夏目大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分自身、長い年月に渡ってスキューバダイビングを楽しんできています。
魚だけではなく、エビ・カニや貝、サンゴなどなど、水中ではさまざまな生物を目にします。
なかには、怒っているような反応を示す動物もいるので、「どこまでの生物が、意識や感情を持っているのだろう?」と、疑問に思っていました。
この疑問に答えてくれそうな、この本の存在を知り、読むことにしました。
驚いたのですが、著者は哲学者で、オーストラリアを中心に活動しているそうです。
序盤は動物の進化の過程を追いながら、神経系がどのような必要から生まれ、発達してきたのかを解説しています。
そして、タコやイカといった頭足類が持つ身体的特徴と、それによりどのようなことができるかへと、話が展開していきます。
頭足類が持つ能力の中で、特徴的なものの一つが、体の色を変えられこと。
擬態とコミュニケーションという目的は推察されるものの、あまりにも複雑な表現の意味やそのメカニズムは、まだまだ未知の部分が多いようですね。
そして、人類が持つ特徴の一つとして挙げられる言語。
コミュニケーションの手段という役割だけでなく、自らの思考を整理するという役割が強調されていることが、印象に残りました。
進化の過程で、人類(脊椎動物)と頭足類(軟体動物)が分岐したのは、カンブリア紀。
その後、約6億年という時間をかけて、人類と頭足類がそれぞれ独自に、神経系を発達させてきたということに、奇跡と必然性の両方を感じました。
人類とは体の構造があまりに違う頭足類が、どのようなしくみで心身を制御しているか、研究している人や機関が多いというのも、本書を読んで納得しました。
物質の組み合わせである生物がどのようにして、心や知性を持つに至ったのか。
その要件は何で、どの生物が持っているのか。
この世界、宇宙に関する根源的な疑問について、考え方の方向性を示してもらえたように感じた一冊でした。
同じ著者の、続編に当たる書籍も邦訳されているようなので、探して読んでみようと思います。
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Posted by ブクログ
大分面白いな
タコ(生物学/神経科学)を哲学の道具として使うだけでなく、人間の独善的(人間中心主義的)な視点を排そうとしてしっかり対象の生物の目線(気分?)からも探ろうとしていて丁寧で謙虚な姿勢が見とれた
哲学的な部分では生物学/神経科学の理論などからタコや彼らを初めとする動物全般における「心の進化」を解明しようと、従来の理論を踏襲するだけでなく最新の研究や、現場の協力者などからゴドフリー=スミス発の理論などを提示しているところも読んでいて楽しかった
単純に、古生代(エディアカラ紀やカンブリア紀)の神経系発達当初の奇妙な動物たちの描写や、ジャイアント・カトルフィッシュ(オーストラリアコウイカ)やオクトポリスについての描写はワクワクしたし可愛かった
正に生物学と哲学の両輪で「心の進化」を追いかけようと様々な可能性を示しながら書かれていて面白かった
p.s.哲学が陥りがちな思索のみによる空理空論を、実際の生物に対する実験や常識的な考えから現実の舞台に降ろして考えているところに、学問に対する真摯な態度が見て取れた -
Posted by ブクログ
話は面白い。
面白いけど、とっちらかっていて、全体として何が言いたいのかよく分からない。
タコが興味深い生物ということは分かる。
人類との共通祖先から枝分かれして、それぞれ別々に同じような形質を獲得したという話は収斂進化のよう。
タコの足には神経がたくさん通っていて、足が離れても感覚があり単体で運動制御ができる、という話は怖いというか、明らかに人間とは異なるというか、人間で切り離された足がぴょんぴょん動き出したらたまらんなという気がする。赤い靴じゃないんだから。
タコの老化の話も面白い。タコの寿命は2年くらいしかなく、生殖を終えるとすぐに老化して死ぬ。
これは老化に関する有害突然変異蓄積説と整合することが述べられている。 -
Posted by ブクログ
フィンランド人は全然関係なかったけど、それを除いて良い本だった。
人生の意味を追い求めることについて。長い歴史で考えると、古い時代は宗教の力が強かったり、天災や災いなどは神や悪魔の仕業で我々ではどうすることもできないみたいな考えが当たり前だったから、人生の意味なんて追い求めることはなかった、人生に意味を求める人ができ出したのは、近代からである。近代は人生の意味を他者から与えられることはないので、自分で見つけていく必要がある。自分が何に価値を感じるかを知る。
1番心に響いたのは、死があるからこそ、死んでしまえば終わりと思ってしまいがちだが、いずれ死があるからかえって人生は意味深いものというもの。 -
Posted by ブクログ
