川瀬七緒『クローゼットファイル 仕立屋探偵 桐ケ谷京介』講談社文庫。
シリーズの第2弾は6編から成る連作短編形式だった。
服や生地、加工方法、人体の骨格などを手掛かりに様々な事件を推理する涙もろいアパレル・ブローカーの桐ヶ谷京介とヴィンテージショップで働く水森小春のコンビが今回も活躍する。
面白い探偵小説だと思う。服飾関係に造詣の深いアパレル・ブローカーとヴィンテージ関係とゲームに詳しい2人を探偵役に据えたのは大正解だろう。異色の2人だからこそ、予想外の推理が展開されるのだ。
『ゆりかごの行方』。冒頭の描写は伏線であったか。古いТシャツからこれだけの手掛かりを見付けるとは、やはり桐ヶ谷京介は只者ではない。12年前に南雲警部が発見した捨て子が少年に成長し、自分の母親を探して欲しいと頼んで来た。困り果てた南雲警部は発見当時身に付けていた子供服にリメイクした大人用のТシャツを携え、桐ヶ谷京介に母親の居場所を探して欲しいと依頼する。
『緑色の誘惑』。桐ヶ谷京介が南雲警部から依頼された15年前に65歳の独居女性が絞殺された事件の再捜査。犯人と見られる人物の監視カメラの映像から警察は犯人は女性と断定していたが、桐ヶ谷は男性であると主張する。また、桐ヶ谷は被害者女性の服飾類から真犯人にまで辿り着いてしまうのだ。
『ルーティンの痕跡』。まさかの下着から解き明かされる人物像。水森小春の下着が2階のベランダから盗まれる。不思議なことに盗まれた下着の代わりにベランダには男物のトランクスが残されていた。この謎に桐ヶ谷京介に代わり、水森小春がヴィンテージの知識を活かして挑む。
『攻撃のSOS』。親が親らしく子供に接することが出来たのは今や昔話になってしまったのだろうか。親による子供の虐待のニュースを耳にする度に社会全体が悪い方向に向かっているように感じる。駅の近くで桐ヶ谷京介は、女子中学生グループの中の1人の服から虐待の痕跡を見付ける。気になった京介は同じ電車に乗り込んで追い掛けると、警察に通報されてしまう。
『キラー・ファブリック』。まさかの推理が16年前の事件の真相を見抜くという面白さ。16年前に蕎麦アレルギーを持つ主婦が自宅で遺体となって発見される。死因はアナフィラキシーショックで、亡くなった主婦はエピペンを携帯していたにも関わらず、使用した形跡が無かった。警察は事故か事件か判断を付けぬままに時間だけが経過していた。南雲警部はそんな事件の捜査協力を桐ヶ谷京介と水森小春に持ち掛ける。
『美しさの定義』。今回も桐ヶ谷京介の推理が光る。まさかの犯人像に驚いたが、僅かな手掛かりからよくぞ犯人に辿り着いたものだ。南雲警部が桐ヶ谷京介と水森小春に捜査協力を依頼したのは10年前に起きた服飾学校に通う生徒が自宅アパートでハサミで刺殺された事件だった。
本体価格820円
★★★★★