【感想・ネタバレ】ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~のレビュー

あらすじ

2016年、無名の31歳の弁護士が書いた回想録がアメリカでミリオンセラーとなった。「ラストベルト(錆ついた工業地帯)」と呼ばれる、かつて鉄鋼業などで栄えた地域の荒廃、自らの家族も含めた貧しい白人労働者階級の独特の文化、悲惨な日常を描いた本書は、トランプ現象を読み解く一冊として世界中でセンセーションを巻き起こす。2020年、ロン・ハワード監督によって映画化もされた歴史的名著が、文庫で登場!

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Posted by ブクログ

ついに読み終えた米国副大統領JDヴァンスの自伝。米国内陸部で見捨てられ明日への希望のない絶望の中で暮らす白人貧困層の現実を見せつけられる。
なぜ民主党ではなく、トランプがこうした白人貧困層から支持を得ているのか、その手が会とはするな」といった疑問の根本について考えさせられる名著である。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

あまりに名著だと、著名人が言うので購入。
内容的にも読みやすく、ドンドン読み進められた。
この本を読んだ人は、ヴァンス副大統領を応援せずにはいられないのでは?
ご本人の政策や主張については、全然知らないので、これからフォローしていきたい。
日本だけが大変だと思いきや、米国も深刻な状況だとわかる。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

難読ではないんだけど、なんか読みにくい一冊。こういう人々がトランプ政権を支えているという勉強にはなります。

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2025年09月17日

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数多くの小児期逆境体験を抱えた子どもはどんな地域で育ち、どんな文化的背景の中で育つのか?がよく分かる自伝。少し切なくなってしまう物語でもある

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2025年06月15日

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この著者がエール大学に入学した後に感じたもの、レベル感は全く異なるののだが、私が地方の女子校から東大に入学した際に感じたものを思い出させて、著者の若き頃を抱きしめてあげたくなった。
社会関係資本の大切さ。
トランプ政権で著者が副大統領になっていることが、少しでも世界を照らしてくれるといいなあ。

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2025年05月06日

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アメリカ合衆国の副大統領に就任し、トランプの右腕として注目されている人物の反省を綴った自伝。トランプの支持基盤となった通称ヒルビリーは、多様性が尊重される近年のリベラルな思想からも見放された層である。現在のアメリカを理解するために手に取ったが、全く異なる他者を赤裸々に記しているという点で文学としても素晴らしい一冊だと感じた。

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2025年04月20日

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アメリカの現職副大統領J•D•ヴァンス氏が2016年に発表した回想録。私が先週の火曜日にこの本を手に取ったきかっけは整理していた古い新聞の書評欄を観て本書の存在を知って興味を持ったからです。何がトランプ政権を再び誕生させたのか?アメリカ社会の繁栄から取り残された白人たちというはわれわれ日本人にとって見えにくい存在で、多様性を尊重するリベラリストの民主党政権下ではないがしろにされてきた存在です。幸いだったのは私が鈍感で本書の著者があの副大統領J•D•ヴァンスだと認識したのは一気に読み終えて久しぶりに読書後の充実した高揚感に浸っていた時です。最初から現職副大統領の著書ということで本書を手に取ったらいわゆるアメリカンドリームを体現した人物のサクセスストーリーという色眼鏡で読んでしまい、アメリカ社会に対する学びも浅かったのしれません。本書は失われたかつてのアメリカ中流社会、取り残された白人たち社会の1人の少年が生きてきた回想録であり、彼の目を通してアメリカにあるもう一つの世界(本当のアメリカ社会の現実)を知ることができます。本書で彼が苦しくも自らの葛藤を乗り越えて別の世界に立身したことを知ったいまとなっては本書のあの少年、あの海兵隊に入隊してイラクから戻ってきてからオクラホマ州立大学に入り、難関イエール大学のロースクールに行ったあの青年が副大統領になったというのはアメリカ社会の大きな変革だと思います。本書の中で著者が海兵隊から戻ってきて大学に入ったら親の金で大学に来れたような汚い髭を伸ばした長髪の年下の同級生がイラクに派兵された米国人を蔑むような暴言を吐いて怒りを感じたというくだりがありましたが、私はそこにすごく共感しました。理想主義の多様性尊重重視のリベラリストに対する嫌悪感がアメリカ社会に確実にあるということが確認できてその点が本書を読んでほんとに学びがあったことです。

