あらすじ
温室効果ガスの排出量をゼロにするしか、我々が生き残る道はない。「気候大災害」を回避するために、ビル・ゲイツは政治・経済・科学のあらゆる側面から分析を進めてきた。10年の調査が結実し、パンデミックをも予期した著者の描く未来像が明らかに。20年ぶりの著作。
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Posted by ブクログ
近年読んだ本の中でもとてもためになった著書だった。
ビルゲイツがやろうとしていることの信念が感じられる。
高いモチベーションは、どこからくるのか。素晴らしい人だと感じた。
自分の資金を投資という形で提供しているが、そのことが、気候変動の問題に対する著者の回答である。
温室効果ガスの削減
1 ものを作る
2 電機を使う
3 ものを育てる
4 移動する
5 冷やしたり暖めたりする
この活動全てに対策が必要となってくる。
Posted by ブクログ
気候変動がいかに危機的か、それを解決するための具体的な施策が描かれていて分かりやすかった。ビルゲイツはインターネットだけでなく環境問題にも造詣が深い。温室効果ガス510億トン、クリーンエネルギー、カーボンフットプリント、グリーンプレミアム、核融合、地熱発電、炭素回収、農業革命、市場・技術・政策を考えなければうまくいかない、マングローブ林等グローバルに新興国も含めて考えなければならないとよく分かった。
Posted by ブクログ
気温1.5℃上昇で、気候大災害となる。あらゆるカーボンニュートラルの方策を行う必要があり、著者が投資しつつ行動していることについて解説されている。いろいろな環境本が存在するが、自分事で実践している人が、根拠を示しつつわかりやすく簡潔に述べている上で、最も納得しやすい内容になっている。
巷では、自らの金儲けの手段として世間を誘導しているかの如く囁かれてもいるが、賢明な読者であればそうではないことにも気づくはず。
貧困国の犠牲の上に成り立ってきた経済成長、そして気候変動によって大きな被害を受けるのも貧困国であることも説かれている。故に、温暖化の影響適応できるように支援を受けて然るべきと主張されているところは共感できる。ビジネスの視点で技術で克服する可能性を試みている、彼氏かできないことでもあり、それを企業や産業が今後の世界経済を牽引することで達成すべきとも主張。それを政策でもカバーするという言わば「市場・経済・政策」はネットゼロ必達のためのひかれなかればならない3つのレバーであるとビジネスの経験を通じて説明している。
今、日本でも自然環境保護と地球環境保全がぶつかり合う場面が少なからずみられ始めているが、国民や政府が、きちんとした理解で臨まないと、日本だけ世界から批判されることになりかねないと感じます。動植物や森林の保護と自然・再生可能エネルギーの普及面で、環境と経済のバランスを取りつつ、日本国内で最低限の何をする必要があるのかを関係性を持って政策、施策を定めなければならないと強く感じました。国民、民間任せではロスが大きく、結果、達成できず、地球環境の保全はおろか、人類が生きていけなくなることを自覚した。
Posted by ブクログ
いま世の中ではCO2削減が目標とされているけど、この本はCO2ゼロを目指さなくていけないと書かれており、削減とゼロはやり方も考え方も違う。ゼロを目指さないとダメだなと改めて思った。
本書では沢山の情報が書かれていて一度では覚えられないので、また読みたい。
Posted by ブクログ
すごく面白かった。温室効果ガスの排出を510億から0にしなければならない理由、現状の問題の細分化が簡潔にまとめられていた印象。
具体的な行動も第11章以降で述べられている。
第11章 ゼロ達成に向けた計画
イノベーションの供給を増やす
[1] これからの10年で、クリーン・エネルギーと気候関係の研究開発予算を五倍にする。
必要な技術
炭素を排出せずに生産される水素
フルシーズンもつグリッドスケールの電力貯蔵
電気燃料
次世代バイオ燃料
炭素ゼロのセメント
炭素ゼロの鋼鉄
植物由来や細胞由来の肉や乳製品
炭素ゼロの肥料
次世代核分裂
Fガスを含まない冷媒
核融合
炭素回収(直接空気回収と局所的な回収)
地下送電
炭素ゼロのプラスティック
地熱エネルギー
揚水発電
蓄熱
干魃や洪水に強い食用作物
炭素ゼロのパーム油の代替物
[2] 高リスク高リターンの研究開発プロジェクトに、より多くの資金を投じる。
[3] 研究開発を最大のニーズとマッチさせる。
