砂原浩太朗のレビュー一覧
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市井物の時代短編集。8編「帰ってきた」「向こうがわ」「死んでくれ」「さざなみ」「錆び刀」「幼なじみ」「半分」「妾の子」
初期のどうしようもなく暗かった頃の藤沢周平を思い出します。
まあ、砂原さんご自身が「デビュー直後から藤沢周平への私淑を公言していた。」とおっしゃっているので影響を受けているのは間違い無いようです。
そうは言っても「焼き直し」ではありません。短編ながらストーリーのヒネリがやや強く、クルリと反転する感じは周平さんと少し違います。また、最後の一編を除き、主人公が闇に堕ちて行くところは似ていますが、その闇は初期の周平さんの様な漆黒ではなく、やや月明かりが差す闇の様です。
暗転ではなく -
購入済み
鎌倉三代将軍家の時代の13篇の短編アンソロジー。
タイトルは『旅する』だけど、旅自体を扱った作品はなかったような?(^_^;)各作品の冒頭に、作品にちなんだ名所の写真と説明がついています。
前半は頼朝と政子の逸話が多く、後ろになるにしたがって時代があとになります。
砂原浩太朗さんの「実朝の猫」が好きかも。鎌倉に行きたくなりました(^.^) -
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ネタバレ作品紹介・あらすじ
新しい戦国を伝える、英傑たち21篇の真説
戦国時代は日本史の華である、といってよい。
織田信長を筆頭とする「三英傑」、前田利家、明智光秀ら武将たちの活躍、北政所、帰蝶(濃姫)、芳春院(まつ)など女たちのあでやかな逞しさが、さまざまな小説やドラマ、映画などに描かれてきた。
しかし、ここ数年、戦国史は様変わりしてきた。歴史研究の進展や新史料の発見などにより、これまでの通説がつぎつぎと覆され、まったく違った相貌を見せていたのである。
本書は、そうした「新しい戦国」を伝えるべく編まれたものである。歴史小説家・砂原浩太朗が、小説家らしく、フィクションや逸話の面白さも尊重しつつ、近年 -
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ネタバレまた良い感じの作家を見つけてしまった。
時おり読む時代小説も色々だが、時代は変わっても権力や組織を巡る人々の暮らしや有り様が面白い。
主人公は藩の秘密を抱えながらも娘二人との家族、毎日の総務的な業務に取り組みながら藩の色々なことに巻き込まれていく。ちょっと鬱屈してるけど筋を通す真面目で勤勉な僚吏という感じに好感が持てる。
作品紹介・あらすじ
『高瀬庄左衛門御留書』『黛家の兄弟』の著者による、清冽なる時代小説
消えた若君と、蠢く陰謀
その時、男は――。
江戸藩邸の“なんでも屋”――藩邸差配役・里村五郎兵衛
誰にもできぬお役を果たすのが、勤めにございます
里村五郎兵衛は、神宮寺藩江戸藩邸差 -
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神宮寺藩江戸藩邸差配役・里村五郎兵衛。陰で「なんでも屋」と揶揄されながら、人がやらない仕事を諸々引き受けるお役目。そんな里村の元には大小様々な藩邸内の揉め事が持ち込まれる。
日日控という表題どおり、里村の業務日誌のような短編4篇に、藩邸内に蠢く謀略の行方が描かれる最終話を加えた5つの話。
なんといっても里村の佇まいがいい。「なんでも屋」と揶揄され、中には腐るものもいる下役たちに差配役の仕事の何たるかを諭す姿。里村の仕事に対する矜持に触れることで下役たちも自然と学んでいく、正に理想の上司。
前半の藩邸騒動記のような短編はそれぞれが気軽に読め、最終話「秋江賦」では全ての話が一つに繋がり重厚な長