夏目大のレビュー一覧
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タコやイカは知性が高いと言われている。進化樹の中でははるか昔に枝分かれした人類とタコであるが、異なる進化の中で神経系をそれぞれで発達させているのが興味深い。人間は脳で集中制御しているのをタコでは腕部にも脳のような機能があるなど、違いはあるもののタコにはタコの心があるようだ。また、もし異星人が存在するのであれば、独自進化した異星人の心を知るためにもタコの心を研究するのは有意義だ。まずはタコになった気分を考えるというのは面白い思考実験になりそう。こんなことを考えられるのも人間の特権のようなのだけど。何冊か類書を読んだうえで、この本にたどり着いたが、読みやすくて分かりやすい。
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世界屈指の人工知能科学者が因果推論について、過去の事例や著者自身の経験・研究をもとに解説している。そもそも因果推論とはなにをすることか、人工知能の科学者がどうして因果推論について研究することになったのか、因果推論を蔑ろにしていた統計学者などの歴史、一貫して重要性を主張していた因果ダイアグラムの解説などさまざまなことが学べる。
私自身、計量経済学を中心にデータ分析を学んでいたこともあり、もともと因果推論には関心があった。本書でも述べられていたが、伝統的に?計量経済学のほとんどの教科書では因果ダイアグラムを使われることがなかった。しかし、因果ダイアグラムを駆使することで、交絡・コライダー・媒介な -
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ネタバレとてもいい本だったが、タイトル通りの内容でないことは指摘しておきます。
原題は「a wonderful life:insights on finding a meaningful existence」
直訳すると「素晴らしい人生:意味のある存在を見つけるための洞察」
フィンランドに関係する内容はほとんど記載されていません。
人生の意味はあるのかという問いは割りと最近の問い。
これまでの宗教などによる超越的なものが前提の社会では、人生の意味があることが前提だった。
その呪縛から放たれた現代では、自分で人生の意味を見つけないといけない。
人生に意味や価値を与えるのは自分自身である。
ロマン主 -
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『自主的に薬Dを服用した患者の寿命Lの観察頻度は、数学的にはP(L|D)という式で表すことになる。これは、統計学の教科書に出てくる標準的な条件付き確率の式だ。この式が表現しているのは、患者が薬Dを服用したのを見て考慮に入れた場合の寿命Lの確率Pである。P(L|D)とP(L|do(D))ではまったく違うことに注意してほしい。見ること(観察)と行動すること(介入)は根本的に違う。そしてこの違いは、私たちが気圧計の測定値の低下を嵐が来る原因とみなさない理由の説明になる。気圧計の値が下がっているのを見て、それを考慮に入れれば、嵐の確率は上がっていると考えていいが、気圧計の値を無理に下げたとしても、嵐が
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著者は熟練ダイバーでもあるそうだが、「オクトポリス」でのタコに手を引いてもらった(と感じた)体験、ジャイアントカトルフィッシュという種のイカとの交感の描写が、実らない愛を感じさせ切ない。
頭足類が地球上の動物の中で極めて特殊な位置づけの生き物であることに改めて感心。ボリュームあり読むのはちょっと大変だが良書。
P10 頭足類を見ていると「心がある」と感じられる。それは何も私たちが歴史を共有しているからではない。進化的には互いに全く遠い存在である私たちがそうなれるのは、進化が、全く違う経路で心を少なくとも二度、作ったからだ。頭足類と出会うことはおそらく私たちにとって、地球外の知的生命体に出会う -
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スキューバをしながらオクトポリスというホタテの貝殻に敷き詰められたタコ達の住処や生態を眺め、哲学や生物学の授業を受けているようだ。タコを擬人化してその知性を探りながら、読書中、私自身の意識は海底にある。ダンゴムシに心があると言われれば、それはこじ付けだと感想を述べながら、タコに知性があると言われれば、それなら分かる気がすると興奮しながら一気読み。また面白い本に出会えた。
カンブリア爆発と呼ぶ生物多様性を生む時期より前、エディアカラ紀にも多様な動物がいた事がわかってきた。6億年前だ。カンブリア爆発は、生物同士の関係性、被食者と捕食者の競争により激化したと考えられる。攻撃や防御の手段、海中を泳ぐ -
