市川憂人のレビュー一覧
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初読みの作家さん。超SF設定で繰り広げられるミステリー。2090年くらいが舞台で、太陽系のあちこちにコロニーがある。何光年も離れた宇宙空間で開催される開発コンペがあり、宇宙船関連の技術を扱う会社が参戦し、コロニーの利権をめぐってある星の開拓課題に取り組む。
しかし、初っ端から、コンペ参加者が次々と不可解な死を遂げるという展開に。殺されている。一体誰に?!コンペ参加者の日本人技術者、零司と相棒のAIディセンバーの視点で物語は展開していく。1人ずつ殺されていくコンペ参加者。途中で現れるコンペ参加者ではない乱入者。誰が敵で誰が味方か?!
途中で出てくるAIや量子学や物理学の説明についていくのでいっぱいいっぱいでミステリにハラハラドキドキどころではない笑。文系にはツライ。でもここは飛ばさずしっかり読んだほうがいい。後半の謎解きで伏線として回収されていくからだ。結構大がかりな仕掛けになっている。おおお!そういうことか!このアハ体験を逃さないよう、どうかツラくても量子や物理や光年を読み飛ばさないで…!
SF舞台になるとミステリーはこんな事も出来るのかと、終始唖然としながらも楽しめた。頭が柔らかくなるなぁ。
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ネタバレとある事情で生き別れてしまった千真と夕海。失意の千真が海岸線をバイクで走っていると記憶を失くした夕海とそっくりの子が倒れていた。
最初の章は千真と夕海の宅配業を手伝いながらぎこちない関係が甘酸っぱい。次の章で目張りした千真の恩師の家で亡き妻にそっくりな女性が刺殺されており、恩師も近くの海岸で撲殺されていた。密室殺人の解明の前に今回の舞台設定が分かってオイオイ。なかなか激しい設定ですね!南海トラフと富士山噴火が合わせて起きた設定で来るとはね。千真の家の状況が水しか出なかったり恩師の家での事件もむむむと思ってたら火山灰で埋め尽くされてたり土石流でやられてたりだったとは。
恩師の亡き妻が実は生きててということから夕海も同じだろと思わせてからの実は本物の夕海でしたは上手いやん! -
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ネタバレ重病におかされたコトハとタケルは無菌病棟に入れられて闘病している。柳医師と若林看護師は感染症に罹らないように防護服で問診する。2日以上問診が空く場合もナースコールで会話する様にしている。
突然嵐が病棟を襲い無菌病棟と一般病棟を繋ぐ通路がタンクが落下して崩壊し、無菌病棟は孤立。孤立した無菌病棟でコトハが胸をメスで刺されて死亡。隔離された病棟にはタケルしかいないハズだが犯人は誰だ。
最初は2人のラブストーリー要素でうーんと思っていたが、タケルが来る前の病棟の様子やアディポクルの真実とかが明らかになってからが面白い。色々と繋がっていって記憶が48時間しか持たない真実が伏線のように伏せられてるのがキーワードでした。何も起きてないが記憶のキーワードで持ってくのは逆に上手いですね! -
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トリックが鮮やかだった。
いちばんの核心となる部分はもちろん見抜けなかったけど、予想が当たった箇所もあって、仕掛けの謎のバランスが良かった。
あとこの作品の推しポイントは、地味だけど冒頭の一文かな。
プロローグから、犯人の個人的な復讐劇だとわかる。
本格ミステリって世にたくさんあるけど、犯人の動機にしっくりきたことがあんまりない。ので、内面的なところは期待してなかった。
でもこの作品の犯人はなぜだか納得できてしまった。
冒頭の一文、彼女とは結局は他人だったっていう表現が、最終的にその言葉以上の意味を持っていたのがわかって、すんなり受け入れられた。
だからこそトリックにも無理がないというか、完璧である必要がない感じが良かった。 -
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ネタバレ※『十角館の殺人』のネタバレも含みます※
『そして誰もいなくなった』『十角館の殺人』を綺麗にオマージュされた、でも意外性に驚きも与えてくれた作品だった。
理系分野はちんぷんかんぷんだったのでちょっと難しい場面もあったけど、作中同じくちょっと頭が弱い?設定のマリアと同じように「もう一機ジェリーフィッシュがいたのでは…?」と閃いてはレンたちに否定されていた。
レンとマリアのやり取りがちょっとサムイなと思ったし、マリアがちょっと警部にしてはバカすぎんか?と思ったけど読者への説明のためにこの役を置いたのかなと思えば仕方なし?
