あらすじ
名判官だった祖父・失踪した父・重責に戸惑う息子――町奉行を家職とする三代それぞれの葛藤を描く。
18歳の草壁総次郎は、何の前触れもなく致仕して失踪した父・藤右衛門に代わり、町奉行となる。
名判官と謳われた祖父・左太夫は、毎日暇を持て余す隠居後の屈託を抱えつつ、
若さにあふれた総次郎を眩しく思って過ごしている。ある日、遊里・柳町で殺人が起こる。
総次郎は遺体のそばに、父のものと似た根付が落ちているのを見つけ、また、
遺体の傷跡の太刀筋が草壁家が代々通う道場の流派のものではないかと疑いを持つ。
さまざまな曲折を経て、総次郎と左太夫はともにこの殺人を追うことになるが、
果たして事件の真相と藤右衛門失踪の理由とは。
第165回直木賞、第34回山本周五郎賞候補『高瀬庄左衛門御留書』の砂原浩太朗が描く、
令和の時代小説の新潮流「神山藩シリーズ」第三弾。
~「神山藩シリーズ」とは~
架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。
それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された
世界観で物語が紡がれる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
神山藩シリーズの3作目。
とはいえ各作品に
物語上のつながりはないので、
どこから読んでも問題ないです。
内容としては、
今回はミステリー要素強め。
代々、藩の町奉行を務める草壁家の現当主、
藤右衛門が失踪。
やむなく町奉行の地位に就く息子・総次郎。
目前で起こった辻切り。
総次郎はかつて名判官と謳われた祖父・左太夫の元へ向かう……。
事件の捜査を縦糸に、
父と息子、男同士の親子を紐解く。
シリーズ同士の時系列も明らかになって、
これからの神山藩の物語も楽しみになる。
Posted by ブクログ
このシリーズの良いところは、良くある「今の人も昔の人も同じでしょ?ほら、同じことで悩んだりしてるのよ」という感じを押し出した今の時代風の時代小説ではなく、しっかりした時代小説の中に今に通じる悩みをもった人も出てくる、という所。
Posted by ブクログ
サスペンスを織り込んだ親子三代のヒューマンドラマ時代小説。総次郎の実直さは、左大夫や武四郎のみならず、読者にも自然と感情移入を促す力がある。一方で、各章が短く、章ごとに総次郎と左大夫の視点が頻繁に切り替わる構成は、物語のテンポを落とし、感情にじっくり寄り添う叙情的な作風とは噛み合っていないようにも感じられた。
総次郎の成長が本作の大きな魅力の1つだが、心に残ったのは、成長の契機になった左大夫の「気などすまんでよい」という一言である。仕事において自分の気持ちは大切だが、万事が気の済む形で終わることはない。総次郎にとって厳しい状況下で、静かに一喝を入れるこの言葉は、強い余韻を残した。
Posted by ブクログ
18歳の草壁総次郎は、失踪した父に代わり町奉行を務めることになる
草壁家には代々、神山藩の町奉行を任されており、祖父は名判官だった
ある日、神山藩屈指の大店・信濃屋の奉公人が殺害される
そしてその死体のそばに、失踪した父のものに似た根付があるのに気がついた総次郎は名判官だった祖父に打ち明ける…
果たしてその真相とは…
初読み作家さんのミステリー時代劇!
どうやらシリーズものだったようだが、違和感なく読めた
ページが進みだしたのは殺害された死体が信濃屋の奉公人と判明した辺りから…
町奉行としての総次郎が殺人事件を追う過程で、父の失踪の謎がみえてくるのだが、これがまさかの展開…(笑)
しかしこの作品の魅力はミステリーとしてのおもしろさと共に、登場人物たちにある…
特に孫を陰ながら応援し、自らも探りを入れる名判官の祖父は心強い存在…
そして剣も学問もそこそこの総次郎の幼なじみ、武四郎はなぜか時に勘を働かせピンチを救う
そして脇を固める筆頭与力や華を添える女衆…
彼らに支えられながら町奉行としても人としても成長していく総次郎が頼もしい