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2025年03月30日

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表面的でないアメリカを知ることができて良かった。トランプ大統領の発言は、日本ではトンデモ発言、どうしたアメリカと報道されるが、アメリカでは支持する層があるわけで。一瞬の流行ではないその根深い理由を知ることができた。

また、著者が成功してからも、何かあると内面から湧き上がる怒りの感情や子供の頃のトラウマを乗り越えようとしつつも、曽祖母の代から続く血の濃さを改めて実感するところが、白人労働者層にとっても、単なるアメリカンドリームを体現した人以上の作品になっているのではないか。


この本がベストセラーになって著者が有名になり、そこにトランプが目を付けて、陣営に引き込むことでまた支持を増やし、、、この後アメリカがどうなっていくのか分かりませんが、この本で得た知識を胸に見守っていきたいです。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

(2025.4.9追記)2024.12.26に、以下のコメントを書いたが、関税をめぐる中国の農民を蔑視するような発言や、トランプをヒトラー呼ばわりするなど、ちょっとどうかと思う発言が相次いでいる。
この本が歴史的書物になるかもと期待したが、アメリカ白人の全てではなく、実はごく一部の話であって、価値のない書かもしれないと不審に思うようになりました。

以下、2024.12.26のコメント
個人的に、今年読んだ本の中で、一番のオススメです。トランプの支持層である、白人労働者はどんな人達なんだろう?それを知ることによって、トランプが再当選した理由や、今のアメリカをより深く理解できるかと思って読みました。
テレビや新聞では報道していない(というか報道できないような)赤裸々で生々しい現実を窺い知ることができました。多くのアメリカ人も知らないようなアメリカがヒルビリーにはあるようです。
あとがきに書かれているように、50年後、この時代のアメリカがどうだったか?ということを知る、貴重な一冊と思います。

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2024年12月26日

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アメリカ、ラストベルトの白人労働者の文化を綴った本。民俗学と言ってもよいのかもしれない。

自分の人生なのに、自分ではどうにもならないと考え、なんでも他人のせいにしようとする。p15

「政府は生活保護をもらって何もしない連中に金を払ってる。やつらは、おれたちの社会をバカにしてる。働き者はみんな、あいつら毎日働いてるぜって笑いものにされてるんだ」p238

能力は関係ないと言いたいわけではない。もちろんあるにこしたことはない。ただ、自分を過小評価していたと気づくことと、努力不足と能力不足とを取りちがえていたと気づくこと。それにはとても大きな意味がある。p299

アメリカのヴァンス副大統領が、この世界の文化で育ち、そこから抜け出していくストーリー。

面白い。

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2025年10月29日

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2025年現在のアメリカ副大統領が2016年に発表した半生記。

アメリカのラストベルトに暮らす、貧しい白人労働者階級の生活を描いている。
この本がアメリカでベストセラーになったのは、幼少期における貧困層の生活と、大学以降、特にエリート層が大半を占めるイェール大学での生活を比較し、そこにいる人々の特徴や人生を描いたからだろう。

この本を読んで感じるのは、貧困層から抜け出す難しさやエリート層には一般的な家庭では得られない社会的な資本があるという事。

また、良くも悪くも人生における家族の存在の大きさである。筆者は祖父母に特別な感謝を示しており、本書を書く理由として二人の存在を世界に知って欲しかったからだろう。

社会の最小単位である家族や生活の場である家庭が、その人の人生にどれほど大きな影響があるのか、改めて考えさせられた。

親の子どもへの愛情は、家庭の貧富に関係無く絶対に必要なものであると感じた。もっと言うと、日々の生活圏にいる子どもたちを大切に思う気持ちも大事だろう。社会を良くしていく第一歩は、我々一人ひとりの子どもたちへの思いにかかっている。


