あらすじ
第57回江戸川乱歩賞受賞作。呪いで人が殺せるか。変死体のそばで見つかった「呪術符」を手がかりに、呪術の研究を専門にする文化人類学者・仲澤大輔が殺人事件の真相に迫る長編ミステリー。
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法医昆虫学シリーズが面白いのでデビュー作を読んでみたら、民俗学をベースにした精緻な構成でむしろこちらの方が更に好みだった。
さすがは江戸川乱歩賞。あとがきを読んで物語の核になっている呪咀が実際に川瀬さんが子供の頃に出身地である福島で実際に聞いたことがあると知り、確かなバックグラウンドがこの素晴らしい作品を産み出したのだと感じました。
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法医昆虫学シリーズにハマったので、ここでデビュー作に立ち返ってみた(^ ^
基本的な「芸風」は、当たり前だが同じで。「生意気な若い女とおっさん」「伝奇的要素」「読み進むにつれ事件の全貌が判明」「綿密な下調べによるディテールの描写」「手に汗握る危機一髪シーン」など、虫博士シリーズに通底する様式はすでに本作ででき上がっている、と言える。
本作は「呪い」がテーマなので、当然「伝奇的要素」は満載。主人公も呪術を中心として風俗習慣を研究している学者。読み進むうちに、「いつ仕事してんだよ、こいつ」などとツッコみたくはなるが...(^ ^;
何十年もかけた「呪い」を繙くうちに、時代的にも地理的にもかなり壮大な話になっていく。歴史に残らず、全てを口伝で残している「呪術士」を見つけ出すために、古い地名(字名・集落名)から解読していく様子には、ドキドキワクワクが止まらなかった(^ ^
惜しむらくは、警察と「印象的な登場をする」湯山氏が、ほとんど活躍しないことかな。ホームレス鳥類学者がかなりなキーパーソンなのに対して、どうしても印象が薄い。この辺の「脇役」がもっとキャラ立ちすると、物語により深みが出たのでは...などと、例によって「何様だよ」目線でコメントしてみました(^ ^;
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傷のエグさとかドロドロと渦巻く怨念とかがこれでもかと表現されている。犯人のつもり積もった感情が読んでいて胸を締め付けてきた。呪いと殺人がテーマなのに所々にテンポの良い会話が挟まれているので読みやすい。はっきりとした解決にいたらないが、すっきりとしたラストで明るい気持ちで読み終えられた。
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評価は5。
内容(BOOKデーターベース)
第57回江戸川乱歩賞受賞作。呪いで人が殺せるか。変死体のそばで見つかった「呪術符」を手がかりに、呪術の研究を専門にする文化人類学者・仲澤大輔が殺人事件の真相に迫る長編ミステリー 。
この作者の昆虫シリーズはいくつか読んだが着眼点が面白い。しかも、かなり調べ上げているので引き込まれてしまう。
今回は呪い・・・丑の刻参りやわら人形程度しか知らなかったがあまりに具体的でその状況が目に浮かぶ程リアルである。
最後は人情でほっこり・・・とてもいい話だった。
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面白かった!でも呪いの元になった事件が悲惨すぎて、読んだ後もそのことばかり考えてしまいました。ラストには少し救いもあるけれど。 ヒロインがちょっと完璧すぎてリアルじゃないかな。まあミステリーではありがちですが。呪いに関する薀蓄が深くて、勉強(?)になります。
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著者あとがきにあった願いの如く、時間を忘れてこの小説の世界に浸ってしまった。
ハッピーエンドというのとは違うのだけど、おどろおどろしい展開から抜けた先は、なんというか爽やか?やっぱり違うな。兎にも角にもそういう点では不思議な小説だった。
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法医昆虫学シリーズきっかけでしった作家さんの、デビュー作ということで読んでみました。
被害者の描写がリアル過ぎて、ややグロい部分もありますが、
メインキャラの個性がしっかり書かれてた事もあり、引き込まれました。
全体的にテンポもよくて、個人的には読みやすい文章だなという印象です。
久しぶりに好きなタイプのミステリー作家さんに出会えて、嬉しい。
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呪禁道出て来た!孔雀王や!鬼丸や!
興奮冷めやらぬ…笑。
掴みは、OKやな。
まぁ、この掴みがOKな人少ないかもしれんけど(^◇^;)
呪術ミステリーって言うんかな?
