山田文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025年現在のアメリカ副大統領が2016年に発表した半生記。
アメリカのラストベルトに暮らす、貧しい白人労働者階級の生活を描いている。
この本がアメリカでベストセラーになったのは、幼少期における貧困層の生活と、大学以降、特にエリート層が大半を占めるイェール大学での生活を比較し、そこにいる人々の特徴や人生を描いたからだろう。
この本を読んで感じるのは、貧困層から抜け出す難しさやエリート層には一般的な家庭では得られない社会的な資本があるという事。
また、良くも悪くも人生における家族の存在の大きさである。筆者は祖父母に特別な感謝を示しており、本書を書く理由として二人の存在を世界に知って欲しかったからだろう。
社会の最小単位である家族や生活の場である家庭が、その人の人生にどれほど大きな影響があるのか、改めて考えさせられた。
親の子どもへの愛情は、家庭の貧富に関係無く絶対に必要なものであると感じた。もっと言うと、日々の生活圏にいる子どもたちを大切に思う気持ちも大事だろう。社会を良くしていく第一歩は、我々一人ひとりの子どもたちへの思いにかかっている。
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Posted by ブクログ
私が知ってるアメリカは自由で危険でいろいろ雑な国。アメリカ人はプレゼンや議論上手で立ち回りが得意だけど、地道な作業は苦手。
そんな自分が知っているアメリカとは全く違う世界を、今まで発信されてこなかった声なきアメリカ人の世界を、この本は示してくれた。
白人労働者階級、貧困層を体験して苦しんで来た著者だからこそ言える気持ちを、コミュニティやそこで住む人々に愛情を持つからこそ言える思いを、この本は示してくれた。
代々続く貧困と諦めの連鎖。離婚や家庭崩壊、ドラッグの連鎖。外を知らないからこそ、抜け出し方も分からない若者や子どもたち。虐待的な環境にいるから自分の感情コントロールも学べない子どもたち。
努力しないからいけない、と切り捨てることでは解決しない重い重い問題がそこにはあることが分かりました。
バンズは副大統領として、意地悪で怒りっぽく高飛車だと、悪い印象しかなかったけど、あの酷い家庭環境のサバイバーであり、白人貧困層の代弁者だと思うと、少し理解できる気がする。
アメリカの白人貧困層はどこへ向かうんだろう。日本も同じ道を辿りつつあるんだろうか。
非常に新しい発見があり、考えさせられる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
自分の無知が恥ずかしくなるが、アメリカ国内で白人労働者という貧富の差があると知らなかった。
アメリカの人種差別の歴史は映画であまりにも有名だが、ヒルビリー(田舎者)やレッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)ホワイトトラッシュ(白いゴミ)という呼び名があることを知り、見識を広げるのに役立った。
トランプ大統領になぜ熱狂的な支持者がいるのか、UKスチールを日本製鐵か買収することをなぜ拒むのか、繁栄から取り残された人たちの愛国心に共感するメッセージを発しているためかと少し理解出来たように思う。
筆者は、白人労働者が成功しないのは、育った環境や無知、周りの人間の考えの影響が強いとはいえ、自分自身のが変わろうとする努力をしないことが原因だと語る。
その後著者のネット記事等を読むと、トランプ氏に対して、自分たちの貧困を政治や生まれ等のせいにする他責思考を助長するだけだと批判した。しかし政治家として今はトランプ氏を支える副大統領。自分の立場のために、かつての考えは覆えざるを得なかったのか。
海兵隊ブートキャンプの厳しさと、貧しい家庭環境で育ったにも関わらず、自分を律することを学び、未来に失望せず努力することを実践した筆者は尊敬に値する。
また、生まれ育った貧しい階級から裕福な層へ以降していく中での彼の気づきは、社会を理解するのに役に立つ。読物としてはとても面白かった!
