市川憂人のレビュー一覧
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できるなら、一気読みしたかった(^_^;)
市川憂人さん著の『ジェリーフィッシュは凍らない』は、アガサ・クリスティ代表作『そして誰もいなくなった』のオマージュと帯で謳われていたようですが、解説にもあるように『十角館の殺人』でしたね(^_^;)
概要ですが、ある研究開発チームがテスト飛行中に行方不明となり、数日後に他殺体として発見された事件から、女性警部のマリアと刑事の九条漣(レン)が事件の違和感を紐解いていく。
といったマリア&漣のペアで解決する流れになっています。ただ、冒頭に表現した『十角館の殺人』のように、二人は事件を「事後」に向き合っているため、「最中」と「事後」、そして「過去」の三つの時系列を追いかけるスタイルで、読者に様々なつながりを見せていきます。
で、衝撃的などんでん返しを読者に突きつける場面が来るのですが、数日かけてチマチマ読み進めていた私は「あれ?誰だっけか?」とフー・アー・ユー状態。大変申し訳ございません。
エピローグまでいって、ようやく状況を振り返れたので満足でしたが、記憶が薄まったら一気読みしようと思いました!
(と書いたことも忘れてしまうのだろうな…) -
Posted by ブクログ
宇宙SF×本格ミステリーという組み合わせ自体がかなり新鮮で、凄く良かった。
特に面白かったのは、各パイロットとAIとの掛け合い。「強いAI」「弱いAI」という違いも単なる性能差ではなく、人との関わり方や距離感の違いとして描かれていて、AIごと、パイロットごとに関係性が違うのが面白い。
中でもエンデバーとの掛け合いはかなり好きだった。普段は軽口ばかりなのに、必要な場面では様々なことを先読みして動く。軽妙な会話の裏にしっかりとした信頼関係があり、単なる機械ではなく「相棒」として存在している感じが良かった。
ミステリー部分も、SFやAIという舞台装置をふんだんに活かしていて面白い。SFだからこそ成立する謎でありながら、犯人を論理的に追い詰めていく過程もしっかり楽しめた。
AIについても、ここまでそれぞれに性格や人との関わり方の違いが描かれていると、「人格らしい人格はある」と言っていいように思う。
あくまでフィクションとして楽しんだが、AIと人間がこれくらい自然に掛け合い、相棒のような関係になる未来は、ゆくゆく本当に来るのかもしれないとも思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に賢い奴が考えたトリックって感じ。
最近流行りのどんでん返しとは異なり、最後のピースがハマることで抱いていた違和感が消え、物語の全体像がはっきりするという、ミステリのあるべき姿のように思う。
SFとしてこの作品を認識している方も見受けられたが、その規模感から鑑みれば「特殊設定ミステリ」
と見るのが正しいだろう。ジェリーフィッシュの設定や一部の状況説明には化学・物理的におかしな部分が存在するが、「そういう設定」の小道具の説明としては必要十分である。
キャラクターについてはかなり気に入ったところがある。バディ物としては互いになんだコイツと思いつつも認めているところもある、というのは様式美として外せないだろう。リンダについては賛否あると思うが、これもまた「そして誰もいなくなった」「十角館の殺人」と続く様式美である。
オチも良かった。これだけ賢い犯人なのだから、感情に浸りに墓参りに来るにしても保険の一つくらいは用意していて当然だろう。その方が自然であるとも言える。
現時点でシリーズとして5作品あるようだから、後の4つも機会があれば読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
こんな極上なミステリがあるなんて。
まさに21世紀の『そして誰もいなくなった』です。
舞台は1983年のU国A州。
架空の技術開発により小型飛行船「ジェリーフィッシュ」が発展を遂げているある種パラレルの世界。
本書は飛行船内というクローズドサークルを舞台に連続殺人が描かれる過去のパート、刑事が捜査を進めていく現在パート及び犯人の独白という3つのパートにより構成されています。
物語のテンポ、刑事コンビの小気味の良い会話、登場人物の意外性、奇想天外なトリック、魅力がいっぱい。
読後の余韻も爽やかで、登場人物の想いが感じられるタイトルもgoodです。 -
Posted by ブクログ