[4] はじめから産業界と協働する。
イノベーションの需要に弾みをつける
購買力を行使する。
コストを下げてリスクを減らすインセンティブをつくる。
新技術を市場の送るインフラをつくる。
新技術がほかと競合できるようにルールを変える。
炭素に値段をつけるカーボン・プライシング。
グリーン電力基準。
グリーン燃料基準。
クリーン製品基準。
古いものを追い出す。
Posted by ブクログ
ビルゲイツが気候変動に対してとても勉強して、活動していることがわかった。技術の知識がバックグラウンドにあるので、数値やファクトに基づく記述が多くとても分かりやすかった。年間の温室効果ガス排出量を510億トンと明記し、排出元を割合で示していたのは、目標達成に向けたイメージが湧き良かった。グリーンプレミアムという、環境に配慮した製品とそうでない製品の価格の差をどう埋めるかに、技術革新や政策、市場の変化が大切と考えるなど、技術革新だけでなく、政策や市場といった社会の仕組みのイノベーションも大切だと改めて思った。政策や市場のイノベーションをどのように起こすか、ファクトから課題を探し、どのような解決策があるか考えていきたい。
Posted by ブクログ
第三章の5つの問いと、グリープレミアムの考えは非常に有用。
輸送でも電力でもなんでも脱炭素のためにはテクノロジーの発達が必須ということがわかる。
短期的に二酸化炭素排出を少なくするのではなく、長期的にゼロにする必要があることがわかった。
Posted by ブクログ
地球温暖化を軽く見ていたことをこの本を読んで反省させられた。
著者は気候問題の解決に際し必要な5つの問い(電気を使う・ものをつくる・ものを育てる・移動する・冷やしたり、温めたりする)をたて、それぞれの問題点及び解決策を検討する。
特に温暖化問題は電力移行が済めば解決と思われがちだが、実は発電はCO2排出原因の27%しかなく、セメントや鋼鉄などのものの生産工程でCO2が31%も出ている事実には驚いた。
問題解決にはまずこの問題の重要性に気付いた人がそれを周りに広げて世界全体でその意識を共有していく事が大事だと感じた。
Posted by ブクログ
世界の大気中に増える温室効果ガスは毎年510億トンに上る、その内訳は発電27%、製造(鉄鋼やセメント等)31%、農牧業(家畜や肥料)19%、移動(乗用車、トラック・トレーラー、飛行機、船)16%、冷暖房7%、これは世界的な統計ですが米国だと移動の比率が第一位となっていて、概ね先進国はその傾向が強いとのことです。地球温暖化・温室効果ガスの話では、発電と自動車が主にネタとなりますが、全てのケースを洗い出して論を進めるところが元プログラマーらしい現状分析です。
著者は元々サハラ以南の貧しいアフリカに心を痛めていて、この地域の電気が使えない6億人に電気を提供しようとしている中で、気候学者と話をすることがあり、この問題に目覚めたようです。著者の元々の活動は私も知っていて、以前はアフリカにもWindows売りたいのだと思っていましたが、この本を通して慈善家としてのビルゲイツ氏を少し分かった気がします。
著者の主張する2050年二酸化炭素排出ゼロに向けては、製造や農牧業に関しては大きな技術革新がないと難しそうなので、先ずは自動車と発電の二酸化炭素ゼロ化が急務です。
山林を切り倒して太陽光発電のパネルを設置するなどは本末転倒になるので、国土の狭い日本だと洋上風力が有望そうです。また、EUも認めたように原子力発電止む無しなのかもしれませんが、従来型の核分裂方式とは違った核融合方式に希望が見出せます。自動車(特に乗用車)は公共の交通機関の利用を推進して、必要最小限のEVそして自動運転に収斂していくのが望ましいですね。
Posted by ブクログ
気候変動という大きな問題に対するアプローチ、思考の手順が参考になる。
人類の進歩は素晴らしいという前提で、しかしマイナスの面もあることを認め、だからといって進歩を否定せず、解決策を考える姿勢に共感。
【前提】
◯目標
1気候大災害を防ぐには、ゼロを達成しなければならない
2太陽光や風力といったすでにある手段を、もっと早く効果的に展開する必要がある
3目標達成を可能にするブレークスルーを生み出し展開しなければならない
◯基本の数字(問題を数値化・具体化、前提理解)
・温室効果ガス年間排出量:510億トン(うちCO2は370億トン、炭素換算100億トン)
・2020年下半期の石油平均価格:1ガロン(約3.8リットル)あたり1ドル
※1バレル(42ガロン)42ドル
