川瀬七緒のレビュー一覧
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ネタバレ傲慢(プライド):中山七里
リベラルを掲げる男が、愛弟子の女性をレイプする。
された女性はすぐに警察に被害届を提出。
された側とした側の双方で主張をするが、
レイプをした男が突如殺害される。
当然疑いの目はレイプされた女性に向けられるが、
何故かアリバイの主張を拒否する。
お互いの傲慢が絡み合いどちら側の味方も気持ちの悪さを覚える。
男を殺害したのはレイプされた女性の秘書。レイプされた女性の傲慢な態度から罪をなすりつけようとした。
また殺害時刻には趣味の児童買春をしていた為、アリバイを主張出来なかった。
怠惰(スロウス):岡崎琢磨
7歳の息子が急に学校への登校を拒否し始める。
様子を見ていたが一向に改善の見込みがない為、
気分転換に実家の農業の手伝いに向かう。
全て息子の計画通り、農家を営む祖父母を助けたがために、絵本を参考に芝居をして農業を手伝わせる様に仕向ける。
7歳にしてかなりの策士。
憤怒(ラーズ):川瀬七緒
7つの作品で1番好み。
自閉症スペクトラムを持つ息子の音也が事故で急死した。
良かれと思い田舎に移住した父の和人と妻の彩美は悲しみにくれていた。継母である彩美は音也を可愛がり、よく尽くしてくれていた。葬儀を終えて間もなく、1人の老女から嫌がらせを受ける。原因も分かぬまま、嫌がらせはエスカレートしていき、ついに老女と直接話し合いの対決に向かう。
老女が語った恐ろしいまでの真実に驚愕。
息子を殺したのは継母の彩美。
自身が妊娠したことを機に邪魔な音也を消すことにした。
ただただ怖い
嫉妬(エンヴィー):七尾与史
相手に対する嫉妬が暴走して殺害に至るまでの話。
シェークスピアの「オセロ」
夏目漱石の「こころ」
これらの作品を絡ませて物語は展開する。
嫉妬により好きな男性の恋人を刺す主人公。
その主人公を裏で操っていた精神科医の女医。
上手く出来過ぎな物語だが、エンタメとしては満点。
色欲(ラスト):かもしだセブン
高校生の息子に金庫の中にしまっておいたエロ本を見つけられる。エロ本から推理できる息子の考察がまさに名探偵。
主人公の職業、母親との馴れ初め、
離婚に至った経緯や再婚相手の素性まで
一冊のエロ本主人公の半生を丸裸にする。
暴食(グラトニー):若竹七海
親からの虐待により、人格が極端に歪んだ中村公介。
カニバリズムで殺人を繰り返すシリアルキラーと
ママと呼ばれる正体は男の遺体処理を生業にする者との同居生活。2人の関係性が曖昧なまま物語が進行し、最後で全て明かされる。 -
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七つの大罪と言われる「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」に基づく七つの短編集!
また、本書の七つそれぞれの短編の著者も「七」に関係があるなど、面白い仕掛けが施してあった。
七つの短編はどれも面白く一気読みしてしまった。
特に「憤怒」は短編にも関わらず、離婚、障害、村集落、認知症など盛り沢山の内容をギュッとまとめてあり、短編では勿体無いほどの作品だった。
あと意外だったのは「色欲」で、タイトルも然り、他の流れからもっとグロテスクか砕けた内容を想像しながら読んだが、息子の返しなどコミカル要素もありつつ、家族の大切さを教えてくれるような物語だった。
他のどの作品もホント素晴らしかった!
テーマを明確にして書かれた短編だから、読者もテーマを先に知って読めるので、読みやすく楽しみやすいと感じる一冊だった。 -
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東京、葛西のトランクルームから、女性の全裸腐乱死体が発見される。
屍体にたかったウジ、ハエから、手がかりを見つけ出す法医学昆虫学捜査官で大学准教授の赤堀涼子が活躍する。
腐乱死体に集まるウジの発生状況や成長段階を調べることで、死亡推定日時を高い精度で割り出す。
そして、その死体から、サギソウのタネも見つかる。
赤堀は、アリを見つけ、そのアリの巣を探索する。
アリが運んだ幼虫の抜け殻は、ハッチョウトンボだった、さらに、その幼虫は雌雄モザイクだった。
ハッチョウトンボの雌雄モザイクが、遺伝的に継承される。
そのハッチョウトンボの幼虫がいたところで、その死体は遺棄されていたはずだ。
赤堀の推理は、死体がどこで殺されたのかを、アリとハッチョウトンボの幼虫の抜け殻から探る。
それが、福島県の伝説のある村に繋がっていく。そこには湿地帯があり、サギソウが咲いていたのだ。その村は、都会からの移住者を受け入れており、オタクの薮木は、人形作家であり、
その村の昔の庄屋の呪いを受けている白肌美人の瑞希が登場する。瑞希は、心臓移植を受けていた。
その心臓移植をめぐる親たちの恨みが、瑞希に集中するのだった。そして、死体は。
ふーむ。臓器移植まで絡めて、虫の蘊蓄が楽しめるのはおもしろい。
岩楯刑事と赤堀涼子の絡みがちょっと弱いが、今時の若い月縞刑事が、赤堀涼子の昆虫から得られる事実に気がつき、刑事の自覚を持っていく。赤堀涼子の専門的知識によって解き明かしていく姿勢が、他人への影響力がなんとも言えない。 -
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みんみんさんとウルトラマンさんにお勧め頂いた。
現代ミステリーも最近読み始めた所なので何もかも目新しいと言えばそうなのだが、そんな中でもかなりニッチな内容であるのは分かる。
設定だけで既に面白い。
農業や林業では重宝されているようだが、昆虫学を使って犯罪を捜査するのは確かに日本では理解の得られ難い分野だろう。
何故、被害者の食堂や胃だけがウジの餌となったのか、そこから昆虫学博士の赤堀が読み解いて行く過程が非常に興味深い。
生態系のサイクルとは凄いものだ。
そこから死亡時刻や犯行現場まで割り出す事が可能となると、海外だけではなく日本でも取り入れる価値があるのではないか。
小難しくもなく、人間ドラマにも重点を置いて書かれているのでテンポ良く読ませてくれる。
虫の苦手な方は一定数おられるので読めない方もいるだろうが、ウジボールは一見の価値があると思う。
次回はどのような虫が解決へと導いてくれるのか続きが楽しみだ。
個人的には岩楯刑事の結婚生活も気になるところだ。 -
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自殺をするために集まった4人組だったが、三郎によって4人が結託し、追ってからの逃亡を図る。千代子は男を扱うのが上手く、子守りもプロ、長谷部は車の修理と昔ながらの頑固おやじで怖いもの知らず、陸斗に至っては中学生の割に大人びていて頭も良い。夏美は悪知恵の働く美人という、ちぐはぐな4人が1人の赤ちゃんを助けるため、車で不便な生活をし、社会の目から逃げる。三郎をどうするかの話し合いの時に、千代子が念仏を唱え、長谷部は怒り、夏美と陸斗は喧嘩をしていて、三郎は泣いているというカオスな空間に笑えた。非日常を体験し、不思議な縁でつながった4人の絆は深い。きっと何年経っても家族以上に会いたくなるのではないだろうか。インフルエンサー気取りの女や、探ってくるおばさんもウザイ。猪の口に至ってはもっと。夏美は、猪の口から逃げられなければ殺されてしまうかもしれない。刺激のある日々を過ごしたいが、あまり悪目立ちしないように平和に過ごしたいと思った。そんなこと起きる!?という展開ばかりだったが、面白く現実逃避できる本である。