感情タグBEST3
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江戸市井物の短編集
氏の長編が大好きなのだがこれはこれでたいそう面白かった
通り一遍の人情物と思わせて一捻りがあったりなかったり
短編集としてのバランスが実に良い
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市井の人を題材とする時代小説で、これまでの架空の神山藩の侍とは違っているのですが、砂原さんの文章のファンの方には楽しめると思います。短編集なのですが、8編通して「夜露がたり」ですね。
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時代物小説ながら勧善懲悪ではなく、人間の業を肯定する結末に満足できた。人の心の理不尽さを描くことで、登場人物への感情移入を容易にしてくれた。
8編の中でも「死んでくれ」「さざなみ」「錆び刀」「妾の子」が好みだ。
砂原浩太朗作品は追いかけていきたい。
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江戸の長屋で慎ましく暮らす人々を描いた八篇の短編集。行間に漂う、しめやかな冥さと心の機微が秀逸。恨みつらみに気が鬱ぎつつも、彼らの生への執着や人情に微かな希望が見えた。
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市井を描く八篇からなる短編集。
砂原浩太朗さん、そう来たか!
長屋に住む人々の物語。
どういう展開になるのか楽しみにしていた。
腰高障子を引けば全てが見渡せるほどの狭さ。
井戸端でのかしましい声。
全編を通して伝わる、長屋のじとっとした空気が重苦しい。
「幼なじみ」
P183
〈いちど裏長屋に生まれたら、ふたたび表通りは歩けない〉
「錆び刀」は、浪人に落ちた者の話。
どうしようもなく自分の想いに流されてしまうが
清々しさも感じられる一編。
武士の矜持を描いた物語も読み応えありだが
精一杯生きる市井の人たちも良かった。
今作が初めてという読者のみなさん。
既刊もぜひ。
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江戸下町の長屋に生きる訳ありの人々の姿を通して、人の心のうちにある昏い部分を描き出す8つの短編。
夫婦、幼馴染、親子、友達、好いた女、昔の男。共に長い時間を過ごしても互いに明かせない思いがある。好きな相手だからこそ言えない思い。相手を思うが故に苦しむ主人公たちのやるせない思いが伝わってくる。
どうにもならない思いを抱えながら、それでも食べて、生きていかなければならない切なさは今も昔もなんにも変わらないんだろうなぁとしみじみ。
どれもなかなかダークな物語だけど、それでも終わりに少しの希望が見える「半分」と「妾の子」に救われた。
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市井物の時代短編集。8編「帰ってきた」「向こうがわ」「死んでくれ」「さざなみ」「錆び刀」「幼なじみ」「半分」「妾の子」
初期のどうしようもなく暗かった頃の藤沢周平を思い出します。
まあ、砂原さんご自身が「デビュー直後から藤沢周平への私淑を公言していた。」とおっしゃっているので影響を受けているのは間違い無いようです。
そうは言っても「焼き直し」ではありません。短編ながらストーリーのヒネリがやや強く、クルリと反転する感じは周平さんと少し違います。また、最後の一編を除き、主人公が闇に堕ちて行くところは似ていますが、その闇は初期の周平さんの様な漆黒ではなく、やや月明かりが差す闇の様です。
暗転ではなく、暗から明に転回する「妾の子」を最後に置き、少し晴れ晴れとした読後感になりました。
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冒頭の「帰ってきた」以外は粒揃いで、流石砂原作品は市井ものも面白い。ただ神山藩シリーズのような傑作とも思わなかった。武士(浪人だが)が出てくる「錆び刀」はラストの展開含めやはり面白いので、武家ものがあってると思う。短編タイトルに込められた一筋縄でいかないストーリも良い。
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「予想外の展開と結末を堪能できます」とあるが,個人的にはやりきれない結末が多い。
朝のラジオで紹介されていて読んでみたくなってジュンク堂書店で購入
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暗くなる話ばかりで途中で読むのをやめようと思ったが、書き手の上手な話の運びについつい読み進めてしまった。
そして最後の「妾の子」がハッピーエンドで本当にほっとした。繁蔵が良い奴でよかった。るい、幸せにねー!
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勧善懲悪ではなく、江戸の暮らしの中で「人間の業や理不尽な運命」に翻弄される庶民の姿。醜い心持ちにげんなりだけど、そこは砂原さん、最後はなんとなく肯定。後味はそれほど悪くない。
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【収録作品】帰ってきた/向こうがわ/死んでくれ/さざなみ/錆び刀/幼なじみ/半分/妾の子
生まれや環境からは逃れられないのか。救われない、これが現実。人の悪意や自分の努力だけではどうにもならない事実をつきつけられる。
これは江戸時代だから、ではない。今も変わらぬ現実である。確かにうまいけれど、辛い。
「あたしはあたしのもんだっ」と叫べたおみのに希望を見るけれど。