※石油日消費量40億ガロン → 安価、大量
・過去のエネルギー移行期間:30〜70年 → 時間を要する
◯思考ロジック(問い立て)
1 510億トンのうちどれだけか
・ゼロにするという第一の目標と結びつけてすべてを考える
・ある取組は意味ある削減量なのか。すなわち、増える見込みなのか変わらないのか
・将来的に、最低でも年間5億トン(世界の排出量の1%)を削減できる技術に資金提供する
2セメントはどうするつもりか
・温室効果ガスが排出される5つの異なる活動すべてに解決策が必要であることを心に留めておく
3どれだけの電力なのか(電源設備容量)
・世界:5000ギガワット
・アメリカ:1000ギガワット(日本:250ギガワット)
・中規模都市:1ギガワット
・小さな町村:1メガワット
・平均的なアメリカ家庭:1キロワット
※ただし、太陽光などは稼働率30%程度を考慮
4どれだけの空間が必要か
※本書の数値は正しくない可能性があるが、化石燃料>原子力>太陽光>水力>風力>バイオマス 程度を押さえておく
※参考:太陽光1kWに必要な面積15m2
5費用はいくらかかるのか
・グリーン・プレミアム(GP):化石燃料に比べて追加でかかる非有用
・GPが低いか全くないもの:今すぐ展開すべき。制度等のコスト以外の障壁を取り除く
・高いもの:技術開発等に投資を集中
【GHGを排出する5つの活動】
1電気を使う:27%
・アメリカでのGP:1.3~1.7セント/kWh(15%増)
※ アメリカ平均家庭電力消費量:29kWh/日
・バッテリー1kWh1、1000サイクル、100ドル
夜間電力コストは日中の約3倍
冬季電力コストはさらに大きい
発電容量を未だかつてない量確保する必要がある
2ものをつくる:31%
・鋼鉄:加熱還元、原材料としての炭素添加。50億トン、鋼鉄1トン製造に1.8トンCO2排出。GP16-29%
・コンクリート(セメント):原材料としてのカルシウムを取り出すための石灰石からのCO2排出。40億トン、1体1で排出。GP75-140%
・プラスチック:焼却・分解時にCO2排出。長期間固定。GP9-15%
①可能な限り全ての工程を電化する
②脱炭素化された電力網からその電気を獲得する
③残った排出分には炭素回収を用いる
④資材をもっと効率的に利用する
3ものを育てる:19%
・メタンのCO2比温室効果は28倍、NO265倍
・家畜腸内発酵:20億トン、3-ニトロオキシプロパノールによりメタン排出30%削減
・肥料による温室効果ガス:13億トン、半分以上は地下水や地表水に流出して汚染、NOとして空気中に漏出
・森林破壊
※植林の効果は限定的(1本の木が一生に吸収するCO2は5トン、焼却すると放出、植林しなかった際の土地利用)
4移動する:16%
・長距離、大型、高出力はバッテリーは不可
・バッテリー、次世代バイオ燃料、電気燃料(水素)
5冷やしたり暖めたりする:7%
・エアコン:2050年までに冷却のためのエネルギー需要は3倍
・現在購入されている典型的なエアコンは再高性能機種の1/3の効率
・ヒートポンプはアメリカでは11%しか普及していない
→既存の技術で大幅改善が可能。規制の問題
・フロンガス対策
・暖房については脱炭素化に向けては次世代バイオ燃料等のイノベーションが必要
【政府が目指すべき7つの目標】
1投資のギャップに注意する
・エネルギー産業は規制された資本集約型産業
・収入の0.3%程度しか研究開発に使われない
・利益が得られる見込みがなく民間セクターが投資しない研究開発に資金を投じる
2競争の場を公平にする
・グリーン・プレミアムをゼロにするには炭素を排出するものを高くする方法も(政策のイノベーション)
3市場以外の障壁を乗り越える
・例えば大家が建物設備を効率性の高いものに変えないのはエネルギー料金支払いが自分でないため
・インセンティブの適正化
4最先端の技術を反映させる
5公正な移行を計画する
6困難な課題にも取り組む
・蓄電、クリーンな燃料、セメント、鋼鉄、肥料など
7技術、政策、市場に同時に働きかける
・イノベーションを後押しし、新しい企業を誕生させて、新製品を早く市場に送り込むには3つを同時に動く仕組みが必要
【ゼロ達成に向けた計画】
・2030年までに排出を少し削減するためにすべことと、2050年までにゼロを達成することは根本的に違う(目先の削減のためにロックインされる取組もあることに注意)
・2030年の目標は2050年ゼロ実現の通過地点でなければならないことを意識
