砂原浩太朗のレビュー一覧

  • 武家女人記

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    タイトルの示す通り、武家の女性~藩主正室から下級武士の妻まで身分も年齢も様々~を描いた短編集です。短編「深雪花」は木内昇さんの『雪夢往来』にも出てくる江戸時代のベストセラー『北越雪譜』やその中に描かれた雪の結晶図にまつわる話です。
    読み始めてすぐに、山本周五郎/藤沢周平の遺沢を継ぐという言葉が頭に浮かびます。それくらい良い。しかし、読み進めるにつれ。。。。
    悪い訳では無いのです。でも、どこか抜けきれておらず、「型に嵌った」とか「技巧的」といった言葉が思い浮かびます。うまいな~と思う一面「らしさ」はどこにあるのだ?という感覚です。
    まあ、周五郎の若い頃や周平のデビュー数年後の多作期の作品なんかも

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    2026年01月10日
  • 霜月記

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    18歳の草壁総次郎は、失踪した父に代わり町奉行を務めることになる
    草壁家には代々、神山藩の町奉行を任されており、祖父は名判官だった
    ある日、神山藩屈指の大店・信濃屋の奉公人が殺害される
    そしてその死体のそばに、失踪した父のものに似た根付があるのに気がついた総次郎は名判官だった祖父に打ち明ける…
    果たしてその真相とは…

    初読み作家さんのミステリー時代劇!
    どうやらシリーズものだったようだが、違和感なく読めた
    ページが進みだしたのは殺害された死体が信濃屋の奉公人と判明した辺りから…
    町奉行としての総次郎が殺人事件を追う過程で、父の失踪の謎がみえてくるのだが、これがまさかの展開…(笑)
    しかしこの

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    2026年01月07日
  • 高瀬庄左衛門御留書

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    序盤でいきなり息子の啓一郎が亡くなり
    本当に事故なのかなぁ?と思いながら読み進める。
    庄左衛門の暮らしは、慎ましく静かなのだが
    何やら次々と事件のようなことが起きたりして
    先が気になってしまう。

    そしてやはり、この砂原さんの文章が美しくて心地よい。
    野鳥や松虫の音や、金木犀の香りなど、読んでいて本当に癒されます。

    庄左衛門が、ただ真っ直ぐに清廉な強い人
    というわけではなく、迷ったり悩んだり、
    揺れ動く思いを抱えながら生きていく姿が良いなと感じる。
    やはりこの作家さんの作品は好きです!

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    2026年01月03日
  • 武家女人記

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    砂原氏の復調の兆しが少し伺える武家の女性にスポットを当てた短編集。「背中合わせ」「深雪花」「あねおとうと」あたりはなかなかの佳品。「嵐」のような生臭い話は砂原氏には似合わない。「高瀬庄左衛門御留書」のような傑作をお待ちしております。

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    2025年12月27日
  • 決戦!桶狭間

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    『天祐は信長にあり』シリーズは長篠の戦いまで読み進めてしまったが、時を遡り『決戦!』シリーズで桶狭間を読みたいと思った。冲方丁が信長を語り、並み居る作家が今川義元、氏真を語る構成の妙。当たり前だが、正義はそれぞれの立場にあるのだ。元康(家康)は義元を慕っていたが、氏真は嫌っていた。だから信長に与した……そう考えるのが自然なような気がした。最後に首だけになった義元の思念「漸く、見えた。」は、句点なし、段落なしの長文で筒井康隆を彷彿とさせる文章だった。良し悪しは別としてだが……

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    2025年12月10日
  • 烈風を斬れ

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    秀吉に謀反の疑いをかけられ切腹をした秀次に、旅芸人の女に生ませて生き延びた子が居たと言う設定のフィクションの時代小説。
    その息子が「大阪の陣」のメンバーを結集させるために各地を放浪しながら父秀次の人物像を追い求める物語。ラストに恋愛もので締めくくっているところが少し残念。「なれるかな、おれは父に」という台詞がいまいち心に迫ってこなかった。

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    2025年11月20日
  • 藩邸差配役日日控

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    砂原氏の他の著名な著作と比べると地味な作品なのかもしれないが、氏の書きたいこと、伝えたいことが1番よくわかる佳作なのかもしれないと思った。
    役人には違いないが差配役ということで、
    「猫探しのエピソード」など決闘場面もほとんどないストーリー、それでも氏が大切にされているテーマ、軸は本作でも全くブレがない。
    読み進めると他の作品と同様に、最後の最後まで引っ張られ、あと1章、あと数ページのところでドンデン返し。9回裏のさよならホームラン⚾️の心地よさ。私はこの作にも出会えて良かった。

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    2025年10月18日
  • 烈風を斬れ

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    戦国の世とはいえ…どうして主に盲目的に従えるのか。損得の思惑だけの方が、よほどわかりやすい。この紙幅で大阪城攻防描けるのかと心配したが、砂原さんらしいオチ。殺伐としたストーリーに光と音が満ち溢れ、ホッとひと息。

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    2025年09月03日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    前田利家の家臣、村井長頼視点の話。
    有名な話(桶狭間とか本能寺とか)は全く触れずに、あまり有名ではない部分に焦点を当てた感じがよかった。信長や秀吉は晩年のふるまいは狂人ぽく書かれてるけど、利家は一貫してかっこよく書かれてた。
    読後感もすごく良かった。

