川瀬七緒のレビュー一覧
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ネタバレ頁を開くと「夏からの知らせ」の文字があり、いま読むのにピッタリだと思ったら、舞台は北風吹く時期じゃあないですか。まぁ、夏にウジを見るよりは良さそうだけど、毎度想像すると耐えがたいシーンの連続なのがこのシリーズ。そこを我慢して読む価値はじゅうぶんにあります。
本作では昆虫のみならずシャコについても詳しくなれそう。見目麗しいとは言えないシャコが性格も獰猛ならば、もう食べる気がしない(泣)。
赤堀女史には惚れざるを得ません。岩楯刑事とのロマンスは今後も要らないけれど、鰐川刑事の懐きぶりはちょっとカワイイかも。
いちばん悪事に絡んでいてほしくなかった人の関わりはかなりショックでした。漁師の実情が垣間見える。 -
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著者の作品初めてで、
表紙の桐ヶ谷に一目惚れ&服飾系の小説
興味あって手に取ってみたけど、
想像以上に面白かった。
まず、服飾って簡単に考えてたけど、
美術解剖学とかを推理能力に紐づけてるところ。
そして、主人公に負けない
周りのキャラの強さ、特に女性陣好き、笑った。
あとは、解説にもある社会問題とか、
後半から出てくる重めの話とか。
こういう話の小説読んだことあるけど、
何となく、自分には遠い現実って感じで
リアルに考えると心が底冷えする。
悲しいとか可哀想とか、
軽い言葉や他人事では表せない、
見たくないけど目を逸らしてはいけないリアルみたいな。
最後の選択は、何が善悪かって
正直法律としか言えない。
感情でブレることがあっても、
人間の命が平等であるのならば
法を守ることで、守られるんだと思う。
続編読みたい! -
Posted by ブクログ
賑やかな商店街の空き家に越してきた得体の知れない若者と周りに思われているらしい桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾の知識により、服のシワから病気やその人が受けた暴力などが分かる。ある日偶然見たテレビのニュースで十年前に殺害された少女が着ていたというワンピースに目をとめる。自分なら、ワンピースの出どころや、少女の境遇を推測できると思い動き出すが…。
服飾ブローカーの京介と、ヴィンテージショップの小春、初めは胡散臭い若者にしか思えなかったが、その世界でプロとして生きている知識や経験により、殺害された少女や、その犯人に近づいていく。そして、全く聞く耳をもたなかった警察をも納得させていく様子にドキドキした。 -
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シリーズを大人買いして、第1弾の後すぐに読みたかったところをこらえて7カ月。何もこんなに辛抱しなくてもよかったのに(笑)。
プロローグは三津田信三が混じった内藤了みたいな感じで期待が募る。赤堀女史が登場すると一気に明るくなるけれど、期待に違わず面白い。
昆虫はわりと苦手な私ですが、なぜか昔からトンボを捕るのだけは得意で、今でも素手で捕まえられます。しかしトンボに性モザイクなんてあることも知らなかったし、昆虫業界がどういうことになっているのかもわかって、あらゆる点で興味を引かれました。
刑事と女史のロマンスはないままでお願いします。(^O^) -
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川瀬さんのこれまでの作品では、『テーラー伊三郎』が一番好きで、高校生の成長物語と、年齢を重ねた人が新しい時代に合わせた学びを積み重ねていくという、成長×成長のシナジー効果(汗)のお話に夢を感じていました。
彼女の他の作品(昆虫法医学系)は、どちらかといえばおどろおどろしいところが多くて、それは悪くはないんだけど、ちょっと読みたいものと違うんだよなあと思っていたところに、介護+民俗学という新たな組み合わせにドロップアウトした高校生を加えるというやり方が、ぼくにとってはベストマッチでした。
介護の現場のリアリティを残しつつ、そこに夢を加えた程よいバランスが素晴らしいです。敵役がちょっとあまりにデフォルメがすぎてリアリティを損なっている感じはしましたが、まあ許せます。
解かれていく謎がそこにあったのか! というのは驚きではありましたが、消去法で謎に迫っていくところは、学問の方法論そのもので、若手の民俗学者の思考法をたどっている感じはとてもしました。まあ、学問の本道のほうで、新たな発見があったらもっとよかったんですけど。それはエンターテイメントのわかりやすい謎解きとしての妥協点としては悪くなかったのかなと。
参考文献に「驚きの介護民俗学」があがっていて、それが学問として存在していることに、まさに「驚き」ました。ぜひ読んでみたいです。 -
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ネタバレ『メビウスの守護者』に続く法医昆虫学捜査官シリーズの5番目の作品である。4作目を読んでから、いささか間が開いたが、昆虫(の生態・本能)を利用して、犯罪捜査をする着眼点に惹かれ、再びこのシリーズを読み始めた。本シリーズでは、離れた2地点が舞台となる構成が多い。そこに何か理由があるかは、5作目まで読んだ今も定かではないが、都会から離れた森や海や島といった舞台は様々な昆虫を登場させる上で親和性が高いのかもしれない。
犯罪がもたらす変死体から想像される昆虫といえば、「ウジ」がその筆頭だが、さすがにシリーズも5作目まで続くとなれば、「ウジ」だけでいくつもの物語を生み出すことも困難だし、何より読み手が目先の変わらない物語をいくつも読まされることになる。そうしたマンネリズムを回避するうえでも、事件の舞台設定は、おそらくこのシリーズでは重要な意味を持つ。
今回の舞台装置は、伊豆諸島のとある小島(架空の名称だが、モデルとなった島は想像できる)が舞台で、そこには海も、廃校も、ビーチもあり、昆虫にとっても楽園である。加えて、海のかなたの小島ということで、古来の因習めいた独特の慣習も絡み合う。これまでの作品も同様のモチーフはあったが、本作ではより重層感が増している。
物語は刑事・岩楯の視点と昆虫学者・赤堀の視点が交互に語られ、かつ、伊豆諸島の小島と被害者のもともとの住処である東京が螺旋のようにからまりあって、物語の進行は予断を許さない緊張感をはらみながら進む。その緊張感に、昆虫学者ならではの見立てが加わり、はっとさせられる。「昆虫の生態分析」が重要な役割を果たすが、それでいて全くリアリティが損なわれていないのは、著者の筆力の賜物であろう。
玉に瑕、というが他の部分がすばらしいがゆえに小さな瑕疵が殊の外目立ってしまうことがある。本作でも、気づく限りただ一つ瑕があった。終盤、本作における重要なトリックに刑事岩楯が気づく場面。証拠(となりうる紙面)の隠滅を図ったはずで、その行方は真相究明の重要な手掛かりだった。にもかかわらず、奪った後の紙の処理には思わず声を出しそうなほど驚いた。昆虫による操作という奇抜さとはうらはらに、これまでのシリーズを通して緻密なプロットにも感心していたが、この紙の処理については杜撰というよりほかない。作者は、なぜこの部分に限って、ことほど左様に雑な処理をしたのだろう。物語の分水嶺ともなる重要な部分だけに、いささか残念である。