Posted by ブクログ
カーボンニュートラル、という途方もなく、スローガンになりがちな目標に向けて、地に足のついた議論を展開されている。また著者自身が(評論ではなく)活動されているため、内容に説得性が生まれていた。
前向きな内容で勇気が持てる。
Posted by ブクログ
気候変動に関する本。ビル・ゲイツ著。
現在の温室効果ガスによる気候変動が、地球の規模で非常に大きな問題であることが改めてわかった。
温室効果ガスの削減に向けて、技術的な観点での様々なアプローチが、本書の中で紹介されている。気候変動は政治的な側面で捉えられるケースがよくあるが、それとは切り離し、テクノロジーによる解決策にフォーカスを当てている。エネルギーの生産・消費の仕方、農業、ロジスティクス、工業など、各分野における最新技術やイノベーションが非常に興味深く、研究開発を支援する財団の貢献もよくわかる。今後にむけて、個人レベルから国家レベルへの提案も示されており、各所で策定されるポリシーや戦略に影響を与えそうである。
Posted by ブクログ
地球の未来を想ってくれる力のある人がいることのありがたさを感じた。
日本の企業の多くはサラリーマン社長なので、環境のためという使命感で会社を動かすことは難しいと思う。脱炭素が単なる数値目標になってしまっているようで残念。社員もその重要性を理解し、自社の取り組みに誇りを持てると良い。CO2排出量〇%削減、といっても、その数的効果を実感するのは難しい。実感のない取組に熱をもって取り組むのは難しい。正しい知識と危機感があると、その数値の重要性が掴めるのだと思う。彼はそれをしている。
脱炭素を謳う一方で、自身が炭素排出量の多い生活をしていることに葛藤がある。この点については、脱炭素に向けた働きかけを行うことで、削減が排出を補っていると考えている。といった記載があった。自身を客観視しつつ、ポジティブな面を見出して原動力にしていくことの重要性を感じた。脱炭素のトピックに関わらず、自身が何かを実行しようとすると、無駄に自分を客観視したつもりで卑下して行動を止めてしまうことがあるから。
干ばつ洪水
DAC炭素吸引
グリーンプレミアム、
Posted by ブクログ
地球温暖化に疑いの余地はない。国連の報告書でもこの事実が確認される。
CO2の世界の排出量は年間で510億トンでこれを2050年までに0にする必要がある
内訳は電気を使う27パー、ものをつくる31ぱー、ものを育てる19ぱー、移動する16パー、冷やす暖める7パー。
電気をつかう:現在世界の3分の2が化石燃料。
太陽光や風力は間欠的エネルギーだが電気は常に必要。再エネを普及させると間欠性の問題が大きくなるため、安価なバッテリーの開発や他のエネルギー源が必要。原子力は有効な手段。
ものをつくる:コンクリートや鋼鉄を作る際、炭素を結合する過程でCO2が発生する。
工程の電化、炭素回収、効率的な資材活用が必要。
貧困国の人々がより良い暮らしをできるように、エネルギー使用量は増やすべきで経済成長を止めるべきではない。そのエネルギーがクリーンなものである必要がある。
気候変動の被害は貧困国である。農業が主要産業であるため。気候変動の原因になることをほとんどしていないのにその影響を受けることとなるため、最も貧しい人たちを救うためにもゼロを達成する必要がある。
ゼロ達成は慈善事業ではない。新しい技術でブレークスルーを起こし、産業を生み出すことで、雇用創出と排出削減の両方が実現できる。
そのために、グリーンプレミアム(既存技術と新技術のコスト差)を小さくする必要がある。市場原理、経済合理性から。
それには必ず政策として取り組む必要がある。民間だけでは研究開発にコストがかかりそのリスクをとれない。
また、2030年ではなく、2050年ゼロをゴールにして取り組みを進めるべき。例えば石炭火力発電から石油火力発電に更新したら2030年は達成できても、耐用年数を考えるとその時点で2050年の達成は難しくなってしまう。
Posted by ブクログ
ビル・ゲイツさんは本気で地球を救おうとしている。迫り来る気候変動、地球温暖化という人類の問題について書かれた一見難しそうな内容。それがこの本では我々一般市民が理解できるレベルにまで分解して、シンプルな言葉で分かりやすく説明してくれている。ゲイツさんが如何に頭脳明晰で、説明上手な人なのかを思い知らされる。
地球温暖化に歯止めをかけるには、温室効果ガスの排出をゼロにしなければいけない。そのために各国、そして我々がすべきことは何か。ゲイツさんが歳月をかけて学び蓄積した知識を、わずか二千円弱で読めるなんて凄いことだと改めて思う。
