川瀬七緒のレビュー一覧
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前振りとして食品などに混入した昆虫の経路を追った「招かざる虫」という本を読んでいたため、昆虫の生活におけるギョッとする侵入について知っていた為このお話を読んだ時、読まなかった場合以上の虫と人の距離感というか、リアリティを感じた。
話は警察もの、ハードボイルド?な草臥れた刑事とこ綺麗な若い相棒という警官コンビだけでも警察ものとして成立するようなキャラクターを据えながらも、癖のある法医学昆虫学者という役職で小柄な元気一杯の女性という真逆のキャラクターを持って来ている。
主人公の警察の縦社会に不満を持ちながら社会人として飲み込んでいる厭世的な雰囲気に、刑事としての情を併せ持った行動と言動がかっこいい!
虫の描写が緻密で想像力を掻き立てる為、実際に虫がいるように思えるため、虫が苦手な人は読めないだろう。でも、蘊蓄というのか虫にまつわる知識を嫌味なく説明し、登場人物たちの思考に説得力を持たせていたのは素晴らしい。
是非別の話も読みたい。
刑事と学者のラブが見たいです。 -
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シリーズ5作目。
今回は都心から飛行機で40分程の村での事件。
ミイラ化した遺体が発見される。
作中で出てくるマヤ文明において自殺の神とされるイシュタムが存在するが、キリスト教ではタブーとされる自死を選択した者を許容し、天国へと導くという独特の死生観を持つ神。
その神を信じて人々は亡くなっていったのか、今回も死因を赤坂と虫に探ってもらう展開になる。
本作で活躍するのはアカカミアリという蟻である。虫が苦手な方にとってはウジも蟻も等しく脅威なのかも知れないが、なんとなくウジよりはマシなのでは無いだろうか。
人間は誠に罪深い存在でもある。
それでもイシュタムは人を許し、天国へと導いてくれるのだろうか。
新しい相棒と岩楯との軽妙なやり取りや相変わらずの赤堀のコミカルさに救われたが、閉鎖的な村の様子も相まって事件が重くのしかかる感も覚えた。
しかしこのバランスを保ち続けている事はこのシリーズ最大の魅力であると思うので、残り数巻となったが楽しんで読んで行きたい。 -
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法医昆虫学者・赤堀涼子シリーズ第二弾。
都内のトランクルームから変死体が見つかる。
いくつか物証はあるものの、どれも断片的なもので、どうにもつながっていかない。
捜査に進展が見られない中、赤堀は独自の視点で活路を見出していく。
前作を通じて赤堀と信頼関係を築いた刑事の岩楯、今回岩楯とコンビを組むことになった若手刑事の月縞も決して脇役ではなく、しっかりとした推理と行動で事件解決に向かっていく。
最初はどこか冷めて浮いた感じだった月縞が、赤堀・岩楯と関わることで次第に変化していく過程もよい。
赤堀・岩楯の捜査側の視点とは別に、田舎の村に暮らす藪木という青年の視点でも話が展開。
最初は2つの視点がどう交わってくるのだろう?という感じだったのが、終盤に向けて上手く合わさっていき、ラストのクライマックスへとつながる。
前作と違い、事件の裏に隠された事情・犯人側の心情には同情の余地もあり、単に事件が解決してよかった、とはならない切なさ・余韻が残った。 -
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服を見れば、その人のクセや体の状態など、あらゆることを見抜く特技をもつ服飾ブローカーの桐ヶ谷京介が未解決事件の解明に挑むクライムミステリーの第二弾。
前作「ヴィンテージガール」は長編だったが、こちらは短編集。
どちらかというと、短編の方が合っているかも。
破天荒ながら卓越した古物の目利き力をもつ水森小春、前作で京介&小春と信頼関係?を築いた刑事の南雲など、お馴染みのキャラも登場。
