砂原浩太朗のレビュー一覧
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『高瀬庄左衛門御留書』で山本周五郎賞を受賞した著者のデビュー作。
信長・秀吉・家康とめまぐるしく覇権がが移りゆく時代を潜り抜け、加賀百万石の礎を築いた前田利家、彼を側近として仕えた村井長頼を主人公とした歴史長編。
時に厳しく時に温かい利家と長頼との主従関係の固い絆が語られる。
長頼が問う。
「殿は・・・天下人になりたいと思われませぬので」と。
それに対して利家は
「・・・漢(おとこ)なら、だれしも天下を望もう。・・・だが、わしが目指すのは、天下一のもののふ」と答える。
利家の性格・時代状況のなかでの彼の位置を著す箇所ともいえる。
そして、秀吉と柴田勝家が覇を争う賤ヶ岳での戦いに臨み、どちらに着 -
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面白かった!!高瀬庄左衛門 、かっこええ、、。
50歳で隠居、お役目(郡方)は息子に譲り、その
いきなり息子が出張先で死亡する、というところから始まる。
かなり大変な事柄であり、その後もたくさん事件があり
事柄だけを並べると、どんなハードボイルドミステリ時代小説か?!
って感じなんだが、
全体的にほんと、どたばたしてなくて、
とっても静かで落ち着いていて、
スゥっと心が凪いだまま読める。文体の美しさと、
情景のすばらしさもあるかと思うが、
主役の庄左衛門はもちろん、志穂も弦之助も半次も余吾平も
大変好ましく、魅力あふれる。次郎右衛門めちゃめちゃかっこいい。
なんせ、年寄りが全員カッコ良すぎる。 -
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市井を描く八篇からなる短編集。
砂原浩太朗さん、そう来たか!
長屋に住む人々の物語。
どういう展開になるのか楽しみにしていた。
腰高障子を引けば全てが見渡せるほどの狭さ。
井戸端でのかしましい声。
全編を通して伝わる、長屋のじとっとした空気が重苦しい。
「幼なじみ」
P183
〈いちど裏長屋に生まれたら、ふたたび表通りは歩けない〉
「錆び刀」は、浪人に落ちた者の話。
どうしようもなく自分の想いに流されてしまうが
清々しさも感じられる一編。
武士の矜持を描いた物語も読み応えありだが
精一杯生きる市井の人たちも良かった。
今作が初めてという読者のみなさん。
既刊もぜひ。 -
Posted by ブクログ
市井物の時代短編集。8編「帰ってきた」「向こうがわ」「死んでくれ」「さざなみ」「錆び刀」「幼なじみ」「半分」「妾の子」
初期のどうしようもなく暗かった頃の藤沢周平を思い出します。
まあ、砂原さんご自身が「デビュー直後から藤沢周平への私淑を公言していた。」とおっしゃっているので影響を受けているのは間違い無いようです。
そうは言っても「焼き直し」ではありません。短編ながらストーリーのヒネリがやや強く、クルリと反転する感じは周平さんと少し違います。また、最後の一編を除き、主人公が闇に堕ちて行くところは似ていますが、その闇は初期の周平さんの様な漆黒ではなく、やや月明かりが差す闇の様です。
暗転ではなく -
購入済み
鎌倉三代将軍家の時代の13篇の短編アンソロジー。
タイトルは『旅する』だけど、旅自体を扱った作品はなかったような?(^_^;)各作品の冒頭に、作品にちなんだ名所の写真と説明がついています。
前半は頼朝と政子の逸話が多く、後ろになるにしたがって時代があとになります。
砂原浩太朗さんの「実朝の猫」が好きかも。鎌倉に行きたくなりました(^.^)