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Posted by ブクログ
目次
・帰ってきた
・向こうがわ
・死んでくれ
・さざなみ
・錆び刀
・幼なじみ
・半分
・妾の子
著者初の「市井もの」ということだが、「人情もの」ではない。
掛け違えた心が作り出すのは、取り返しのつかない痛みだったり別れだったり。
そう、江戸に住む庶民のすべてがいい人のわけはないし、善人と悪人の間にくっきりと線が引かれているわけでもないのは、現在と同じなのだ。
人間だもの。
耐えに耐えた挙句に良い結末を迎える、なんて話ばかりではないので、カタルシスが得られるかは読者しだい。
私は『帰ってきた』おみのの「あたしはあたしのもんだっ」が、結構好きだ。
元夫と、その弟分の現夫が彼女をめぐって「おみのはおれのもんだ!」と争っていた時に切った啖呵。
「――どいつもこいつも、こけにしやがって」
『幼なじみ』も、何かしみじみよかったな。
うらぶれた長屋住まいから飛び出して、大店の手代に上りつめた秀太郎(ひでたろう)。
幼なじみで弟分の梅吉が小僧として同じ店で働くことになり…。
秀太郎には明るい未来はないのかもしれないけれど、せめて梅吉は…。
後は『錆び刀』の、逆玉の輿を断って、同じ長屋でいつも親切にしてくれるおよしと添い遂げようと心を決めた途端のどんでん返しも面白かった。
でも、砂原浩太朗は武家ものを読みたいなあ。
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