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本書でいう礼儀正しさは、 堅苦しさではなく、親切さや温厚さなどを含む、 他者への肯定的な態度のことを表している。
道徳的な意味だけでなく、 組織における成長や発展においても「他者への肯定的な態度」 が如何に必要であるかが、 分かった。
無礼な人・攻撃的な人がいると、それだけで周囲の生産性が下がり、シンプルに損害に繋がるというデータがあったり、 オンラインでも、攻撃的・高圧的・ 無礼なメール1通で多大な損害に繋がることもあるという事例などが紹介されている。
オフラインで直接会うと丁寧な人でも、オンラインの文面だけでは印象が変わることもある。
組織において多様性が重視されている昨今だが、多様性その -
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【無礼の害】
・無礼な人は同僚の健康を害する
・スタッフ同士の無礼な態度に接した顧客は、その企業に対して悪い印象をもつようになる(叱責の理由が正当なものであったとしても)
・無礼な態度に接した人は、集中力や創造性が損なわれる
・無礼な態度がもたらす悪影響は、意志の力(気の持ちよう)では乗り越えられない
【礼節の効用】
・礼節ある人は仕事が得やすく、幅広い人脈が築ける……協力を頼む同僚を選ぶとき、「その人は手伝ってもらう仕事に詳しいか」という基準よりも「その人と働くと楽しいか」という基準を重視する人の方が多い
・礼節ある人は出世の可能性が高まる……周囲から礼節ある人とみなされている人は、無礼だ -
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感動した。
400ページを超えるエッセーであり、途中で挫折しそうになった。特にイギリス風ジョークはなかなか共感できなかったり、時代的・地理的にもその文化に精通していないと理解のしにくい単語が出てきたりと、読みにくいエッセーだったと思う。しかし、人生のいろんな反省や失敗や成功や云々を描いた400ページを経て、「(男らしくないなんて関係なく)私はもっと人を大切にしたり、泣いたりして良いと思う」という、ややもすればありきたりな結論に至る過程に非常に納得感があった。
また、上記の話に直接はつながらないが、彼の自己承認欲求が高く、そのせいでちょっと褒められたくらいじゃ満足しなかった大学時代の反省が自分に -
Posted by ブクログ
英国のコメディアンである著者の生い立ちとともに、彼のその時々感じたこと、特にジェンダーやセクシュアリティに関する悩みが綴られている。
女の人も大変だけど、男だって大変なんだよ!という本ではない。どうやったら、女性が抱えているような課題を男も一緒に考えていくことができるか、つまり、「フェミニズム」としてフレームされている問題群を男性も対象に拡大するにはどうすればよいのだろう、ということを考えさせられる。
こういった課題を考える際に、個人的には、先人が勝ち取ってきた価値を尊重しながら、対象を拡大していきたいなと思う。例えば、「フェミニズム」ではなく人間全体を対象にした「ヒューマニズム」という拡 -
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幸せについて本気出して考えてみる前に読むことをおすすめします。ありがちな「幸せになれます本」とは違って、たった一つの考え方に偏らず、哲学、歴史、宗教、科学、文学、映画、社会、心理、あらゆるリファレンスを総動員して、人そのものを見つめた上で、生き方の提案をしている。はじめてこういう本を読む人は、一度では納得できないかもしれない。しかしこれを出発点にして人生を旅すれば、いつかどこかで、ああそういうことか、と思える日が来るに違いない。そう確信できる内容だった。
たとえ人間にとって、意志がもたらす影響は小さかったとしても、刺激に反応するだけの生命機械ではない存在と信じて自らを変えながら、いまこの瞬間の -
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ネタバレドロッドロの米国史を第25代大統領マッキンリー(1897-1901)~第44代大統領オバマ(2009-2017)まで辿ったもの。なお筆者の一人、オリバー・ストーンは『プラトーン』でアカデミー賞を受賞した映画監督。
アメリカ、素敵な国!一度は行ってみたいところ!ウォール街、ハリウッド、自由の女神、ジャズの国、NBA、グランドキャニオン等々。とにかく楽しそうなもの沢山!しかしながら歴史を紐解くと、そこには今の今まで連綿と続く、帝国主義的欺瞞の数々。寧ろ目を背けたくなるような事実の連続。
ざっと挙げてもこれだけの欺瞞がある。
メイン号爆発を勝手に攻撃とみなしてけしかけた米西戦争。中立と標