砂原浩太朗のレビュー一覧

  • 藩邸差配役日日控

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    江戸の藩邸で差配役(何でも屋)を務める里村に持ち込まれる難題の数々。藩主の息子が行方不明になる。出入り商人の入札不正疑惑。邸の厨房に妙に色っぽい女が入ってきた。藩主の正室の飼い猫行方不明など。

    すごく良かった。中間管理職小説としても江戸時代小説としても人間ドラマとしても素晴らしい。

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    2023年07月31日
  • 高瀬庄左衛門御留書

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    まず、大変面白かったです。
    舞台は神山藩、北陸あたりか?架空の藩です。
    老年に近づく高瀬庄左衛門の周りで起きる事件や藩の闘争、多彩な伏線が物語の終わりに回収されて行きます。恋心、友情、剣と学問などを絡めてサスペンスのごとく物語は進む時代劇となっていましす?

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    2023年07月26日
  • 高瀬庄左衛門御留書

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    庄左衛門さんは、反省したり、悩んだり、忖度したりする凄く普通の人。それが凄く良かった。

    「人などと申すは、しょせん生きているだけで誰かのさまたげとなるもの」
    「されど、ときには助けとなることもできましょう……均して平らなら、それで上等」

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    2023年06月29日
  • 高瀬庄左衛門御留書

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    ネタバレ

    架空の藩、神山藩で役人を勤める主人公。いきなり息子を事故で亡くすところから始まり重たいなあ、と読み進める。
    独り暮らしの生活が始まるが、息子の嫁や夜鳴き蕎麦屋、藩の同僚など人が集まり、得意の絵を嗜んだりして穏やかな日常に戻りつつあるが、事件に巻き込まれていく。
    普段は落ち着いた様子である庄左衛門であるが、上司に詰問され凄く緊張したり、剣術がそれほど大した腕前でないところなど、平凡な部分に親近感を覚える。現代のサラリーマンの様。
    が、昔の友に言い出せない事、江戸に送り出した息子の嫁への思い、思い通りに描けなくなった絵、胸に秘めた多くの思いを抱えこれからも生きていく姿に強さを感じた。
    それでも最後

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    2023年06月29日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    長頼と利家の繋がりの強さ、読みごたえがあった。長頼が主と強く繫がる以前からのふたりをずっと追いかけていくのが楽しかった。長頼の成長が分かるのもまた楽しい。読み進めるにつれ、主従の絆が強まっていくのが分かる。

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    2023年06月26日
  • 藩邸差配役日日控

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    最後のどんでん返しはビックリ。それぞれの短編で引っかかりを感じていたのですが、「そうきたか」と。
    何故直木賞の選考スタッフはこれを無視したのだろう?

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    2023年08月26日
  • 読んで旅する鎌倉時代

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    「13人」の小説家が「鎌倉」時代について書いた作品集。どの作品も面白いし、最新研究や資料を読み込まれている感じがして、興味もそそられる。
    この本片手に鎌倉を歩きたい。

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    2022年04月09日
  • 読んで旅する鎌倉時代

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    ネタバレ

     歴史小説が苦手な人にも読みやすいと思います。
     
     様々な思惑がうごめく武家のはじまりの時代。その時代背景がよくわかりますし、素敵な話もたくさん。

     そして、何より出かけたくなる。あー、修善寺の温泉でゆったりしたい~。

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    2022年02月17日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    前田利家の忠臣・村井長頼が命を懸けて貫いた武士の本分。名だたる戦場を駆け抜け、利家の危難を幾度も救う。主君の肩越しに見た、信長、秀吉、家康ら天下人の姿。

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    2021年10月15日
  • 烈風を斬れ

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    秀吉に謀反の疑いをかけられ切腹をした秀次に、旅芸人の女に生ませて生き延びた子が居たと言う設定のフィクションの時代小説。
    その息子が「大阪の陣」のメンバーを結集させるために各地を放浪しながら父秀次の人物像を追い求める物語。ラストに恋愛もので締めくくっているところが少し残念。「なれるかな、おれは父に」という台詞がいまいち心に迫ってこなかった。

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    2025年11月20日
  • 藩邸差配役日日控