アメリカ、日本、中国など高・中所得国の話ばかりではなく、低所得国に重きを置いている点には驚かされた。例えば炭素税を導入するという例で、「低所得国からの製品は大目に見る必要がある。低所得国の優先事項は経済成長をすすめることであって、すでに非常に低い炭素排出を削減することではないからだ。」とゲイツさんは述べている。各国で同じ数値を目指すことを平等とするのではなく、それぞれの国の状況に応じた処置を行い、あくまでも地球全体で発展しながら温室効果ガスの排出をゼロにするという目標に向かう姿勢などは読んでいて感銘を受ける。
ただ、ある程度発展した社会の仕組みの中に、炭素排出をゼロにするための変更を途中から組み込むのは難しいと痛感した。初めから炭素排出がゼロのシステムを組み込んだ上で社会を作れたならよかったが、今となっては関係各所への利害が複雑に絡みすぎており、その時々のお金さえあれば解決できるというレベルの問題ではなくなってきている。
でもたしかにお金は必要で、ゲイツさんが莫大な資金を投入して企業や研究を支えてくれているのはありがたいと読みながら思った。本当は各国の政府が率先して大金を注ぎ込むべきなのだろうが…「技術、政策、市場に同時に働きかける」「3つが同じタイミングで同じ方向を向いていないといけない」というゲイツさんの考えに同意するし、各国で取り組んでほしいと心から願う。
気候変動をめぐる議論は二極化しており、矛盾や混乱を招く話が多い。そんななか、炭素排出ゼロ達成に向けて現実的で具体的な計画を議論の中心に据えるべく、我々一般市民が気候変動に関する会話を増やすきっかけをつくりたいという思いで本書は書かれたそう。ゲイツさんの凄さもさることながら、地球が今抱えている問題について深く真剣に知ることができる良書。
Posted by ブクログ
ビルゲイツのトイレのプロジェクト規模が、
凄すぎて、参考にも何もならないけど
ビルゲイツ財団の取り組み方や、コストの調整
世界を巻き込むチカラ、実行力
どれとっても素晴らしい!
ビルゲイツの奥さんも素晴らしい人だ。
地球規模かー。ビルゲイツの生きてる、
同じ時代に生きてる事が嬉しい。
Posted by ブクログ
気候大災害を防ぐために必要なことについて、誠実に理知的にわかりやすく書かれた良い本。
個人的には以下の点も掘り下げてほしかった。
・このままCO2を出し続ければ気候大災害が起こるとの検証
・時間稼ぎの手段として触れられているジオエンジリアリング(雲に粒子をまいて太陽光を遮る)による対応(・・・この方が現実的に感じた)
Posted by ブクログ
今温暖化を引き起こしているものが具体的に理解できた。自分の仕事を通じてできることを探すなど、読んだ人の行動を変える力を持つ本だと思う。
後半の具体的な行動については自分ごとにすることが難しく感じたが、イメージの助けになる。
Posted by ブクログ
知らなかったことが多く知れた。
平均気温が数度あがることってそんなに大ごとなの、と思っていたのは大きな間違いだとわかった。
技術への信望はビルゲイツらしいし、それは信じたいと思う。一方で原子力への感覚は国や人によって大きく違うだろうし、全世界的な取り組みの前提となる平和な世界がエネルギーを人質にして脅かされてしまう中、先は厳しいとも感じざるを得ない。
平均気温が4度高かった恐竜の時代にはワニが北極圏で生きられた。
氷河期の平均気温は今より6度低いだけだった。
温室効果ガスを排出する人間の活動
ものを作る(セメント、鋼鉄、プラスチック)31%
電気を使う(電気)27%
ものを育てる(植物(肥料生産)、動物(牛のゲップや排泄物、森林破壊) 19%
移動する(乗用車47%, バス、トラックなど30%,船10%, 飛行機10%)16%
暖めたり冷やしたり(冷暖房、冷蔵)7%
Posted by ブクログ
新型コロナで経済活動が落ち込んでも、CO2排出量はわずかしか減らなかった。
温室効果ガスは年間510億トン。どのくらいの割合になるのか計算する。1%年間5億トンを超える技術に投資する。
鉄鋼とセメントの製造は全排出量の10%を占める。発電は27%。
電気量は、1メガワットで小さな町、5000ギガワットで全世界。
空間が必要=太陽光、風力、水力、だけでは賄えない。エネルギー空間密度が低い。
費用はいくらかかるのか=グリーンプレミアム。これが高すぎると誘導するのは無理。マイナスなら自然とそちらを選択するはず。
