市川憂人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
<マリア&漣>シリーズで知られる作者によるSFミステリ。量子テレポーテーション通信の開発によって、遠く離れた星でも同時通信が可能になった時代。ただし、超光速航法は実現していない時代が舞台となる。
5名の参加者による宇宙開発コンペに参加するため、地球から十光年離れた星に降り立ったエンジニアの夜河零司と相棒のAI・ディセンバーは、別の区域にいるはずの競争相手のピエールが何者かに殺されているのを発見する。他のコンペ参加者に事態打開のため協力を求めるが拒否されてしまう。そしてコンペの運営本部との通信も途絶してしまい、零司とディセンバーは孤立状態になる。そこにまた他のコンペ参加者の殺人事件起こる。さらにコンペ参加者以外の人物も現れて謎は深まる…
ミステリとしても、SFとしても非常に面白い。AIの存在、亜光速航行によるウラシマ効果を上手く使っている。そして、いつものように叙述トリックもある。さらに「AI」について説明するくだりは、この分野に詳しくない読者にとっては有難いだろう。しかし、この部分は読者向けのものだと思われた。他にも説明のためのような箇所があり、私は冗長だと感じた(SFファンには不要部分)。カテゴリをSFではなくミステリに区分したのは、そのためである。 -
Posted by ブクログ
autumn522akiさんの本棚から
おお!遂に市川憂人さん本領発揮か!という一冊
良かったわ〜
こいつを読み逃さなくて
やっぱ秋さん本棚頼りになるわ〜w
ひまわりめろんの本棚なんかチェックしてる場合じゃないのよ実際
という訳でね
「量子力学」ですよ
SFに振り切ってきたんかな?とちょっと思ったんですが、何のことはない市川憂人さんお得意の特殊設定ミステリーでした
だがしかーし!
そこの特殊設定のところが、めちゃくちゃガチンコでハードSF陣営も真っ青
ハードSF陣営の概要知らんけど
めちゃくちゃ勉強したんでしょうな
それにもう地頭のレベルがちゃうんやろな
さすが東大工学部出身
それにしても最近「量子力学」絡みの小説を立て続けに読んだな
流行ってるのかな?
どれも面白かった
そして「量子力学」もちょっと勉強せな!と思いました
今後、面白いミステリーを読むためには「量子力学」の知識が必須となる時代がすぐそこまで来ているのです!
ってそんなわけないやろ!( ゚д゚ )クワッ!! -
Posted by ブクログ
★5 量子論、AI、宇宙… 壮大なSFなのに人が身近に感じられる物語 #もつれ星は最果ての夢を見る
■あらすじ
量子コンピュータやAI開発が進んだ未来、量子テレポーテーション通信によって、宇宙の遠く離れた惑星同士の通信も可能になっていた。
宇宙開発のプログラマーである夜河零司と宇宙船制御AIのディセンバーは、宇宙開発コンペに参加するため、地球から十光年も離れた惑星に近づいていた。夜河が惑星に着陸すると、コンペ参加者のメンバーが、銃殺されているのを発見する…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 SF要素特盛ミステリーですね、量子論、AI、宇宙開発をふんだんに盛り込んだ作品です。
ミステリーが2割、SF(しかも結構ハード)が8割って感じですね。SF好きな人、理系な人、AIエンジニアあたりは絶対に読み逃せませんよ!
まず推したいポイントは量子論ですね、例の「シュレーディンガーの猫」ってやつですよ。これを応用した量子テレポーテーション通信ができている前提の物語になっていて、夢の宇宙開発が実現できている。
小難しい理屈もリアリティを増してくれて、わくわくが止まんないですよね。まぁ正直ぜんぶを理解できてはいないですが、市川先生がこの作品を書き切ってやるぞっていう意気込みを感じましたね。
またAIについても興味深いんですよ。最近のSF、ミステリー、その他どんなエンタメ作品でも、AIと会話するってのは良くありますよね。本作でも主人公の夜河をはじめ人間たちは「宇宙船制御AI」なるものと会話をしながら物語も進行していくのですが既存作品とは、念の入れようが違います。
なんつっても、このAIとの会話がすげーおもろいのよ。仲悪いわけでも仲良いわけでもなく、お互いのことがよくわかっている関係性なんです。例えば漫才師の相方とか、社長と秘書とか、長年連れ添った夫婦とか、そんな感じで間柄に深みがあるんですよね~
さらにAIといっても全てが同じではないってのも凝ってる。理屈や説明がしっかりしてるから読み応えがあるし、最近はAIを使うのなんて当たり前の時代になってきたから、ふむふむと興味津々で読んじゃうんですよね。
そしてストーリーの魅力も十二分にあります。銃殺された死体を発見、その後新しいキャラクターが登場しつつ、事件が複雑化していきます。そして中盤あたりから危機感がさらに10倍くらいになるってのもエグイ。
もちろんミステリーとしても唸りましたね~、犯人、動機…というか価値観なのか。他にも大技やSF的なアプローチの驚きもしっかりある。そしてロジックの精度を高さが凄いし、そもそもやろうとしているころが好き。
もともと市川先生は理系ミステリー寄りだよねって思ってましたが、まさしく真骨頂ですね。本格ミステリー作家がSF領域で本領発揮するとこうなるという良い例ですね、力作でした。
■ぜっさん推しポイント
大抵はこういった幻想的なSF作品は、未来や別世界の話と感じることが多い。しかし本作はやたら身近に感じるんです… やはり量子コンピュータやAIってのが、私たちの手の届く範囲に近づきつつあるんでしょうね。
特に近年、AIの発展はめざましく、将来的に人間の仕事が減ってしまうとも言われてますよね~。本作を読んでるとそんな恐怖に苛まれるんですが、同時に共存していく楽しさ、希望みたいなのも感じられました。 -
Posted by ブクログ
何を説明してもネタバレに繋がる重要な事実を開示してしまいそうで、何を言っていいか不安になってしまう作品があります。本書もまさにそんな作品のひとつ。だからこの作品に関しては特に、これ以降の私の拙い感想などは読まずに、本書を読んで欲しい、と思っています。
倒れている少女がいた。行き先も分からないらしい少女は一年前にこの世を去った恋人と瓜二つで、名前も同じ『夕海』だった。こんな偶然が本当にあるのだろうか。
隙間に非日常が入り込んできたようなどこか不安定に進んでいく物語はやがて、その不安定さがなければ成り立たなかった物語に変わっていきます。伏せられていた事実が明らかになった時、思わず「すごい!」と唸ってしまう、強烈な感動が待っています。ラストで明らかになる『彼女』の起こした行動については賛否別れるところかもしれませんが、私は切ない余韻に目頭が熱くなってしまいました。