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    砂原氏の他の著名な著作と比べると地味な作品なのかもしれないが、氏の書きたいこと、伝えたいことが1番よくわかる佳作なのかもしれないと思った。
    役人には違いないが差配役ということで、
    「猫探しのエピソード」など決闘場面もほとんどないストーリー、それでも氏が大切にされているテーマ、軸は本作でも全くブレがない。
    読み進めると他の作品と同様に、最後の最後まで引っ張られ、あと1章、あと数ページのところでドンデン返し。9回裏のさよならホームラン⚾️の心地よさ。私はこの作にも出会えて良かった。

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    2025年10月18日
  • 烈風を斬れ

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    戦国の世とはいえ…どうして主に盲目的に従えるのか。損得の思惑だけの方が、よほどわかりやすい。この紙幅で大阪城攻防描けるのかと心配したが、砂原さんらしいオチ。殺伐としたストーリーに光と音が満ち溢れ、ホッとひと息。

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    2025年09月03日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    前田利家の家臣、村井長頼視点の話。
    有名な話(桶狭間とか本能寺とか)は全く触れずに、あまり有名ではない部分に焦点を当てた感じがよかった。信長や秀吉は晩年のふるまいは狂人ぽく書かれてるけど、利家は一貫してかっこよく書かれてた。
    読後感もすごく良かった。

    売る

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    2025年08月16日
  • 冬と瓦礫

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    私も被災した当時の経験を思い出しながら読みました。被災地から移動できなかった人もやむを得ず移動せざるを得なかった人もそれぞれの場所で様々な経験をしてきたと思います。あれから30年経ちますが次の世代のためにも決して風化させてはいけない、とあらためて思いました。

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    2025年06月29日
  • 烈風を斬れ

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    秀吉亡き後、秀吉の甥にあたる秀次の息子三好孫七郎が西国の有力者に、徳川との決戦への協力を依頼する旅を描く。
    秀吉は実子秀頼が生まれたことにより秀次一族は抹殺されてしまうが、皮肉にもその末裔の孫七郎だからこその出自を利用されての西国行脚であった。
    豊臣と徳川の歴史的な結末は周知されているので、孫七郎の行動の虚しさを予見できてしまうだけでなく、まさかの近しい者の裏切りによる展開は豊臣の滅亡は当然の帰結と思てしまう。
    あまり烈風を切ってはいないが、地味ながら読みでのある小説だった。

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    2025年06月27日
  • いのちがけ 加賀百万石の礎

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    文末の時制(過去形と現在形)をほぼ一文ずつ入れ替える丁寧さ。そこから生まれる作者独自の端正な文体。そして抒情と余韻。かつてのこの国の女たちと男たちを縛った窮屈さと生きづらさ。にも拘らず、それらを受け止めたうえでの「凛」とした生きざま…。また砂原浩太朗に泣かされた…。

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    2025年06月21日
  • 冬と瓦礫

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    川村圭介が阪神淡路大震災に際して取った行動を細かに記述した内容だが、神戸に住む母親と祖父母、友人の進藤とのやりとりが真に迫っていた.母親と離婚した父の車で祖父母を叔母の所へ避難させる場面と、進藤との再会が一連の話のハイライトと感じた.地震に際して個人の記録は次第に失われてくるので、このような形の小説は多少のフィクションがあっても残しておくべきだと思う.

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    2025年05月27日
  • 雫峠

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    ネタバレ

    一気に読んでしまわないように一編一編大切に読んだ。『江戸紫』に胸キュン。『華の面』は読んでいる間は響かなかったのだが、読後じわじわと登場人物たちそれぞれの深みに気付き余韻に浸った。

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    2025年05月09日
  • 雫峠

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    神山藩を舞台にしたシリーズの短編集。
    自分の思いがままならない時代に生きる人々。作品全体に流れる雰囲気が好きです。表題の雫峠が一番印象に残りました。

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    2025年05月03日
  • 雫峠

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    架空である神山藩のシリーズもの。間違って3作目を飛ばして読んじゃった。まあ続きものではないからいいか。
    田舎藩である神山藩を舞台とした短編集。しかし自分としてはこの方の作品は長編でじっくりと読めるもの方が好きだな。
    特に最後の表題作の雫峠は長編として欲しかった。
    ちょっと展開が駆け足過ぎたかな。

    雫峠
    この十年誰も幸せでなかった。
    身分と金と恋心、どれも噛み合っていなかった。相手の事もよく分からずに連れ添うとこうなるか。
    でもようやく求められる相手に気付いたのも束の間、友人にも裏切られた栄次郎、ゆうとの逃避行の見通しは良くないだろう。しかし二人の気持ちは晴れやかに感じた。
    二人の間に通じる感

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    2025年04月27日