DACで吸収するのは年間5.1兆ドルかかる。最も費用がかかる方法。
グリーンプレミアムが低い電気を作って、エネルギーを電気に依存することが近道。
水力発電は、土壌の炭素がメタンに変わり放出される。逆効果になる。
経済発展には安いエネルギーが必要。中国は石炭火力を75%下げて経済発展した。
太陽光や風力、水力がただなのにグリーンプレミアムがかかるのは、化石燃料が非常に安いから。
場所によっては再生可能エネルギーが利用できない=送電にお金がかかる。
安定供給のために化石燃料が求められる。バッテリーでは対応できない。原子力は必要。
クリーンなエネルギーは、今後さらに必要になる。人口増加、経済発展のため。現在の発電量の3倍以上必要になる。
電気が占める割合が多くなると送電網のスマート化が必要になる。
原子力以外にはない。発電設備の資材量も最も少ない。太陽光が一番多い。テラパワーの原子炉。
核融合はいまだに実験炉段階。プラズマを発生させるための電力が、発電よりも多い。
養生風力は有望。
バッテリー、揚水発電、蓄熱、安価な水素。燃料電池のための水素を得るために電気を使うと持ち運べるが、エネルギー効率は落ちる。
炭素回収=コンクリートの中に埋め込む。
電力使用量を平準化、または減らす。
ヒートポンプによる熱源にする。
セメントは製造過程で二酸化炭素が出る。エネルギーの問題ではない。
製鉄は電炉で解決可能。
プラスティックは、炭素を使って製造する。閉じ込めて置ける。
結局、可能な限り電化し、脱炭素した電力網から獲得する。残った排出は炭素回収、資材をもっと効率的に利用する、という方法がよい。
食用に動物を育てることは大きな要因。牛のゲップにはメタンが含まれる。
ボーロッグは(
(緑の革命の引き金)、茎を短くした小麦を開発した。トウモロコシと米も同様のものができた。半矮性の小麦。肉食の方が餌のカロリーを使う。
肉の代わりに植物由来の肉をつくる。細胞肉、培養肉をつくる。食材の無駄をなくす。
ハーバーボッシュ法で合成肥料ができるようになって農業革命が起きた。肥料のおかげで、微生物が窒素を作らなくなった。製造に二酸化炭素を排出させる。
亜酸化窒素は回収できない。
森林破壊は人口増加のための食料と燃料を作るために起きる。森林破壊を補う植林はできない。
ガソリンほど安く密度が高いエネルギーはない。輸送のためのエネルギーは排出量の16%しかない。
電機自動車は、グリーンプレミアムはほぼゼロに近づいている。しかし、ガソリンが安ければバッテリーが高くてそうはならない。充電に時間がかかる。
代替え燃料には第二世代のバイオ燃料がある。食用ではない植物から作られたエネルギー。空気中の二酸化炭素を回収して炭素エネルギーを作る電気燃料。
バッテリーはガソリンの35倍の重さになる。
長距離の大型トラックは実用的ではない。
船と飛行機は、必要な動力が多いので電化できない。バンカー重油はとても安い。
小型のものは電気、船は原子力で。飛行機は代替燃料。
電気の飛行機は、二人乗りで3時間まで。
電気自動車が広く使われるとガソリン税の収入が減る=見かけよりもガソリンのコストが安い証拠。
冷暖房は電気のほうがすでに安い。ヒートポンプで熱を賄えばグリーンプレミアムはマイナスになる。=電化、電気を脱酸素化、省エネを進める。
収入が上がるほど炭素を排出するようになる。
最貧国では電気自動車よりワクチンのほうが重要。
マングローブは、防波堤より安くつき、浸水の被害を防ぐ。
ティッピングポイントに達して、海底のメタンガスが放出されるようになると取り返しがつかない状態になる。
ジオエンジニアリング=大気を一時的に変化させて気温を下げる=1%太陽光を減らせばよい=雲を白くする。
安上がりだが、世界的な合意が必要。
電気はクリーンでもそうでなくても同じ使い勝手。義務付けなければ安いものが売れるだけ。
アメリカはガソリンの10%がバイオ燃料になっている。
次世代バイオ燃料の研究が進まないのは、市場があることを確信できないから。
太陽光や風力を普及させたのは買取制度や補助があったから。技術開発によってグリーンプレミアムは少なく、またはマイナスになる。
2030年までに削減、と2050年までにゼロを達成、は同じ方向ではない。技術開発の目標が違う。
炭素に値段をつけるカーボンプライシング=温室効果ガスの排出は高くつくことを市場に示す必要gあある。
グリーンプレミアムを下げることは慈善事業ではない。これが新しいイノベーションのチャンスである、と捉えるべき。
Posted by ブクログ