服飾を手がかりに事件を紐解いていくという手法、斬新さを感じつつも、ネタ切れも早いのではと思っていたのだが、毎話異なる観点からちゃんと完成度の高い話が成立していて、よくもまぁこんなにいろいろアイデアが出るものだなと感心してしまう。
京介をはじめとしたキャラクターたちの個性も光っていて、ずっと読んでいたい。
今のところ、仕立て屋探偵シリーズは2作目までのようだが、今後もぜひ続いてほしいシリーズのひとつ。 -
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昆虫の知識から事件解決の糸口を探っていく「法医昆虫学」をテーマにした本格ミステリー。
読む前は「法医昆虫学って何だ??」と思ったが、それは作中の警察も同じだったようで、突如捜査に「法医昆虫学」の導入が決まったときは「上層部の思いつき」と冷ややかな反応。
法医昆虫学者の赤堀涼子と組むことになった捜査一課の岩楯も、最初は何の期待もせず、疎ましく思っていたものの、従来の警察の捜査になかった観点で捜査に進展をもたらしていく赤堀を見て、次第に考えを改めていく。
ひとことで言うと、めっちゃ面白かった。
あまり読んだことのないテーマはもちろん、この先の展開が予想できないハラハラ感、終盤にかけて徐々に明らかになる恐るべき真相など、終始先が気になってページをめくる手が止まらなかった。
赤堀と岩楯の間に、だんだんと仲間意識・信頼感が生まれていく過程も清々しい。
シリーズものになっているみたいなので、これまた続編も必読確定。 -
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『法医昆虫学捜査官』の2作目です。
前作を読んでいなくても全く問題なく、虫が苦手でなければ十分楽しめると思います。
残念ながら虫嫌いの方は、今作もやめておいたほうが賢明です(OдO`) il||li
引き続きウジ虫が登場しますが、それ以外にも初めて知った虫や花の名前が出てきて勉強になりました。
例えば夜の田舎に湧いてくるヒトダマは心霊現象ではなく、発光バクテリアに寄生されたユスリカだったり。
死臭を感じ取って10分以内にやってくるという特徴を持つオビキンバエを見たら、近くに死体があるというサインだったり。
……あまり日常生活においては必要ない知識かもしれませんが(^-^;
でも事件で出てきたサギソウは調べてみたら面白い形をしていたので、いつか実際に見てみたいと思いました。
しかしわたしも小さい頃はクモが苦手だったはずなのですが、先日パート先でクモが現れた際に、なんと1人で退治する事が出来ました。
読んだ本の影響を受けやすいタチなので、おそらく赤堀先生のように虫や凶悪な事件を物ともしないカッコいい女性に憧れて、頑張ったおかげなのでしょう(๑•̀ - •́)و✧キリッ
今度から虫が現れるたびに退治を任されそうな気もしますが、赤堀先生のようにカメルーンオオヤスデが服の袖口から出てきても平然としているイメージを忘れないうちに、次作もまた読みたいと思います。 -
Posted by ブクログ
斬新な切り口の新感覚探偵ミステリー。
美術解剖学と服飾の知識で、服を見ただけでその人の体の状態や病気までわかる特殊な技能を持つ服飾ブローカーの桐ヶ谷と、独特な雰囲気でアンティークショップを営む若き店主・小春。
昔ながらの風情が残る東京・高円寺の商店街で暮らす、妙にバランスの取れたバディが、ふとしたきっかけから10年前の未解決事件の解決に乗り出していく。
これまでの警察とは全く異なる視点からのアプローチで、真実に近づこうとするものの、当然ながら最初はほとんど相手にされず。
当初、二人を胡散臭い目で見ていた刑事が、次第に二人の主張や視点を認め始め、事件解決に向けて協力していく流れが熱い。
途中でこの人怪しいな、というのは気づいてしまったが、それを差し引いても読み応えのある良作。
涙もろくすぐ感情移入して涙してしまう桐ヶ谷とか、端正な見た目に反したぶっ飛びキャラの小春とか、登場人物ひとりひとりの描き方も丁寧。
シリーズ続編はもとより、同じ川瀬さんの「法医昆虫学捜査官」シリーズも読んでみよう。