磯野真穂のレビュー一覧

  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    摂食障害に造詣の深い筆者の作だったので購入しました。
    しかし、読んでみると摂食障害の方はもちろん、現代社会に生きる全ての人々に向けられた本でした。
    個性的であれ、と言いながら、自由に振る舞うと、わがままだ、うざい、と疎まれる。
    周りからの評価に晒され、苦しんでいる全ての人々について書かれた本です。
    体重を気にしている方々にも「食事を数字で考え始めたら要注意」など重要な助言がたくさんあります。
    ぜひお手にとって、読んでみて下さい。

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    2020年09月07日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    ・痩せている方が絶対的に良い
    ・痩せ型の人は自己管理が出来ており、肥満の人は出来ていない

    そんな考えは自分の中から生まれたと思っていたが、社会からそう思わされていたという視点に気持ちが楽になった。勿論健康を害するほどの肥満は問題ではあるが。

    また、社会が「自分らしさ」を推奨する一方で
    承認欲求が低い(ように見える)人を賞賛する傾向にあり、それらが相反する事柄である旨を適切に言語化していたのも興味深かった。

    最も衝撃を受けたのは予防医学に関する記述である。予防医学は病気になっていない人の身体に積極的に干渉し、病気の原因が自己管理不足にあるという考え方を促進する恐れがあるという点だ。予防医学

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    2020年05月24日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    夢中で読んだ。読みたいことがすべて書かれている、まさにjust for meな本。ダイエットというタイトルではあるけど、自分と他者との関係性、社会的まなざし、選び選ばれの構造、かわいいの定義、それでも人生には他者が必要ということが文化人類学的視点で丁寧に語られている名著。

    今、まさに摂食障害に悩んでいる10代20代の人たちにもいいと思うし、日々のSNS演出に疲れた大人たちにもいいと思う。他者から「よびかけられる」ことで自分を認識する、タグ付けの関係、点としての人間関係からラインとしての人間関係の構築へ。食べることは生きること、生きることは人と関わること。

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    2019年11月27日
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学

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    経済学などの観点から医療を分析した本は
    これまでもあったが、文化人類学からの
    アプローチ。

    現代の、必ずしも「治すための医療」とは異なる
    医療が生み出す、複雑な局面を切り取る
    意欲作。

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    2017年09月03日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    神保町の共同書店「PASSAGE」でたまたま出会った本。ケアに関心があったので読んでみようと購入。独特の文体で最初は少し読みづらさを感じたが、中身はとても面白い。「人を動かす力は暗喩より直喩」とか、「思考と感覚の二分法をこわすというより両者を貫通し、往来すること」とか、「"自分らしい"には社会的承認が必要」とか、唸るような気づきが詰まっていた。その先の「私たちらしさ」とはなにか。魂や運命を言葉でうまく表現しているのも素晴らしい。対話しても面白そうな本。

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    2025年11月24日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    私はシンデレラ体重とは程遠く、何ならちょっと肥満寄りの体型になりかけている今日この頃だが、なぜだか今まであまり痩せたいと思ったことがなく、真剣に痩せる努力をしたこともなかったので、終始ピンとこないことも多かった。世の若い女性たちはそれほどまでに痩せたいと思っている、いや思わされているのか…

    医療文化人類学者の磯野真穂さんのご著書(共著も含む)は3冊目になる。ちくまプラマー新書ということもあり、健康を害するほどに痩せたがる若い女の子たちに向けて諭すように書かれている。

    他者から承認され「選ばれる」ために未成熟な「かわいい」にとどまろうとせず、早くから大人になることを怖がらないでほしいと語る著

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    2025年11月22日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    面白かった。やや、難しい書き方も多かったけれど。自分的に言い換えれば、「生きることの密度はどのようにして決まりうるのか」というテーマなのかなと思う。

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    2025年08月31日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    面白かった。
    思考法の転換がいかに大事であるか最近実感している。
    インターネットが普及したことによって、点としての他者と自分という側面が顕著になっている節があると感じる。広い社会では点として人を認識しないと色々と手間であり、多様な他者を理解するのは時間がかかる。数字や客観的な肩書きで個人を「タグ付け」した方が楽である。
    しかし、私たちはそのような社会の中で家族や友人に限らず、リアルで具体的な関わりの関係を築く。この中では「ラインを描く」ことを意識しやすいのではないか。そして、そのような関係が私たちの日々をつくる。
    食べ物にまつわる摂食障害にまつわる、根本的な問題ついて、深く知ることが出来た。

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    2025年04月22日
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学

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    医療者も悩みながら目の前の患者さんに対応してること、丁寧に描かれていました。
    とても読み応えのある内容、おすすめです。

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    2024年11月21日
  • コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート

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    「「責任を取る」とは、なぜ自分がそれをやったかを説明できることだと思う」
    介護施設いろ葉の施設長の言葉からは、責任者としての覚悟がひしひしと伝わってくるが、果たして当時、日本の国としてのリーダーにその“覚悟”は有ったのだろうか。そもそも地域の事情を汲まない一斉休校や非常事態宣言を出す意味はどこにあったのか。
    安倍氏亡き今となってはそれを確かめるためには関係者の記憶や議事録等に頼るしかないけれど、
    同じ轍を踏まないために、“説明”を求め続けたいし、自分も自身のリーダーとして何があったか、その時どう考え行動したかを忘れないようにしたい。


