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「どいつもこいつも、こけにしやがって」「難儀だね、身内って奴から逃れられないものさ」、追い詰められ女と男は危うい橋を渡ろうとする。「あの場所の生まれでなければ」と呪い、「死んどくれよ」と言葉の礫をぶつけながら、その願いが叶いそうになると惑う。ここに江戸八景の本物がある。「傑作」と呼ぶしかない短篇集。
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Posted by ブクログ
安定の砂原浩太朗。読み終わった後もやっとするような、やれやれと開き直るようなそんなお話が多く人間臭い感じがよかった。
江戸市井物の短編集 氏の長編が大好きなのだがこれはこれでたいそう面白かった 通り一遍の人情物と思わせて一捻りがあったりなかったり 短編集としてのバランスが実に良い
市井の人を題材とする時代小説で、これまでの架空の神山藩の侍とは違っているのですが、砂原さんの文章のファンの方には楽しめると思います。短編集なのですが、8編通して「夜露がたり」ですね。
時代物小説ながら勧善懲悪ではなく、人間の業を肯定する結末に満足できた。人の心の理不尽さを描くことで、登場人物への感情移入を容易にしてくれた。 8編の中でも「死んでくれ」「さざなみ」「錆び刀」「妾の子」が好みだ。 砂原浩太朗作品は追いかけていきたい。
町人ものの8つの短編集。神山藩シリーズ?で清涼な風のような物語を紡ぐ作者ですが、この短編はなかなか一筋縄ではいかない、心苦しくなるけど自業自得だよな、とかハッピーじゃないけど最悪ではないよな、とか微妙な感情にさせられる物語が続きます。ここらへんさすがの仕掛けだな、と思いつつ読み進めると、最後の最後で...続きを読む。。。あとは読んでのお楽しみ。
短編集8篇 江戸の貧乏長屋の風景、人情が生きにくさの中できらりと光る。短編なのに最後まで分からない捻りの効いた落ちが面白い。「妾の子」が幸せなラストで良かった。
砂原さんを追って、6冊目。一時、だれた感無きにしもという作品、箇所もあるにはあったが。 これはよかった。若い頃、時代物にはまった後、定型的人情噺に厭いて、離れた(特に女流作家ものは) 近年の雑誌連載物をまとめているが概ね、江戸期に底辺の男女愛と行方を綴っている。 士農工商ががっつり社会の骨に組ま...続きを読むれていた当時の社会。 幕末社会の風俗写真を見ても臭ってくるような時間だったことは想像に難くない。 まして長屋住まいなどは。 砂原氏はお家騒動、跡目もの、道場藩校と士族の日常を出しており、そちらも面白かったが、今回は「創造とはいえ、リアルに眼前に情景が見えてくる」ような作品揃いだった。 最期の「妾の子」はよい。 終始、湿り気を帯びた救いのない惨めな流れでの作品の終わりが、これでシャント着地で来た・・江戸の時間も捨てたものじゃない事もある。
江戸の長屋で慎ましく暮らす人々を描いた八篇の短編集。行間に漂う、しめやかな冥さと心の機微が秀逸。恨みつらみに気が鬱ぎつつも、彼らの生への執着や人情に微かな希望が見えた。
市井を描く八篇からなる短編集。 砂原浩太朗さん、そう来たか! 長屋に住む人々の物語。 どういう展開になるのか楽しみにしていた。 腰高障子を引けば全てが見渡せるほどの狭さ。 井戸端でのかしましい声。 全編を通して伝わる、長屋のじとっとした空気が重苦しい。 「幼なじみ」 P183 〈いちど裏長屋に生...続きを読むまれたら、ふたたび表通りは歩けない〉 「錆び刀」は、浪人に落ちた者の話。 どうしようもなく自分の想いに流されてしまうが 清々しさも感じられる一編。 武士の矜持を描いた物語も読み応えありだが 精一杯生きる市井の人たちも良かった。 今作が初めてという読者のみなさん。 既刊もぜひ。
江戸下町の長屋に生きる訳ありの人々の姿を通して、人の心のうちにある昏い部分を描き出す8つの短編。 夫婦、幼馴染、親子、友達、好いた女、昔の男。共に長い時間を過ごしても互いに明かせない思いがある。好きな相手だからこそ言えない思い。相手を思うが故に苦しむ主人公たちのやるせない思いが伝わってくる。 どうに...続きを読むもならない思いを抱えながら、それでも食べて、生きていかなければならない切なさは今も昔もなんにも変わらないんだろうなぁとしみじみ。 どれもなかなかダークな物語だけど、それでも終わりに少しの希望が見える「半分」と「妾の子」に救われた。
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