砂原浩太朗のレビュー一覧

  • 藩邸差配役日日控

    H

    購入済み

    砂原浩太朗の著作としては5冊目。藩邸の差配役と言われる「なんでも屋」の話ですが、砂原節はしっかりと出ており、安心して読めます。
    現在に引き戻すと、企業の総務部庶務課の係長の物語と言えばよいのでしょうか。

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    2026年03月26日
  • 高瀬庄左衛門御留書

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    ネタバレ

    続編が出ていると知り、「まずは最初の作品から」と手に取った本書。
    物語の軸となる一揆騒動は、郡奉行としての庄左衛門の矜持を示す山場だが、個人的にはこれをより後半に配置し、緊迫感を持ったまま幕を閉じる構成の方がと思ったが、しかし、それは、大きな事件(一揆)が終わっても、日常は続いていくという残酷な人生の本質が描かれているのかもしれない。
    もう一つの軸は、亡き息子の嫁・志穂との関係。息子という共通の愛する人を失った二人が、絶望の果てに見つけた「縋るもの」としての関係性がある。道は間違っていると知りながらも抑えきれない志穂の恋情の激しさには、抗いがたい魅力があった。
    庄左衛門は決してヒーローではない。理不尽な政争に巻き込まれても、「何が正しいか」を静かに問い続ける地味な男だ。一揆の収束も「被害を最小限に食い止める」という極めて現実的な解決策を選ぶ。この「足るを知る」生き方と一線を超えない矜持こそが、彼の本質だろう。
    一方で、業を背負った蕎麦屋の半次や若き弦之介との軽妙な会話は実に楽しく、殺伐とした物語の中の救いとなっている。
    本作が描くのは、大切なものを次々と失いながらも、どう立ち居振る舞うかという姿だ。理想的な英雄像を裏切り、執着や醜さを抱えながらも生きていく……
    この余韻を抱えつつ、続編も読んでみようと思う。

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    2026年03月21日
  • 決戦!設楽原 武田軍vs.織田・徳川軍

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    長篠のコトだった 知らなかった、、、(^.^))
    初めての作家先生方でしたが面白かったです
    影の功労者って!ほんとアツいです

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    2026年03月19日
  • 夜露がたり

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    目次
    ・帰ってきた
    ・向こうがわ
    ・死んでくれ
    ・さざなみ
    ・錆び刀
    ・幼なじみ
    ・半分
    ・妾の子

    著者初の「市井もの」ということだが、「人情もの」ではない。
    掛け違えた心が作り出すのは、取り返しのつかない痛みだったり別れだったり。
    そう、江戸に住む庶民のすべてがいい人のわけはないし、善人と悪人の間にくっきりと線が引かれているわけでもないのは、現在と同じなのだ。
    人間だもの。

    耐えに耐えた挙句に良い結末を迎える、なんて話ばかりではないので、カタルシスが得られるかは読者しだい。
    私は『帰ってきた』おみのの「あたしはあたしのもんだっ」が、結構好きだ。
    元夫と、その弟分の現夫が彼女をめぐって「おみのはおれのもんだ!」と争っていた時に切った啖呵。
    「――どいつもこいつも、こけにしやがって」

    『幼なじみ』も、何かしみじみよかったな。
    うらぶれた長屋住まいから飛び出して、大店の手代に上りつめた秀太郎(ひでたろう)。
    幼なじみで弟分の梅吉が小僧として同じ店で働くことになり…。
    秀太郎には明るい未来はないのかもしれないけれど、せめて梅吉は…。

    後は『錆び刀』の、逆玉の輿を断って、同じ長屋でいつも親切にしてくれるおよしと添い遂げようと心を決めた途端のどんでん返しも面白かった。
    でも、砂原浩太朗は武家ものを読みたいなあ。

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    2026年03月18日
  • 藩邸差配役日日控

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    別のシリーズよりちょっと賑やかでドタバタ感がある。
    どっちも普通の人が普通に頑張って暮らしてて、凄く良い。

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    2026年03月11日
  • 夜露がたり

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    親子の愛情や幼馴染との友情、主君への忠誠など、綺麗な物語の作り手という印象の砂原さんだが、本書は一転ドロドロとした暗部が前面に出ている。愛の裏返しの恨みや憎しみ、表に出せない悪意、殺意、欲望、自己保身など。怖い物語が8編で、読みやすいが恐ろしい。