P345
エリート層になるためには、社会的ネットワークが重要。というのは日本でも同じ事。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、オハイオ州の小さな町で幼少期を過ごした著者のJ・D・ヴァンス氏が、自身の20代前半までの人生を振り返りながら、「ラストベルト(錆びれた地帯)」に住む人々がどのような価値観を持ち、どのような人生を送るかについて克明に記した作品であり、かつ彼自身がどのようにその環境から抜け出し、成功を掴んだのかについて克明に記した作品である。本書全体を通して非常にリアリティが高く、夢中になって読む事ができた。
著者謂く、「ラストベルト」に住む人々の価値観の根底には、消費主義、孤立、怒り、不信感の4つがあるという。そしてさらに、保守主義者たちの言動は、「ラストベルト」に暮らす人々が抱いている負の感情を煽る事に終始していて、それがかえって彼らのやる気を奪っているという懸念を指摘している。この点については、私も著者と同じ意見である。
著者のJ・D・ヴァンス氏は、トランプ政権において副大統領を務めることになるわけだが、「ラストベルト」に出自を持つという面と、イエール大学ロースクール卒というエリートとしての面の両方を持つ稀有な人材として政権を支えてくれる事を期待しながら、これからも彼の言動に注目していきたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ地球温暖化に疑いの余地はない。国連の報告書でもこの事実が確認される。
CO2の世界の排出量は年間で510億トンでこれを2050年までに0にする必要がある
内訳は電気を使う27パー、ものをつくる31ぱー、ものを育てる19ぱー、移動する16パー、冷やす暖める7パー。
電気をつかう:現在世界の3分の2が化石燃料。
太陽光や風力は間欠的エネルギーだが電気は常に必要。再エネを普及させると間欠性の問題が大きくなるため、安価なバッテリーの開発や他のエネルギー源が必要。原子力は有効な手段。
ものをつくる:コンクリートや鋼鉄を作る際、炭素を結合する過程でCO2が発生する。
工程の電化、炭素回収、効率的な資材活用が必要。
貧困国の人々がより良い暮らしをできるように、エネルギー使用量は増やすべきで経済成長を止めるべきではない。そのエネルギーがクリーンなものである必要がある。
気候変動の被害は貧困国である。農業が主要産業であるため。気候変動の原因になることをほとんどしていないのにその影響を受けることとなるため、最も貧しい人たちを救うためにもゼロを達成する必要がある。
ゼロ達成は慈善事業ではない。新しい技術でブレークスルーを起こし、産業を生み出すことで、雇用創出と排出削減の両方が実現できる。
そのために、グリーンプレミアム(既存技術と新技術のコスト差)を小さくする必要がある。市場原理、経済合理性から。
それには必ず政策として取り組む必要がある。民間だけでは研究開発にコストがかかりそのリスクをとれない。
また、2030年ではなく、2050年ゼロをゴールにして取り組みを進めるべき。例えば石炭火力発電から石油火力発電に更新したら2030年は達成できても、耐用年数を考えるとその時点で2050年の達成は難しくなってしまう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナもあまり騒がれなくなったので復習の一冊。
ファイザーワクチンの製造経緯を語った本書なのだけど、実はある科学者夫婦が立ち上げたビオンテック社がメインで作り上げていた…など全然知らんことだらけだった。
mRNAってのはタンパク質を作るように指示する設計図みたいなモノなんだけど、それをコロナに対応するようにする…というのが大筋の発想かな。mRNAワクチンの最大の特徴は、通常のワクチンと違って人の身体自身に抗体を作らせる点。生物学的薬剤とかに近い考えかもね。