神経系が非常に複雑に発達すると結果として意識が生じると直感的にも考えられるが、知性や認知力が鳥類や大型哺乳類などの脊椎動物とは別の進化系統であるタコやイカなど頭足類でも起きたということは非常に興味深い。脳で中央集権的な制御をしいる前者に対し、タコに代表される後者は分散的で全身に神経が張り巡らされており、触手一本一本が脳を持つと言われることもある。タコになるとどんな気分なのかを想像し、はるか古の単細胞生物からの進化史を思考実験的に味わうことができる本。著者は生物学者ではなくてスキューバが好きなオーストラリアの哲学者であるというのがまた面白い。
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Posted by ブクログ
CIAを含めて、インテリジェンスには「芸術」と「技術」のいずれか、あるいはその両方が求められる。たしかに、インテリジェンスは理性や論理だけでなく、直観が時には必要となる。しかし、本書で提供されるスキルにはそのような才能は不要である。言い換えると、一定の訓練さえすれば、誰でも技術的に再現可能なのである。したがって、どのような組織に所属した人でも十二分に使える。
現在、インターネットの発展で、おおよその情報は得られる。とはいえ、なかには情報が一般的には公開されない、秘密裏のものもある。では、これらの情報をいかにしてする収集のか、それは直接的に人間から情報を得るのである。これはある特定の人物との会話から得るもので、事実、諜報員はこのスキルを駆使して協力者を作り上げる。
しかし、そのためには他者に対する尊敬と信頼関係が欠けてはならない。もちろん人間関係を良好に維持し続けることは難しいし、いつ相手に裏切られるかはわからないが、それでも他者に敬意を表して接しないと、対人関係の構築はそもそも始まらない。たとえ敵だとしても表面上は良い雰囲気を作らなければならない。これ以外にも実践的なスキルが載っているが、いずれにせよ人間関係に関しては避けて通れない。 -
Posted by ブクログ
まず本書はタコメインではあるが同じくらいジャイアント·カルトフィッシュが良く出てくるので頭足類を主軸と捉えても良さそう。
哲学者が書く、思考や知覚に焦点を当てた進化論の本でもあるし、タコなどの頭足類という不思議な生き物たちへの愛を綴る本でもある。
本当にタコという生き物は面白い。あれだけ大きな目があるのに色覚は無さそうだし、色を変えるのは必ずしも擬態だけではないし、足は味覚だけではなく、個々でも動く、まるでタコの身体は指揮者のいるジャズバンドのようなものであったり。
心、本書では知覚·思考をすることを指すと思われるが、その進化を語るときは哲学的になるものだとは思う。数値化が難しく、感覚的に語るものになりがちだから仕方ないことだが、この手のものは生物学者が書くよりも哲学者が書くほうがこの点はわかりやすいかもしれないなと本書を読んで感じていた。
あと学者の方でもない限り、今後の人生で一番ジャイアント·カルトフィッシュという単語に目を通すことになる。 -
Posted by ブクログ
驚いたことにタコやイカは色の識別ができないらしいのだ。どうしてあんなに周囲に合わせて色を変えて擬態したり、威嚇のために体の色を変えるのだろう。
なんと、目による知覚で脳が指示するのではなく、皮膚細胞そのものが、周囲の色を感知して自律的に変化しているらしい。
これは“多くの動物では、脳と身体が明確に分かれるが、タコはその区別とは関係のない世界に生きている”ということの1つの証左なのだろう。
かといって、これはタコが感覚刺激だけで行動する、考えない動物だということではない。タコはじっくり目で見て観察してタコ同士や人間同士を区別できるし、食べられないものを使って遊ぶこともできる。
タコがあまりにも賢いため、つい擬人化したくなるが、タコは人や猫やカラスの親戚ではない。
なにせ、身体の中でどこからどこまでが脳なのかそもそも正確に定義できない、人を含む脊椎動物とは認知の仕組みが大きく異なる生き物なのだ。
筆者は生物学と神経心理学の面でタコを追求し、ダイバーとしてタコを愛する。しかし、哲学者たる筆者の面目躍如と感じるのは、ホワイトノイズから意識へと題された4章と、ヒトの心と他の動物の心の6章である。
極単純な進化的に初期の動物の中では、主観的経験はホワイトノイズに近いものだった。とりあえず常にざーと言う音が聞こえている状態に例えられる。その中で、痛みや快感といった根源的な感情、すぐに何かの反応を必要とするような感情が最初に生まれたのだろう。
これは既に主観的経験を獲得しているといえる。
主観的経験とは、「自分の存在を自分で感じること」という意味だ。別にヒトの特権ではない。
例えば、電気信号を発する魚は、主観的経験による認知がなければ、自分が発してている電気信号なのか、誰かが発した電気信号なのかの違いがわからない。つまり多くの動物たちは、主観的経験を備えているのだ。そうするとどの段階で、私たち人間が持っているような『意識』に近いものが生まれたというのが次の問いだ。
その道筋は1つではないだろう。ホワイトノイズから単純な形態の主観的経験、そして意識へと至る道は、進化の試みの中でいくつもあるはずだ。
帯びにも書かれた『進化はまったく違う経路で、心を少なくともニ度作った』ということ。
ではヒトの心と動物の心の違いを考えていくと、様々なレベルの意識が動物に備わっている中で、人間は高次思考ができる。
