【感想・ネタバレ】ブルーローズは眠らないのレビュー

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Posted by ブクログ

掛け値なしの面白さ!
読後感は良い!

温かな気持ちに包まれる。

5時間で読めたことになる。

一言で言えば、

壮大な〇〇〇ということだろう。

でもこれを言ったら、ネタバレになるし、面白さが半減してしまう。

できれば前情報なしで読んで欲しいなぁ。

全くね、最後の1/3?1/4?まで、全くミスリードさせられまくり。

クローンとかそういう話?とか思ってしまった。

前作より一層切れ味冴え渡る!

そんなトリックだったなぁ。

あぁ面白かった♪

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2024年05月11日

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ネタバレ

先ずブルーローズっていう題材がいいよね。
これもどっちかっていうと映像化出来ないんじゃないかな。叙述トリックはほんと飽きない。

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2024年04月11日

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マリア&漣シリーズ2作目
今回のもとても面白かったです。
この世界観が好きです。
ストーリーには切なさを感じましたが、物語に引き込まれてあっという間に読み終わりました。

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2023年11月01日

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ネタバレ

マリア&蓮シリーズ第2作。
不可能といわれていた青いバラがテニエル博士とクリーヴラント牧師によって同時に作出された。その2人を捜査している際、テニエル博士が殺害された。そして、殺害された状況は不可解なものだった。
今作も論理がしっかりとしていて面白かった。マリアが仮説を出し、それを蓮が小ばかにしつつ反証するため、読んでいて思考が整理されてわからないまま読み進めるといったことにはならずスラスラと読むことができた。
次作も文庫化されているので早く読みたい!

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2022年10月26日

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凄惨な事件の復讐劇の物語。エリックとアイリスの壮絶な物語とアイリーンへの愛の深さが感じられました。トリックもさることながら、登場人物達も相変わらず共感が持て、楽しく読ませて頂きました。

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2022年09月11日

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「ジェリーフィッシュは凍らない」に続くマリア&漣シリーズの第二弾。
施錠された温室に、さらにバラの蔓が壁と窓を覆うという密室状態で切断された首が見つかる。
まさに本格ミステリーという設定で謎解き部分も意外性があって動機もせつなくて、物語としても楽しめました。

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2022年04月02日

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「ジェリーフィッシュは凍らない」が面白かったので、続くこの話も買ってみた。

<プロトタイプ>と名付けられた章と<ブルーローズ>と名付けられた章が交互に進む。
<プロトタイプ>は、両親の虐待に耐えかね逃亡した少年が、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護されるところから始まる。
いつの時代とも知れない山奥の一軒家、いわくありげな科学者、アルビノの母と娘、怪しげな牧師、遺伝子操作から生まれたと思しき怪物の存在などが不穏な雰囲気を醸し出す。
一方、<ブルーローズ>では、ジェリーフィッシュ事件後、閑職に回されたマリアと漣が、ドミニク刑事から依頼を受けて青いバラを同時期に開発したテニエル博士とクリーヴランド牧師の調査を始めたのが発端。
ここからそれぞれの話の中で同じ人物が殺されるが、<プロトタイプ>では姿を見せない犯人が迫る恐怖の惨劇、<ブルーローズ>では血文字が残された温室での密室殺人という趣向。

時を隔てた2つの話がどう関連するのか、全く読めないままにどんどんと話は進む。
色々な仮説が提示されそれらがことごとく否定され、謎や密室がより堅固になっていくのは前作同様。
いくらマリアとは言え、あれだけでここまでの推理を組み立てられるものかと思うが、とは言え、撒かれた伏線はきれいに回収され、全てがカチッと嵌る見事な構成。
マリアと漣の推理の結末に、該当の頁に戻って読んでついて行くのもまた楽し。
クリーヴランド牧師が○○なのはまだしも、テニエル博士が□□というのはちょっとズルいかも。

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2021年11月23日

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ブルーローズと遺伝子、花と人の神秘に絡む殺人事件。
1作目同様、推理方面ではばっちり騙されました!爽快!
物語的には…最後、胸が詰まりました。
これは家族の物語かも。

