砂原浩太朗のレビュー一覧
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里村五郎兵衛の宮仕え日誌、その2。
武士の堅苦しさや、武士ならではの意地や気遣い、そんな中で五郎兵衛の人情が滲み出て、物語の他の人物たち、五郎兵衛の娘たち(七緒、澪)、亀千代君、ちょっと今時な下役の安西主税、五郎兵衛と新しい関係を結ぶ浪岡喜四郎など、読み進むうち、だんだん魅力を感じてくる。
「卒爾ながら(失礼ながら)」や「ご免候え」などの細かい言葉遣いなんかも、世界観として、グッとくるんですよ。
そして今回も、大きな謎が一つ、潜んでいる。
エピソードでは、安西の父、惣兵衛のちょっとした秘密や、梔子(くちなし)姫の思い、亀千代の心遣い、浪岡と五郎兵衛の関係など、それぞれの心の裡が、行間から伺 -
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7万石の神宮寺藩の藩邸に勤める差配役、里村五郎兵衛の物語。
差配役とは、ありていに言えば何でも屋。海鼠塀の塗り直しとか、屋根の修理、書物の整理など、雑用ばかりと思いきや、事件が起こる。上野で花見の最中に、亀千代君が行方不明になったり、奥方の飼い猫探しが始まって、町中の猫を集める羽目になったり・・・。何やら権力争いの陰謀もあるようで、五郎兵衛の家族が巻き込まれる・・・。
最後に意外なことが明かされて驚く。
舞台と人物がしっかりしている、オーソドックスな時代ものだと思ったけれど、物語の仕掛けも面白かった。それぞれの人物もなかなか魅力的。実直だったり、堅物だったり、狸だったりするなかで、安西主税は -
購入済み
砂原浩太朗の著作としては5冊目。藩邸の差配役と言われる「なんでも屋」の話ですが、砂原節はしっかりと出ており、安心して読めます。
現在に引き戻すと、企業の総務部庶務課の係長の物語と言えばよいのでしょうか。 -
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ネタバレ続編が出ていると知り、「まずは最初の作品から」と手に取った本書。
物語の軸となる一揆騒動は、郡奉行としての庄左衛門の矜持を示す山場だが、個人的にはこれをより後半に配置し、緊迫感を持ったまま幕を閉じる構成の方がと思ったが、しかし、それは、大きな事件(一揆)が終わっても、日常は続いていくという残酷な人生の本質が描かれているのかもしれない。
もう一つの軸は、亡き息子の嫁・志穂との関係。息子という共通の愛する人を失った二人が、絶望の果てに見つけた「縋るもの」としての関係性がある。道は間違っていると知りながらも抑えきれない志穂の恋情の激しさには、抗いがたい魅力があった。
庄左衛門は決してヒーローではな -
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目次
・帰ってきた
・向こうがわ
・死んでくれ
・さざなみ
・錆び刀
・幼なじみ
・半分
・妾の子
著者初の「市井もの」ということだが、「人情もの」ではない。
掛け違えた心が作り出すのは、取り返しのつかない痛みだったり別れだったり。
そう、江戸に住む庶民のすべてがいい人のわけはないし、善人と悪人の間にくっきりと線が引かれているわけでもないのは、現在と同じなのだ。
人間だもの。
耐えに耐えた挙句に良い結末を迎える、なんて話ばかりではないので、カタルシスが得られるかは読者しだい。
私は『帰ってきた』おみのの「あたしはあたしのもんだっ」が、結構好きだ。
元夫と、その弟分の現夫が彼女をめぐって「お -
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表題通り武家の女性たちの美醜両面の感情を描いた短篇集で各話短いなかバランスよく巧みに纏められているなと感じました。彼女たちの心模様の変化は武家という立場にあることで起こる出来事に端を発するわけですが、一方でその感情の根本的な部分にじっと焦点を絞ってみれば、そこに映るのは現代のわたし達にも覚えのある普遍的な人間の揺らぎです。やや飛躍した感想にはなりますが、自分とはあらゆるものが違う相手の中にも自分の知っている何かが顕れ得るのだと改めて刻み込むことは、分断や悪辣な糾弾の蔓延る時代に人が他者を同じ人として捉える為の手掛かりにもなるように思うのです。
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サスペンスを織り込んだ親子三代のヒューマンドラマ時代小説。総次郎の実直さは、左大夫や武四郎のみならず、読者にも自然と感情移入を促す力がある。一方で、各章が短く、章ごとに総次郎と左大夫の視点が頻繁に切り替わる構成は、物語のテンポを落とし、感情にじっくり寄り添う叙情的な作風とは噛み合っていないようにも感じられた。
総次郎の成長が本作の大きな魅力の1つだが、心に残ったのは、成長の契機になった左大夫の「気などすまんでよい」という一言である。仕事において自分の気持ちは大切だが、万事が気の済む形で終わることはない。総次郎にとって厳しい状況下で、静かに一喝を入れるこの言葉は、強い余韻を残した。 -
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タイトルの示す通り、武家の女性~藩主正室から下級武士の妻まで身分も年齢も様々~を描いた短編集です。短編「深雪花」は木内昇さんの『雪夢往来』にも出てくる江戸時代のベストセラー『北越雪譜』やその中に描かれた雪の結晶図にまつわる話です。
読み始めてすぐに、山本周五郎/藤沢周平の遺沢を継ぐという言葉が頭に浮かびます。それくらい良い。しかし、読み進めるにつれ。。。。
悪い訳では無いのです。でも、どこか抜けきれておらず、「型に嵌った」とか「技巧的」といった言葉が思い浮かびます。うまいな~と思う一面「らしさ」はどこにあるのだ?という感覚です。
まあ、周五郎の若い頃や周平のデビュー数年後の多作期の作品なんかも -
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18歳の草壁総次郎は、失踪した父に代わり町奉行を務めることになる
草壁家には代々、神山藩の町奉行を任されており、祖父は名判官だった
ある日、神山藩屈指の大店・信濃屋の奉公人が殺害される
そしてその死体のそばに、失踪した父のものに似た根付があるのに気がついた総次郎は名判官だった祖父に打ち明ける…
果たしてその真相とは…
初読み作家さんのミステリー時代劇!
どうやらシリーズものだったようだが、違和感なく読めた
ページが進みだしたのは殺害された死体が信濃屋の奉公人と判明した辺りから…
町奉行としての総次郎が殺人事件を追う過程で、父の失踪の謎がみえてくるのだが、これがまさかの展開…(笑)
しかしこの