川瀬七緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
赤坂が実は大変な過去を持っていた事に驚いたシリーズ6作目。何となく何かありそうだなと薄々感じてはいたのですが、そんな切なそうな赤坂を見るのは悲しい。
そして岩楯の相棒にまたもや鰐川刑事が返り咲き。ワニさん好きなので嬉しかった今回は、やけど虫ことアオバアリガタハネカクシが大活躍。凄く艶々したオレンジと黒のボディーがスポーツカーを思わせますが凶暴な害虫の種類みたいです。
毎回傷だらけになる赤坂が今回は最大の虫被害に。可愛いお顔が瘡蓋まみれ、なんて事だ!早く治して!
いつもこのシリーズの犯行動機は切なかったり複雑な気持ちになるのですが今回も悲劇でした。
良心の押し付けって怖いですね。たまに人を救う事で自分を優位に見せる困った人が居ますが、その極端な例が3人も出てきます。
岩楯も言っていましたが行きつくとカルトまがいになりますよね。そうなると傷付いて憔悴しきった人は心酔してしまい、身を滅ぼす事になり兼ねない。
いつも元気で可愛い赤坂も今回はどことなくしょんぼりしてる時が多いし色々と考えさせられる回でした。
いよいよ赤坂が警視庁に正式に雇われる事になっていて喜んだのも束の間、中々に複雑なようで犯罪心理学の広澤とおまとめ方式で『捜査支援分析センター』という部署に配属。
捜査会議にも出して貰えないしまだまだ警視庁からは軽く扱われている2人。
確かに犯罪心理学も日本では発展途上の分野ですが、赤坂の昆虫学と組めば凄い力を発揮しそうです。
これから犯罪心理学も読めるんだと楽しみにしていたら、このシリーズあと1冊でした。
おや?次で現行している分は最後なのに…岩楯と赤坂…ラブ度が上がっていないじゃないか!
信頼度は確実にうなぎ登りですよ、違うんですよ、ラブ注入して欲しいんですよ!(古い)
私の個人的な願望はさておき、本作は事件現場がシリーズ中最も壮絶で、チャーハンを作っていた時にウインナーを思わず凝視してしまいました。(ヨモツイクサでも同じ目に遭ったなあ…)
凄い量の血と現場に残されていたある物。被害者は3人ですが遺体が何処へ運ばれたかは不明。警察犬すら手を焼く始末。
いつも岩楯は大変そうではあるんですが、今回は特に難事件に苦労をしていました。更に捜査の上で聞き込みをする人物たちが自分勝手。というか癖が強い。
被害者である遠山夫妻の隣に住む貝塚夫人なんか強烈の極み。だけど実際に居そうなラインなので、実生活で出会わずに済む事を祈ります。
広澤と赤坂のコンボ技に岩楯とワニさんの粘り強い捜査で見事に行方不明になっていた死体にたどり着くのですが、場所が…ヤバすぎる…。
現場には人間の血肉も好んで食べると言うやけど虫が大量に沸いており、画像で検索していたので想像してしまい、こんな所でこんな状況とはこれは事件ですよ、金田一さん!
そして冒頭で書いたように事件の真相を知って複雑な気持ちになるのでした。
赤坂が赤坂を演じていると言った時は、皆こうして踏ん張って生きているのかも知れないなあと、彼女の事がまた更に好きになりました。
あと一冊!寂しくなるなあ。…と思っていたけど4巻目をまだ読んでいなかった。先に4巻を探しましょう。 -
Posted by ブクログ
川瀬七緒『うらんぼんの夜』朝日文庫。
昨年末から書棚代わりのカラーボックスに長らく積んでいたのを忘れていた。
古くから続く因習に縛られた福島県の寒村を舞台にした怪しい雰囲気の小説。ホラーなのか、ミステリーなのか、はたまた青春小説なのか、判然としないままにストーリーは展開していく。読み進むうちにホラーのテイストがやや強いかなと思ったのだが、最後に全てを覆すような結末が待ち受けてた。
福島県の寒村に暮らす女子高生の遠山奈穂は集落に古くから続く因習と束縛的な人間関係を苦痛を感じ、将来は村を出たいと強く願っていた。そんな中、奈穂は東京から村に移り住んで来た北方家の末娘である亜矢子と友達になる。亜矢子は精神的な病に苦しむ母親と兄と姉との4人暮らしで、何か秘密を抱えている様子だった。
他所者を徹底的に排除しようとする村の老人たち。そして、日増しに強くなる村の老人たちの亜矢子に対する風当り。それと並行して起きる奇怪な事件の数々。老人たちが大切に護って来た古い地蔵の周りの板や鈴が破壊されたり、徘徊老人が釜を持って廃墟に立て籠もったり、駐在が増水した川で溺死したりと様々な事件が起きる。
やがて奈穂は村の長老である大婆から村に伝わる古い地蔵の話を聞かされ、奇怪な事件の正体を知ることになる。しかし、さらなる驚愕の真実が奈穂を待ち受けていた。
田舎というのはなかなか厄介だ。特に昔から続く風習や面倒臭い人間関係が嫌になる。昨年の春に隣近所に家も商店も無いポツンと一軒家に移住した。そんな田舎でも町内会的な地域の班があるようで、半ば無理矢理10軒の班に入れられた。自分の家は他の家とは歩いて15分とかなり離れているのだ。後に班長から渡された班員名簿を見ると、自分以外の10軒全てが同じ苗字であることに驚いた。しかも余り馴染みの無い苗字で、親戚関係は無いのだと言うからさらに驚いた。
本体価格900円
★★★★ -
Posted by ブクログ
前作に比べると「虫」の活躍が目立ち、本シリーズらしい作品になっていると思います。
赤堀教授は警視庁にあらたに設けられた組織の一員となりますが、逆に場末の部署に囲い込まれた形になり、今までのように自由に動き回ることができなくなっています。とはいえ、岩楯刑事とのコンビは健在ですし、ひさしぶりに鰐川刑事とのチームでの捜査は、懐かしさもあります。
赤堀が自らの過去を岩楯刑事にこぼすシーンもあり、岩楯刑事が損得抜きに赤堀教授を信頼しているように見えるのは(恋愛関係には発展しなさそうなのは少し残念な気もしますが)、出会った当初の関係性を考えると感慨深いものがあります。まだまだ警視庁内では評価されていない赤堀と法医昆虫学ですが、岩楯刑事をはじめとして彼女の「凄さ」を実感した捜査官により、その立ち位置が確固たるものになることを祈るばかりです。
周囲からの理解が得られないという点では赤堀と同じような立ち位置である、同部署に配属となったプロファイラーの広沢、研究者の波多野という新しい「トリオ」の今後の活躍も楽しみです。