夏目大のレビュー一覧
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職場における従業員の礼儀正しさ(無礼さ)についての研究分野があるとは本書を読むまで知りませんでした。本書を読んだ人みんなが、なにかしら自分の経験で思い起こすことがあるのではないでしょうか。私自身も10年以上前の時の上司を思い出しました。彼自身営業成績は非常に良いが、部下への罵詈雑言がひどく、そのためにどんどん人が辞めていく、というような状況で、非常に殺伐とした部署でした。しかも優秀な若手ほど(他社から引く手あまたなので)離職するという状況で、その上司は最終的にグループ会社に異動(隔離)しましたが、グループ会社にいる人たちへの負の影響が出ているのではないでしょうか。
本書では、無礼な行為・発言がいかに職場の同僚の健康に害を及ぼすかだけでなく、組織全体のパフォーマンス(金銭的な業績も含む)を下げるかについて、いろいろな調査研究を紹介しています。また反対に、礼儀正しい行為をリーダー個人だけでなく組織全体で浸透させることが、いかにメンバーの生活満足度、モチベーション、やる気を高めるだけでなく、パフォーマンスにもプラスの効果があるかも示しています。ただほかのレビュワーが指摘されているように、本書で紹介されている研究について、注釈で元論文が参照されていないため、詳しく読んでみたいと思う研究があっても読めず、それは残念でした。これは本書の信頼性を下げてしまっていると思います。もしかすると著者のストーリーに都合の良い研究成果だけを抜き出して紹介しているのではないか、という疑念は残りました。
ところで、無礼な行為が同僚にもたらすマイナスの効果は、経済学の用語でいえば「外部不経済」にあたります。あたかも工場が経済活動を通じて排気ガス(外部不経済)を排出することで、周囲にいる人の健康を害しているようなものだからです。まさに文字通り「毒を吐いている」人なのです。毒(外部不経済)をなくすためには、まず毒の可視化が必要でしょう。昨今ではスマホで簡単に会話も録音できますから、無礼な人とどうしても会話しないといけない場合は録音しておいた方が良いかもしれません。そういえば、秘書や民間企業を罵っている言葉が録音されて、失脚した政治家が何人かいましたが、会社においても、要注意人物との会話時には自衛のために録音は必要と改めて思いました。また会社の人事部としては、そのような要注意人物に対して、その人のデスクに本書とイエローカード(つまりあと一回やったらレッドですよ、という意味)を置く、というルールをつくったらいかがでしょうか。 -
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ネタバレどのような人間になりたいか?
この問いを常に持ち続けることの大切さを学んだ。周囲から信頼されて信念を貫ける人間になりたい。周囲にいい影響を与え、自分も周囲から刺激を受け、成長し続けていきたいと思う。そのために礼節を重んじることはとても重要だと思った。
本書で示されている①笑顔を絶やさない②相手を尊重する③人の話に耳を傾ける、どれもできていなかった。他にも①与える人になる②成果を共有する③褒め上手になるといったことも守っていきたい。
人を指導する立場にあるが、守るべき価値観を伝え続けることの大切さや、自然に礼節が身につく環境や自分が尊重されていると思える環境を作ることの大切さも学ぶことができた。
身を守る方法として、目標を定めて進歩を実感する、自分を成長させてくれるものを見つける、社外で成功体験を積む、といったことが納得できた。他者の感情に振り回されず、過去のためではなく未来のために闘っていかなくてはならないと思った。辛い経験を思い出してその意義をあれこれ考えすぎるとマイナス思考から抜け出せなくなるので、そういった時は、どういう人間になりたいか、という未来と自分のことに集中したいと思った。 -
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ネタバレ人間とは、生まれつき意味を求める生き物(ロイバウマイスター)
人生の目的がある人ほど長生き=フランクル(ホロコーストを生き延びた)
現代人は人生の意味を自分で決めていいが、それゆえ虚しさも感じている。
自分の選択に従って生きるには核となる価値観が必要。
人生の意味深いものにすることは意外に簡単。人生を感じればいい。
カミュのシーシュポスの神話=大きな岩を永遠に上げ続ける話。映画「恋はデジャブ」と同じ。