有名な二作品のオマージュなんだから、誰かが死んだフリのはず…!どいつがヴァンダインだ?と、殺害方法からネヴィルあたりを疑ってたもののすっかり狙いは外れた。
まさか『七人目』が死体とは思わず、でもわかりやすいトリックで唸らされた。 -
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未来を舞台にしたSFミステリ。環境破壊が進み、地球以外の惑星にもコロニーを作り各所で生活を送る人類。あらたな開拓地を求めて行われるコンペに参加した各コロニーの代表者たちが、次々と謎の死を遂げてしまう。それに伴い不測の事態が立て続けに発生し、やがて恐ろしい真相が明らかになる。
正直に言います。SF苦手です。量子もつれ理論、けっこう丁寧に説明があるのだけれど……あまり理解できません。たぶんもやっとしたニュアンスでしかわかっていない気が。こんなんで読んで大丈夫かな、と心配だったのですが、充分面白く読めました。地球出身の参加者・零司と毒舌AIディセンバーのコンビがもうとんでもなく素晴らしいです。ディセンバー、めちゃめちゃ頼りになるけれど、主人への対応が雑すぎて面白いったら。笑える部分とシリアスにサスペンスフルな部分とのバランスが良くて、ぐいぐい読めました。ミステリとしての細かな伏線とロジックも満足。
すべての真相にはもう愕然。こんな時代が本当に到来してしまったりはしないだろうか、と恐ろしくもなります。 -
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ネタバレいつもの特殊設定ではない立派な"SF"ミステリー
毒舌AIと中小企業エンジニアのコンビはマリア&蓮から年齢いじりを取り払った程度の既視感のある造形(笑) 亜光速航行、量子テレポーテーション、もつれ粒子対、惑星探索等々…ノーランが映画化したらさぞ面白そうなガジェットを下敷きに五十光年離れた惑星で銃殺遺体が見つかるというもの。基礎的な量子力学の内容はイチからレクチャーしてくれるのでかなり親切です。
こういうのを読むたびに、宇宙空間や宇宙船などのディティールをどうやって調べ上げるのだろうと感心するばかりです。
ドラえもんのコミックス17巻に登場する「バイバイン」みたいな展開ですね。本作はここまで壮大にしたのに、とても綺麗に話を収束させたなあと、風呂敷の畳み方にも感心しました。
好き度では『揺籠のアディポクル』、凄い度では『もつれ星』に軍配かな -
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史上最大のクローズド・サークル!その舞台は“惑星”。
2100年代、惑星の宇宙開発コンペに参加した零司とAI。
誰もいないはずの惑星で、コンペ参加者の銃殺遺体を発見するところから物語は始まる。
雪山の山荘や孤島などでおなじみのクローズド・サークルものだが、本作はスケールが桁違い。
舞台は惑星そのもの。史上最大のクローズド・サークルである。
なお、宇宙人やエイリアンは出てこないのでご安心を。
傑作『ジェリーフィッシュは凍らない』が架空世界寄りだったのに対し、本作は今の世界と地続きの未来。
AIや量子コンピュータなど、リアルに想像できる技術が物語に説得力を与えている。
SFゆえ理論部分は少し難しく、そこは減点対象だが、仕掛けと物語の面白さは文句なし。
こんな未来が待っているのかと思うと、純粋にワクワクする。
美しいタイトルも、読み終えると一転して怖くなる。
ハリウッドの皆さま、映画化を本気でお願いします。 -
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『ジェリーフィッシュは凍らない』で有名な、
市川さん。
今回の本書が初読みでした!
最初から最後まで展開が読めなくて、置いてかれそうになったけどラストまで楽しく読めました!
孤立した無菌病棟に取り残された2人の少年少女。
しかし、少女が殺されているのが見つかる。
その部屋に残されたのは少年ただ1人。誰が少女を手に掛けたのか、最後のオチがどんな感じで終わるのかが気になって夢中で読んでました!
あまり書きすぎるとネタバレになるので書きませんが、中盤からラストにかけては予想がつかない展開に驚かされました。
次は『ジェリーフィッシュは凍らない』シリーズも読んでみたいと思います! -
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人間って思い込みとか固定観念にとらわれて生きているんだなぁ。
それを実感出来る話でした。
マリア&漣シリーズ2作目。
今回は2人の人物が同時期に発表した「青い薔薇」から始まるミステリー。
テーマは「遺伝子」ですね。
前回より分かりやすかったけど、やっぱり難しいテーマだなと思います……いや完全に理解できなくてもトリックは分かるし事件も解決できるんだけどね。書いてあるなら理解したい!って思うじゃないですか。
……え、私だけか?
