範に良くも悪くも多大な影響を与えてしまったコロナ禍を、人類学の眼差しから見つめ直す重要性はわかるし、問題意識も概ね合意できる。
    一方で、緊急事態宣言を雨乞いの儀式に準えて「感染にも降雨にも周期性があり、〜周期に合わせて儀式を行えば、すなわち宣言を発出すれば、それら周

    0
    2024年08月23日

    Posted by ブクログ

    コロナ禍を自分とは違う観点から見つめ直してみたくて読みました。

    考え方は概ね理解できましたが、気持ちの面でうまく整理できませんでした。

    本書を読み、コロナ禍の印象はここの体験で大きく変わるのかもしれません。
    だからこそ、本書のように専門領域からの分析と発信が大切なのだと思いました。

    0
    2024年06月14日

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