磯野真穂のレビュー一覧
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すっかり日常を取り戻し、コロナ禍のことは既に遠い記憶となりつつある今日この頃。あらためて思い出してみると、色々と奇妙なことが起こっていたように思う。この本は、文化人類学というツールを使いながら、あのとき何が起きていたかを丁寧に検証し、同じ過ちを繰り返さないようにと警鐘を鳴らす大変有意義な本だ。ただ正直なところ、またパンデミックが起きたら日本人は同じことを繰り返すんだろうなという落胆も禁じ得ない。
たびたび発せられる「気の緩み」という言葉に着目したり、専門家=医療従事者の目線だけで「不要不急」が決められていることに疑問を持ったり、文化人類学という視点は非常に面白い。県境を跨いだ移動にあれほどま -
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・パーティション
2021/4 飲食店に向けての第三者認証制度のなかで必須項目の1つとなる
2021/8/19ニューヨーク・タイムズ記事、パーティションのエアロゾル滞留が感染リスクを高めるという内容
2022/7/14 感染拡大防止のための効果的な換気について、パーティションは空気の流れを阻害しないように設置されなければならない
効果に疑問符がつけられたにもかかわらずパーティション設置要項は変更なし
5類移行後に徐々に姿を消していく
・新型コロナと出会い直す 武漢肺炎
実際に掛かる前に情報によって知る、直接経験を書いたまま情報経験のみが圧倒的に先行
福井新聞に掲載された感染者相関図の人気、社会 -
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この本を通じて、私はコロナ禍での日本社会の対応が、どれだけ多くの混乱や不確実性を生んだかを再確認しました。県外リスクの指摘やアクリル板の設置、さらには国民の気の緩みが感染拡大を招いたという論調など。様々な対策や指導が行われましたが、それらが果たしてどれほど有効だったのか。
日本人がそのような状況下で、身体的に「基本だ」とすり込まれた行動様式は、理論や合理的な考えが入り込む余地を失わせ、感情や不安に基づく対応が優先されるようになったのではないかと感じました。
さらに、「あなたの無自覚な行動が人を殺す」というフレーズが、まことしやかな説得力があり、戦時中の日本国民の感情と重なる部分があると感じま -
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この本の素晴らしさは後書きにあると思う。本書を購入された際に後書きを見てほしいが、ここでは簡単なサマリを備忘録的に残しておく。
人は相互理解をスムーズにするために共通規範を導入し、お互いの意思疎通で齟齬が生じないように調整している。例えば、ビジネスメールでは「いつもお世話になっております」と冒頭に書くのがマナーになっているが、この一文があるだけで「私はちゃんとビジネスマナーを分かってますよ」と相手に伝えるシグナルになり、相互理解を円滑にするきっかけになっている。そして、共通規範はコミュニケーションの予測可能性を与える。ビジネスメールのフォーマットが決まっているから、読み手は簡単に内容を理解で -
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優しくて、丁寧な内容だった。「正しく考える」「正しく生きる」ということを少しでも窮屈に感じたことがある人であれば、読むことで少し自由になる(これまで立脚していた点が、さまざまある点のうちの一つに過ぎず、他にも立脚できる点があることがわかる)のでないかと思った。
情報経験だけでなく直接経験を多く持ちたくなった。また、内心怯えながらでも、多くのものや人に出会い続けて、ラインを積極的に引き続けていきたいと感じた。
個人的な備忘のために以下少し要約を記載。
味わい深い内容なので、また読み直したい。
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「自分らしさ」と聞くと一般的には、自らの内部にある考えや思い -
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Posted by ブクログ
テーマが深く、集中して読まないと筆者の言いたいことがなかなか頭に入ってこない。が、それは単に読者の私の集中力のせいであり、すぐに頭に仕掛かり中や納期に迫られる仕事に神経がついてしまう様な私には合わなかった。だが、本書のテーマは冒頭申し上げた様に深く考えさせられるものだ。
もし私が何らかの病気を患い、明日死の宣告を受けたらこれまでの自分の人生を振り返り、良かった、充実した人生だったと納得がいくだろうか。まだやり足りないことが沢山あり、ここで死ぬのは嫌だと最後まで治療法を探し生に執着するだろうか。読み終わった瞬間に頭を過ったのはこの思いだった。私が生きている上で、仕事でもプライベートでも様々な人( -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