夏目大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いろいろな考え方に触れることができた。
印象に残ったのは、次のようなもの。
科学とは仮説と検証を繰り返し、一度立てた仮説を覆す新説の存在を常に念頭におくアプローチであるが、世間では真実を追求し、ある説が正しいことを証明するツールだと思われている。
二重性や矛盾をそのまま受容する姿勢が重要だが、人は白黒をつけたがり、ある説やアプローチのわずかなブレが明らかになっただけで極端に逆に振れる傾向がある(反ワクチンなど)。
意志力とは忍耐力ではなく、フォーカスの対象をコントロールする力である。
人は世界の乱雑な情報のうちのほんの一部を受容(人間が知覚できる光は電磁スペクトルの10兆分の1程度)して、バイ -
Posted by ブクログ
こういう因果推論的感覚というのは、人の性格によって、生得的に身につけているように見える事もある。いわゆる、騙されやすい人とそうじゃない人だ。生贄を捧げている最中に雨が降るとか、何の効用もないサプリを飲み続けていると体調が良くなり、それらが関係あるものと思い込んでしまう。関連性を常に疑うクセがついていると騙され難いが、そういう人生は楽しみが減る気もするので、ある程度のバランスが必要。疑うだけでも出口がない。因果推論とは、疑う側にも疑わない側にも、重要な審美眼を養う科学だ。
ユヴァル・ノア・ハラリは、信仰による共同幻想共通によって人々が結束するようになったと言っている。人間が想像力を持ったことと -
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Posted by ブクログ
自分自身、長い年月に渡ってスキューバダイビングを楽しんできています。
魚だけではなく、エビ・カニや貝、サンゴなどなど、水中ではさまざまな生物を目にします。
なかには、怒っているような反応を示す動物もいるので、「どこまでの生物が、意識や感情を持っているのだろう?」と、疑問に思っていました。
この疑問に答えてくれそうな、この本の存在を知り、読むことにしました。
驚いたのですが、著者は哲学者で、オーストラリアを中心に活動しているそうです。
序盤は動物の進化の過程を追いながら、神経系がどのような必要から生まれ、発達してきたのかを解説しています。
そして、タコやイカといった頭足類が持つ身体的特徴と -
Posted by ブクログ
大分面白いな
タコ(生物学/神経科学)を哲学の道具として使うだけでなく、人間の独善的(人間中心主義的)な視点を排そうとしてしっかり対象の生物の目線(気分?)からも探ろうとしていて丁寧で謙虚な姿勢が見とれた
哲学的な部分では生物学/神経科学の理論などからタコや彼らを初めとする動物全般における「心の進化」を解明しようと、従来の理論を踏襲するだけでなく最新の研究や、現場の協力者などからゴドフリー=スミス発の理論などを提示しているところも読んでいて楽しかった
単純に、古生代(エディアカラ紀やカンブリア紀)の神経系発達当初の奇妙な動物たちの描写や、ジャイアント・カトルフィッシュ(オーストラリアコウイカ) -
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Posted by ブクログ
「いいね!」について考える。
本書の原題は「ザ・ハイプマシン」で、これは、ソーシャルメディア、人工知能、スマートフォンにおける、膨大なデジタル・ソーシャル・シグナルを生成し、それが私たちの意思決定や行動に影響を与える仕組みの事。つまり、「いいね!」という仕組みを含む、我々の行動を左右するメディアの仕掛け。SNSのネットワークについて考察したり、行動経済学的見地、心理学的な分析もあり、あらゆる角度から、SNSやその仕組みの影響力を解剖した、読み応えのある本だ。
で、「いいね!」について。目的として、考えられるのは、賞賛、挨拶、証明、反応、共感、承認、同調、返礼など。個人で「いいね!」する場合