砂原浩太朗のレビュー一覧

  • 雫峠

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    「神山藩シリーズ」第4弾は6つの短編集。

    前作「霜月記」の少し後の年代と思われる6つの物語は、お家の問題や城内の政を描いた前作までとは趣を異にする。
    武家の娘、家老の嫡男、政から遠ざけられた若き藩主、流罪にされた武士、身分違いの家に婿養子として入った次男など、物語の中心たり得ない人々の心情を描いていく。

    表題作「雫峠」の切なさはさることながら、一番好きなのは若き神山藩主の清々しいほどの覚悟を描いた「華の面」。
    本家の三男から分家の藩主になった正寧を政から遠ざけようとした老獪な家臣の思惑を知りながら、自らのやり方で務めを果たそうとする姿に心打たれた。

    一杯飯屋“壮”や、神山藩の銘酒“天の河

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    2025年02月23日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    面目つぶされたのもあるけど、信吾が岩蔵のことも意外と手なづけてたし、嫉妬もあるよね。狸穴ぬ睨まれたら、ずっと不幸が続くのか。
    にしても江戸離れないといけなくなるもの?

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    2025年01月30日
  • 冬と瓦礫

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    1995年の阪神淡路大震災当時の実体験にもとづく記録小説。私も筆者と似た経歴で、震災の6年前まで西宮在住、震災当時は東京にいたので、馴染みの人が被害に遭い、馴染みの場所が震災で壊れてしまった悲しみ、しかし自分は震災を経験しなかったので現地の人と隔たりを感じてしまう複雑さ等、当時を思い出した。

    本題とは関係ないけれど、録画を忘れていた時代劇は後家人斬九郎かな。私も当時録画して毎週楽しみにしていた。

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    2025年01月29日
  • 冬と瓦礫

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    30年前の阪神・淡路大震災の被災後一週間の出来事。作者本人の体験をもとに、自らの記憶を記録するという意図のもと小説という形でしか表し得ないものも含めて描いた作品。

    時代物の砂原さんにしては珍しい現代物と思ったら、そういう経緯があったのかとあとがきを読んで納得。
    同じ被災者であっても被害の大小、その後の身の振り方などは一様ではなく、被災者の間でも思いは様々なのだということが主人公とその友人のやり取りでわかる。

    ましてや報道でしか知り得なかった者には何も言う資格はないんだろうし、分かったようなことも言えない。それはその後に起こった東日本大震災でも、昨年の能登半島地震で同じこと。そしてそれは地震

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    2025年01月27日
  • 冬と瓦礫

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    なかなか向き合えなかった地震から30年
    学生時代の思い出が詰まった街をテレビの中ですら目を背けていた当時。
    行きたくても行けなかった被災地には一年後ようやく行った。その頃にはもう復興が進み被災した友人と笑顔で会えたことが嬉しかった。

    主人公が歩く震災後の神戸の街が、詳細に描かれて辛く胸が詰まった
    ここにおりたいんやと言う友人の言葉。助かった人も遠くにいた主人公も被災者なのだ
    ずっと忘れることはできない
    忘れないためにも
    私自身が背けていたことに向き合えるようになれたことも
    改めて作者がこの書を書いてくれて感謝する。

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    2025年01月26日
  • 冬と瓦礫

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    阪神・淡路大震災。神戸出身で東京で働く青年が、被災地にいる家族や友人の元へ向かう話。自らの体験を元に書かれた物語とのことで、現場に行った人の感覚が伝わってくる。
    あとがきで、この作品を書いた動機や思いを吐露されていて、腑に落ちる思いがした。

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    2025年01月23日
  • 冬と瓦礫

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    刹那の変化と、普遍に刻まれる時。感情の塩梅は、誰もがわからないまま。それでも無情に続く日々がとても恐ろしいと思いました。
    傷つくことにも配慮が必要な世の中で、誰にでも起こり得る出来事を他人事と思わずに生きられたら...と、つい考えてしまいます。

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    2025年01月22日
  • 冬と瓦礫

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    もう30年。あの朝は主人公と同じくただボーと現実とは思えない画面見つめるしかなかった。「おまえが言うことやないやろ」「…神戸から出て行くやつおおぜいおるんやな。おまえもじいちゃん、ばあちゃん逃したら、それでひとまず一件落着やろ」「でもな。この街でやっていくしかない奴らが大勢おるんや」「あのオッさんもそやろ」能登でも、東北でも。「すべては、ほんのわずかの差でしかなかった」「報道などでは取り上げられない、そうした立場の者にもやはり痛みはあるという思い」砂原さん、トラウマに…よく刊行したなぁ。

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    2025年01月21日
  • 冬と瓦礫

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    損得勘定なく故郷の震災に何かしたいと思っても、その時その場にいなかった部外者感。家族、親友とのズレ。行き場のない気持ち。

    おとん、金とるんかいっ!って思ったけど、前後で付き合い方、接し方が唯一変わらずいれそうで、

    人と人って
    何なんだろうなと。

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    2025年01月21日
  • 冬と瓦礫

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    砂原浩太朗という作家を目当てに本を選んだので、本書が時代小説ではなく阪神淡路震災を描いたものだと知った。
    奇しくも1月17日にこの本を読み始めたので、様々なニュースと共に読む本書は当事者の苦悩を改めて思い起こされた。