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2025年10月11日

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私が知ってるアメリカは自由で危険でいろいろ雑な国。アメリカ人はプレゼンや議論上手で立ち回りが得意だけど、地道な作業は苦手。
そんな自分が知っているアメリカとは全く違う世界を、今まで発信されてこなかった声なきアメリカ人の世界を、この本は示してくれた。
白人労働者階級、貧困層を体験して苦しんで来た著者だからこそ言える気持ちを、コミュニティやそこで住む人々に愛情を持つからこそ言える思いを、この本は示してくれた。
代々続く貧困と諦めの連鎖。離婚や家庭崩壊、ドラッグの連鎖。外を知らないからこそ、抜け出し方も分からない若者や子どもたち。虐待的な環境にいるから自分の感情コントロールも学べない子どもたち。
努力しないからいけない、と切り捨てることでは解決しない重い重い問題がそこにはあることが分かりました。
バンズは副大統領として、意地悪で怒りっぽく高飛車だと、悪い印象しかなかったけど、あの酷い家庭環境のサバイバーであり、白人貧困層の代弁者だと思うと、少し理解できる気がする。
アメリカの白人貧困層はどこへ向かうんだろう。日本も同じ道を辿りつつあるんだろうか。
非常に新しい発見があり、考えさせられる一冊でした。

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2025年08月29日

Posted by ブクログ

ゼレンスキー大統領との口論をきっかけに読み始めました。
ただ切れやすい人なのかと思っていましたが、全く違った。
白人の中の格差の中の底辺から、這い上がり、一部の周りの人たちに恵まれつつも、自分自身で道を切り開いてきた人だった。
価値観の形成が、その後の生き方に大きく影響する。今のアメリカの裏側、ラストベルトの実態=元住人が語る内容は衝撃。
ホワイトハウスで、まず感謝しろとゼレンスキー大統領に言った理由が見えてきます。もらって当たり前。その感覚がないからこその発言だった。

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2025年08月20日

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アメリカの繁栄の背景や今の内部問題が垣間見れるようで興味深い。確かに世界一の大国だが、アメリカにも大きな問題があることが分かる。そして、だからこそトランプが支持されることも分かる。下手な評論よりも、この本は今のアメリカを知る手助けになるかも。

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2025年07月31日

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アメリカの繁栄から取り残され、マイノリティ認定もされない白山労働者層。現副大統領ヴァンス氏が昔書いた自伝的な本書は、トランプ支持者がどんな生活をしているのかよく分かる本である。

読みやすくはないが大変参考になる一冊。

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2025年07月25日

Posted by ブクログ

SNSで話題となっていたので、読んでみた。

スケールは違うけど、アメリカだけにある問題ではないよなというのが肌感覚でわかるので、記載内容に対する共感はあった(彼の関与する政策に対する共感ではないことは申し添えておく。)

批判はやめ、まずは自分のできることから始めるべきというメッセージは、どんな時代にも普遍的なものであり、今こそ思い起こすべき概念であろうというのは心に留めておこうと思う。

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2025年05月24日

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自分の無知が恥ずかしくなるが、アメリカ国内で白人労働者という貧富の差があると知らなかった。
アメリカの人種差別の歴史は映画であまりにも有名だが、ヒルビリー(田舎者)やレッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)ホワイトトラッシュ(白いゴミ)という呼び名があることを知り、見識を広げるのに役立った。

トランプ大統領になぜ熱狂的な支持者がいるのか、UKスチールを日本製鐵か買収することをなぜ拒むのか、繁栄から取り残された人たちの愛国心に共感するメッセージを発しているためかと少し理解出来たように思う。

筆者は、白人労働者が成功しないのは、育った環境や無知、周りの人間の考えの影響が強いとはいえ、自分自身のが変わろうとする努力をしないことが原因だと語る。

その後著者のネット記事等を読むと、トランプ氏に対して、自分たちの貧困を政治や生まれ等のせいにする他責思考を助長するだけだと批判した。しかし政治家として今はトランプ氏を支える副大統領。自分の立場のために、かつての考えは覆えざるを得なかったのか。

海兵隊ブートキャンプの厳しさと、貧しい家庭環境で育ったにも関わらず、自分を律することを学び、未来に失望せず努力することを実践した筆者は尊敬に値する。
また、生まれ育った貧しい階級から裕福な層へ以降していく中での彼の気づきは、社会を理解するのに役に立つ。読物としてはとても面白かった!