呪術みたいな怪しいなの好きやから、ええ感じ。
しかし…呪いもここまで深い呪いは怖いけど、動機は凄く悲しい…
こら、呪われて当然やとは思うけど、「人を呪わば穴二つ」って言葉もあるように、自身にも返って来る。当然、それも覚悟の上なんやろうし、もっと悲しい…
歴史に隠れた呪術師たちの話でもあるけど、あくまでも復讐の道具だけ。
悲しい被害者と加害者、長い年月をかけての復讐…
「だろうな。その隔たりは埋まらん、どうやっても無理なんだ。だから、罪人も被害者も一生苦しむしかないってことなんだよ」
結構、キャラ立ちしてて、面白い。
主役の学者中澤さん、
ヒロイン由真さん
もええ感じやし。
白魔術のおっさん湯山(もと神主)が良い。
更にホームレスの鳥に詳しい野呂さん。
これだけ役者揃ってたら、続編出して欲しいな!
よろずのことに気をつけよ
読み始めは猟奇殺人事件かとおもったが、呪いが絡んできて優しくお爺さんが何故殺されなければならなかったのか? しかも呪いだなんて。結末を知るのが怖くも有り、でも知りたい!真由の気持ちは良くわかる。結末は…やはり悲しい話だったけど真実を知った上でお祖父さんの悲しみを知った気持ちになりました。
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おもしろかったー。
グロい部分も多々あるけどそこは斜め読みしつつ、夢中で読んでしまった。
真由がなんか色々、違和感があったけどまぁさほど気にならず。
4人が捕まるのは嫌だなと思っていたので、ラストは納得!
これ以上はないかなという感じだった。
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物語のキーとなる呪い、呪術に関することも今では普段の生活では信じることも感じることもなく過ごしているが、子供の頃は時代的にも怪談話だとかオカルトも流行っていたため、昔のことを思い出しながら興味を惹きつけられた。
呪い=怖いというイメージがありホラー小説の類かとも思いながら読み進めていたが、インチキまがいの白魔術師の湯山のようなどこか憎めないキャラも出てきて面白かった。また、テンポよく謎解きが進んでいくのも読みやすくあっという間に読破してしまった。
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面白かったです。
呪術について丁寧に説明してあり、少しずつ真相に近づいていく様子をテンポよく書いてありました。
最後ははっきり書かれていないというか、決着として曖昧な感じなのに読後は良い感じがこの著者の良いところです。
法医昆虫捜査官のようにシリーズ化してほしいです。
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本作のテーマは呪いで人が殺せるか?というもの。
人の死を願うという呪い。その行為には、姿なき呪術師の底知れぬ、そして凄絶な執念が感じられ、空恐ろしくなる。
しかし、やがて明らかになる過去の出来事に接すると、それは悲痛なまでの一つの願いの形であったのだと理解できる。
その命懸けの呪いは、幾星霜の時が経つうちに、いつしか祈りにも似たものに昇華したのかもしれない。
到底他者の賛同は得られないものだとしても。
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川瀬七緖のよろずのことに気をつけよを読みました。
川瀬七緖のデビュー作で、呪術をテーマにしたミステリーでした。
呪術を専門にしている仲澤のもとに、祖父を惨殺された真由という少女が訪ねてきます。
仲澤は真由とともに事件の真相を探っていきます。
四国から東北までまわって江戸時代にさかのぼる呪術師の存在を探り当てた仲澤と真由はその本拠地に乗り込んでいくのですが...
ちょっと荒削りなところもありますが、いきおいのある物語を楽しみました。
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呪術に詳しくない人にも、犯人側の異常なまでの恨みの強さがしっかりわかるようになっていて、話にすんなり入っていくことができた。最後があっさりし過ぎていたかな、と思われたのが本当にもったいない。
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面白かった。
だいぶ盛り込みすぎな感はあったし、
真由に魅力無さすぎるし、主人公はどうやって食べているのか謎すぎるし、だけど
楽しく面白く読めた。
自分の地元にこんな怪しい念仏があるなんてなんかずるい〜
師走の月に雪なくば、よろずのことに気をつけよ
語呂よくてずっと残った。
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タイトルに一目惚れし、駅のキオスクで(人生数回目!)衝動買い。
江戸川乱歩賞受賞の、民俗学を下敷きにした謎探求がたミステリ。
…温厚な人格者で知られた老人が、舌を切られて自宅で惨殺された。現場にはタンチョウヅルの血液と塩、彼の自宅の床下からは50年以上前の「すさまじい」ほどの呪いの符。
生前からひとを避け、魔よけのかたしろを作り貯めていた老人の過去には、激しい恨みをかうほどのなにがあったのか…。
謎を解くため、民俗学者と少女が走り出す。
「師走の月に雪なくば、よろずのことに気をつけよ」
呪いという下敷き、そして小道具や脇役がよく、エンターテイメントとしては最高に楽しませていただきました。登場人物のリアリティーには欠けるところがありつつ、それもゲーム上だと考えればよし。大風呂敷ひろげたミステリは、最後にがっかりすることがよくあるけれど、さいごまで失速せず雰囲気をこわさず、うまいこと落としてくれました。
個人的には過剰な男女ラブロマンスサービスを挟まないとこは女性作家さんらしくて好ましかった。そして、読んでいて既視感とおもったら…TVのドラマ、CSIマイアミシリーズみたい…でした。テンポが。
二作目はないのかしらこのシリーズー! よみたい!
