夏目大のレビュー一覧

  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

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    話は面白い。

    面白いけど、とっちらかっていて、全体として何が言いたいのかよく分からない。

    タコが興味深い生物ということは分かる。

    人類との共通祖先から枝分かれして、それぞれ別々に同じような形質を獲得したという話は収斂進化のよう。

    タコの足には神経がたくさん通っていて、足が離れても感覚があり単体で運動制御ができる、という話は怖いというか、明らかに人間とは異なるというか、人間で切り離された足がぴょんぴょん動き出したらたまらんなという気がする。赤い靴じゃないんだから。

    タコの老化の話も面白い。タコの寿命は2年くらいしかなく、生殖を終えるとすぐに老化して死ぬ。
    これは老化に関する有害突然変異

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    2024年10月24日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

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    タイトルは魅力的で、この地球の上に人類だけでなく哺乳類や鳥類もふくめ、われわれとは全くことなった心のありようがあるということが知れるだけでもワクワクするし、十分一読の価値はある。
    一方、「ダコであるとはどのようなことか」を手っ取り早く知りたいと思ってこの本を読み始めるとその期待は裏切られると思う。材料が足りない。

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    2024年10月21日
  • 世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない

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    フィンランド人は全然関係なかったけど、それを除いて良い本だった。
    人生の意味を追い求めることについて。長い歴史で考えると、古い時代は宗教の力が強かったり、天災や災いなどは神や悪魔の仕業で我々ではどうすることもできないみたいな考えが当たり前だったから、人生の意味なんて追い求めることはなかった、人生に意味を求める人ができ出したのは、近代からである。近代は人生の意味を他者から与えられることはないので、自分で見つけていく必要がある。自分が何に価値を感じるかを知る。

    1番心に響いたのは、死があるからこそ、死んでしまえば終わりと思ってしまいがちだが、いずれ死があるからかえって人生は意味深いものというもの

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    2024年09月17日
  • ソクラテスからSNS 「言論の自由」全史

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    言論の自由は、保護されるべきだと思う。私は、どちらかというと中身の是非よりも、言論や表現に自らの意思でアクセスする場合はある程度は(年齢に応じて)何でもありで、受動的だったり遮断できない状況ならば、制限が必要という立場だ。つまり、ヘイトスピーチなんかは、通行人にも聞こえてくるからダメ。性的内容も個人で読むなら良いが、お茶の間のテレビではNGみたいな境界線。ここで微妙になるのは、インターネットのリコメンドみたいな仕組みだろうか。リコメンドでプロパガンダを垂れ流すのは、やはり無しだろう。週刊誌のゴシップや迷惑系にも制限が必要。つまり、言論は自由でありたいが、その表現手法には制限が必要だ。

    と、個

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    2024年08月17日
  • ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ―――争い・裏切り・協力・繁栄の謎を追う

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    著者はシドニー大学の動物行動学の教授。
    アフリカから南極まで世界中を旅し、動物たちのさまざまな生態とその背景にある「社会性」に迫りながら、彼らの知られざる行動の数々を紹介する。

    登場する動物(生き物)は、実に多い。魚、昆虫、アリ、ハチ、鳥、ネズミ、ゾウ、ライオン、オオカミ、ハイエナ、クジラ、イルカ、サル、そしてヒト。
    どれも意識はしていない生き物があるとしても、社会性を持っていることがわかる。
    でないと、ここまで生存出来ていなかっただろうな。

    著者が言うとおり、人間と動物の違いは量的なものでしかなく質的なものではないのだろう。
    それぞれに違えど、皆必要にして十分な進化を遂げてきたのである。

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    2024年06月14日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

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    神経系が非常に複雑に発達すると結果として意識が生じると直感的にも考えられるが、知性や認知力が鳥類や大型哺乳類などの脊椎動物とは別の進化系統であるタコやイカなど頭足類でも起きたということは非常に興味深い。脳で中央集権的な制御をしいる前者に対し、タコに代表される後者は分散的で全身に神経が張り巡らされており、触手一本一本が脳を持つと言われることもある。タコになるとどんな気分なのかを想像し、はるか古の単細胞生物からの進化史を思考実験的に味わうことができる本。著者は生物学者ではなくてスキューバが好きなオーストラリアの哲学者であるというのがまた面白い。

