磯野真穂のレビュー一覧

  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること
    教授にお薦めされて。
    少なからず、自分には「痩せて承認欲求を満たしたい」と思う心があるから読んでみた。

    「選ばれる側の女同士の競い合い」からくるダイエットや、そのキリの無い競争から抜けるためには「大人になる」必要がある、という話が印象に残った。

  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    第一部のリスクの手ざわりは、非常にわかりやすく、少数民族の長年培われてきたリスクの伝え方や、予防医学の中の抗血栓療法で多用されている元巨人の長嶋さんのレトリック。HIV,BSE、新型コロナでの志村けんさんや岡江久美子さんの報道とどんどん腹落ちする内容。一方、第二部の狩猟採集民、自分らしさの後からは一...続きを読む
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学
    「話を聞くだけで看護」という言葉が、何もできない時の逃げ道のようで、好きではなかった。けど、この本でその重要性が説得力をもって書かれていた。

    「標準化が不可能なそれぞれの患者の文脈に、医学という知を混ぜ合わせていく」「医療者の専門知と患者の人生の間に、再現性のない知を立ち上げる」「人間の営みが本来...続きを読む
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    第一部、第二部、そして終章と続く。最初の二部は全て終章のためにある。難解なテーマを平易な言葉で紡ぎ、一気に最終章まで引き込まれてしまった。前著の「急に具合が悪くなる」は未読であるが、もしかしたらそれに続くものかもしれないと思いながら終章を読んだ。「私たちが生の実感を感じる時はいかなる時か。それは少な...続きを読む
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    ちょっと不思議な構成の本だった。

    第一部は病気のリスクの話。

    統計的なリスクと個人に降りかかることとの落差。こういうことをしたらしなかった場合と比べてこうなる人の割合は◯%アップする、とか。いや、だけどこうなるかどうかは、個人にとっては一かゼロでしょ、というのはいつもわたしが思ってることだし、対...続きを読む
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    なんかとても時期を選んで出てきた感じ。先は見えない。落ち着いては来ている。いろいろと面白かった。深い時間というのがわかったようなわからないような。
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    大事なことが書かれていることは分かるが、きちんと理解したのかと言われるとうまく説明できない。再読してみたい。

    医学的なエビデンスに基づいている風に書かれている生き方、健康に関する情報が巷にはあふれている。それらの情報発信者に騙そうという意志はないと思うけれど、踊らされているのかもしれない。私たちが...続きを読む
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    自分とは。そもそも人とは。他者との関係性の中で生じるということについて捉え直すきっかけになった。本著後半、特に、「自分らしさ」の孕む矛盾について記述した章と、「他者の生き方を評価することの慎み深さ」について記述した章は感銘を受けた。
    全体を通して、難しい言葉が多かった。
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学
    リスク認知から異なる人間観のモデル、そして他者と共に時間を生成すること。
    関係論的人間観に基づく考え方が新鮮。個人という観念が実は自明ではないのではということ。
    そして自他が生成される過程。
    最後の偶然と必然の時間感覚の提唱はおもしろかったが、理論を俯瞰して本の最後でにわかに景色が開けたような、そん...続きを読む
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    第2弾の方が面白かったから、遡ってこの第1弾も。識者による未来予測だから、概ね似た内容になるのはむべなるかなで、『とんでもないな』って思うことは無い反面、そこまでインパクトの大きい論説には出合えなかったり。ただ、そんな中でも探検家・角幡さんの投稿はかなり移植で、だからこそ際立って面白く感じられた。コ...続きを読む
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること
    選ばれる側と選ぶ側の話は本当に考えさせられました。いつのまにか、自分は選ばれる側にまわっているのだと気付かされた。色や数字の話も、そうですが人間の本来のあるべき姿(最初の原点)から時代が成長し、かけ離れて本質を見失ってしまう。感覚や感情など人間にしかないものを存分に味わい吸収するべきだなって思いまし...続きを読む
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    コロナ後の未来のお話が1年経った今も現在進行形の状況でもフィットする内容でした。専門分野の方達がそれぞれの違った視点で社会とパンデミックの関わり合いがとても参考になりました。今後さらに深掘りしたいですね。
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること
    ダイエットで苦しむ全ての人(特に女性向け)に向けた処方箋。ダイエットの意味や目的を文化人類学の視点から根底的に見直し、痩せたい気持ちと上手く付き合う方法を提案している。

    この本を読めばダイエットに苦しんでいる人に対して、「他人のことなんて気にするな」とか「太ってても気にしないよ」などの言葉を掛けて...続きを読む
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること
    自分の感性で食べることを蔑ろにし栄養学的、医学的なものの見方で食べ物、食事方法を無理やり自分に課し続けると、いずれ今までできていた「普通に食べる」ことが困難になると警鐘を鳴らした1冊です。途中その様を不完全な人工知能になぞらえて読者に問いただしてきたところはハッとさせれらました。
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

    ダイエットを否定していません。しかし,手放しに肯定もしていません。
    
    ダイエットにまつわる功罪を冷静に分析し,ダイエットに囚われない在り方を考えています。
    
    「点からラインへ」という話は大変面白いのですが,「視点の提供」以上になれていないのではないかというこのもやもやをどう考...続きを読む
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学
    実際に現場にいても答えのないことばかりだし、evidence全盛とはいえ結局はnarrativeに一例ずつ向き合うしかないのが現状。

    手術室でここからは清潔だとそこにいる皆が信じて動くのは呪術なのだという考えは面白い。
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    誰もが気になっているだろうし、自分も気になっているコロナ後の社会。それを考えるヒントになりそうだと思って読んでみた。

    読んでみて、やはりコロナ後の世界は誰にもわからないのだという、当たり前だけれどちょっとホッとする自分なりの結論。でも、少なくともコロナ以前に戻ることはないし、新しい社会を作り上げる...続きを読む
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
    某所読書会課題図書.養老さんとブレイディみかこさんに出てきたブルシット・ジョブとキーワーカーの対比、世界レベルのアイデンティティの創造(p71)、政府とIT企業の連携で見えてくる世界(p77)、国家を超える連帯の必要性(p87)、リベラル層が強権発動を言い募る危うさ(p99)、ケア階級の再認識(p1...続きを読む
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること
    痩せている方が美しい。痩せなくては…。
    可愛くあらなくては…。

    これは私たちにかけられた一種の呪いである。
    本著ではその呪いのありかをあぶり出し、言語化し、その価値を問いかけている。
    そして本当に自分がなりたいと思う自分とはどんな形をしているのか?
    著者のそんな問題提起メッセージや問題提起が伝わっ...続きを読む
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学
    文化人類学者の観点から、現代の日本医療について分析する一冊。

    内容は多岐にわたるので統一感はないものの、現場の意見が知れて勉強になった。