砂原浩太朗のレビュー一覧

  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    震災から一週間の話で東京から実家の神戸まで行く途中の描写と着いてから実家で目の当たりにした現状に祖父母を親族の三重に避難させそこでしか生きていけない人を見ての心の葛藤と自分は逃げ出せる地元の友人の心の機微。
    砂原氏の得意とする心の描写と生活。でもやはり?時代小説の方が向いている。
    鬼気迫るものもないし実家がどうなったのか、片付けや苦労などの話もない。続編があるのなら最後まで書いて欲しい。

    0
    2025年05月07日
  • 夜露がたり

    Posted by ブクログ

    江戸の下町を舞台に、市井の庶民の日常生活で起こる悲喜こもごもを描いた短編集。最初は少し起伏の無さが物足りなく感じるが、作が進むに連れ、作者の心理描写がさえ渡る。

    0
    2025年05月03日
  • 雫峠

    Posted by ブクログ

    神山藩シリーズ。江戸時代の四季折々を色濃く感じる6篇を収録。人間描写も豊かで、一人ひとりの心の機微を見事に捉えていた。短篇故に、物語全体の印象が薄く感じられたのが残念。

    0
    2025年04月25日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    61/100

    評価されるために描いた小説ではなさそうだから、点数を付けるのもおこがましい気もするけど、普通の本。1日目や2日目の描写はすごく共感しながら、グッと引き込まれるものがあったが、後半になるとドキュメンタリーでよくあるようなストーリーになり、結局は他人事として捉えて終わってしまった文章だった。

    0
    2025年04月25日
  • 夜露がたり

    Posted by ブクログ

    著者初の「江戸市井もの」
    苛酷にして哀切、いっそ潔く、清々しい
                   帯より_φ(・_・

    山本周五郎か…
    藤沢周平か…

    わたしには今ひとつだったかな…
    どこがどうって上手く言えないけど

    鋭さが際立ちすぎて哀しさは確かにあるけど
    切なさの余韻のようなものが感じられなかった

    もう好みとしか言えない(*´-`)

    0
    2025年04月09日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    三十年前の阪神淡路大震災の物語。

    携帯電話やインターネットが普及していないため当時の不便さというか時代を感じる。
    当事者ではない圭介が東京から現地へ向かい様子を実況する形となるので、状況も悲惨さも強くは感じない。

    それでひとまず一件落着やろ
    進藤からしてみたらやはり帰っていく圭介はたとえ思いがあっても他人事にしか思えないのだろう。

    ただもうすぐ発生すると言われる未曾有の大震災に対しての恐怖は呼び戻された。
    何万人という人は死んでしまうんだ。
    予想被災地の真ん中にいる我が身としてはもっと構えていなくてはいけないはずなのに何故かなんにも考えていなく、勝手に大丈夫と思っていた。か、考えたくもな

    0
    2025年04月07日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1995年の阪神・淡路大震災をテーマにした作品。

    砂原さんの体験をもとに書かれたそうだが
    時代小説に馴染みのある作家さんなので
    本作はどのような感じなのか興味を持ち手にした。

    震災後30年。
    未曾有の出来事から今まで幾度も訪れた自然災害。
    人間なんてちっぽけな生き物だな。
    歯噛みする思いでやり過ごしてきたが
    私はどの時も当事者ではないのだから
    災害に遭われた方たちを完全に理解することはできないのだろう。

    友人の自宅へ見舞いに訪れた圭介は〈東京にもどる〉ことができる。

    P160
    〈おまえも、じいちゃんばあちゃん逃したら、それでひとまず一件落着やろ〉
    圭介に投げかけられた言葉。
    〈その声を

    0
    2025年03月23日
  • 雫峠

    Posted by ブクログ

    前作を覚えてなかったので心配したけれど、全く問題無しだった。表題作が一番切なかった。江戸紫がスカッとしていて一番好き。

    0
    2025年03月07日
  • 雫峠

    Posted by ブクログ

    穏やかな湖面を吹き渡る風に、頬を撫でられながら読書している気分に。心が凪ぐ。ささくれだった気分の時には砂原さんの作品。ただ雫峠。藤沢さんの海坂藩シリーズで…既視感。

    0
    2025年03月07日
  • 雫峠

    Posted by ブクログ

    「神山藩シリーズ」第4弾は6つの短編集。

    前作「霜月記」の少し後の年代と思われる6つの物語は、お家の問題や城内の政を描いた前作までとは趣を異にする。
    武家の娘、家老の嫡男、政から遠ざけられた若き藩主、流罪にされた武士、身分違いの家に婿養子として入った次男など、物語の中心たり得ない人々の心情を描いていく。

    表題作「雫峠」の切なさはさることながら、一番好きなのは若き神山藩主の清々しいほどの覚悟を描いた「華の面」。
    本家の三男から分家の藩主になった正寧を政から遠ざけようとした老獪な家臣の思惑を知りながら、自らのやり方で務めを果たそうとする姿に心打たれた。

    一杯飯屋“壮”や、神山藩の銘酒“天の河

    0
    2025年02月23日
  • 浅草寺子屋よろず暦

    Posted by ブクログ

    面目つぶされたのもあるけど、信吾が岩蔵のことも意外と手なづけてたし、嫉妬もあるよね。狸穴ぬ睨まれたら、ずっと不幸が続くのか。
    にしても江戸離れないといけなくなるもの?