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    2025年01月19日
  • 冬と瓦礫

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    砂原浩太朗の作品はこれまで何冊か手に取っており、
    静かで凛とした雰囲気があって好き。

    作者は15年ほど前にこの作品の原型を執筆したということで、最近のものには感じられない激しさや
    人の心の暗い部分がたくさん描かれていて
    正直に言うと、別の著書の本を読んでいるような気分になった。

    阪神・淡路大震災が起こってからの七日間の出来事を
    主人公(作者)が取った行動をそのまま綴った内容は、
    30年前、わたしもその場所にいたことを思い出させる
    少し苦しくつらい読書だった。
    作者も感じているように
    直接的な被害が少なかった者と
    そうでなかった者との気持ちの差は決して埋まらないと思うのだけれど、
    こうして毎

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    2025年01月14日
  • 冬と瓦礫

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    阪神・淡路大震災の一週間が設定で、著者が神戸出身ということもあり、やむにやまれず上梓したようだが、砂原作品を読みたい読者には肩透かしな印象。大きすぎる題材に主張がついていっていない稚拙さしか感じない。得意なホームグランドで勝負してもらいたい。

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    2025年01月09日
  • 冬と瓦礫

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    梅田の日常的な世界と芦屋の現状の違いに、唖然としたのを思い出しました。
    当時、梅田〜西宮間は電車が走っていました。

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    2025年01月08日
  • 冬と瓦礫

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    一気読み。テレビで見た当時の風景を思い出した。高速道路が倒壊した様子は衝撃だった。当時も関西に居てたが、中学生で何もできず震災の情報はテレビ新聞で知るしかなかったけれど、被災地で死から逃れて確かに生活してる人がいたんだ。

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    2024年12月26日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    季節の描写はいつも通り美してくていいのだが、主人公の大滝信吾が旗本の妾腹という設定はまあいいとしても起こる事件の解決策がほとんどそこに頼ってしまっているのが残念でストーリーとしてはいまひとつだった。

    【目次】
    第一話 三社祭と鬼
    第二話 紫陽花横丁
    第三話 父と子
    第四話 片陰
    第五話 秋風吟
    最終話 錦木

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    2024年12月24日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    ネタバレ

    浅草寺子屋よろず暦

    著者:砂原浩太朗
    発行:2024年9月28日
    角川春樹事務所
    初出:「ランティエ」2023年9月号~2024年7月号(隔月連載)

    この作家は初めて。人気シリーズなどを持つ時代小説家で、この作品は初物。シリーズ化するかどうかは不明だけれど、市井ものだった。江戸、浅草寺にある正顕院で寺子屋を営む大滝信吾がもめ事を解決する連作短編。信吾は旗本をつとめる大滝左衛門尉の弟。兄からは清という60歳ぐらいの下女をつけてもらっていて、寺子屋も手伝ってもらっている。寺子屋に通う子供や親たちは、信吾が旗本の家の出身であることを知らないが、普通の庶民でないことは感じている様子。

    全6編で、

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    2024年11月18日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    ネタバレ

    【収録作品】
    第一話 三社祭と鬼
    第二話 紫陽花横丁
    第三話 父と子
    第四話 片陰
    第五話 秋風吟
    第六話 錦木

    出自を秘して寺子屋を営む大滝信吾が、教え子たちの家族に降りかかる問題を解決していった結果、狸穴の閑右衛門という土地の顔役に睨まれるようになる。

    武術の達人で人のいい主人公、どこか憎めない悪役の手下、本人も知らない出自の秘密、ほぼ善人で気持ちのいい周囲の人々、と読み心地はいい。
    よくあるシリーズ連作のように主人公が超人的な活躍をするわけではないし、きれいに解決するわけでもない。自分の手の届く範囲で、できるだけのことをしようとしている主人公の等身大の若者らしい成長が描かれている。

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    2024年11月11日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    今までと作風は異なるけれど市井の様子を温かく書いた落ち着く作品だと思う。主人公のお兄さんがいい味をだす秋風吟が好き。3年後を描く続編をだしてほしい。

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    2024年11月11日
  • 夜露がたり

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    後味の悪い幸せで終わる話は1作品だけど、その話すら影がある。あんな淡々と綺麗な描写で残酷な語りをされたら気分が一層沈んでしまう。あっと言うまに読めるがあまりいい時間を過ごせたとは思えなかったけど、やはり語り口調で綺麗な言葉は最後まで読んでしまう。
    全作品影が充満していた。

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    2024年10月16日
  • 浅草寺子屋よろず暦

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    標準的な作品だが、砂原作品としては物足りない。上梓作が段々と面白くなくなっているのが気になる。「高瀬庄左衛門御留書」のような大傑作を毎作品期待はしていないが、それにしても右肩下がりは残念。何か新境地が必要なのかもしれん。

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    2024年10月16日