しかしワクチン供給のタイミングが妙に早いと思っていたら、こんなスゲー背景があったとはね…。どちらかというとビジネス書としての色が強いかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ビル・ゲイツさんは本気で地球を救おうとしている。迫り来る気候変動、地球温暖化という人類の問題について書かれた一見難しそうな内容。それがこの本では我々一般市民が理解できるレベルにまで分解して、シンプルな言葉で分かりやすく説明してくれている。ゲイツさんが如何に頭脳明晰で、説明上手な人なのかを思い知らされる。
地球温暖化に歯止めをかけるには、温室効果ガスの排出をゼロにしなければいけない。そのために各国、そして我々がすべきことは何か。ゲイツさんが歳月をかけて学び蓄積した知識を、わずか二千円弱で読めるなんて凄いことだと改めて思う。
アメリカ、日本、中国など高・中所得国の話ばかりではなく、低所得国に重きを置いている点には驚かされた。例えば炭素税を導入するという例で、「低所得国からの製品は大目に見る必要がある。低所得国の優先事項は経済成長をすすめることであって、すでに非常に低い炭素排出を削減することではないからだ。」とゲイツさんは述べている。各国で同じ数値を目指すことを平等とするのではなく、それぞれの国の状況に応じた処置を行い、あくまでも地球全体で発展しながら温室効果ガスの排出をゼロにするという目標に向かう姿勢などは読んでいて感銘を受ける。
ただ、ある程度発展した社会の仕組みの中に、炭素排出をゼロにするための変更を途中から組み込むのは難しいと痛感した。初めから炭素排出がゼロのシステムを組み込んだ上で社会を作れたならよかったが、今となっては関係各所への利害が複雑に絡みすぎており、その時々のお金さえあれば解決できるというレベルの問題ではなくなってきている。
でもたしかにお金は必要で、ゲイツさんが莫大な資金を投入して企業や研究を支えてくれているのはありがたいと読みながら思った。本当は各国の政府が率先して大金を注ぎ込むべきなのだろうが…「技術、政策、市場に同時に働きかける」「3つが同じタイミングで同じ方向を向いていないといけない」というゲイツさんの考えに同意するし、各国で取り組んでほしいと心から願う。
気候変動をめぐる議論は二極化しており、矛盾や混乱を招く話が多い。そんななか、炭素排出ゼロ達成に向けて現実的で具体的な計画を議論の中心に据えるべく、我々一般市民が気候変動に関する会話を増やすきっかけをつくりたいという思いで本書は書かれたそう。ゲイツさんの凄さもさることながら、地球が今抱えている問題について深く真剣に知ることができる良書。 -
Posted by ブクログ
主にロシアからとされるサイバー攻撃に関する過去10年ほどのトレンドや背景がまとめられた一冊。
ウクライナに対しての攻撃のみでなく、エストニア、ジョージアなどへの攻撃についても言及している。
DOS攻撃からワイパー的な攻撃への変遷など、サイバー攻撃の高度化の流れについても分かりやすい。
アメリカ、イスラエルからイランに対する攻撃である、いわゆるスタックスネットについても制御システムへのサイバー攻撃のパンドラの箱を開けた例として触れている。
産業用制御システムを含めて、インターネットに接続されたものが如何に脆弱であるかを示すストーリーが多い。
電力など、インフラへの攻撃が如何に深刻になるか警告してくれている。
海運大手のマークスや病院に対するサイバー攻撃事例など、被害を身近に感じさせる事例が印象的である。
事情を知る人物への調査を上手く織り交ぜている。
ウクライナの地政学的な立ち位置などにも一部言及している。
サイバー攻撃は攻撃側、防御側が軍民を問わず対象者になりうる。また、攻撃が成功した場合は、被害の深刻さや非人道性なども制御されない可能性もある。非常に非対称的かつエスカレーションへのコントロールが困難である。
サイバー攻撃のリスクを無くすためには、本書でも一部言及があるように、極論としてはインターネットとの接続を断つことだが、これは現実的ではない。
本来サイバー攻撃に対する非難や対策を呼びかけるべき国家国家間の同盟なども対応が鈍い。(本書の場合アメリカやNATO)
デジタル版ジュネーブ条約の道のりは程遠いとあとがきにも記載がある。
本書では国家の反応の鈍さに対する主だった考察はなかったが、サイバー攻撃が犯人特定や全容解明が難しいことだけでなく、それぞれの国家が自らも持つ攻撃手段を否定することを避けるために、サイバー攻撃への反応が鈍くなっていることも想像できる。