    売る

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    2025年08月16日
  • 冬と瓦礫

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    私も被災した当時の経験を思い出しながら読みました。被災地から移動できなかった人もやむを得ず移動せざるを得なかった人もそれぞれの場所で様々な経験をしてきたと思います。あれから30年経ちますが次の世代のためにも決して風化させてはいけない、とあらためて思いました。

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    2025年06月29日
  • 烈風を斬れ

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    秀吉亡き後、秀吉の甥にあたる秀次の息子三好孫七郎が西国の有力者に、徳川との決戦への協力を依頼する旅を描く。
    秀吉は実子秀頼が生まれたことにより秀次一族は抹殺されてしまうが、皮肉にもその末裔の孫七郎だからこその出自を利用されての西国行脚であった。
    豊臣と徳川の歴史的な結末は周知されているので、孫七郎の行動の虚しさを予見できてしまうだけでなく、まさかの近しい者の裏切りによる展開は豊臣の滅亡は当然の帰結と思てしまう。
    あまり烈風を切ってはいないが、地味ながら読みでのある小説だった。

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    2025年06月27日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    文末の時制(過去形と現在形)をほぼ一文ずつ入れ替える丁寧さ。そこから生まれる作者独自の端正な文体。そして抒情と余韻。かつてのこの国の女たちと男たちを縛った窮屈さと生きづらさ。にも拘らず、それらを受け止めたうえでの「凛」とした生きざま…。また砂原浩太朗に泣かされた…。

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    2025年06月21日
  • 冬と瓦礫

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    川村圭介が阪神淡路大震災に際して取った行動を細かに記述した内容だが、神戸に住む母親と祖父母、友人の進藤とのやりとりが真に迫っていた.母親と離婚した父の車で祖父母を叔母の所へ避難させる場面と、進藤との再会が一連の話のハイライトと感じた.地震に際して個人の記録は次第に失われてくるので、このような形の小説は多少のフィクションがあっても残しておくべきだと思う.

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    2025年05月27日
  • 雫峠

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    ネタバレ

    一気に読んでしまわないように一編一編大切に読んだ。『江戸紫』に胸キュン。『華の面』は読んでいる間は響かなかったのだが、読後じわじわと登場人物たちそれぞれの深みに気付き余韻に浸った。

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    2025年05月09日
  • 雫峠

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    神山藩を舞台にしたシリーズの短編集。
    自分の思いがままならない時代に生きる人々。作品全体に流れる雰囲気が好きです。表題の雫峠が一番印象に残りました。

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    2025年05月03日
  • 雫峠

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    架空である神山藩のシリーズもの。間違って3作目を飛ばして読んじゃった。まあ続きものではないからいいか。
    田舎藩である神山藩を舞台とした短編集。しかし自分としてはこの方の作品は長編でじっくりと読めるもの方が好きだな。
    特に最後の表題作の雫峠は長編として欲しかった。
    ちょっと展開が駆け足過ぎたかな。

    雫峠
    この十年誰も幸せでなかった。
    身分と金と恋心、どれも噛み合っていなかった。相手の事もよく分からずに連れ添うとこうなるか。
    でもようやく求められる相手に気付いたのも束の間、友人にも裏切られた栄次郎、ゆうとの逃避行の見通しは良くないだろう。しかし二人の気持ちは晴れやかに感じた。
    二人の間に通じる感

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    2025年04月27日
  • 雫峠

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    こんな時代があったのよね、とそれぞれの立場の葛藤や思考に思いを馳せる短編集。
    なぜこうなるのか、と。今の時代ももちろん考えるけど、昔はより人の心や背景を慮って思考し、生きていたのかもしれない。

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    2025年04月20日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    「高瀬庄左衛門御留書」から神山藩シリーズを手掛けている著者の第一作。神山藩シリーズは全体的に抑えた雰囲気の中、巧みに盛り上がりと心情風景を描き出す作品群だが、本作は戦国時代を舞台としていることもあり、その後の著者の作風につながる雰囲気も出しつつ、いわゆる戦国時代小説的筆致もあるような作品になっている。特に最後の章が登場人物の心情をうまく表出させていて、面白く読むことができた。読み終わって、しんみりとした充実感を感じた。

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    2025年04月20日
  • 雫峠

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    2025.04.13
    砂原浩太朗らしい一冊。
    どんなときも人間の持つ「心根の美しさ」に焦点を当てて人間を描こうと努めているのではないかと感じる。だから、どの作品も読後がさわやかである。
    これをワンパターンと皮肉に評価する読者もいるとは思うが私はそのワンパターンを極めていこうとする著者を描写したい。

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    2025年04月13日
  • 雫峠

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    6編からなる短編集。

    神山藩に繋がる物語。
    といっても、登場人物は武士に限らず盗人も。
    しがらみを抱えて生きるのは、どの立場でも同じということか。

    「華の面」
    能を舞う藩主の姿からは覚悟のようなものが感じられた。
    佐太郎は同じ舞台に立つことで分かったことがある。
    見えない強い意志が藩主の全身から放たれていると。
    重臣たちの思惑もあり、おもしろく読んだ。

    どの話も、その立場で生きる人々がいきいきと描かれている。
    そして、切なくもあり。

    次回作は長編をお願いしたいところ。

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    2025年03月26日