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2024年06月03日

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ネタバレ

シリーズ第二弾
マリアと漣のテンポの良い掛け合いが楽しい。そして、空軍少佐のジョンも相変わらずいい味出してます。
「エリックの視点」と「マリアと漣の捜査」パートが交互に展開し謎を深めていく。
関係者の犯行に至る事情に、他に方法はなかったのか、仕方のないことなのかと思ったが、犯人の最後に関係者の思いを感じて、少し切なくなった。
青薔薇誕生の難しさとともに「天界」と「深海」の美しさが印象的でした。

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2024年02月03日

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面白かった!解決編読みながら泣きそうになり、前回よりも犯行の動機にしっかり理由があって、切ないけどすごく良かった。子供は可哀想だけど。
ただ、トリックに関しては複雑すぎて、マリアはなぜあの瞬間にあの複雑なトリックに気付いたのか分からなかった。

所々に挟まれるジェリーフィッシュ。
そして本作でも完全に騙された。読者だけが騙されていた叙述トリック。

名前の通り私は青い花が好きなので、一面に咲く天界にお目にかかりたい。

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2024年01月14日

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マリア&漣シリーズの第2弾。実現不可能と言われた青いバラをめぐる殺人。マリアと蓮の会話は前作ほどの面白さはないがシリアスな話にもユーモアが入っていて良い。のめり込んでしまうストーリー。良かった。

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2023年12月30日

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ネタバレ

ジェリーフィッシュ同様、倒叙的な描写で館の事件をミスリードさせるのは面白い
事件とは直接は関係ないが、青薔薇の科学はかなり丁寧に書かれていて純粋に◯

犯人に関して印象が少なくて少しだけ肩透かし感

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2023年12月17日

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シリーズ前作よりも謎の難易度が上がって楽しめた。著者のミスリードを誘う文章にはまってしまった悔しさと面白さがあった。このシリーズの世界観がとても良い。途中で出てくる化学式は正直わからなくなったが、青いバラができる仕組みについては何となく理解することができた。

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2023年11月16日

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ネタバレ

父と母を殺した犯人を炙り出す為に偽装殺人をし、犯人を特定して青いバラで最後トドメを刺すのが良かった。場所入れ替えトリックも騙されました

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2023年11月10日

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幻の青い薔薇をめぐる殺人事件。
「マリア&漣の時間」と「エリック&アイリスの時間」が、いつどこで繋がり事件の真相が見えてくるのか……焼け跡に残った日記は……

シリーズ第2弾。切なさで読み終えました。

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2023年10月22日

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ネタバレ

ブルーローズは眠らない
市川 憂人
衝撃の名作『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾!
両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。彼は助手として暮らし始めるが、屋敷内に潜む「実験体七十二号」の不気味な影に怯えていた。一方、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣は、刑事ドミニクから依頼を受け、幻の青いバラを同時期に開発した、テニエル博士とクリーヴランド牧師の調査を開始する。しかし両者への面談直後、温室内で切断されたテニエル博士の首が発見される。バラの蔓が扉と窓を全て覆い、密室状態の温室には縛られた生存者と「実験体七十二号がお前を見ている」という血文字が残されていた・・・・
物語は発見された日記から事件当時者達に起こった出来事を読み解くパートと事件を捜査するマリアと漣のパートが途中少年エリックの心情を描いたインタールドを挟みながら交互に描かれています。読み進めて行くと事件当時者達の体験と捜査している内容に食い違いが多く、頭が混乱します。事件当時者達は実験体七十二号に襲われ一家惨殺、しかし実際の捜査内容はその家族のバラ園で起きた密室殺人事件!日記に出てくるエリックや実験体七十二号が事件捜査上には全く上がってこなかったり。どちらかが間違っているのか?全く別の事件なのか?混乱する事間違いなし・・
しかしながら当然心配する事勿れ、2つの事実は最後に上手く結びつきます。相変わらずの市川節炸裂の本作、ジェリーフィッシュは眠らないでも発揮された、映画を彷彿とさせる感動のエンディングはさすがの一言。しかしながら肝心の密室殺人のトリックはと言えば少し物足りない感じ・・バラ園は窓、ドア全てがバラの蔓でおおわれており、外部から侵入したら蔓が切れてしまい侵入した痕跡は残ります。しかし全ての窓、ドアには鍵がかかっており、蔓で覆われたそれらは外部から侵入した痕跡なし・・・なかなか面白そうな密室ですがトリックは蓋を開ければ今一つと言った感想、恐らくメインは前述した叙述トリックの方だと思うので、密室トリックに拘らなければ十分良作と言えるでしょう。切ない親子愛にも感動します。
青薔薇は自然界に存在せず、自然界の薔薇に使える青い色素も存在しない事から、研究開発しても長年青バラが作られることがありませんでした。その為青バラの花言葉は「不可能」!しかし人類は長い研究努力の末、青いバラを作る事に成功し、そこから研究者への尊敬と敬意を込めて、花言葉は「夢かなう」「神の祝福」と変更されました。同時期に青バラを完成させた博士と牧師、「不可能」の花言葉を覆した彼らに訪れたのは「神の祝福」か「地獄の裁き」かその深淵の底にある僅かばかりの彼らの切なくも儚い「夢は叶うのか」結末は本書を読むことでしか体験できません!!