P345
エリート層になるためには、社会的ネットワークが重要。というのは日本でも同じ事。

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2025年05月17日

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ネタバレ

話題になっていたので今更ながら読んだ
アメリカにはこのような地域、生活もあるのだというのを知ることができ、なぜトランプが当選したか等を考察する上でもおもしろい本だと感じた
夢中になって一気読み

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

自慢話しを含む立身出世物語かと思っていたが、むしろ生々しく語られた貧困白人労働者たちの実情に衝撃を受けた。この国でトランプが大統領になれることに納得した。
作者は己の属する地域や階層の怠惰や狡さや愚かな面も赤裸々に正直に語っていて、冷静に公平に自分や他人や社会を見つめることができる人物な印象を持った。それだけにどうして彼の現状の姿と繋がるのか。疑問と残念感。。

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

アパラチア地方の田舎町ミドルタウン。隣に住むドラッグ中毒のシングルマザーが夜中に発狂したり、友達の父親が暴力沙汰で逮捕されるようなことが日常的に起こる町。
この本は未来に希望を見出すことのできない環境で育つと人はどんな思考回路になるのかを克明に伝えてくれる。そしてそんな環境から這い上がり、遂にはアメリカ副大統領にまでなってしまった男の自叙伝的小説である。
ミドルタウン程ではないにしろ、労働者階層の田舎町から都会に出てきた私としては共感する所がたくさんあった。
例えば"テストで良い点を取ることは女々しいことだと思っていた"とか、"〇〇大学は最初から受験しなかった。なぜならそのような名の知れた大学に自分が行くことなどあり得ないと思っていたから"など、低階層のコミュニティで生まれ育つことでこういったネガティブな感覚が否応無く備わってしまうところは、正に私の地元で起きていたことと重なるように思えた。

この本の面白さの核心は、決して「劣悪な環境から這い上がったヒーローの礼賛」などでは全く無い。
むしろヒルビリーと呼ばれる白人労働者階層の人達の価値観や考え方がリアルに描かれており、彼らの決して合理的には見えない生き方をありのままに伝えているところだと思う。そしてその生き方は最悪に描かれているにも関わらず、妙な魅力を伴っているところだと私は思う。

私も地元が大好きだ。確かに周りを見渡しても大卒は私しかいない。非合理極まるような地元エピソードも多々ある。確かに酒、女、ギャンブルの話しがほとんどかもしれない。
しかし地元の友人とは家族同等あるいはそれ以上の強い繋がりがあり、それは何にも代え難い輝きを伴っている。

この本を読んだ今でもまだ上手く言語化できないが、ヒルビリー(≒田舎者)と都会の上流階級との間にある決定的な違いについて、自分なりに解像度を高めることができた。

読み物として大変面白かったです。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

翻訳の成果もあろうが、読みやすくベストセラーも頷ける。
全編通して「ヒルビリー」という文化への解像度を増すことには成功しているが、その中でヴァンス自身がどう振る舞い、副大統領として世界を変えていこうとするのかという点では、他者の書評にも触れられていたが、判然としないままでもある。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヒルビリー代表かどうかは疑義もある。
ある家族模様を語ったものというくらいではないか。
大学進学する前に、親戚から勧められて海兵隊で3年間過ごしたことが著者の人生を大きく動かすきっかけになったんだなと思う。それがなかったら右も左もわからぬままに大学生活に埋没していたのでは。そういう出会いやきっかけの重要性という部分が印象に残った。

