星新一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「常識」を知らない者は「非常識」を表現できない“と言った奇行人 星 新一。
上場会社を経営して騙され辛酸を舐めた星 新一。
前人未到のショートショート1001編という偉業を達成した星 新一。
彼の処女作など単行本に収録されなかった作品を没後に集めた作品「気まぐれスターダスト」を再編集し、1001編到達後の作品を追加収録した一冊。
今更ながら科学の進歩は凄まじい。
人の欲望を究極まで突き詰めたらどうなるのか?
そんな未来予想図を描いた作品「天国からの道」が強烈です。
役人臭い天使が一生懸命営業をかける滑稽さの後に待つ、痛烈にシニカルな結末に打ちのめされます。
ほかにも、災難に逢う人間が鮮やかに大逆転する「悪夢」や、頭脳優秀で恋愛をバカにする鼻持ちならない男女を宇宙船で共に過させる「火星航路」も見逃せません。
特に「火星航路」は恋愛話のようで、いろいろ深いです。
“世界は統一されるより区別されている方がなにかと便利で親密的である”なんて憲法学者の言うようなことがさらりと述べられています。
“大衆はうすのろだ。幸か不幸か、議論すら持ち出さない。これこそ幸福の証拠だ”
なんてことも数行でしか触れていませんが、なかなか深いと思います。
それで結局“大衆は、ひとに勝つことより、宇宙の神秘を知ることより、他人の色恋の話に一番興味を示す”みたいなテーマを持ってくるあたりに苦労人 星 新一のクールな人間臭さを感じました。
星 新一は世の流行、風俗を作品に一切反映させなかったので、世代問わず誰でも楽しめます。 -
Posted by ブクログ
こちらの作品は、とある研修で一緒になった18歳の女性に勧めてもらったので読んでみました。
ショートショートというのは、思えば初めて手に取ったジャンルかも?
いや、でも稲垣足穂の一千一秒物語の表題作はショートショートって言えるのかな…
でもあれはショートショートショートっていう感じですし…ん〜、とにかく初めてという前提で感想を。
まず、ショートショートということで一編一編がとても短いので、とにかくサクサクと読み進められました。
少ないページの中でキレイに物語を落とす手腕はもちろん、結末の意外性への驚きも相まって、次は?次は?という具合に。
人間の愚かさを押し出したもの話、展開がシーソーのように行ったり来たりする逆転劇などなど、後味の良いものという印象はなかったけど、それだけに人間の持つ陰の側面を鋭く突いていて、「むむむ…」となってしまいます。
個人的には、どうせ読むならハッピーエンドがいいという思いがあるので決して好きなタイプではなかったんですが、思わず舌を巻く作品でした。
読んでからかなり時間が経っているのであまり詳細が話せませんで、申し訳ありません(´・ω・`) -
Posted by ブクログ
SF作家である星新一(1926-1997)の文庫未収録作品集。
率直に云って、面白くなかった。
ショートショート1001篇を達成した星さんは、その後、自らの作品を普遍性を帯びた【寓話】たらしめるべく、延々と改訂作業を続けてきた。作中に於いて時事風俗を扱うことを避け具体的な固有名詞の使用を控え、以て時代的地理的制約に塗れた通俗性を脱色し、透明ゆえに鋭い人間・文明批評としての作品を残してきた。
本作に収録された作品は、これまで書籍等に未収録だったこともあり、こうした内容上・用語上の磨き上げを経てないものが多いのではないかと想像する。それが本書のつまらなさにつながっているように思えてならない。ひょっとすると、星さんは、こうした形で自らの作品が世に出ることを望んでいなかったのかもしれない。
編集部註が必要な星作品だなんて、それはもはや星作品ではないとすら思う。小学生向けに書かれた作品はいま読めばどれも退屈であるし、ちょっと気の利いた話かと思っても、それが業界PR誌に掲載されたものと分かってしまえば、一気に鼻白んでしまう。そこには、星さん特有の皮肉の利いた当該業界への批評性は無い。
何とも残念な「幻の作品集」であるが、逆にここから、今までに文庫収録されてきた作品を改めて評価する視点を得ることができるだろう。その意味では本書にも意味があると云える。
その中で一篇を挙げるとするならば、「環」という作品である。この作品は、諸々の重力を振り切った見事な【寓話】となっている。
中学時代は星新一ばかりを読んでいた。本人がどこかで書いていたが、太宰治の文体に影響を受けたという。高校に入ってから太宰の文章に初めて触れたのだが、そのときどこか懐かしみがあると思った感触が今でも言語触覚に残っている。それは、星新一の読書体験から逆輸入されてきた感覚だったのだ。
10年ぶりの星新一の物語を、何よりその物語を星の【寓話】たらしめている文体を、楽しみにしていたのだが期待外れだ。
【寓話】になり損ねた望まれざる"星屑"たち。