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    2024年06月12日
  • ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ―――争い・裏切り・協力・繁栄の謎を追う

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    先日、東浩紀さんの「弱いつながり」を読んだ。本書で、社会性を持つことが進化にとって有利に働くとある。弱い偶然の繋がりがどのように機能するのだろうか。
    社会的動物達の脳の構造は?海馬CA2領域の活動など興味ある。

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    2024年05月01日
  • CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる

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     CIAを含めて、インテリジェンスには「芸術」と「技術」のいずれか、あるいはその両方が求められる。たしかに、インテリジェンスは理性や論理だけでなく、直観が時には必要となる。しかし、本書で提供されるスキルにはそのような才能は不要である。言い換えると、一定の訓練さえすれば、誰でも技術的に再現可能なのである。したがって、どのような組織に所属した人でも十二分に使える。
     現在、インターネットの発展で、おおよその情報は得られる。とはいえ、なかには情報が一般的には公開されない、秘密裏のものもある。では、これらの情報をいかにしてする収集のか、それは直接的に人間から情報を得るのである。これはある特定の人物との

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    2024年04月03日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

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    まず本書はタコメインではあるが同じくらいジャイアント·カルトフィッシュが良く出てくるので頭足類を主軸と捉えても良さそう。
    哲学者が書く、思考や知覚に焦点を当てた進化論の本でもあるし、タコなどの頭足類という不思議な生き物たちへの愛を綴る本でもある。
    本当にタコという生き物は面白い。あれだけ大きな目があるのに色覚は無さそうだし、色を変えるのは必ずしも擬態だけではないし、足は味覚だけではなく、個々でも動く、まるでタコの身体は指揮者のいるジャズバンドのようなものであったり。
    心、本書では知覚·思考をすることを指すと思われるが、その進化を語るときは哲学的になるものだとは思う。数値化が難しく、感覚的に語る

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    2024年03月16日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

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    驚いたことにタコやイカは色の識別ができないらしいのだ。どうしてあんなに周囲に合わせて色を変えて擬態したり、威嚇のために体の色を変えるのだろう。
    なんと、目による知覚で脳が指示するのではなく、皮膚細胞そのものが、周囲の色を感知して自律的に変化しているらしい。
    これは“多くの動物では、脳と身体が明確に分かれるが、タコはその区別とは関係のない世界に生きている”ということの1つの証左なのだろう。

    かといって、これはタコが感覚刺激だけで行動する、考えない動物だということではない。タコはじっくり目で見て観察してタコ同士や人間同士を区別できるし、食べられないものを使って遊ぶこともできる。
    タコがあまりにも

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    2024年02月24日
  • 天才科学者はこう考える―――読むだけで頭がよくなる151の視点

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    ネタバレ

    多くの天才科学者の理論、考え方に触れられる。
    もちろんその知識や考え方を直接自分で活かすことは難しいが、あらゆる場面において間接的に活かすきっかけになることはあると感じた。ボリュームが多くて、すべてを読めてはいない。ただ、目次を見て気になるトピックに関して読むだけでも、膝を打つような新しい知識や思考に出会うことができ、新鮮な気持ちになれる。
    個人的には、「iPadを使ってコンテンツを作る人が少ない理由」が面白かった。我々はiPadやFacebookアカウント、自動車などを単なる道具と思っており、それ自体に偏りがあることを考えない。
    ただ、似たような機能をもった道具でもそれぞれに対して、あらゆる

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    2024年01月27日
  • Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

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    職場に不機嫌さを丸出しにする、文字通り無礼な人がいて、手にした本。その人は結局退職したのだけれど、もう少し前にこの本に出会っていればと思った。
    他人はともかく、自分はどうなんだと振り返る。にこやかでいることは心がけているけれど、余裕がなかったり相手にイラッとしている時には、にこやかにはしていないなぁと反省。相手の立場で物を考え、常に未来のために行動する。言うのは簡単だけど、実践するのは難しい。明日から、礼儀正しく感謝の気持ちで働こう!