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2023年10月17日

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ネタバレ

青いバラを作った博士が殺される殺人事件を解決する話。

2つの視点で、交互に進んでいく。2つの視点がどのように繋がっているのか、考えながら読んだ。
マリアと蓮のかけあいがよかった。

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2023年10月02日

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ネタバレ

感想
登録前

続編。
今度も【現実ではありえない密室】
ルールを破らないでファンタジー要素を盛り込んだ密室トリック。

でもどちらかと言うと密室トリックより【誰が】に重点を置いたミステリ。

【誰が】犯人なのか。

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2023年05月16日

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マリア&蓮シリーズ二作目

前作よりもちょい難しめ推理要素の感じ

緊迫感があるのは前作と変わらず
叙述トリックにやられた
理系要素がふんだんなのでそういった物語が好きな人はおすすめ

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2023年04月27日

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題名が素敵だ。ブルーローズは青い薔薇だが、現実の今の世では、サントリーが配合に成功してできた青で、不可能と言われていたため、花言葉は夢は叶うである。

前作のジェリーフィッシュから、マリアと蓮が登場するので、読む順を間違えてはいけない。危なかった。題名に釣られてこちらを先に読もうと思ってしまった。因みにマリアは蜘蛛女ではない。

遺伝子研究をしているテニエル一家に、虐待を受けて飛び出したエリックが居候するが、テニエル家の妻ケイトと娘アイリスはアルビノだった。前作で出たアイリーンとアイリスは何か関係があるのだろうか?
テニエル家の夫フランキーは研究の結果、不可能と言われた青い薔薇を作ることに成功していた。彼岸花ではなく薔薇だ。夫フランキーは船大工ではなく遺伝子研究家だ。一方牧師であるロビンは独学で青い薔薇を作る、深海と天界と名付けられた二つの青い薔薇が発表される。ロビンは考古学者ではなく牧師である。

シリーズ2作を読んでみて、ミステリーとしては単純で結末が想像できること、マリアと蓮のキャラ設定が定まっていなくて面白みがないこと、この辺りが工夫されてくると、ある意味新分野のミステリーなのかもしれない。
マリアのキャラは嫌いではない、アホっぽいのにやる時はやるのが意図的でなく感覚的だからだ。この線でキャラクターが定着すると良いのにと思う。そして、気軽に読むには良い作品だと感じた。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリー書評
読書レベル 初級
ボリューム 376頁
ストーリー ★★★★
読みやすさ ★★★★★
トリック  ★★★
伏線・展開 ★★★
知識・教養 ★★★
読後の余韻 ★★★★
一言感想:理系ミステリ好き、急展開が堪らなく好きという方にオススメです。
シリーズ第2作目となるこの作品は、とにかく展開が秀逸です!各章は何らかの含みを持たせる終わり方になっているので、それが気になってページを捲る手が止まりません。また、中盤くらいに『えっ⁈』となる展開が待ち受けており、ここからラストまで一気読みでした。
ただ(個々の好みの問題という前提ですが)、犯人やトリックを見破るための伏線がわかりづらい(伏線すらない場合もあり)、トリックが複雑過ぎるしリスクが高過ぎる、犯人の心情が理解できない等、解決編の中で腹落ちしない部分が少なからずありました。