「神が存在しないのだとしたら、すべては許されることになる」サルトル
人生に意味はあるか、の質問には先進国ほど、ないと答えた。
自分の存在がちっぽけだと知る。永遠でないことを知る。
幸福とは、悲しい人生の目標である。
ドイツ語でhappiness は、gluck、これは幸福と偶然のどちらの意味がある。
エリックワイナー『世界しあわせ紀行』=世界一いい街に住みたいと考えて、ずっと仮の住まいだと思っている人の話。幸福を追い求める人と同じ。
忙しさの罠=忙しければむなしさを感じにくい。
幸福を感じていても、もっと幸せがあるのではないかと考えてしまう。最大限の幸福に対して飢餓感があるため、今の幸せを味わえない。
アメリカは信心深い。ヨーロッパはすでに神の存在を信じなくなっている。
あと何回海水浴に行けるか。何回初日の出を見られるか。を考えたら人生ははかないもの。すべての一瞬を大事にするべき。
人生の意味は、他人にとって意味のある人間になること。友達を助ける。家族を愛する、ただ存在するだけで役割を果たしている。
「自分のことだけを考えて得になることしか興味がない人は幸福になれない。人は隣人のために生きることが自分のために生きることだから」セネカ
個人主義的な人ほど他人を信用しやすく、多数の集団に属する傾向がある。多くの社会関係資本を持つ。
他人にとって意味のある存在になれれば、自分の人生は意味のあるものになる。
ボランティア活動は強いストレスの寿命に対する悪影響を和らげる。=他人を助けると健康になり幸せになる。
日々の仕事に取り組むのは、もっと大きな社会貢献になる。
ボランティアのやりすぎに注意。自発的な行動は幸福感を高めるが強制されると逆効果。バランスをとること。
自分自身とつながる=自分の選んだとおりに生きる。自分の興味に従って行動する。
個人主義的な利他主義。個人主義とは自律していること。利他主義とは他人のことを考えること。両立できる。
老人ホームで、シーツをたたむ手伝いをしている入居者は幸せを感じている。 -
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コロナウイルス、異常気象や気候変動と、人類のこれからが不安になる現象が続く中、人類のこれからに対し多角的に警鐘を鳴らす本です。
この本は「ウイルス」「生物の絶滅」「気候変動」「生態系の危うさ」「バイオテロ」「コンピュータがもたらす危機」と6つのトピックで構成されています。戦争や核といったものではなく、「バイオテロ」「コンピュータ」といったものが取り上げられているのが、より現代の危機に即した一冊という印象を受けます。
印象的だったのは気候変動の章。自分は無意識的に地球温暖化に伴う気候変動は少しずつ進行していくものだと感じていたけれど、それは間違いかもしれないという話。
気温の上昇に伴う海流や気候の変化や生態系の変化は日々進行し、一つ一つが小さい変化でも、それが複合的に合わされば専門家も予想できない急激な気温上昇はありうるかもしれない。
現に地球の歴史でも、10年間の間に気温が10度以上上昇した時期はあるらしく、今の平均気温の上昇がその予兆かどうかは正確には誰もわからない。そうした目に見えない臨界点がある中で、自分たちはどう行動しなければならないか。
リスクはウイルスや気候だけでなく科学がもたらすものもあります。コロナウイルスのワクチンはRNAという遺伝子を利用した新しいワクチンということでも注目を集めたけれど、これはワクチンではなく新たなウイルスを生み出すにも応用できるもの。
もしテロ組織がこうした技術を使って、生物兵器を生み出すことがあれば……
この本で取り上げられている、今から約20年前、911のテロ直前に行われたバイオテロのシミュレーション、そしてアメリカの高校生が行った実験は、そんな懸念も決して突飛ではないことが感じられる。
今やインフラすらも管理しているコンピュータが乗っ取られる危険性もあります。最近でもアメリカの石油パイプラインがハッカー集団に攻撃を受け、数日間ガソリンの供給が不安定になったというニュースがあったけど、6章ではそうしたコンピュータの脆弱性が多くの事例をもって語られます。
この本で語られる危機というのは、進歩した科学技術やグローバル化によるものが大きいです。しかし人類にとってもはや、科学技術やグローバル化は手放せないものになっているのも事実。著者は絶望的な事例を数多く示しながらも、それでも人類は化学技術を駆使し、研究を続けることが今ある問題を解決する道だと語ります。