    0
    2025年01月30日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    1995年の阪神淡路大震災当時の実体験にもとづく記録小説。私も筆者と似た経歴で、震災の6年前まで西宮在住、震災当時は東京にいたので、馴染みの人が被害に遭い、馴染みの場所が震災で壊れてしまった悲しみ、しかし自分は震災を経験しなかったので現地の人と隔たりを感じてしまう複雑さ等、当時を思い出した。

    本題とは関係ないけれど、録画を忘れていた時代劇は後家人斬九郎かな。私も当時録画して毎週楽しみにしていた。

    0
    2025年01月29日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    30年前の阪神・淡路大震災の被災後一週間の出来事。作者本人の体験をもとに、自らの記憶を記録するという意図のもと小説という形でしか表し得ないものも含めて描いた作品。

    時代物の砂原さんにしては珍しい現代物と思ったら、そういう経緯があったのかとあとがきを読んで納得。
    同じ被災者であっても被害の大小、その後の身の振り方などは一様ではなく、被災者の間でも思いは様々なのだということが主人公とその友人のやり取りでわかる。

    ましてや報道でしか知り得なかった者には何も言う資格はないんだろうし、分かったようなことも言えない。それはその後に起こった東日本大震災でも、昨年の能登半島地震で同じこと。そしてそれは地震

    0
    2025年01月27日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    なかなか向き合えなかった地震から30年
    学生時代の思い出が詰まった街をテレビの中ですら目を背けていた当時。
    行きたくても行けなかった被災地には一年後ようやく行った。その頃にはもう復興が進み被災した友人と笑顔で会えたことが嬉しかった。

    主人公が歩く震災後の神戸の街が、詳細に描かれて辛く胸が詰まった
    ここにおりたいんやと言う友人の言葉。助かった人も遠くにいた主人公も被災者なのだ
    ずっと忘れることはできない
    忘れないためにも
    私自身が背けていたことに向き合えるようになれたことも
    改めて作者がこの書を書いてくれて感謝する。

    0
    2025年01月26日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    阪神・淡路大震災。神戸出身で東京で働く青年が、被災地にいる家族や友人の元へ向かう話。自らの体験を元に書かれた物語とのことで、現場に行った人の感覚が伝わってくる。
    あとがきで、この作品を書いた動機や思いを吐露されていて、腑に落ちる思いがした。

    0
    2025年01月23日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    刹那の変化と、普遍に刻まれる時。感情の塩梅は、誰もがわからないまま。それでも無情に続く日々がとても恐ろしいと思いました。
    傷つくことにも配慮が必要な世の中で、誰にでも起こり得る出来事を他人事と思わずに生きられたら...と、つい考えてしまいます。

    0
    2025年01月22日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    もう30年。あの朝は主人公と同じくただボーと現実とは思えない画面見つめるしかなかった。「おまえが言うことやないやろ」「…神戸から出て行くやつおおぜいおるんやな。おまえもじいちゃん、ばあちゃん逃したら、それでひとまず一件落着やろ」「でもな。この街でやっていくしかない奴らが大勢おるんや」「あのオッさんもそやろ」能登でも、東北でも。「すべては、ほんのわずかの差でしかなかった」「報道などでは取り上げられない、そうした立場の者にもやはり痛みはあるという思い」砂原さん、トラウマに…よく刊行したなぁ。

    0
    2025年01月21日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    損得勘定なく故郷の震災に何かしたいと思っても、その時その場にいなかった部外者感。家族、親友とのズレ。行き場のない気持ち。

    おとん、金とるんかいっ!って思ったけど、前後で付き合い方、接し方が唯一変わらずいれそうで、

    人と人って
    何なんだろうなと。

    0
    2025年01月21日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    砂原浩太朗という作家を目当てに本を選んだので、本書が時代小説ではなく阪神淡路震災を描いたものだと知った。
    奇しくも1月17日にこの本を読み始めたので、様々なニュースと共に読む本書は当事者の苦悩を改めて思い起こされた。

    0
    2025年01月19日
  • 冬と瓦礫

    Posted by ブクログ

    砂原浩太朗の作品はこれまで何冊か手に取っており、
    静かで凛とした雰囲気があって好き。

    作者は15年ほど前にこの作品の原型を執筆したということで、最近のものには感じられない激しさや
    人の心の暗い部分がたくさん描かれていて
    正直に言うと、別の著書の本を読んでいるような気分になった。

    阪神・淡路大震災が起こってからの七日間の出来事を
    主人公(作者)が取った行動をそのまま綴った内容は、
    30年前、わたしもその場所にいたことを思い出させる
    少し苦しくつらい読書だった。
    作者も感じているように
    直接的な被害が少なかった者と
    そうでなかった者との気持ちの差は決して埋まらないと思うのだけれど、
    こうして毎

    0
    2025年01月14日