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    2024年07月12日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    テーマが深く、集中して読まないと筆者の言いたいことがなかなか頭に入ってこない。が、それは単に読者の私の集中力のせいであり、すぐに頭に仕掛かり中や納期に迫られる仕事に神経がついてしまう様な私には合わなかった。だが、本書のテーマは冒頭申し上げた様に深く考えさせられるものだ。
    もし私が何らかの病気を患い、明日死の宣告を受けたらこれまでの自分の人生を振り返り、良かった、充実した人生だったと納得がいくだろうか。まだやり足りないことが沢山あり、ここで死ぬのは嫌だと最後まで治療法を探し生に執着するだろうか。読み終わった瞬間に頭を過ったのはこの思いだった。私が生きている上で、仕事でもプライベートでも様々な人(

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    2024年01月14日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

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    コロナ禍の数年前、未来がわからない時に書かれた文章を一応社会が再び動き出した時に読む。そこには色々な気づきがあると思いました。

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    2023年10月04日
  • コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線

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    現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
    この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
    この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝

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    2023年04月28日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    難しいテーマを平易に描いてる。はずだがそれでも私には難しい。
    統計学的人間観はとても大切。だが取り扱い方が上手い人は少ない。長生きすれば幸せなのか、には答えられないので。
    正しく恐れる、って時に弊害生むのね
    自分らしさ、は周囲の環境があって初めて決まる。観測するから、何が他者に比べユニークかがわかる

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    2023年04月23日
  • ダイエット幻想 ──やせること、愛されること

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    教授にお薦めされて。
    少なからず、自分には「痩せて承認欲求を満たしたい」と思う心があるから読んでみた。

    「選ばれる側の女同士の競い合い」からくるダイエットや、そのキリの無い競争から抜けるためには「大人になる」必要がある、という話が印象に残った。

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    2022年11月08日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    第一部のリスクの手ざわりは、非常にわかりやすく、少数民族の長年培われてきたリスクの伝え方や、予防医学の中の抗血栓療法で多用されている元巨人の長嶋さんのレトリック。HIV,BSE、新型コロナでの志村けんさんや岡江久美子さんの報道とどんどん腹落ちする内容。一方、第二部の狩猟採集民、自分らしさの後からは一気に難しかった。統計学的人間観、関係論的人間観あたり。読み返し要。

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    2022年10月23日
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学

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    ネタバレ

    「話を聞くだけで看護」という言葉が、何もできない時の逃げ道のようで、好きではなかった。けど、この本でその重要性が説得力をもって書かれていた。

    「標準化が不可能なそれぞれの患者の文脈に、医学という知を混ぜ合わせていく」「医療者の専門知と患者の人生の間に、再現性のない知を立ち上げる」「人間の営みが本来そのような再現性のないものである以上、医療という知もまた再現性のなさをはらむ」。
    話を聞くというのはその過程で必要なことであり、医学の知と(治療しないことも含めて)融合させるところに目的がある。つまり看護においては、車の片方のタイヤだ。積年のモヤモヤがすっきりした。

    あと、手術(科学)と呪術の話、

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    2022年10月02日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    第一部、第二部、そして終章と続く。最初の二部は全て終章のためにある。難解なテーマを平易な言葉で紡ぎ、一気に最終章まで引き込まれてしまった。前著の「急に具合が悪くなる」は未読であるが、もしかしたらそれに続くものかもしれないと思いながら終章を読んだ。「私たちが生の実感を感じる時はいかなる時か。それは少なくとも関係論的時間においては、相互作用の中で他者と時間を生成している局面のことであり、その時、時間の曲線は統計学的時間を凌駕する」。著者は終末期の人との対話で考察された。私自身は、読みながら、自助グループにおけるハイヤーパワーを連想した。「唯一の生への畏怖を宿した慎み深さ」による他者との関係で、人は

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    2022年05月05日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    ちょっと不思議な構成の本だった。

    第一部は病気のリスクの話。

    統計的なリスクと個人に降りかかることとの落差。こういうことをしたらしなかった場合と比べてこうなる人の割合は◯%アップする、とか。いや、だけどこうなるかどうかは、個人にとっては一かゼロでしょ、というのはいつもわたしが思ってることだし、対策を講じても確率的に何割かの人はそうなるわけで。平均値というのは平均でしかなくて、わたしのことじゃない。…わたしの視点に落とし込めば、そういう話が書いてある。

    が、筆者が何を言いたいのかはいまいち判然としない。

    第二部は自分らしさとはどんなことなのかについて。

    ここでもやはり統計上の平均人と個

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    2022年05月02日
  • 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学

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    ネタバレ

    なんかとても時期を選んで出てきた感じ。先は見えない。落ち着いては来ている。いろいろと面白かった。深い時間というのがわかったようなわからないような。

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    2022年04月03日