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2023年02月06日

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ネタバレ

前作が登場人物誤認による一点トリックだったのに対し、今作は時系列、性別、殺害現場に大きなトリックを用いた。
なにより犯人を警察から引っ張てくるとは思わなかった、完全にノーマーク。 申し分ない出来。

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2023年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジェリーフィッシュ事件後、閑職に回された刑事のマリアと漣は、不可能と言われた青いバラを同時期に作出したというテニエル博士とクリーヴランド牧師を操作することになる。
ところが、両社との面会後、施錠され薔薇の蔓が窓を覆った温室の中で、博士の切断された首が見つかり……。

『ジェリーフィッシュは凍らない』のマリア&漣シリーズの第二弾。
今回は、施錠され薔薇の蔓が覆う温室で発見された首の謎を追うマリアたちのパートと、虐待から逃れた少年が拾われた家で遭遇する惨劇のパートが同時に進行する形式になっています。
類似する関係者、事件、そして共通する「テニエル博士」と「青いバラ」。一体2つのパートはどうつながるのか。読んでいる最中すごくワクワクしました。
私は読書中かなり脳内に映像が浮かぶ方なのですが、青いバラの咲く風景がとても綺麗なのもお気に入りポイント。

最初青いバラの作出に伴う学術的な話が多く、理系ミステリ系なのかと思ったのですが、人間ドラマ的な側面も強く、余韻を残すラストでグッときました。
ハウダニット・フーダニット部分も良かったですが、ホワイダニットが特によかった。動機が魅力的なミステリは個人的にすごく好きです。

魔に魅入られるような、心を狂わせほど美しいもの。死ぬまでにぜひ見てみたいものです。

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2023年01月01日

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後半、思いっ切りひっくり返されました。伏線回収も見事でした。理系の内容もわかりやすく解説してくれているので、抵抗なく読めました

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2022年05月14日

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ネタバレ

牧師と教授が時を同じくして青いバラの開発に成功。だが、当然そこには様々な人物の思惑が絡み合う。

読んでいるときは、意味ありげな過去の章がとにかく気になった。まさかフランキーが女性で、しかもアイリスだとは予想だにしなかった。過去の章の中に男の”テニエル博士”がいるところがなかなか巧い。だが、叙述トリックに関しては前作同様、あまり鮮やかとは感じられなかった。
そして注目はやはり蔦の密室。前例があるのかは分からないが、まず蔦というのが新しい。そして「蔦を育て始めるときから既にトリックの準備がなされていた」というのも面白く、犯人たちの背景がよりそのトリックを際立たせる。
また、色の変わるバラ、「娘なので外に放置したくはなかったが、容疑は向けられたくないので後ろ手にきつく縛った」、「アイリーンに入らせないために牧師の温室を施錠したので、カモフラージュのためにももう一つの温室も密室にしなければいけなかった」、「死体を移動しなければならなかったため、”どこからどこに移動したか”をごまかすために胴体を埋めた」というのも見事。

強いて言うなら、終盤になって鍵を握るジャスパーやアイリーンの描写がもう少し欲しかったかな。あまり情報が多くない状態で急に重要人物になってしまうので、少し入っていきづらい。
だが、全体としてみると伏線、トリック、構成、物語、どれも非常にレベルが高く、素晴らしい。大満足。

