磯野真穂のレビュー一覧

  • コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート

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    この本を通じて、私はコロナ禍での日本社会の対応が、どれだけ多くの混乱や不確実性を生んだかを再確認しました。県外リスクの指摘やアクリル板の設置、さらには国民の気の緩みが感染拡大を招いたという論調など。様々な対策や指導が行われましたが、それらが果たしてどれほど有効だったのか。
    日本人がそのような状況下で、身体的に「基本だ」とすり込まれた行動様式は、理論や合理的な考えが入り込む余地を失わせ、感情や不安に基づく対応が優先されるようになったのではないかと感じました。

    さらに、「あなたの無自覚な行動が人を殺す」というフレーズが、まことしやかな説得力があり、戦時中の日本国民の感情と重なる部分があると感じま

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    2024年08月24日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    人類学の眼差しは普段巡り会う機会がなくとても新鮮で、他者への想像力をより豊かにしてくれる感覚があります。
    本書も例外なく興味深く、サイエンスを冠しながら単純化されたエビデンスも確かでない狩猟採集民族への幻想に対する批判や自分らしさが結局他者との関係性の中で成立することへの指摘などに触れることができ、自分自身がなんとなく感じていた違和感のひとつ答えのかけらに出会った感覚がありました。

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    2024年08月21日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    全国の思春期の女の子に配りたい。

    やせたい気持ちを否定するのではなく、
    「どう付き合っていくか」という切り口なのが好き。

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    2024年04月14日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    この本の素晴らしさは後書きにあると思う。本書を購入された際に後書きを見てほしいが、ここでは簡単なサマリを備忘録的に残しておく。

    人は相互理解をスムーズにするために共通規範を導入し、お互いの意思疎通で齟齬が生じないように調整している。例えば、ビジネスメールでは「いつもお世話になっております」と冒頭に書くのがマナーになっているが、この一文があるだけで「私はちゃんとビジネスマナーを分かってますよ」と相手に伝えるシグナルになり、相互理解を円滑にするきっかけになっている。そして、共通規範はコミュニケーションの予測可能性を与える。ビジネスメールのフォーマットが決まっているから、読み手は簡単に内容を理解で

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    2022年10月30日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    ネタバレ

    20年前の自分に読ませていたら、頼りないタグを追い求めることにエネルギーを消費せず、踏み跡を刻む他者との出会に目を開くことができたのではないか。

    とはいえ、今の自分を振り返れば唯一無二の私のラインがそこに確実にあり、そのムダの多いうねった線にも愛着を感じられるくらいの年の取り方ができていると気づく。

    数字と色の概念のない部族の世界には、何かを「理想的」とする概念もないのかも知りたい。

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    2022年09月23日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    物事を簡単に語って済ませてしまわない知性。
    何度も読み返してみたい。そんな本との出逢いに感謝します。

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    2022年08月16日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    他者の視線がわたしの身体に入り込む

    タグ付けする関係性を越えるには
    タグ付けする関係性に飛び込み、そこから共にラインを引く関係性を構築して行くこと

    わたしらしさにも、他者の承認が必要ということにもたしかにと思う。

    奇しくも同時に読んでいた「ナチスのキッチン」とも共通点を見いだす。

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    2022年04月27日
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学

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    医療人類学者・磯野真穂さんの著書。インタビューを通して、医療者の苦悩や葛藤が描かれていて、人類学的視点から考察されている。

    特に気になったのは、医学と医療の違い、そして「患者中心の医療」のこと。

    ・・・

    p163 「医療者の仕事の根幹は、モノとしての人間を徹底的に標準化することで体系づけられた医学という知を、それぞれの患者の人生にもっとも望ましい形でつなぎ合わせ、オーダーメイドの新しい知を患者と共に作り出していくことにある。」

    p164 「医療者の仕事は医学を医療に変換すること。」

    まさにこれは患者中心の医療のことじゃないかと思って読み進めると、やはりエピローグにもまとめられていた。

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    2022年04月10日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    良書。ターニングポイントで読み返したい一冊。「自分らしさ」の考察は、先日読んだ『ダイエット幻想』の内容から発展したもの。日本人の遺体に対する考えに関する項では、原爆で亡くなった曽祖父と大叔母を「火葬できた」事に感謝していた曾祖母の言葉を思い出した。

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    2022年03月02日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    ダイエットがテーマではあるが、文化人類学の見地から、他者との関わり方、自分とは何か、幅広い思考の手助けとなる良書。昨今のコロナ専門家との距離感の参考にもなる。

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    2022年02月01日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    優しくて、丁寧な内容だった。「正しく考える」「正しく生きる」ということを少しでも窮屈に感じたことがある人であれば、読むことで少し自由になる(これまで立脚していた点が、さまざまある点のうちの一つに過ぎず、他にも立脚できる点があることがわかる)のでないかと思った。

    情報経験だけでなく直接経験を多く持ちたくなった。また、内心怯えながらでも、多くのものや人に出会い続けて、ラインを積極的に引き続けていきたいと感じた。

    個人的な備忘のために以下少し要約を記載。
    味わい深い内容なので、また読み直したい。

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    「自分らしさ」と聞くと一般的には、自らの内部にある考えや思い