簡単にまとめると、「自分の思考についての思考」だ。
例えば、“なぜ自分は今、これほど機嫌が悪いのか”ということを人は考える
高次思考を行うためには、内なる声(インナースピーチ)が必要だ。言語は、コミュニケーションのための唯一の手段ではないのは事実だ。実際単純な言語手段しか持たない動物が複雑なコミニュケーションをとっている例はいくらでも見つかる。
しかし高次思考をするためには内なる声が必要であり、内なる声を獲得するためには言語化が必要である。ここが恐らくヒトの心に生じた特異性なのだろう。
“私たちは自分に向かって何かを問いかけることも多いし、自分に向かって説明や忠告をすることも多い。これは心に浮かんでは消える意味のないたわごとではない。
私たちの内面では絶え間なくおしゃべりが続く。そのおしゃべりから逃れるためには、瞑想の必要を感じるぐらいだ。”
ここではちょっと苦笑する。
寿命を進化論で論じた章や、まだ見知らぬ海で起きている進化の壮大な実験など、読みどころが多くて学びの多い一冊であった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ多くの天才科学者の理論、考え方に触れられる。
もちろんその知識や考え方を直接自分で活かすことは難しいが、あらゆる場面において間接的に活かすきっかけになることはあると感じた。ボリュームが多くて、すべてを読めてはいない。ただ、目次を見て気になるトピックに関して読むだけでも、膝を打つような新しい知識や思考に出会うことができ、新鮮な気持ちになれる。
個人的には、「iPadを使ってコンテンツを作る人が少ない理由」が面白かった。我々はiPadやFacebookアカウント、自動車などを単なる道具と思っており、それ自体に偏りがあることを考えない。
ただ、似たような機能をもった道具でもそれぞれに対して、あらゆる側面で向き不向きといったバイアスがある。iPadを持っていると、コンテンツを消費することに熱心になり、自分で新しいコンテンツを作る方にエネルギーが向きにくくなる。こういったテクノロジーにもバイアスがあることを意識して利用しなくては、危険なものになりうる。 -
Posted by ブクログ
タコの知性、なんて考えたことなかった。
それが、読んでみて驚き!
研究用に飼育しているタコが人の顔を一人ずつ記憶していて、嫌いな人がくると水をかける。
水槽の中の電球をわざと壊して遊ぶ。
食べ物でないものにも純粋な好奇心で近づいてくるように見える。タコの方から人間に近づいてきて,時には,探るように腕を伸ばしてくることさえある。手をつないで散歩をしたダイバーもいるらしい。
海は身近な小宇宙、というけれど、
ここまで知性をもつ動物がこの小宇宙にいたとは。
しかもイルカやクジラではなく、無脊椎動物ですよ?!
脊椎動物と無脊椎動物が枝分かれしたのは6億年前。
タコと合流することは、まさに「宇宙人との交信」しているようなものなんだと思う! -
Posted by ブクログ
ソウルというブラックミュージックの1ジャンルについて、私自身はそこまで詳しくないのだが、その中で最も敬愛するアーティストの一人がカーティス・メイフィールドである。
極めてソフトなその歌声と美しいメロディー、ストリングスをふんだんに使ったアレンジなど、個人的な好みとして昔から彼の作品を愛聴している。本書は彼の出身地であるシカゴで生まれたカーティスらのソウルミュージックの歴史を描いた概説書である。
シカゴ・ソウルとして本書で扱われるアーティストは本書タイトル”Move on Up”という名曲を残したカーティス・メイフィールドと彼がソロ以前に活動していたボーカルグループ、The Impressions、シル・ジョンソン、ダニー・ハサウェイなどである。
本書ではアメリカ南部から北部への黒人の大移動によって都市動態が大きく変化したシカゴという都市の政治・社会・経済などの歴史を追いつつ、丹念に各時代でどのようなアーティストが生まれたのかを追っていく。特に新設されたレコード会社・レーベル、レコーディング・スタジオや優秀なスタジオミュージシャン、ラジオ局との関わりなど、ある種のインフラとして優れた作品が生み出されていくシステムに関する記述は非常に丁寧であり、汎用性あるメカニズムとしてのシステムの様相を知ることができたのは面白かった。 -
Posted by ブクログ
「あなたに礼節があれば、仕事も、仕事を離れた人生でも必ずうまくいくはずだ。あなたが何歳でも、どういう環境にいようと、礼節を高める努力はできる。あなたは今日あった人にどういう態度を取っただろうか。もしかしてあなたが当たり前だと思っている態度は既に時代遅れかもしれない。あなたは周囲の人たちを元気づけているだろうか、それとも意気消沈させているだろうか。それをよく考えてみよう」
個人的に感じたのは、礼節とは相手に対する「敬意」がある前提ということ。相手の立場になって「自分を大事にしてくれている」と感じられれば、それは承認欲求にも通じ、特に組織においては「最強の武器」になるのだろう。
自分には出来てない部分も大きいので、まだまだ勉強だなぁ~