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2022年04月29日

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ネタバレ

【感想】
 一言でいうと「優等生」。よくできた本格ミステリである。プロトタイプと称される章とブルーローズと称される章が交互に描かれる。プロトタイプの章の主人公はエリックという少年。虐待を受けて育った少年は両親を殺害し,逃走。その逃走の最中,テニエル一家と出会う。テニエル一家は,青いバラを作り出したテニエル博士とその妻ケイト,そして娘のアイリスの三人家族。地下には,実験体72号という謎の存在がいる。エリック少年はつかの間の幸福を得るが,エリックを追い,警察官がテニエル一家に来る。これが引き金となり,テニエル一家で殺人事件が起きる。
 ブルーローズの章では,ロビン・クリーヴランドという牧師と,フランキー・テニエル教授が,それぞれ青いバラを作り出す。マリア・ソールズベリーと九条漣は,「ジェリーフィッシュは凍らない」で出会ったドミニク・バロウズから捜査の依頼を受ける。ドミニクは,上司であるジャスパー・ゲイルと折が合わない。
 事件は3つ起こる。1つ目はフランキー・テニエル博士の殺人事件。2つ目は,フランキー・テニエル教授とロビン・クリーヴランド牧師の2人を訪れて日本から来た槙野茜という研究家の殺人事件。そして3つ目は,ロビン・クリーヴランド牧師の殺人未遂
 3つの事件のうち,フランキー・テニエル博士の殺人事件が,まさに本格ミステリという謎だらけの事件である。出入口の扉,窓,天窓とも全て内側から施錠されていた密室の温室で,フランキー・テニエル博士の首と,アイリーンという学生が閉じ込められている。アイリーンは明らかに第三者の手で拘束されており,犯行は不可能。窓の隙間等に系等を通せば,外から施錠できそうではあるが,バラの蔦がそれを阻止する状況。そして室内には,「実験体72号がお前を見ている」という謎の文字が内側から描かれている。まさに本格といった密室殺人である。
 槙野茜殺しはいたってシンプル。泊まっているホテルの部屋お風呂の中で絞殺されていた。槙野茜を殺害できるのは,彼女の宿泊先を知っていて,彼女と争うことなく部屋に入ることができ,かつ,彼女が「天界」という青いバラのサンプルを持っていることを知っている人物である。
 最後のロビン・クリーヴランドの殺人未遂はもっとシンプル。自殺に見せかけてクリーヴランドの右手に銃を持たせたが,クリーヴランドは左利きだった。これが決め手となる。
 全ての事件の犯人が同一ではないタイプの事件である。まず,フランキー・テニエル博士殺人事件は,既に余命1年足らずだったフランキー・テニエル博士による偽装他殺事件。実行犯は,ロビン・クリーヴランドだったが,フランキー・テニエル博士が全面的に協力をしていた。トリックの肝は,死体を移動させる方法によるアリバイトリック。犯行現場がテニエル博士の温室だと,ロビンにはアリバイがあり,犯行は不可能。しかし,ロビンの温室であれば可能。犯行現場をテニエル博士の温室だと誤診させるというトリック。そのためにアイリーンが温室に入れられ,目撃者とされた。テニエル博士の首が切られていたのは車で死体を運んだ際の死斑を隠すため。そして,このトリックの最大の仕掛けが夜には色が変わるという眠る青バラを使ったトリックだった。青いバラ,タイトルにもなっているブルーローズがアリバイトリックに使われているのが心憎い。他にも,プロトタイプの章が29年前の事件であることや,フランキー・テニエル博士(女性)を男性と誤信させる叙述トリックも駆使されている。テニエル博士とロビンの偽装他殺は,29年前にテニエル博士=アイリスの両親を殺害した警察官をおびき出すため。その警察官が,モブと思われていたジャスパー・ゲイルだった。そう,モブキャラと思わせていたジャスパー・ゲイルが,29年前の事件の犯人で,槙野茜殺人とロビン・クリーヴランド殺人未遂の犯人だった。意外な犯人ではある。プロローグから登場しているし,自分も昔は昔は実績を重ねるために必死だったという伏線もある。そもそも,性別誤信の叙述トリックも,時世を誤信させる叙述トリックも,この意外な犯人kら目を逸らさせるためのものとも考えられる。上手いと感じさせる作品だ。
