砂原浩太朗のレビュー一覧

  • 雫峠

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    こんな時代があったのよね、とそれぞれの立場の葛藤や思考に思いを馳せる短編集。
    なぜこうなるのか、と。今の時代ももちろん考えるけど、昔はより人の心や背景を慮って思考し、生きていたのかもしれない。

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    2025年04月20日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    「高瀬庄左衛門御留書」から神山藩シリーズを手掛けている著者の第一作。神山藩シリーズは全体的に抑えた雰囲気の中、巧みに盛り上がりと心情風景を描き出す作品群だが、本作は戦国時代を舞台としていることもあり、その後の著者の作風につながる雰囲気も出しつつ、いわゆる戦国時代小説的筆致もあるような作品になっている。特に最後の章が登場人物の心情をうまく表出させていて、面白く読むことができた。読み終わって、しんみりとした充実感を感じた。

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    2025年04月20日
  • 雫峠

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    2025.04.13
    砂原浩太朗らしい一冊。
    どんなときも人間の持つ「心根の美しさ」に焦点を当てて人間を描こうと努めているのではないかと感じる。だから、どの作品も読後がさわやかである。
    これをワンパターンと皮肉に評価する読者もいるとは思うが私はそのワンパターンを極めていこうとする著者を描写したい。

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    2025年04月13日
  • 雫峠

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    6編からなる短編集。

    神山藩に繋がる物語。
    といっても、登場人物は武士に限らず盗人も。
    しがらみを抱えて生きるのは、どの立場でも同じということか。

    「華の面」
    能を舞う藩主の姿からは覚悟のようなものが感じられた。
    佐太郎は同じ舞台に立つことで分かったことがある。
    見えない強い意志が藩主の全身から放たれていると。
    重臣たちの思惑もあり、おもしろく読んだ。

    どの話も、その立場で生きる人々がいきいきと描かれている。
    そして、切なくもあり。

    次回作は長編をお願いしたいところ。

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    2025年03月26日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    清々しい読後感でした。最後の方。どうなるんだろうとハラハラしたけど展開にびっくり。毎回登場する岩蔵が何故か憎めない。

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    2025年03月19日
  • 冬と瓦礫

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    僕も震災後1週間はたっていただろうか、いくらかの水や食料を背負って親戚が暮らす西宮北口まで阪急電車に乗ってでかけた。この小説には一切書かれていなかったけれど、尼崎を過ぎた頃から車窓から見える景色が次第に尋常ならざるものに変わっていった。同じ車両に乗り合わせた人たちと重い重いため息がシンクロしたのを覚えている。そして西宮北口のトイレの状態も小説に表されている通りだった。僕は駅から親戚の家まで歩いたが、駅の周辺でも潰れてしまった家屋があちらこちらにあり、案内してくれた叔母には、「この家の下にまだ居てはるねん」と言われたことを覚えている。当事者は当事者なり、そうではなかったものたちにもグラデーション

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    2025年03月18日
  • 雫峠

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    神山藩シリーズの第4段だそうで
    登場人物(ちょい役の人とかね)とか背景とか地名とか前作と関係あるんだろうなあ ワシ細かいとこ全然覚えてないからわかんないや と思いながら読み進める

    他の方の感想読むと特に関連は無いみたいでちょいと肩透かし

    まあ他愛もない話の連続で特筆すべきことはないのだけれどどれも心地良く読めてこの人のこのシリーズ好きだなあ

    最終話が一番好き
    二人もころしちゃうかぁ なんまんだぶなんまんだぶ

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    2025年03月16日
  • 雫峠

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    砂原さんが好んで使う架空の神山藩を舞台にした時代短編集。同じ藩を舞台にしていますが、相互の関連は有りません。
    ◇半夏生:泥まみれの仕事を厭わぬ父と河川氾濫の根本対策を提案をした息子。神山藩の普請方の一家を描いた物語。
    ◇江戸紫:江戸家老vs国本の側用人の政争。そこに「あくび大尽」と称される筆頭家老の息子が絡んで。
    ◇華の面:養子として神山藩に入った少年藩主と同い年の藩のお抱え能楽者の交流。
    ◇白い檻:政変のとばっちりで僻村に追いやられた武士は深雪の中で刺客に襲われ。
    ◇しぐれ:商家に押入り腕に傷を負った泥棒が・・・二転三転する物語
    ◇雫峠:DVに耐えかねて高禄の夫を殺害した義理の妹との逃避行

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    2025年03月15日
  • 雫峠

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    神山藩シリーズの本編ではなく(元々連作でもないけど)、その世界観をさまざまな角度、人、場面で描き出してくれる六編からなる短編集。読むと神山藩の世界観をさらに豊かにしてくれるのと、物語のバリエーションがそれぞれ違うので、それぞれ六通りの楽しみがある。なかでも「江戸紫」は最後ちょいと甘すぎかなーっと思いつつも、特によかった。