「神のサイコロ遊びにイカサマを仕込む」
地球から十光年離れた未開の星で起こる殺人事件。
広い広い宇宙が舞台の壮大な物語なのに、逃げ場のない閉鎖感と緊張感がある。
この妙な閉塞感をうまく言い表しているのが、帯の「宇宙(広すぎるクローズドサークル)が舞台の本格ミステリ」という言葉。なるほど、と思った。
AIとのバディものは最近多い気がするが、どれを読んでもAIが魅力的なキャラクターだったり、AIならではの特性を生かしたプロットだったりして、全く飽きない。
本作も例に漏れず、AIディセンバーは好きにならずにはいられないキャラクターだった。
主人公の零司にいつも一言多いディセンバー。
皮肉っぽくて口も悪いのに、なぜか憎めない。そんな彼の「性格」にもちゃんと理由があり、ただのキャラ設定に留まらず、物語の後半で効いてくるのがよかった。
量子テレポーテーション通信やウラシマ効果など、SFの設定をうまく物語に組み込んだ、大胆な展開にもワクワクした。
SFとしても、ミステリとしても楽しめる、満足度の高い作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマリア・漣シリーズの第5弾。
今回は「ヴァンプドッグ」と呼ばれる殺人鬼が逃げたとされる街で起きる連続殺人事件と現金輸送車を襲った犯人たちが逃げた邸宅の中で起きる連続殺人の両面で進んでいく。
今まで以上に事件の複雑さと凶悪さが増した内容と謎が謎を呼ぶストーリーに読む手が止まりませんでした。街中で立て続けに起きる連続殺人、被害者の共通点は全く見いだせないまま、捜査は難航していく。それと並行に邸宅の中で起きる、姿なき殺人者による連続殺人。すべての伏線が回収されていくのがとても気持ちよく、真相がわかったと思いきやページが残っているので何があるのかと思っていたら、更にひっくり返してきたのがとても良かったです。結末も今までに比べたらかなり救いのある結末だったと思いました。今までの登場人物たちも再登場し、縦軸の宿敵も出てきたことでこのシリーズがもっと続くのかと思うと読者としてもとてもうれしいです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
マリア・ソールズベリー:日笠陽子
九条漣:神谷浩史
ジョン・ニッセン:小山力也
ドミニク・バロウズ:平田広明
ボブ・ジェラルド:大塚芳忠
ヴィンセント・ナイセル:島崎信長
セリーヌ・トスチヴァン:潘めぐみ
アイリーン・ティレット:種崎敦美
デレク・ライリー:下野紘
グスタフ・ヤルナッハ:山寺宏一
イヴェット・フロルキング:遠藤綾
エルマー・クィンラン:逢坂良太
イニゴ・アスケリノ:谷山紀章
スザンナ・モリンズ:雨宮天
キム・ロウ:武内駿輔
セオドリック・ホールデン:関智一 -
Posted by ブクログ
マリアと漣シリーズ第二弾。
不可能と言われた青いバラを同時期に作出したテニエル博士とクリーブランド牧師。
両者と面談した直後、密室状態の温室で切断された首が見つかり、事件の捜査が始まるが、解けない密室の謎、怪しい容疑者、そして起こる第二の事件が謎をさらに複雑にしていく。
2人の青いバラを巡る長く哀しい事件だった。
ジェリーフィッシュと同じく被害者の独白と断片的に挿入される事件や証言や視点。
複雑な構成と絡み合う時間と証言と事件から、途中でなんとなく真相が見えて来たけど、犯人でない事を祈っていたけど、さらに切ない結末だった。
先が気になってページを捲る手を止められなかった。
最後まで読むと、タイトルに込められた意味と仕掛けも分かる。
続けて第三弾の「グラスバードは還らない」を読みたいところだけど、買ったばかりのミステリーを読んでしまいたい…。 -
Posted by ブクログ
いやー、最初から最後まで面白かった!!
事件章と推理章の二部構成で、ストーリーが進んでいく。じわじわ交わっていく感じが堪らなく興奮した。
これがデビュー作か。
さすが鮎川哲也賞受賞作ですね。
架空の飛行艇ジェリーフィッシュという乗り物1つで、こうも話が広げられるのかと感動すら覚えました。
個人的に科学要素は苦手な部分もあるけれど、主人公のマリア&漣という警察コンビが上手い具合にストーリーに絡ませて説明してくれるので苦になりませんでした。
犯人もトリックもミステリ読んでればそんなに難しくないです。でもそれ以上にストーリーが面白いので、全然無問題!!
早くも続編が気になって、読み始めました。
暁星とか、十角館の殺人、とか、私はこの手の構成が好きなのかもしれない。