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民俗学ミステリーは珍しくはないが、殺人事件と呪いの関わりが、少しずつ明らかになっていくストーリーは読んでいて楽しい。
誰が呪いを掛けたのか、その想いの強さたるや、には鳥肌が立つ。
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第57回江戸川乱歩賞受賞作
参考資料のひとつめが
「呪い方、教えます」 宮島鏡著
創作のきっかけは、故郷に伝わる念仏
呪術符の発見から始まる殺人事件
陰陽師系とは違った地方の因習にまつわる呪詛を追う。
ラストの呪いたいほどの怨みの成立の流れは、江戸川乱歩賞らしくよくできてるなと思いました。
呪術という興味あるお話なのですが、せっかくなのでもう少し踏み込んでいただきたかったかな。
まあ、私がそちらを読みたいなら宮島鏡さんを読めば良いということですね。
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面白い、くない、という議論ならむしろ面白い方に入ると思う。
ただ、個人的には非常に入り込みづらかったので、備忘録的に書いておこうと思う。ネタバレありなので、読む際には注意。
面白いな、と思ったのは呪術に関する丁寧な表記。
オタク気質なのかどうしてもディテールがしっかりしていると読み込んでしまう。文化人類学者とJKという取り合わせ、え、作者はそういったバックグラウンドの人?と思ったら文化服装学園出身とのこと。え、じゃあご自身でここまで研究したのかすごいな、と、読み進む。陰惨な殺人、温和であったはずの被害者、おどろおどろしい呪術の道具、禁忌の呪術集団…すげ~~!
ただ、どう~~~~しても納得いかなくてう~~ん、と頭を抱えたのは以下。
1)「ノートパソコンを開いてブラウザ…」という記載があるのに、最初の殺人の凶器が、最後に偶然それを見るまで出てこない。いや、たしかに変わった形状かもしれないけど「鷹鉈」ってグーグルで簡単に出てきた。包丁、ナイフ、鉈なんて、ざっと調べるんじゃないのかな。警察までいつまでも凶器さえ確定できないの、あんまりじゃない?
2)一番駄目だったのは、主人公とJKの会話の古臭さ。
>なるほど、アポなしの珍客は美少女というわけか。いや、美少女と言い切っていいもんかどうか、若干検討の余地があるかもしれんな。なんせ服装面での問題が大きい。
これ、地の文じゃないの。主人公がいきなり訪ねてきたJKに本当に「発する」セリフなんだよ。ちょっとありえないわ~~って思ってしまったんだよね、個人的には。しれんな、なんせ…なんて初対面のJKに30代のおっさんが、言う?
3)被害にあう子供の年齢が、6歳と4歳と3歳。それを子供だけで、国道脇で、しかも雪の降る日に遊ばせる?もう、保護責任者の問題じゃない?って思った。ひかれる前に怪我したり凍えたり動物に襲われるでしょ?
4)何十年も口をつぐんでいたはずの人たちが、JKに「おじいちゃんが死んだんです!」の一言で、ぺらぺら大した逡巡なく(そう見える)しゃべっちゃう点。え~~~そりゃないよ。
5)主人公と行動するJKが、めちゃくちゃおしゃべりだし理論的だしばんばんやれ四国だ福島だって行動しちゃう、スーパーJK。
まあそれを100歩置いといて、実は…それがフリでした、両親に虐待されて実は完全に心を壊されていたのをじいちゃんに助けられ…っていうのだけれど、出会った父親へのリアクションがすごい。
普通に考えたらトラウマだし、その父親は30代の、かなりフィールドワークなんかで鍛えているはずの主人公をぼこぼこにする超・暴力男なんだけど、それにぎゃんぎゃんののしって、自分も吹っ飛ばされたりするんだよね。いったん自分が破壊されるほどの当の相手に、そんだけものすごい反撃に出られるもんか?
6)主人公とJKが、シングル2つをとったはずがダブル1室しかとれずに一緒のベッドで寝て抱き合っちゃう。その次の日の流れでここが必然、って描写が私には見えなかった。ホテル側としてシングル2つをダブル1室に間違えるのもひどいけど、未成年のJKをダブル1室で30代男性と泊まらせるかな???