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    2026年03月11日
  • 武家女人記

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    淡々したと暮らしの中の不条理。植物だけでなく季節ごとの鳥や昆虫が彩りと音を添え、砂原さんらしさ、短編にも溢れる。いつの時代もヒトの世は生きづらくままならない。でもささやかな喜びも。

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    2026年03月09日
  • 武家女人記

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    武家の女人を描いた短編7篇。
    雪が大好きな武家娘の「深雪花」が好き。木内昇の『雪夢往来』で出てくる書物も登場。
    小太刀をたしなむ奥方の「背中合わせ」もいいなぁ。貧しい足軽一家の「縄綯い」も読んでいて辛いけど死に物狂いで縄を綯う未亡人がいい。

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    2026年02月17日
  • 武家女人記

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    p246
    〈武家は家を伝えるもの〉
    〈家とは結局ひとの集まりでしかない気がする〉
    『あねおとうと』より

    引き継がなくてはいけない名がある。
    それぞれの顔を持つ者が集まり家族として成り立っている。
    ときに窮屈で、守ることの意味を考えてしまう。

    静謐で芯を持った話が続き楽しい読書の時間だった。
    少しざわざわする『嵐』
    歩み寄る過程が丁寧に描かれた
    『緑雲の陰』が印象に残っている。

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    2026年02月10日
  • 武家女人記

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    表題通り武家の女性たちの美醜両面の感情を描いた短篇集で各話短いなかバランスよく巧みに纏められているなと感じました。彼女たちの心模様の変化は武家という立場にあることで起こる出来事に端を発するわけですが、一方でその感情の根本的な部分にじっと焦点を絞ってみれば、そこに映るのは現代のわたし達にも覚えのある普遍的な人間の揺らぎです。やや飛躍した感想にはなりますが、自分とはあらゆるものが違う相手の中にも自分の知っている何かが顕れ得るのだと改めて刻み込むことは、分断や悪辣な糾弾の蔓延る時代に人が他者を同じ人として捉える為の手掛かりにもなるように思うのです。

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    2026年02月02日
  • 冬と瓦礫

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     神戸出身の筆者が、震災直後に帰郷した実体験を基に、人物造形その他に脚色を加えながら創作した作品。自身の投影である主人公ほかの描き方に、透徹したリアリティを感じる。

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    2026年01月31日
  • 霜月記

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     サスペンスを織り込んだ親子三代のヒューマンドラマ時代小説。総次郎の実直さは、左大夫や武四郎のみならず、読者にも自然と感情移入を促す力がある。一方で、各章が短く、章ごとに総次郎と左大夫の視点が頻繁に切り替わる構成は、物語のテンポを落とし、感情にじっくり寄り添う叙情的な作風とは噛み合っていないようにも感じられた。
     総次郎の成長が本作の大きな魅力の1つだが、心に残ったのは、成長の契機になった左大夫の「気などすまんでよい」という一言である。仕事において自分の気持ちは大切だが、万事が気の済む形で終わることはない。総次郎にとって厳しい状況下で、静かに一喝を入れるこの言葉は、強い余韻を残した。

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    2026年01月12日
  • 武家女人記

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    タイトルの示す通り、武家の女性~藩主正室から下級武士の妻まで身分も年齢も様々~を描いた短編集です。短編「深雪花」は木内昇さんの『雪夢往来』にも出てくる江戸時代のベストセラー『北越雪譜』やその中に描かれた雪の結晶図にまつわる話です。
    読み始めてすぐに、山本周五郎/藤沢周平の遺沢を継ぐという言葉が頭に浮かびます。それくらい良い。しかし、読み進めるにつれ。。。。
    悪い訳では無いのです。でも、どこか抜けきれておらず、「型に嵌った」とか「技巧的」といった言葉が思い浮かびます。うまいな~と思う一面「らしさ」はどこにあるのだ?という感覚です。
    まあ、周五郎の若い頃や周平のデビュー数年後の多作期の作品なんかも似たようなもの。彼らはそこから「自分らしさ」を突き詰めて名作を生み出して行きました。砂原さんも、自分の「らしさ」に向き合ってそうなって頂きたいものです。