このシリーズは過去と現在が交互に進んでいくパターンの展開をするんですが(この作者さんのパターンなのかもしれない?)、まぁこの挟み込み方が上手なんですよね。
マリアが最後に告げた真実に思わず「えっ!?」って声が出てしまったもん。
最初に人間は思い込みとか固定観念にとらわれて生きている、って書いたんですけど、この挟み込み方が上手だから余計にとらわれちゃうんですよね……そして何の違和感もなく読み進めて最後の最後に引っ掛かってることに気付くという……。
まぁ私がぼんやり読んでるせいかもしれないけれど。
けれど、これは舞台設定がアメリカってのも関係ある気がしますね。
あちらでは普通なことがこちらではイレギュラーとかあるじゃないですか。
その辺も違和感なくうまく織り込んである気がします。
あと、独立している作品ではあるんだけど前回のジェリーフィッシュは凍らないに出てきた登場人物とか場所がまた出てくるのが個人的には嬉しいポイントでもありました。
何かいいよね、前の登場人物が次も出てくるって。
話がちゃんと繋がってる気がするし、そうやって人間関係増えてくのジャンプみたいで良くないです? -
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スケールが壮大な分、上下巻くらいのボリュームで読みたかったかも。
ただそれは量子もつれとかの話題が「三体」と被るから、つい三体レベルのスケール感を意識してしまっていたからな気もする。
でも三体は割とダラダラしてるイメージ(登場人物の過去を掘り下げる割には大して回収されないし、メインストーリーにそこまで関係ない)があったので、本作くらいサクサク進むテンポ感が心地よい。
宇宙とか量子もつれとか、内容はゴリゴリのSFだけど、本筋はあくまでミステリー小説として殺人事件の謎に焦点があたり話が進むので、とても読みやすかった。
私は市川憂人先生が作るキャラクターが好きだけど、今作もディセンバーと零司のコンビが、マリアと蓮っぽさもあって楽しかった。
スケールが大きいし、キャラクターも立っているのでシリーズ物になりそうでもある。 -
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ネタバレ1作目を読んでからかなり期間を開けちゃったけれど、面白かった!やっぱりマリアと漣の凸凹コンビ大好きだ〜
前作で良い味の出てたジョン少佐が準レギュラーキャラ?みたいな登場をしてくれてこれも嬉しい。次も出るのかな。
お庭がないから育てられないけど定期的にブーケを買う程度にはお花が好きなので、バラの花の色についてだいぶ噛み砕いてくれた化学面での解説があってすごくわかりやすかったし興味深かった。
物みたいに扱われて散々な日々を送っていたエリックが、ようやっと掴みかけた平穏という希望を挫かれたのも悲しいし、自分のせいでめちゃくちゃになってしまった彼の絶望たるや……。
誰も責めてくれないのが逆につらいんだろうな。
でも一緒に生き残ったアイリスからすれば、彼は唯一生きている"家族"でもあり、責められないよなぁ……。
前作ではレベッカという一人の女性に狂わされた人が発端だったけど、今作はブルーローズという未知に狂わされたのが発端かあ。もしくは富/権威(手柄)に狂わされたともいえるけど、どちらにせよ自分のことしか考えられなくなった人間の欲って醜い…………。
テニエル博士を完全に男性だと思っていたので見事に騙された。
この二人はこうするしかなかったのだろうか、アイリーンというひとり娘と再会できたところで残された時間を復讐から交流にシフトチェンジする未来はなかったのだろうかと考えてしまって切ない。
でも、ずっと今でも苛み続ける悪夢から開放されるために、憎い犯人をただでは終わらせないために、ずっと準備してきたしアイリーンが現れた時点で引き返せるところにはもうなかったのかもしれない……。
美しい花には棘がある。それを体現した呆気ない幕引きで、アイリスとエリックの復讐としてはこれで限りなく完璧に完成したのだろうな。
遺されたアイリーンが「私の知りたいことは何も書かれていなかった」と『幸せに』で締めくくられた遺言を読んで泣くのがつらい。
遺言書の内容から限りなくそうであるとわかるけれど、結局アイリスは最期までアイリーンに明言することなく幕を下ろしたんだなあ。
同じくアイリスに"遺された"側の人間であるエリックと今後何らかの交流があればいいけど、アイリーンへ血縁を明かさなかったアイリスの意思を汲んでエリックが自分もそうであることは明かさない気もする。
切ない話だった。 -
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マリア&漣シリーズ第3弾。
前作を読んでから1年以上積読してしまった(汗)
本作も相変わらずの理系要素が満載。今回はガラス工学の分野が随所に登場する。光の透過率や反射率など、なかなかマニアックw
物語はマリアと漣の『タワー』パートと、ガラス製造会社の関係者による『グラスバード』パートが交互に進行。
タワーパートでは、高層ビルで発生した爆弾テロに巻き込まれる緊迫感溢れる展開。ハリウッド映画さながらのスリルに圧倒されたし、手に汗握るシーンの連続でめっちゃ惹き込まれた!
一方グラスバードパートでは、クローズドサークルでの不可解な連続殺人が発生。一人また一人と犠牲者が…。スリリングでミステリアスな状況にハラハラドキドキ。
こんな展開が同時に並行して味わえるなんて。贅沢な作品。
そして終盤の解決編では、この二つの事象が過去の因果によって結びつく。伏線回収もお見事だった。
個人的に、動機とか落とし所にちょっと??と疑問に思うところがあったけど総じて楽しめた。
マリアと漣の独特のバディ感も好印象で、所々でクスッと笑わせてくれる。
このでこぼこコンビの掛け合いに目が離せない。