現代に生きる自分たちにとって、リスクや危機というものは数多くあるものだと思います。そのリスク、危険を知ろうとする努力。そしてそのリスクや危険を避ける選択肢を選ぶこと。それが科学の恩恵を受ける自分にできる一つの手段なのかと、読み終えて感じました。 -
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ネタバレ礼節ある人は、声がかかりやすい=仕事を得やすい。テニュアトラックの教授を選ぶ場合は礼節ある人が選ばれる。
無礼は無礼を呼び、礼節は礼節を呼ぶ。
10/5ウエイ=10フィートに近づいたら目を合わせてほほ笑む、5フィート以内に近づいたら挨拶をする。
モトリーフール社の取り組み=社員全員が全員の名前を覚えるとボボーナスが出る。最後に残った人はランチに誘ってくれといって、覚えた。
マイケルジャクソンは、コーチはコーチとして尊重した。
子どもは平均して一日400回笑う。大人で1日20回を超える人は30%しかいない。
相手を尊重する。
人の話しに耳を傾ける。
無意識の偏見に気を付ける=認知的過負荷によってステレオタイプな理解に陥りやすい。
何を与えるか=個人的リソースは与えなくてよい。情報的リソースや社会的リソースは与えてもよい。なくならないから。
自分だけの手柄にしない。
誉め上手になる=褒められた記憶は残りやすい。
評価をシェアして当事者意識を高める=社員の評価を共有する。
礼儀正しいことを当たり前にする。
サウスウエスト航空では、社員に対するときでも顧客に対するのと同じ敬意を払う、ことを理念としている。
辞めていく社員にも敬意を払う。
無礼な人に対処する方法は、自分が成功していると思うこと。成功しているとみなす人は強い。
逆境には、この逆境はどういう意味があると思うか、考える。
怒りは、過去のために戦うこと、未来のために戦うべき。
ジョーダンスピース(ゴルファー)の礼儀正しさは、人生に良い影響をもたらす。
20250116再読
礼節は自分の人も幸せにする。
グローバリゼーションにのって、礼節が悪化し続けている。無知が人を無礼にする。
理不尽な態度は思考力を奪う。
ゴア社の社長ケリーは、礼儀正しさで社長に選ばれた。良い人が勝つ、そういうことは想像するよりも多い。
マキャベリの教えは古い。
礼節がある人は仕事が得やすい。最後はどちらを選ぶか、になったとき、礼節のある人が選ばれる。
幅広い人脈が築ける。礼節がある人はリーダーにふさわしい。
人は尊重されると、自分に価値があると感じ、力を発揮できる。
「10/5ウェイ」3メートル以内なら目を合わせて微笑む、1.5m以内ならこんにちは、と声をかける。
印象の38%は、声や話し方で決まる。
毎日、日記を付ける。
食事、睡眠、運動、で自分を大切にする。
250人の会社で、全員が全員の名前を覚えられたら、賞与の20%の特別ボーナスを支給する、という課題を出した。
マイケルジョーダンの礼節を見習う。
温かい人は影響力が多く評価が上がる。そのためには礼儀正しく振る舞うこと。
笑顔を絶やさない=常に笑顔でいることは簡単ではない。意識して明るい感情を持つようにする。笑顔になれる出来事、子ども、趣味をもつ。それを意識的似考えれば笑顔になれる。誰かと会うときは、直前にそれを思い出す。作り笑いよりやりやすく、実効性がある。
10ドル分のスタバカードを社員に配る。使うときは、よく知らない職場の誰かを誘っておごらなくてはならない。
人の話に割って入りたい衝動にかられても、それをこらえる。
ワンランク上の礼節=与える人になると、自分の存在意味を感じれれる。情報リソースだけでなく、個人的リソースも分け与える。成果を共有する人になる=人をやる気にさせる方法でもある。褒め上手になる。
無礼な人を受け入れない。たとえ成功する人であっても、無礼な人はなにか問題を起こすかもしれない。無礼な社員にかかるコストは年間200万円。
「誤った人を採用するくらいなら、50人面接してもひとりも雇わない方がいい」ジェフベゾス。
経営理念として、顧客にどう接するべきか、だけでなく、社員同士お互いに敬意を持って接する、とするだけで礼節を重んじる企業になれる。ノースウエストの経営理念は、顧客、社員を区別していない。
ゴア社の礼節レベルは、360度フィードバックによる。この方法が効果があるのは、お互いに信頼があるときだけ。Googleでは、マネージャーフィードバック調査で、マネージャーの気遣いを評価している。モトリーフール社は、誰でも価値ある行動にゴールドを与えることができる。プロジェクトへの貢献、納期を守った、善い指導をした、など。ザッポス社のヒーロー賞=何か特別なことをしたときに誰でも与えられる。