ビル・ゲイツ氏による気候災害の現状の危機と今すぐ取るべき課題の提言がまとめられた本書、かなりヨカタ‼️
既に脱炭素社会に向けた取り組みが毎日のように取り上げられるようになり久しいが、氏曰く、もっと喫緊に、各国各人が大至急連携を組んで対策を進めねば、地球が本気で取り返しのつかないものとなってしまうという。
気候災害といえば、地球温暖化、異常気象、海抜上昇、などが思い起こされるけど、もちろんそれだけでなく、それにより食産物も生産できなくなり、人は住むのも食うのも立ち行かなくなる、等といった副次的に起こっていく事態の数々によって、地球は壊滅的な状況になっていく、、と。
そしてそれらは地球上の貧困地域から起こることなる。地球温暖化の原因は、先進国による影響がほとんどなのに、と。
こんなかなり絶望的な状況にあるってことは、やはり改めて意識せざるを得ない内容であったし、しかしそこに現代科学の総知見を用いて、ありとあらゆる対策を講じ実施していく、と。そしてそこにビジネスの要素も絡めて実施していこうと提言しているあたり、マイクロソフトを築き上げた氏だからこそ言える、現実的な対策と思えたりする。
ハッと思ったのは、co2排出の要因の割合。今話題のev自動車らの領域となる『移動』って部分の要素は、全体の16%で第4位。これだけ脱炭素社会にはev!と騒がれてるれてものの、全体の16%だ。
もっともな要因は、『ものをつくる』31%。次は『電気を使う』27%、『ものを育てる(植物・動物)』19%。つまり当たり前だけど、今の自分らの仕事、生活そのものが、炭素排出に大きく寄与しており、そこを大きく変えないと、やがて自分らの首を絞めてくことになるんやな、と。
とはいえまずは出来ることからコツコツと、、、とゆうわけで、取り急ぎ毎日のペットボトルを、マイボトルに変えた次第‼️
Posted by ブクログ
ビルゲイツが、脱炭素への取組について述べたもの。大富豪であるビルゲイツは財団を持ち、さまざまな取り組みをしているが、脱炭素に関しても積極的に取り組んでいることがわかった。今まで行ってきた貧困対策などの経験や、豊富な人脈を駆使した調査研究などから自分なりの結論を導き、歩んでいる。その一環としての今回の本の出版なんだと思う。温暖化についてよく調べられており、説得力があった。政治家や市民団体とは違い、大富豪のこういった取り組みには賛同できる点が多く、すばらしいと思う。
「最先端の事業に倒産のリスクはつきものだが、それは必ずしも失敗の印ではない。重要なのは失敗から学び、教訓を次の事業に活かすことだ。マイクロソフトもそうしたし、僕が知るイノベーターもみなそうしている」p28
「窒素や酸素の分子など、同じ原子2つから成る分子は、放射線をそのまま通過させる。二酸化炭素やメタンのように異なる原子からできている分子だけが、放射線を吸収し熱を帯びる構造をしている」p39
「(石油)世界中の人々は、ダイエット・コークよりも安い製品を毎日40億ガロン使って暮らしている」p59
「(温室効果ガス年間総排出量510億トンのどれだけか)温室効果ガスの量を挙げている何かを読むと、僕はいつもちょっとした計算をする。それが年間総排出量510億トンの何%にあたるかをはじき出すのだ」p76
「ブレークスルー・エナジーが資金提供するのは、成功して完全に実行に移すことができたときに、最低でも年間5億トンを削減できる技術だけである」p77
「(植林)1本の木が一生の間(約40年間)に4トンの二酸化炭素を吸収する。燃やされたら、木に蓄えられていた二酸化炭素はすべて大気中に放出される」p174
「5000万ドルかけたのに失敗に終わったわけだが、後悔はしていない。うまくいかないものが多いとわかっていても、さまざまなアイデアを模索しなければならないからだ」p189
「(2050年までに排出実質ゼロ(2030年を目標にしない))2030年は2050年までの道のりの一地点。誤ったかたちで2030年までに排出を削減すると、実はゼロの達成が阻まれる可能性もあるのだ。2030年の目標を設定するのはいいことだが、それは2050年までにゼロを実現する道のりの通過地点としてでなければならない(石炭火力発電をガス火力発電にしない)」p267
「エネルギーでもソフトウェアでも、その他ほぼどんな仕事でも、厳密に技術だけの問題としてイノベーションを考えるのは間違っている。イノベーションは、新しい機械や工程を考えることだけではない。新しい発明に命を吹き込んで世界規模で展開するのを手助けするビジネス・モデル、サプライチェーン、市場、政策の新手法を考えることでもある。イノベーションは新しい発明品であるのと同時に、物事の新しいやり方のことでもあるのだ」p270