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    2025年03月12日
  • 雫峠

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    神山藩普請方親子の思い。
    江戸詰藩士と神山藩藩士同士の糾弾状の顛末。
    若き藩主が自らの境遇を甘んじながら執政から遠ざけられ能に活路を見せる定め。
    藩内の政変に巻き込まれ山深く流罪になった男を狙った刺客との闘い。
    盗人が手下として使われている同心への意趣返し。
    家の家格違いから起きた夫婦間の溝と、そのなかを翻弄された兄妹の決断。

    相互に関連が無い六遍だが、神山藩の様々な人々を活写していた。

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    2025年03月11日
  • 雫峠

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    作者がずっと描く神山藩を巡る連作短編集。普請担当の父、藩内内乱、盗人など。

    良かった。んだけど、やはり長編でじっくり読ませて欲しいと改めて思ふ。

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    2025年03月05日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    いやぁ、今回も清々しかったなぁ。ちょっとほろ苦くもあり、でもスッとする清涼感に溢れている。こんなにするすると文字が頭に吸い込まれていくような読み心地の良さはどこからくるのだろう。ちょっとした風景描写、季節を感じさせる花鳥風月のさらりとした描写がひとつとは思うが、それだけじゃなく、まさに読む癒しだ。次がありそうなので期待したい。

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    2025年03月04日
  • 高瀬庄左衛門御留書

    購入済み

    途中から面白く一気に読み終えた

    二人の息子の嫁との日々を重ね読みましたが、抑えがちな筆ずかいがまことに好ましく欲を言えば前半に山が一つあればなおよかった。

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    2025年02月19日
  • 雫峠

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    ネタバレ

    【収録作品】半夏生/江戸紫/華の面/白い檻/柳しぐれ/雫峠

    神山藩を舞台に、そこに生きる人々を描いた短編集。
    静かな語り口が好もしい。

    「半夏生」誠実に地味な役目を全うする人々の姿を描く。
    「江戸紫」軽快な話。
    「華の面」お飾りのように戴かれた藩主の覚悟を能役者の目から描く。
    「白い檻」刺客にも三分の理くらいはあるのだろうが、勝手さばかりが見えて情けない。
    「柳しぐれ」トリッキーな語り口が面白い。喜三次が憎めない。
    「雫峠」うかうかといろいろなものを見過ごし、やり過ごしてきたことのツケがきた感じ。最初にボタンを掛け違えてしまったわけだが、そうなると止めようはないのだろうか。最後に大きな決断

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    2025年02月18日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    久しぶりの砂原さんの江戸モノ。色と音の描写に心が凪ぐ。大滝信吾、新たな魅力的な主人公としてシリーズ化か。

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    2025年02月16日
  • 雫峠

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    「高瀬庄左衛門御留書」「黛家の兄弟」「霜月記」に続く待望の神山藩シリーズ第4弾。神山藩が舞台の短中編6編構成だが、「江戸紫」と表題作「雫峠」以外はそれほどの出来でもなく、「江戸紫」の素晴らしさで評価4にした感じ。砂原作品はじっくりとした味わい深い長編が持ち味だと思うので、この「江戸紫」のストーリをこのようなかたちで終わらせるのは非常に勿体ない感じがする。長編で読みたかったなあ。

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    2025年02月12日
  • 夜露がたり

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    江戸の下級藩士を主人公にした傑作を出してきた作者が町民の世界を描く、といっても基本路線は変わらないだろうと思っていたが、よくありそうな人情物語というのでもなく、現実の世の中を生き延びていくのは辛いという感じを滲み出しているストーリーが返って心地良いというか、うなづける話だったりする。
    江戸市井ものを書く名作家は数あれどあまり読んでこなかったので、次の展開があるなら読んでみたい。帯にある表と裏、感情のひだ、江戸の町民の生活は楽ではないし、みんなが人情味溢れる繋がりでもないだろうというあたりが、現代にも通じてくるのかなあ、とも思う。

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    2025年02月01日
  • 冬と瓦礫

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    あれから30年。阪神淡路大震災の惨状が蘇る。切断された高速道路、ひしゃげたビル、倒壊した人家…被災者の心境や現状を詳細に描写。故郷や祖父のことを想う圭介の気持ちが伝わった。

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    2025年01月23日
  • 冬と瓦礫

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    阪神・淡路大震災を描いた砂原さんの現代小説です。
    当時は東京住まいだった砂原さんが、震災の3日後に神戸の自宅に戻り、母と祖父母を遠隔地避難させた体験をもとに描かれた小説です。あとがきにもありますが、震災から15年後、砂原さんが時代小説作家としてデビューする前に書いたものに少し手を入れて、30年という節目に出版されたものだそうです。
    大震災の物語と言えば、身近な人、愛する人を亡くした悲嘆や、そこからの復興を描くものと思いがちですが、これは「片隅の物語」です。本人は東京住まい。母と祖父母は神戸在住ですが、建物は大きな被害は受けたものの怪我はしていません(きわどい状況は有りましたが)。さらに言えば近

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    2024年12月28日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    寺子屋の先生、信吾は生徒や親のトラブルを解決しているうちに江戸の裏を仕切る大物の怒りを買ってしまう。

    良かった。江戸時代の人が抱える様々な問題。本人にそんなにやる気があるようには思えないがさらっと解決する。

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    2024年12月04日