改善の意思がない社員は解雇する。サウスウエスト社は無頼な顧客には、別の航空会社チケットを購入してあげる。
逆境にはどういう意味があるか、を考えることで無礼な態度をなくせる。
スピースのオーガスタでのスピーチの内容は感謝の言葉にあふれていた。全英オープンで4位だったとき、優勝選手を見届けて祝福した。 -
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近代化によって全ての人に問われるようになった「生きる意味」。これについて様々な哲学、文学、心理学の知見を基に論じている本。読んでいる序盤は、本当にこんな難題に応えることができるのだろうかと半信半疑だったが、読み終えてこんなにもスッキリとするとは思わなかった。
唯一不満があるとすればタイトルや帯が内容とかけ離れていることだろう。原著名は「A wonderful life: Insights on finding a meaning existence」であり、生きる意味への洞察を述べた本書の内容通りであるはずなのに、日本語タイトルではフィンランド人がいかなる過ごし方をしているかのような内容だと誤解を生む。確かに著者はフィンランド人だが、フィンランドを殊更に取り上げてもいなければ、帯にある幸福度ランキングも国別の比較も本書では触りに少し出てくるだけだ。
本書は生きる意味に関する洞察を巡らせ、より多くの人に納得のできる思考を展開している良書だけに、その部分だけ大いに気になってしまった。 -
Posted by ブクログ
この本は、「意識」とはなにか?人類は進化のいつの時点から「意識」を持つようになったのか?なぜ人類だけがここまで「意識」を進化させることに成功したのか?という究極の問いに、人類とは全くことなる進化経路をたどってきたタコを研究することで解き明かしていくというユニークでありながらしかし真相をするどく突いた本です。
例えば、人間は言語を操る能力を持っているけれど、その言語は単に外に向けて誰かに発せられるだけでなく、人間の意識の中で内なる自分に向けても発せられていて、それは何かを思考する上で無くてはならない能力だけど、意識の中で自分自身に向けて内なる会話をする能力を人類はいかにして手にしたのか、それは脳や視聴覚機能がどう作用して実現しているのか、賢いタコにもその能力があるのか、といった問いに、実際にオーストラリアの海に潜ってタコを長く観察してきた著者が挑んでいる本です。
なぜ、著者は、この問いを解き明かすヒントをタコをはじめとする頭足類から得ようとしたのか。それは、タコが、類人猿から進化した人類とは全く違う経路の進化をたどりながら、しかしある意味では人類と非常によく似た脳の働きと大規模な神経系を持つ賢い生き物であるからです。
例えば、ある動物にプラスチックの棒を差し出した時、ほとんどの動物はそれが食べられないものだとわかるとその棒には一切興味を示さなくなるけれど、タコは、そうだとわかった後でも、その棒を8本の手で掴んだり蹴飛ばしたりして遊んだりするらしく、これはタコがそれだけ能力に内面的な余剰があることを示唆しているそうです。
この時、タコの内面になにが起きているのか?
棒で遊ぼうとする時、人類の場合は、その決定を絶対的な中枢機関である脳が決定し、それを筋肉に伝えて手足を動かすけれど、タコの場合は、ニューロンが集まった脳のようなものが頭部付近にあるにはあるけれども、それとは別に同じようなニューロンの集まりがあの8本足付近にもあって、足にある脳とも言える部分が独自に意思決定をして足を動かすというようなことが起きているそうです。この時、頭部付近の脳は意思決定にあまり関わっていない可能性があるのだとか。
もしこれを、タコの、脳から独立した足の個別意識だとするならば、その意識はどのように決定されて足の筋肉に伝えられているのか、長い進化の歴史の中で頭足類がそういう機能を持つように進化してきた理由は何かを探っていけば、この本が挑む問いである「意識」の起源に近づけるのではないか、という筆者の研究と考察の結果が約250ページに渡って記されています。
この本は、読むのにとても難しい本です。知らない言葉がたくさん出てきます。読むのには根気が必要な一方で得られるものはタコのことが好きになるぐらいしかないのですが、それでも、自分の普段の生活とは全く関係のないこういう研究の世界があり考え方があるんだということを知れて、読んで良かったと思います。あとは、本の表紙のデザインがなかなか良くて、みすず書房さん出版の他の本も読んでみたいという気持ちになりました。