あたりが気になって気になって、ちょっと入り込めませんでした。
江戸川乱歩賞受賞作品は今度から、講評付きの新書版で読むようにしよう。自分の気持ちがどう、審査員の人に斟酌されたのかあるいはされなかったのか、興味あるもんね~~
なんどもいうけど、面白い部類だった。ただ、どうしても入り込みづらいところが目立った、ということ。同じようなテーマをこの作家さんが書かれるようであれば、またぜひチャレンジしたい。
(ディテールにひかれて読んでそれがほぼフェイク、というのは好きではないので、鳥類学者シリーズはたぶん、読まない)
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呪いを主題とした作品だが、推理小説というより、SF寄り?に感じた。
知識がやや表面的な部分をなぞったのみという印象を受けたが、謎が謎を呼ぶテンポの良い展開や「呪い」という人を惹きつけるテーマのおかげで、一気に読破できた。救いのある終わり方であったため、後味も悪くない。
作品にリアリティを求める人には向かないかもしれない。
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呪術ミステリーと謳われてたんで、もっとホラー的なミステリーかと思いきや。
結局真由の祖父がどうやって殺されたのかとか、いろいろ疑問に思うところはたくさんあったのだけど、仲澤先生と真由のやりとりは面白かった。
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よろずのことに気をつけよ/川瀬七緒:第57回大賞受賞。2011年。
女性W受賞だそう。これは呪い。子供を殺された親の呪い。都会から遊びにやってきて、好き放題していく者への呪い。なので、犯人は後から出てくる人物なんだろうな。と。
土着。呪術。に絡めた虐待された子。子を殺された親。そして虐待された子を救えなかった主人公。
呪い、土着といえば、横溝正史賞だと思うのだが。ここに応募で評価されるんだね。
重いっちゃ重い。どのテーマもいまだ(2019年)に解決されていない。
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テーラー伊三郎が良かったので追いかけることにした、川瀬さんの乱歩賞受賞作。
初期作だけあってかなり荒っぽいなぁ。細部に心配りしているなぁと思うところもあれば、その描写はないやろと思うとこもあったりで、塗りむらが激しいというイメージ。
呪術展開ならもっとドロドロとしてほしいし、謎解きで行くならもっとミステリーやトリックを巧妙にしてほしいし、読ませたい場所の立ち位置もなんだかフラフラ不安定。
ヒロインの描写も勝気なのか弱いのかガキなのかオマセなのか…、本人に「そう演じてるのよ」と言わせてしまうのは興ざめやぞ。
その他、小説なれしてない部分は目につくものの、筆力の強さの片りんを見せてくれる作品でもある。
呪術ウンチクの描写は見事であるし、それを伏線として展開させていく部分は読みごたえあって、この後の川瀬さんを予感させる部分もたくさんある。
総合的には星3。でも、こっから登っていく星3ってのはいいもんやね。
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何よりもしっかりした文章を書かれる。恨みをはらすという、いささか古風な感情にリアリティを与えている。(柳田國男に呪いに関する書籍はあるのか。)著者の初期の本なのだが、子供服のデザイナーをしながら、このような物語を紡いだ才能は本物だと思います。
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都内に住む老人が自宅で惨殺された。奇妙なことに、遺体は舌を切断され、心臓をズタズタに抉られていた。さらに、縁の下からは「不離怨願、あたご様、五郎子」と記された呪術符が見つかる。なぜ老人はかくも強い怨念を受けたのか?日本の因習に絡む、恐るべき真相が眼前に広がる!第57回江戸川乱歩賞受賞作。
興味のない題材だったが、勢いで読んでしまった。
こちらよりも「法医昆虫学捜査官」シリーズの方が楽しめる。
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タイトルとあらすじにひかれて初読み作家さん。呪術とか扱ってるわりにオカルトにならず、田舎の因習などを探る内容になっていて面白く、一気読み。この先生のシリーズもやって欲しいな。他の作品も読んでみたいと思います。
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2011年の乱歩賞作品。
呪術を専門とする文化人類学者が、フィールドワークや文献調査をもって事件解決を図るという構図。
こういう題材で、ファンタジー性がないものは珍しい。
特定の専門学者を探偵とするミステリでは、背景や前提を説明のためのシーンが多くなったりしがち。
本作は、ストーリーは割と唐突に始まって、少しずつ無理なくそういった情報を盛り込んでいる。事件にも設定にも、自然と入っていけた。
あとは、解説にもあるように、ミステリとして、ガジェットの盛り込みや意外な展開・犯人、みたいなものがあると、とても完成度の高いものになると思う。
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