 もっとも,槙野茜とロビン・クリーヴランドの事件は,ミスディレクションとなるような人物がいないのが残念。29年前の事件の真相とからめても,残念ながら消去法でジャスパーしか残らない。意外な犯人なのは間違いないのだが,驚愕というより,やっぱりという程度になってしまったのは減点材料か。
 感想としては,ソツがない,よくできた本格ミステリだと思う。探偵役のマリアと九条蓮も,十分なキャラクターである。脇をかためるドミニクもいい味だしている。無駄にとうじょうじんぶつが多いわけでもなく,読みやすいミステリである。
 ただ,その分突き抜けた魅力がない。よく出来たミステリだし,突き抜けたものを求めるのはどうかと思うのだが,あと一歩,突き抜けたものがあれば本当の傑作になり得ると思う。
〇 メモ
【トリック】
〇 眠る青いバラを利用したアリバイトリック。殺害現場を誤らせ,アリバイを作った。
〇 胴体を切断したのは,車で死体を運んだために発生する死斑を隠すためだった(首の切断の意図)
○ 胴体を埋めた場所に青いバラを置いたのは,早く死体を発見させて死亡推定時刻を絞り込ませ,アリバイを完全なものにするため
○ 密室をトリックは長い時間を掛けて隙間ができる形でバラを育成するというもの
○ 「実験隊72号がお前を見ている」という文字はジャスパーをおびき出すために書いた罠
○ 槙野殺しとロビン殺人未遂は,ジャスパーが犯人だと絞り込ませるための消去法として使われる。
〇 プロローグ
 謎の独白の後に,ジャスパー・ゲイルとドミニク・バロウズという2人の刑事による焼け跡の捜査が描かれる。この捜査で,日記のような遺留品が見つかり…
〇 第1章 プロトタイプ(Ⅰ)
 家を飛び出した少年が,テニエル一家に救われる。
〇 第2章 ブルーローズ(Ⅰ)
 ジェリーフィッシュ事件で下手を打って,今は冷や飯を食わされているというマリア・ソールズベリーと九条漣が,旧知のドミニク・バロウズの依頼を受け,青バラ騒動の一人,フランキー・テニエル教授に探りを入れに行く。マリアと蓮がテニエル教授のもとに行くと,そこにはU国空軍少佐,ジョン・ニッセンがいた。
〇 第3章 プロトタイプ(Ⅱ)
 フランク一家に拾われた少年はエリックという名前をもらい,テニエル一家で過ごす。エリック少年が過ごす幸福な日々が描かれる。
〇 第4章 ブルーローズ(Ⅱ)
 フランキーテニエル博士への訪問を済ませた後,マリアと蓮は,ドミニクの依頼を受け,もう一人の青いバラを作り出したというロビン・クリーヴランド医師に会う。この章の最後で,フランキー・テニエル博士が殺害されたという報告を受ける。
〇 第5章 プロトタイプ(Ⅲ)
 エリックがテニエル家の一員となってから1か月半が過ぎる。テニエル家に警察官がやってきて,エリックが両親を殺害して逃走していたことを告げる。二人目の来訪者,クリーヴランドという牧師が訪れる。エリックは地下室で謎の生き物を見る。
〇 インタールード
 誰かの独白。「あの人の本当の気持ちを私は知らない。」
〇 第6章 ブルーローズ(Ⅲ)
 テニエル博士は青バラ「深海」を育てている温室の中で,首だけが発見される。その温室には,アイリーンという学生が倒れていた。出入口には「実験体七二号がお前を見ている」という殴り書きがある。ドミニクとジャスパーがやってくる。ドミニクはマリアにある書類を見せる
〇 第7章 プロトタイプ(Ⅳ)
 エリックは怪物=実験体七二号を見たショックで鍵を掛け忘れる。実験体七二号がいなくなり,警察官が焼かれて死亡する。テニエル一家はエリックを逃がそうとするが土砂崩れで失敗。温室でテニエル博士が死亡する。
〇 第8章 ブルーローズ(Ⅳ)
 マリアは,ドミニクから渡された謎の日記を見る。1年半前にあった火災の現場で見つかったものだった。マリアによるテニエル博士殺人事件の捜査。ロビン・クリーヴランドの尋問,テニエル博士とグリーヴランドのもとを訪れていた槇野茜という日本人女性の尋問。アイリーンへの尋問。マリアはアイリーンからテニエル博士の研究について聴く。翌日,槇野茜が宿泊先のホテルで遺体となって発見される。
〇 第9章 プロトタイプ(Ⅴ)
 テニエル博士に続いて,博士の妻であるケイトも死ぬ。エリックはアイリスを連れて逃走