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    2022年01月27日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    他者と関わりながら生きるとは、どういうことなのか?
    一見当たり前のような問いの本質は、人間とは?生きるとは?という人生観につながってる。
    本書では様々な事例を元に、この哲学的な問いに丁寧な補助線が引かれていく。
    医療における私たちが感じる選択の難しさや、様々な文化を持つ民族の考え方、コロナ禍で日々私たちを追い込んでいく数字など、読んでいて悲しくなったり驚いたりしながら、人との関わり方の多様な視座が示される。
    他者と愛を持って関わりたくなる一冊。

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    2022年01月23日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    この本は、全体を通して「手ざわり」がテーマになっていると思います。
    まず、ひとりの医師としてこの本を読んで、自分は目の前の患者の生活を過度に医療化してしまっていないだろうかと、振り返るきっかけになった。エビデンスや統計学的情報を絶対的「正しさ」として振りかざして、その人のもつ経験や物語、「手ざわり」感を、ないがしろにしてしまっていないだろうか。
    後半で語られる「関係論的時間」の概念は、時間というある種無機質にも感じるものに、「手ざわり」感をもたせてくれるようで、新鮮に感じました。

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    2022年01月18日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

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    ネタバレ

    1人めの養老先生の「私の人生は「不要不急」なのか?」という問いでガツンと来る。数に限りがある人工呼吸器を若い患者、高齢の患者どちらに使うかで、現実にトロッコ問題が発生しているとは。「トライアル・アンド・エラー」ではなく「トライ・アンド・エラー」という表現は相変わらず気になる。伊藤隆敏さんのページにもあるように現金給付は一律じゃなくてもよかったんじゃないかと思う。ブレイディみかこさんのページにあるように普段質問しなかった子がオンラインだと質問するようになったみたいな予想していなかった変化は今後も起こるだろう。

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    2020年09月22日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    摂食障害に造詣の深い筆者の作だったので購入しました。
    しかし、読んでみると摂食障害の方はもちろん、現代社会に生きる全ての人々に向けられた本でした。
    個性的であれ、と言いながら、自由に振る舞うと、わがままだ、うざい、と疎まれる。
    周りからの評価に晒され、苦しんでいる全ての人々について書かれた本です。
    体重を気にしている方々にも「食事を数字で考え始めたら要注意」など重要な助言がたくさんあります。
    ぜひお手にとって、読んでみて下さい。

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    2020年09月07日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    ・痩せている方が絶対的に良い
    ・痩せ型の人は自己管理が出来ており、肥満の人は出来ていない

    そんな考えは自分の中から生まれたと思っていたが、社会からそう思わされていたという視点に気持ちが楽になった。勿論健康を害するほどの肥満は問題ではあるが。

    また、社会が「自分らしさ」を推奨する一方で
    承認欲求が低い(ように見える)人を賞賛する傾向にあり、それらが相反する事柄である旨を適切に言語化していたのも興味深かった。

    最も衝撃を受けたのは予防医学に関する記述である。予防医学は病気になっていない人の身体に積極的に干渉し、病気の原因が自己管理不足にあるという考え方を促進する恐れがあるという点だ。予防医学

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    2020年05月24日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    夢中で読んだ。読みたいことがすべて書かれている、まさにjust for meな本。ダイエットというタイトルではあるけど、自分と他者との関係性、社会的まなざし、選び選ばれの構造、かわいいの定義、それでも人生には他者が必要ということが文化人類学的視点で丁寧に語られている名著。

    今、まさに摂食障害に悩んでいる10代20代の人たちにもいいと思うし、日々のSNS演出に疲れた大人たちにもいいと思う。他者から「よびかけられる」ことで自分を認識する、タグ付けの関係、点としての人間関係からラインとしての人間関係の構築へ。食べることは生きること、生きることは人と関わること。

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    2019年11月27日
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学

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    経済学などの観点から医療を分析した本は
    これまでもあったが、文化人類学からの
    アプローチ。

    現代の、必ずしも「治すための医療」とは異なる
    医療が生み出す、複雑な局面を切り取る
    意欲作。

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    2017年09月03日
  • 急に具合が悪くなる

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    乳がん末期の哲学者と文化人類学者の往復書簡。
    少し前にポッドキャストエキスポというイベントに行き、たまたま磯野さんがお話しされいるのを聴いたのだがそれが面白かった。その後に興味を持ち磯野さんのポッドキャスト、からだのシューレを聴いてみたところ、本が映画化されカンヌ映画祭で賞を獲ったというお話をされていた。気になって読んでみた。
    哲学者の視点で、患者になりきってしまうことへの抵抗、出会いのこと、死に接しても未来を見て生きること、お互いの関係性の大切さが書かれていた。宮野さんの専門である偶然性を軸に、偶然であるが故に、出会いとは、生きるとはなんなのかということが書かれていた。
    時間が限られて来てい

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    2026年06月07日
  • 急に具合が悪くなる

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    先月のカンヌ国際映画祭で女優賞を獲った「急に具合が悪くなる」の原作本です。
    がん患者で哲学者の宮野真生子さんと人類学者の磯野真穂さんによる10回の往復書簡、そこには鬼気迫るものがあった。この映画、絶対見てみたい。

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    2026年06月06日