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2025年02月17日

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ネタバレ

 本書は、オハイオ州の小さな町で幼少期を過ごした著者のJ・D・ヴァンス氏が、自身の20代前半までの人生を振り返りながら、「ラストベルト(錆びれた地帯)」に住む人々がどのような価値観を持ち、どのような人生を送るかについて克明に記した作品であり、かつ彼自身がどのようにその環境から抜け出し、成功を掴んだのかについて克明に記した作品である。本書全体を通して非常にリアリティが高く、夢中になって読む事ができた。
 著者謂く、「ラストベルト」に住む人々の価値観の根底には、消費主義、孤立、怒り、不信感の4つがあるという。そしてさらに、保守主義者たちの言動は、「ラストベルト」に暮らす人々が抱いている負の感情を煽る事に終始していて、それがかえって彼らのやる気を奪っているという懸念を指摘している。この点については、私も著者と同じ意見である。
 著者のJ・D・ヴァンス氏は、トランプ政権において副大統領を務めることになるわけだが、「ラストベルト」に出自を持つという面と、イエール大学ロースクール卒というエリートとしての面の両方を持つ稀有な人材として政権を支えてくれる事を期待しながら、これからも彼の言動に注目していきたい。

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2024年11月09日

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2024年7月に感想を書いています。今年はアメリカ大統領選挙の年です。現職大統領を擁する民主党は現職大統領であるバイデンさんを党の代表に決め、共和党は前大統領であったトランプさんを党の代表に決めました。民主党では、バイデンさんのテレビ討論での失敗や、公式の場での失言が重なり、選挙戦からの撤退を表明し、現副大統領のハリスさんを党代表に掲げるようです。
前置きが長くなりましたが、共和党党大会でトランプさんが副大統領候補として選んだのが、J.D.ヴァンスさんでした。どんな人物なのかを知りたくて、日本でもノンフィクションとして話題にもなっていた『ヒルビリー・エレジー』の著者だったので、本書を手にしました。アメリカの貧困層の生活を詳らかに活字にした回想録です。回想録と言うと、活躍した人物が引退後に出版するものというイメージがありますが、著者が31歳の時に書いたものです。子供時代、本当に悲惨な現実が毎日の繰り返しになっていることが語られます。毎年のように父親が変わり、その度に引越しを繰り返す。薬物依存症でもある母親との関係や、暴力が日常的な家庭で過ごすことがどんなものかがわかります。
家とは、帰ってくる場所であり、安心、安全な場所ではなく、学校が終わってもできるだけ家に戻りたくないと思うほど、親同士の喧嘩や母親からの暴力があったようです。姉のリンジーさんと祖母のボニーさんが彼の味方になってくれる人たちです。
そんな中であるタイミングで祖母とともに暮らすようになり、著者の環境が落ち着きだします。貧困が世代を超えて繰り返し生み出される社会の実態を日常生活の積み重ねで語りかけてくるのが本書です。
その後、海兵隊に入隊〜除隊、オハイオ州立大学を卒業後イエール大学ロースクールに入学・卒業します。映画も制作されています。NETFLIXで昨晩見ました。書籍は時系列に語られていますが、映画はまた違ったアプローチがされていて見応えもありました。どちらもお勧めです。

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2024年07月28日

Posted by ブクログ

貧乏な白人が弁護士になった頑張りを自慢している雰囲気がプンプンするが、彼が育ったPoor Whiteの実態がよく分かる良書と思う。彼が副大統領にまで上り詰め、更に高みを狙う時、この育ち方がどっちの方向に向かうのか興味津々。
イギリスには”Chavs”という階層があり、サッチャーの負の遺産とされているが、このPoor White English がイギリスで出来てしまったことを並行して学ぶと日本の将来(Poor Japanese)の出現もよく見えてくるものと思われる。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