「(2つのカテゴリー)一つがイノベーションの供給を拡大すること、つまりテストされる新しいアイデアを増やすことで、もうひとつがイノベーションの需要に弾みをつけることだ。イノベーションの需要がなければ、発明家にも政策立案者にも新しいアイデアを生み出すインセンティブがない」p270
「(製品化の難しさ)試験段階は死の谷であり、いいアイデアが死に赴く場だ。新製品を市場でテストして市場に出すリスクは、多くの場合あまりにも大きい。投資家は恐れをなす。開発に多額の資本を必要とし、消費者にかなり大きな行動の変化を求める可能性のある低炭素技術には、とりわけそれが当てはまる」p276
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素晴らしかった
恐らくあるであろう「お前が言うな」的なブーメラン批判は措いといて、ビル・ゲイツのように国家を超越した人でなければ温暖化には取り組めない気がする
国家の枠組みでの政策はglobalな問題にとって時代遅れで、GAFAMの影響力は増すばかりだから
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化石燃料がどれだけ生活に根ざしているかよくわかった。
消費者として、エコに関連する製品や食べ物を選ぶ→マーケットにシグナルを送る→企業が価値ある市場と認識→投資→開発費に充てる、自分の行動も大きな流れの一部になりあるということを認識した。
Posted by ブクログ
本音はどうあれ、ビルゲイツのような超富裕層が未来志向で地球保全を考えているという事実は救いだ。あの金を倫理観のかけらも無い悪徳に用いる事もできると思えば、随分良い話である。苦労して出世した会社が潰れれば元も子もない。金が幾らあっても手に入れられない平和な未来を認識して、軌道修正するのは当然あるべきとも思うが、簡単な事では無いだろう。
地球温暖化の話である。本書でとりわけ良かったのは、脱炭素を語るなら、スケールを頭に入れておけ、というアドバイスだ。世界の二酸化炭素排出量のトン数は510億トン。その何%の削減にあたるのかを意識することが大事だという事。確かに、この基準値を持って世の施策を見れば、寄与度がよくわかる。頼りない取り組みに気づいてしまう事もある。
ビルゲイツは、スタートアップのバッテリー企業に対し、超高額のお金を支払ったが、結局のところリチウムイオン電池を改善するのは難しいという結論だ。バッテリーに使える金属も全て調べたが、既に製造されているバッテリーより、更に高性能のものを製造できる素材は存在しない。せいぜい性能を3倍にする位。従来使われている個体金属の代わりに液体金属を使用するバッテリーが研究されている。また、ガソリンと同じ量のエネルギーを得るには、ガソリンが35倍の重さのバッテリーが必要になる。
肥料に巻かれた窒素の多くは植物に吸収されず地下水や地表水に流出して汚染を引き起こすか亜酸化窒素として空気中に漏れ出る。亜酸化窒素は二酸化炭素の265倍も地球を温める力がある。
ビジネスは、こうした本質的ニーズに向けられるべきだし、そこにイノベーションが活用されていくのが理想だ。余剰に溢れる富裕層の責務とすら思う。
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温室効果ガスを出しているのが鉄鋼業などものづくりの過程が多く。(一般のエアコン使用がそれほど多くないデータは良かった)
withコロナの時代で読みましたが、
参考になりました。
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本書は、ビル・ゲイツ氏がエネルギー貧困問題を通じてここ20年間に知った気候変動の実態と今後の対策について書き下ろしたものである。エンジニアの立場から温室効果ガス排出量をゼロにするための考えを記している。
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技術で危機を乗り越えようとする言説。
既に地位も名誉もあり、何より利権、お金が動かすことができない、稀代の起業家が取り組む地球温暖化対策の概説。
国、政治が、活動家が説く温暖化対策は、どこか私利私欲、利権が背景に見え隠れすることが多く、うんざりさせられることが多いが、この本はそうした偏りが少なく見える。