〇 第10章 ブルーローズ(Ⅴ)
 槇野茜殺人事件の捜査。マリアと蓮そしてジョンによるテニエル博士殺人事件の推理。ロビン・クリーヴランド牧師が襲撃される。これは自作・自演なのか。土砂崩れ現場から遺体が発見される。そのうち一人は長い白髪女性。手記に書かれていたことは事実なのか。テニエル博士が腫瘍だらけで,あと1年も持たない体であったことが分かる。
〇 第11章 ブルーローズ(Ⅵ)
 謎解き。テニエル博士殺しの真相は,殺害現場がテニエル博士の別宅ではなく,クリーヴランド牧師の温室だったというもの。クリーヴランドにはアリバイがあったが,殺害現場がクリーブランド牧師の温室であれば,アリバイはなくなる。アイリーンがテニエル博士の死体を見たのは,クリーヴランド牧師の温室だったのだ。このアリバイトリックの最大の仕掛けは天界という青いバラ。このバラは,光が弱まるとPHが減少し,アントシアンが青から別の色に転化する。クリーヴランド牧師の青いバラ,「天界」は光の強弱により色が変わる青バラ,いってみれば眠る青バラだったのだ。
 胴体を切って埋めたのは,車で死体を運んだために発生する死斑を隠すため。
 青いバラ「深海」を胴を埋めた場所に置いていたのは,マリアの推理どおり,死体を速やかに発見させ,死亡推定時刻を絞り込ませるため。アリバイトリックのためである。
 テニエル博士の温室からの脱出は,人を通れる程度の空間を設けて蔦を栽培していた。隙間ができるように一から育てるという時間を掛けたトリック
 テニエル博士の温室にあった血だまりは,テニエル博士の血を事前に注射で吸い取り,散布した。テニエル博士の腕に注射痕があったことは,伏線として示されていた。
 そもそも,この事件は,病に侵され,余命1年というテニエル博士の協力のもとに成り立っていた事件だった。クリーヴランド牧師は飽くまで実行役。テニエル博士の事件は,博士自身が企てた偽装他殺のようなものだった。
 クリーヴランド博士が育てていた「天界」はプロトタイプのものだった。テニエル博士から譲り受け,クリーヴランド牧師が育てていたと思われる。クリーヴランド牧師が育てていた天界はプロトタイプ。さらに天界の完成形があり,その発展型として,より青みを深めた品種,深海が誕生した。
 クリーブランド牧師は,エリックだった。ドミニクが発見した日記は,日付が約30年ごまかされていた。1954年のものだった。日記の最後に,アイリスが新しい日記を付け加えたのだ。フランキー・テニエル博士がアイリスだったのだ(性別誤信の叙述トリック)。
 29年前,アイリスの父母を殺害したのは,エリックを追っていた警官だったのだ。そして,その警官がジャスパー。エリックとアイリスは,ジャスパーをおびき出すために,この青バラ騒動と偽装殺人を計画したのだ。エリックが怪物だと思っていたのは,アイリスの祖父。アイリスの祖父はある種の皮膚病に侵されており,認知症を発症していた。エリックが怪物だと思っていたこの祖父が警官に殺害され,燃やされていたのだ。そして警官は,エリックとアイリスの父母を殺害した。
 アイリスとエリックは生き残り,クリーブランド牧師の教会を訪れた。クリーブランド牧師の弟がいて,アイリスとエリックはフランキーとロビンという名を与えられ,育てられる。
 アイリスとエリックは分かれて育てられる。そして,再会。アイリスは,1954年当時,屋敷を含む地域を管轄する警察署に在籍していた,20歳代前半の長身の警官。素行はあまりよいとはいえない。そのような人物あぶりだし,復讐しようとした。そして,ヤツの正体を突き止める。ジャスパー・ゲイル。
 アイリスとエリックの計画は,自分達を,青バラの関係者んい仕立て上げること。容易にもみ消されることのない重大事件の当事者になること,そして,即座に逮捕されないこと。これを成立させるために行われたのが,テニエル博士―アイリスの偽装他殺だった。
 アイリーンは,アイリスとエリックの娘だった。ジャスパーは病気に弱い青いバラを枯らし,一攫千金を逃した。槇野茜を殺害したのはジャスパーだった。エリックの殺人未遂もジャスパーの仕業
 ジャスパーは,深海を掴んで,その毒で死亡した。
 エピローグはアイリーンへの,アイリス=テニエル博士の遺言。アイリーンの涙で終わる。

