川瀬七緒のレビュー一覧
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東京のトランクルームで女性の腐乱死体が発見され、包囲昆虫学者・赤堀涼子は近くの空き地にあった蟻の巣から見つけたヤゴの抜け殻を調べて、死体がどこから来たかを推理する。捜査会議で虫の状態を根拠に恐ろしいほど筋の通った説を披露する姿はまさに名探偵!虫の声を聞くためなら一直線で、偉い人にもそうでない人にも同じく無邪気に振る舞うが嫌われない、魅力的な涼子の行動から目が離せない。一方、「だるいな」が口癖のイケメン若手刑事・月縞と、警察の中で誰よりも涼子の能力を認めている若楯警部補のコンビにも注目。若楯の言葉で月縞の態度が変化していくのが良かった。犯人が意外な人物でこの人だったのかと驚かされた。
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川瀬七緒『クローゼットファイル 仕立屋探偵 桐ケ谷京介』講談社文庫。
シリーズの第2弾は6編から成る連作短編形式だった。
服や生地、加工方法、人体の骨格などを手掛かりに様々な事件を推理する涙もろいアパレル・ブローカーの桐ヶ谷京介とヴィンテージショップで働く水森小春のコンビが今回も活躍する。
面白い探偵小説だと思う。服飾関係に造詣の深いアパレル・ブローカーとヴィンテージ関係とゲームに詳しい2人を探偵役に据えたのは大正解だろう。異色の2人だからこそ、予想外の推理が展開されるのだ。
『ゆりかごの行方』。冒頭の描写は伏線であったか。古いТシャツからこれだけの手掛かりを見付けるとは、やはり桐ヶ谷 -
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有能な詐欺師である藍は、両親の仇を探すみちると出会う。両親を自殺に追いやった相手を探し当て、復讐を企てるみちるは直情的で危なっかしさに満ちており、放っておけないと感じた藍は彼女に協力し手を組むことにする。しかしターゲットの居所を探り当てることもなかなかできず、さらにバラバラ死体遺棄事件にも巻き込まれることになる二人。スリリングで少しユーモラスで、ほっこりする部分もありながらラストでは戦慄させられるミステリです。
知的で冷静、何もかも洗練されて見える藍と、猜疑心に満ちて卑屈ながらも素直で純粋なみちる。生き方も金銭感覚も何もかもが対極にあるような二人のバディっぷりがとにかく楽しいです。堅実なようで