トランプ後のアメリカを担う可能性があるJ.D.バンス副大統領の半生を綴った自叙伝。
外からは見えにくいラストベルトの労働者階級における、数世代にわたる根深い問題が垣間見れる。
バンス氏が海兵隊への入隊等を経てそこから這い上がった稀有な経験を活かして、民衆を煽るだけではなく、本質的な課題解決に取り組むことにより、本当に支持される日が来る事を期待する。

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2025年10月27日

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トランプ大統領が誕生したアメリカの土壌を知りたく、ずっと探していた本が書店に並んでいたので手に取った。

第二次トランプ政権の副大統領J .D.ヴァンス著。「ヒルビリー」とは田舎者、「エレジー」とは哀歌とか悲哀の意味。(アメリカの繁栄から取り残された白人たち)の副題にある通り、かつて鉄鋼業などで栄えたラストベルト地帯の荒廃、白人労働者の悲惨な日常生活を描く。ヴァンス自身が「本書の第一目的は、問題を抱えて生まれてきた人たちが自分たちの問題をどう感じているのかについて、真実の物語を伝えることにある。」と書いてあるとおり、自身が生まれ育った白人労働者階級としての半生を描き綴っている。

一歩引いて俯瞰してみると、日本も世界の繁栄から取り残されており、いわゆる中間層のサラリーマンの近未来が白人労働者と重なってみえた。

トランプ現象が世界に広がり日本にも影響を与えていることも必然に感じる。明らかなフェイクニュースや陰謀論、現状の不満は他者へ向かう。悪いのは人のせい。そう思わざるを得ない日常生活が白人労働者階級の人々の目の前に広がっていた。

海兵隊に入隊して心の奥底にヴァンス自身がもつ厭世的なものの見方が問題の根深さを著していた。

一 能力は関係ないといいたいわけではない。もちろんあるにこしたことはない。ただ、自分を過小評価していたと気づくことと、努力不足と能力不足とを取り違えていたと気づくこと。それにはとても大きな意味がある。
 だから、白人労働者層のどこを1番変えたいかと問われるたびに、私はこう答えてきた。「自分の選択なんて意味がないという思い込みを変えたいです」海兵隊は、外科医が腫瘍を切除するように、その思い込みを私から取り除いてくれた。

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2025年08月17日

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ヴァンスの自叙伝。率直な言葉で、貧困家庭から階段を上ってきた過程を振り返り、何に驚き、自分の人生をどう軌道修正しようとしてきたのかを語っている。

経済的に恵まれず、ドラッグに手を出した母親と何度も変わる“父親候補”、という環境の下で幼少期から少年期を過ごした彼が、粗雑な性格ではあっても愛情を注いでくれた祖母に支えられて必死で生き抜いてきた姿は、そういう場所が、世界があると知識では知っていても、やはり想像を絶している。「こうすべきだ」と正論を述べるのは簡単だが、客観的に正しいと思われる行動を起こす、その行動を継続することがいかに難しいか、ましてや、意欲を削ぐような環境に置かれても、その正論を考え続けることができるのは、やはり相当な意思の強さがなければ不可能だろうと、読みながら考えた。

トランプの熱狂的な支持者が、何を考えトランプに何を託しているのか、今のアメリカには”荒療治”が必要と考えている人の背景が多少理解できたかもしれない。トランプの横に座るヴァンスは今、心の中で何を振り返り、どんなことを考えているのだろうか。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

This is America! の一側面!40歳くらいの著者なので同年代感と田舎の荒れた感じと少し共感したり、国の違いを感じたり、面白かった。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

アメリカのヴァンス副大統領の自叙伝
これを書いた本人ですらこの時 まさか副大統領になるとは思ってなかっただろうし
トランプ大統領が再選されるとは…

ウクライナとの会談を最後の最後に破談に持っていったヴァンス氏←そこで私はこの人物を知った
トランプ大統領は所詮高齢なので今期のみだとすると 次の世代がヴァンス氏ともいえる

知らなかったアメリカ中西部の田舎の白人労働者達
トランプ大統領が支持され アメリカファーストに傾倒していくのも分からなくもないと思った 

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2025年03月30日

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