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2020年11月06日

Posted by ブクログ

マリア&漣シリーズ第2弾。
前作のジェリーフィッシュ同様、理系要素がまぁまぁ登場する。今回は特に遺伝子工学の分野。序盤に青バラ誕生のくだりで、この辺の説明がワンサカ出てくるが、当然門外漢なのでなかなか理解が及ばず…物語の展開にも波に乗れず…という感じだったけど、中盤のマリア,漣視点とエリック視点の違和感や、アイリスの日記の内容が出た辺りから面白くなって一気読み!

それにしても犯行に至る背景を知ると切なすぎる。
何とか平和な人生を送る方に舵を切れなかったかなぁ…と考えてしまう。
本来送れたであろう幸せな家族の日常を思うと、やっぱり切ない。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

マリア・漣シリーズ2作目。
ジェリーフィッシュに負けず劣らずのクオリティの高いトリック。すごい!

ジェリーフィッシュもそうでしたが、2つのストーリーが謎が多すぎるまま同時並行で進むのが本当にワクワクして最高です。楽しい。
ナチュラルに化学式出てきたの笑いました。
理系ミステリ最高です。もっと理系理系しちゃってください(ハート)

叙述トリックにまんまと騙されてしまったな~
楽しかったです。次もはやく読みたい!

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2024年04月22日

Posted by ブクログ

前作に続き読み始めたら止まらない。相変わらず設定がSFチックで面白い。結末に前作ほどの衝撃はなかったが、マリアと蓮のバディが関係が面白くて、もっと二人の話が読みたくなる。

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジェリーフィッシュに続いて2作目。
とても、面白かった。

テニエル博士、ケイト、アイリス、エリックの事件は、実は、数十年前に起きたことかな?とは思った。
それが、今、マリアたちが捜査している事件の登場人物とどう関係するのかは、さすがに難しかった。
最初は、エリックが今のテニエル博士かと思ったが、なんと、アイリスだったとは!
今のテニエル博士は、ずっと男だと思い込まされた。
ちょっと、この辺りは、叙述物的?

エリックは、愛しているアイリスを、犯人を追い詰めるためとはいえ、殺して、首まで切断するなんてことができるのか? これは納得できなかった。
そもそも、こんなめんどくさい、なおかつ愛する人への残虐な方法を取らずに、素直にジャスパーを殺して復讐すればいいのに。
しかも、そのせいで、善意の第三者である槇野茜が殺されることになってしまった!
また、アイリーンも、アイリスと似た名前で混乱させるが、作品の中では顔が見えない。もっと、深く関わるのかと思った。
また、本筋とは関係ないけど、青いバラ誕生について、独自のストーリーを創作してますが、これは小説だから問題ないのですね?

いつも、レンからバカにされることがありながら、やはり、鋭い閃き、推理を見せるマリアは、かっこいいですね。

さて、次は、グラスバードはどうかな?

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2023年04月09日

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