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    2024年01月25日
  • タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

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    タコの知性、なんて考えたことなかった。

    それが、読んでみて驚き!
    研究用に飼育しているタコが人の顔を一人ずつ記憶していて、嫌いな人がくると水をかける。
    水槽の中の電球をわざと壊して遊ぶ。
    食べ物でないものにも純粋な好奇心で近づいてくるように見える。タコの方から人間に近づいてきて,時には,探るように腕を伸ばしてくることさえある。手をつないで散歩をしたダイバーもいるらしい。

    海は身近な小宇宙、というけれど、
    ここまで知性をもつ動物がこの小宇宙にいたとは。
    しかもイルカやクジラではなく、無脊椎動物ですよ?!
    脊椎動物と無脊椎動物が枝分かれしたのは6億年前。
    タコと合流することは、まさに「宇宙人と

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    2024年01月18日
  • シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか――黒人文化運動と音楽ビジネスの変革史

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    ソウルというブラックミュージックの1ジャンルについて、私自身はそこまで詳しくないのだが、その中で最も敬愛するアーティストの一人がカーティス・メイフィールドである。

    極めてソフトなその歌声と美しいメロディー、ストリングスをふんだんに使ったアレンジなど、個人的な好みとして昔から彼の作品を愛聴している。本書は彼の出身地であるシカゴで生まれたカーティスらのソウルミュージックの歴史を描いた概説書である。

    シカゴ・ソウルとして本書で扱われるアーティストは本書タイトル”Move on Up”という名曲を残したカーティス・メイフィールドと彼がソロ以前に活動していたボーカルグループ、The Impressi

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    2024年01月14日
  • 屈辱の数学史 A COMEDY OF MATHS ERRORS

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    ネタバレ

    丸め誤差やプログラム数値の型の間違いなど、数学的なミスによって重大な事故が引き起こされた例を集め、詳しく解説している。
    著者独特のシニカルなものの見方も洒脱で、最初から最後まで面白く読める

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    2023年12月17日
  • 因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか

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    『入門 統計的因果推論』を始めとした著書があり,因果推論では知らない人はいないであろうJudea Pearlの本が書店に積まれていることに驚いた。内容としては,Pearl流因果推論の道具を取り上げつつも一般人向けに物語を仕立てたものとなっている。

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    2023年08月16日
  • Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

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    「あなたに礼節があれば、仕事も、仕事を離れた人生でも必ずうまくいくはずだ。あなたが何歳でも、どういう環境にいようと、礼節を高める努力はできる。あなたは今日あった人にどういう態度を取っただろうか。もしかしてあなたが当たり前だと思っている態度は既に時代遅れかもしれない。あなたは周囲の人たちを元気づけているだろうか、それとも意気消沈させているだろうか。それをよく考えてみよう」

    個人的に感じたのは、礼節とは相手に対する「敬意」がある前提ということ。相手の立場になって「自分を大事にしてくれている」と感じられれば、それは承認欲求にも通じ、特に組織においては「最強の武器」になるのだろう。

    自分には出来て

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    2023年08月01日
  • Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

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    職場における従業員の礼儀正しさ(無礼さ)についての研究分野があるとは本書を読むまで知りませんでした。本書を読んだ人みんなが、なにかしら自分の経験で思い起こすことがあるのではないでしょうか。私自身も10年以上前の時の上司を思い出しました。彼自身営業成績は非常に良いが、部下への罵詈雑言がひどく、そのためにどんどん人が辞めていく、というような状況で、非常に殺伐とした部署でした。しかも優秀な若手ほど(他社から引く手あまたなので)離職するという状況で、その上司は最終的にグループ会社に異動(隔離)しましたが、グループ会社にいる人たちへの負の影響が出ているのではないでしょうか。

    本書では、無礼な行為・発言

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    2023年05月08日
  • 会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか

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    感想
    ノイズを含んだ会話。本質的には推測から成り立つ。自分が伝えたいことが必要十分に伝わることはまずない。だからこそ対話を続ける必要がある。

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    2023年04月01日
  • Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

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    笑顔、謙虚、感謝
    礼節を持って人と関わることが、その集団のメリットにもなるし、自分のメリットにもなるように感じた。

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    2023年03月19日