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    2026年01月10日
  • 霜月記

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    18歳の草壁総次郎は、失踪した父に代わり町奉行を務めることになる
    草壁家には代々、神山藩の町奉行を任されており、祖父は名判官だった
    ある日、神山藩屈指の大店・信濃屋の奉公人が殺害される
    そしてその死体のそばに、失踪した父のものに似た根付があるのに気がついた総次郎は名判官だった祖父に打ち明ける…
    果たしてその真相とは…

    初読み作家さんのミステリー時代劇!
    どうやらシリーズものだったようだが、違和感なく読めた
    ページが進みだしたのは殺害された死体が信濃屋の奉公人と判明した辺りから…
    町奉行としての総次郎が殺人事件を追う過程で、父の失踪の謎がみえてくるのだが、これがまさかの展開…(笑)
    しかしこの作品の魅力はミステリーとしてのおもしろさと共に、登場人物たちにある…
    特に孫を陰ながら応援し、自らも探りを入れる名判官の祖父は心強い存在…
    そして剣も学問もそこそこの総次郎の幼なじみ、武四郎はなぜか時に勘を働かせピンチを救う
    そして脇を固める筆頭与力や華を添える女衆…
    彼らに支えられながら町奉行としても人としても成長していく総次郎が頼もしい

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    2026年01月07日
  • 高瀬庄左衛門御留書

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    序盤でいきなり息子の啓一郎が亡くなり
    本当に事故なのかなぁ?と思いながら読み進める。
    庄左衛門の暮らしは、慎ましく静かなのだが
    何やら次々と事件のようなことが起きたりして
    先が気になってしまう。

    そしてやはり、この砂原さんの文章が美しくて心地よい。
    野鳥や松虫の音や、金木犀の香りなど、読んでいて本当に癒されます。

    庄左衛門が、ただ真っ直ぐに清廉な強い人
    というわけではなく、迷ったり悩んだり、
    揺れ動く思いを抱えながら生きていく姿が良いなと感じる。
    やはりこの作家さんの作品は好きです!

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    2026年01月03日
  • 武家女人記

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    砂原氏の復調の兆しが少し伺える武家の女性にスポットを当てた短編集。「背中合わせ」「深雪花」「あねおとうと」あたりはなかなかの佳品。「嵐」のような生臭い話は砂原氏には似合わない。「高瀬庄左衛門御留書」のような傑作をお待ちしております。

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    2025年12月27日
  • 決戦!桶狭間

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    『天祐は信長にあり』シリーズは長篠の戦いまで読み進めてしまったが、時を遡り『決戦!』シリーズで桶狭間を読みたいと思った。冲方丁が信長を語り、並み居る作家が今川義元、氏真を語る構成の妙。当たり前だが、正義はそれぞれの立場にあるのだ。元康(家康)は義元を慕っていたが、氏真は嫌っていた。だから信長に与した……そう考えるのが自然なような気がした。最後に首だけになった義元の思念「漸く、見えた。」は、句点なし、段落なしの長文で筒井康隆を彷彿とさせる文章だった。良し悪しは別としてだが……

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    2025年12月10日
  • 烈風を斬れ

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    秀吉に謀反の疑いをかけられ切腹をした秀次に、旅芸人の女に生ませて生き延びた子が居たと言う設定のフィクションの時代小説。
    その息子が「大阪の陣」のメンバーを結集させるために各地を放浪しながら父秀次の人物像を追い求める物語。ラストに恋愛もので締めくくっているところが少し残念。「なれるかな、おれは父に」という台詞がいまいち心に迫ってこなかった。

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    2025年11月20日
  • 烈風を斬れ

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    戦国の世とはいえ…どうして主に盲目的に従えるのか。損得の思惑だけの方が、よほどわかりやすい。この紙幅で大阪城攻防描けるのかと心配したが、砂原さんらしいオチ。殺伐としたストーリーに光と音が満ち溢れ、ホッとひと息。

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    2025年09月03日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    前田利家の家臣、村井長頼視点の話。
    有名な話(桶狭間とか本能寺とか)は全く触れずに、あまり有名ではない部分に焦点を当てた感じがよかった。信長や秀吉は晩年のふるまいは狂人ぽく書かれてるけど、利家は一貫してかっこよく書かれてた。
    読後感もすごく良かった。

    売ったけど、面白かったからまた買ってもいいかも

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    2025年08月16日